【中小企業の賃上げの実施と取り組み状況の違い】製造業、建設業、卸売業の「賃上げ」実施率が7割超え経営指標の可視化の実施有無が賃上げに影響している結果に
~BLUE REPORT 12月号を発行~
『「新しいあたりまえ」で、新しい世界を創るFORVAL』を理念に掲げる、次世代経営コンサルタント集団である株式会社フォーバル(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:中島 將典、以下「フォーバル」)が運営するフォーバル GDXリサーチ研究所は、賃上げを実施できている中小企業の傾向や、取り組み情報の違いなどについて調査した「BLUE REPORT 12月号」を2025年11月28日(金)に発行いたします。

今回のレポートの目的『賃上げを実施できている企業にはどのような傾向があるかを把握』
昨今はインフレ基調や物価高が続き、国民の負担意識が強まる中、政府は「賃上げを起点とした成長型経済」を目指し、企業に対する賃上げ要請を強めています。経営体力のある大企業から先行し始めた賃上げの流れは中小企業にも及び、企業の規模に関係なく賃上げが実施されるようになりました。
中小企業の賃上げの実態を把握するため、フォーバル GDXリサーチ研究所ではこの度、賃上げに関する幅広い観点からアンケート調査を実施しました。前回レポートでは賃上げの実施有無や取り組み内容、その効果などについて報告しました。
今回は中小企業の賃上げの実態にさらに迫るべく、賃上げを実施できている企業にはどのような傾向があるかを把握する目的で、属性別や経営への取り組み状況の違いなどに基づく検証を行いました。
本リリースでは、その調査結果を報告します。
●本レポートの詳細は、こちらをご参照ください。
URL:https://gdx-research.com/wp-content/uploads/2025/11/bluereport_202512.pdf
サマリー
■「賃上げ」実施企業を業種別に見ると製造業、建設業、卸売業の実施率が高い
※回答数50以上の業種の傾向
・「賃上げ」実施企業を業種別に見ると、「製造業」が75.3%、「建設業」が71.0%、「卸売業」が70.6%とそれぞれ7割以上の実施率であることがわかった。
■経営指標の可視化を行っている企業の方が賃上げの実施率が高い
・会社の経営指標(売上、利益、コスト構造、KPIなど)の可視化を「行っている」と回答した企業の賃上げ実施率は75.5%、可視化を「行っていない」と回答した企業の賃上げ実施率は57.0%と可視化を行っている企業のほうが18.5%の高かった。
■外部の専門家からの経営に関する伴走支援を受けている企業の方が賃上げの実施率が高い
・外部の専門家からの経営に関する伴走支援の有無による賃上げ実施状況についての調査に関しては、外部の専門家の伴走支援を「受けている」と回答した企業の賃上げ実施率は71.8%、伴走支援を「受けていない」と回答した企業の賃上げ実施率は62.4%と、外部の専門家に支援してもらう領域は企業によって様々だが、賃上げ実施にも影響を及ぼしている可能性がある。
調査結果 (抜粋)
■「賃上げ」実施企業を業種別に見ると製造業、建設業、卸売業の実施率が高い
※回答数50以上の業種の傾向
賃上げを実施している企業のうち、回答企業が50社以上の業種でその実施率を抽出したところ、最も高かったのは製造業(75.3%)であり、次いで建設業(71.0%)、卸売業(70.6%)との結果になった。
製造業、建設業ともに原材料費は高騰しているものの、政府による政策的な賃上げ要請に加え、経済界全体での価格転嫁や労務単価引き上げの促進が奏功している可能性がある。また、近年は深刻な人手不足と言われており、賃上げによる離職防止や採用力強化を睨み、賃上げを行っている企業が多いことも考えられる。

■経営指標の可視化を行っている企業の方が賃上げの実施率が高い
データに基づいた経営ができている企業と、そうでない企業で、賃上げ実施状況に違いがあるかどうかを確認した。今回の調査でのデータに基づく経営とは、会社の経営指標(売上、利益、コスト構造、KPIなど)がデジタルデータで可視化できている状態のことを指す。
会社の経営指標の可視化を「行っている」と回答した企業の賃上げ実施率は75.5%、可視化を「行っていない」と回答した企業の賃上げ実施率は57.0%であった。経営指標の可視化を行うことにより、経営実態の把握がスムーズとなり、賃上げの原資の把握や実行の意思決定をしやすくなることが、この結果に表れていると推察される。一方で、経営指標の可視化を行っていない企業においては、これらの指標が正確に把握できず、賃上げに慎重になる、賃上げ実施の判断がつかない、等の可能性も考えられる。

■外部の専門家からの経営に関する伴走支援を受けている企業の方が賃上げの実施率が高い
外部の専門家からの経営に関する伴走支援を受けている企業と、受けていない企業で、賃上げ実施状況についての調査では、外部の専門家の伴走支援を「受けている」と回答した企業の賃上げ実施率は71.8%、伴走支援を「受けていない」と回答した企業の賃上げ実施率は62.4%で、伴走支援を受けている企業の方が9.4ポイント高い結果であった。外部の専門家に支援してもらう領域は企業によって様々だが、賃上げ実施にも影響を及ぼしている可能性がある。
外部の専門家から経営に関する伴走支援を受けることにより、賃上げを行うために必要な売上や利益の確保に向け、健全な経営に近づけることができる。また、世の中の動きを踏まえた賃上げ実施の必要性、賃上げを実施する際の具体的な進め方や社内の合意形成、原資の確保などの具体的なアドバイスを受けることもあるだろう。

■まとめ
本レポートは、前号に引き続いて中小企業の賃上げの実態に迫るべく実施した調査の結果を報告した。
まず、業種別での調査では上位2つを占めた製造業、建設業の実施率が高かったが、その2業種の賃上げ率を見ると、建設業は相対的に高かったものの、製造業は4%未満の低い企業が多かった。
また、経営の取り組み状況の違いにより、賃上げの実施状況に違いが見られるのかについても分析した。今回は「経営計画の有無」「各種経営指標のデジタルデータでの可視化」「伴走支援の活用」の3つの観点で実施した。その結果は、これらの取り組みを行っている企業の方が、行っていない企業よりも賃上げ実施率が高い傾向が見られた。特に中長期の経営計画の策定や、経営指標の可視化を行っている企業では、より差が開く結果となった。
近年のインフレ基調や物価高を背景に、企業の規模を問わず賃上げを進める企業が増加している。政府や関連業界による賃上げ要請や、それを支える制度・税制面での支援もあり、中小企業においても賃上げをする企業が多数派を占めるに至った。企業側にも従業員の離職を防止し、継続的に人材を確保したい思惑があるだろう。
その賃上げの原資を確保するためにも、適正なコスト管理や価格転嫁、さらに中長期的な成長戦略は不可欠である。その中長期的な経営戦略のベースとなるのが、各種経営指標の可視化である。また、外部視点での客観的な評価も効果が期待できるだろう。現状では賃上げ実施の難しさを感じる企業も、様々な手段を駆使して成長戦略を構築し、賃上げへの具体的な道筋を描いてもらいたい。
フォーバル GDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。
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