【中小企業の人的資本への対応戦略】中小企業の人的資本経営、認知度と取り組みに進展「認知している」は37.4%、「取り組んでいる」企業は27.2%に
~BLUE REPORT 10月号を発行~
『「新しいあたりまえ」で、新しい世界を創るFORVAL』を理念に掲げる、次世代経営コンサルタント集団である株式会社フォーバル(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:中島 將典、以下「フォーバル」)が運営するフォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業の人的資本経営への対応について調査した「BLUE REPORT 10月号」を2025年9月26日(金)に発行しました。

今回のレポートの目的『人的資本経営に関する認知状況や取り組み実態などを把握』
「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」(経済産業省)である人的資本経営が、近年注目されています。2024年1月、当時の岸田首相による施政方針演説において採り上げられたことでも脚光を浴びました。
そこで、フォーバル GDXリサーチ研究所では、中小企業は人的資本経営に関して、認知や取り組みがどの程度進んでいるのか。中小企業経営者に対して人的資本経営に関する認知状況や取り組み実態などを把握する目的で調査を実施いたしました。本リリースでは、そのうちGXに関する調査結果を報告します。
本調査は2023年度にも実施しています。
●本レポートの詳細は、こちらをご参照ください。
URL:https://gdx-research.com/wp-content/uploads/2025/09/bluereport_202510.pdf
サマリー
■人的資本経営を認知している企業は37.4 % で前回調査より増加
※当所の調査での比較
※「知っており、他の人に説明できる」、「知っているが、説明できるほどではない」の合計
・人的資本経営の認知度は37. 4%である。このうち「知っており、他の人に説明できる」の8.0%、「知っているが、説明できるほどではない」の29.4%となっている。一方「知らない」企業は前回の調査より31.7%に減少した。
■人的資本経営に取り組んでいる企業は27.2 % で前回調査より増加
※当所の調査での比較
※「十分取り組めている」、「ある程度取り組めている」の合計
・人的資本経営の取り組み状況は、「十分取り組めている」が3.3%、「ある程度取り組めている」が23.9%で合計、27.2%の企業が取り組んでいた。前回の調査から人的資本経営を認知する企業が増加したことにより、取り組む企業も増加していることがわかる。
■人的資本経営に取り組んだ企業の半数以上が効果を実感
※当所で調査した3つの項目における結果
・人的資本経営に取り組んだ効果を「人材強化やモチベーションのアップ」はじめ3つの視点で調査
最も効果があったのは人材強化で74.4%が効果ありと回答。他の2つに関しては、約50%と過半数ではあるが、人への投資を通して、競合優位性や売り上げ拡大にも効果があることが分かった。
調査結果 (抜粋)
■人的資本経営を認知している企業は37.4 % で前回調査より増加
「人的資本経営」の認知度に関する調査では、中小企業の経営者のうち、37.4%が「人的資本経営」を認知していた。具体的には、「知っており、他の人に説明できる」が8.0%、「知っているが、説明できるほどではない」が29.4%であった。2023年度の調査と比較すると、認知度は上昇している。前回の認知度は27.1%(「知っており、他の人に説明できる」3.8%、「知っているが、説明できるほどではない」23.3%)であったが、今回は約10ポイント増加した。この認知度上昇の背景には、経済産業省が人的資本経営に関する方針を提唱したことや、「人材版伊藤レポート2.0」が公表されたことなどが影響していると考えられる。

■人的資本経営に取り組んでいる企業は27.2 % で前回調査より増加
人的資本経営の取り組み状況に関する調査では、「十分取り組めている」が3.3%、「ある程度取り組めている」が23.9%で、合計 27.2%の企業がすでに取り組んでいた。2023年度の調査結果と比較すると、「十分取り組めている」は3.2%から3.3%へとほぼ横ばいである一方、「ある程度取り組めている」は18.0%から23.9%へと増加している。この結果は、人的資本経営を認知する企業が増えたことにより、実際に行動に移す企業も増加していることを示している。すでに人的資本経営に取り組んでいる企業は、成果指標や運用体制を整え、さらなる成果につなげるべきである。また、まだ取り組んでいない企業も、できることから少しずつ取り組みを始めることが重要だ。

■人的資本経営に取り組んだ企業の半数以上が効果を実感
人的資本経営に取り組んでいる企業に対し、その効果を「人材強化やモチベーションのアップ」「競合優位性の構築」「売上拡大」の3つの観点から聞いた。「人材強化やモチベーションのアップ」については、「十分に効果を感じている」を選択した企業が18.9%であった。「やや効果を感じている」の55.5%も合わせると、実に74.4%の企業が効果を感じていると回答した。一方の「競合優位性の構築」と「売上拡大」については、「十分に効果を感じている」と「やや効果を感じている」の合計がそれぞれ52.7%、52.8%となった。双方とも過半数ではあるが「人材強化やモチベーションのアップ」と比べると低い結果にとどまっている。

■まとめ
本レポートは、中小企業の人的資本経営に関する認知や取り組みの実態を把握する目的で行った調査の結果を報告した。
人的資本経営を認知する層は37.4%であり、1年半前の調査と比較すると約10ポイントの上昇であった。また、取り組み状況も27.2%と、1年半前の21.2%から6ポイント増加した。このことから、中小企業における人的資本経営の認知と取り組みは着実に進展していると推察される。しかし、上場企業や大企業に比べると、その数値の低さが課題である。
人的資本経営に取り組んだ企業のうち、7割以上が「人材強化やモチベーションのアップ」に、5割以上が「競合優位性の構築」と「売上拡大」に効果を感じている。このことから、人的資本経営への取り組みは経営に影響を及ぼす効果を生むことがわかる。
一方で、人的資本経営に取り組む上での課題として、時間や費用、専門人材の不足が上位となった。この経営手法は長期的な投資が必要であり、自社の経営ビジョンに組み込み、組織全体で取り組む覚悟が求められる。
また、「多様な人材の雇用・活躍」、「従業員エンゲージメントを図るためのITツールの導入」、「差別やハラスメント禁止の徹底」といった具体的な施策を総合的に行うことで、業績へのプラス影響のみならず、差別化や企業価値の創出、持続可能な経営の実現に近づくことができる。
現状、人的資本経営に取り組む余裕がないと考える経営者も多いだろう。しかし、経営層と現場の距離が近い、組織変革がしやすいといった中小企業ならではの強みを活かせば、限られた経営資源でも取り組みやすく、メリットが大きい経営手法であるといえる。
詳細はブルーレポートをご確認ください。
フォーバル GDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。
▽詳細は下記URLよりご覧ください。

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像