ドレッシングが食後の血糖値上昇を抑制。乳化液状ごまドレッシングによる血糖値上昇の抑制が顕著
3月11日(土)開催の日本食品科学工学会で発表
キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:髙宮 満、以下キユーピー)は、2022年8月に、炭水化物の前に野菜サラダを摂取すると、食後の急激な血糖値上昇が抑制されることを確認し、日本食品科学工学会で発表しました※1。今回はこれに次ぐ第二の検証として、野菜サラダと一緒に食べることの多い“ドレッシング”が食後の血糖値上昇にどう影響するのかを検証し、ドレッシング単体でも、食後の血糖値上昇が抑えられることを確認しました。この研究成果について、3月11日(土)に開催された、「日本食品科学工学会 令和5年度 関東支部大会※2」にて発表を行いました。
※1 キユーピーアヲハタニュース2022 No.88参照:https://www.kewpie.com/newsrelease/2022/2678/
※2 「日本食品科学工学会 令和5年度 関東支部大会」プログラム:https://drive.google.com/file/d/1bl2HP9mMUg8xnQr3GnaQ_uad_Y6ClL6q/view
血糖値上昇に関わる“糖質量”を揃えて、クロスオーバー試験を実施
試験は、ドレッシング摂取の影響のみを検証するため、野菜サラダなどは用いず、ドレッシングのみを摂取して行いました。また、食後の血糖値を上昇させる要因が糖質であることから、ブドウ糖を用いて糖質量を揃え、各試験食品(下記①~③)の糖質量が同じになるよう調整した上で試験を行いました。健常成人男性16名に対し、クロスオーバー試験※3にて、①ブドウ糖6g(対照)、②分離液状フレンチドレッシング50g+ブドウ糖2g、③乳化液状ごまドレッシング50g、を摂取させ(図1参照)、摂取前及び摂取後120分まで経時的に採血し、血糖値を測定しました。試験前日の食事は21時までに済ませ、その後は水分補給のみを可としました。試験食品は5分以内を目安に飲み切り、試験中に水500mlを好きなタイミングで飲み切ってもらいました(図2参照)。
※3 クロスオーバー試験:「交差試験」とも呼ばれ、A群・B群を設定し、それぞれ別の試験物を摂取し、その後、摂取するものを順次入れ替えていく試験デザインのこと。
乳化液状ごまドレッシングが特に顕著。対照に比べて摂取後の血糖値が有意に低く、摂取前と比べても、ほぼ血糖値を上昇させないことが判明
試験の結果、②分離液状フレンチドレッシング(+ブドウ糖)、③乳化液状ごまドレッシング、ともに、糖質量が同じ対照(①ブドウ糖)に比べて、食後の血糖値上昇が抑制されることが分かりました。②分離液状フレンチドレッシング(+ブドウ糖)は摂取15分後に、③乳化液状ごまドレッシングは摂取15分後と30分後、45分後に、対照と比較して有意に低い値を示しています(グラフ1参照)。さらに、③乳化液状ごまドレッシングは、摂取前と比較して、血糖値をほぼ上昇させないことが同グラフから見て取れます。また、血糖値のIAUC※4(面積)を見ると、③乳化液状ごまドレッシングは、対照と比較して糖質の吸収を抑え、②分離液状フレンチドレッシング(+ブドウ糖)はその傾向があることを確認できます(グラフ2参照)。さらに、血糖値のCMAX※5からも、②分離液状フレンチドレッシング(+ブドウ糖)と③乳化液状ごまドレッシングがともに、食後の急激な血糖値の上昇を抑えることが分かりました(グラフ3参照)。
※4 血糖値IAUC:IAUCはIncremental Area Under the Curveの略。血糖値増加量を面積で表したもの。血糖値の上昇を比較する指標として使用される。IAUCが低いということは、糖の吸収が抑えられたことを示している。
※5 血糖値CMAX:各被験者における血糖値の変動で、試験食品ごとに最も高い値で比較したもの。
グラフ1~3の凡例は、「対照」=「①ブドウ糖6g」、「フレンチ」=「②分離液状フレンチドレッシング50g+ブドウ糖2g」、「ごま」=「③乳化液状ごまドレッシング50g」を、それぞれ表している。
2022年8月には、炭水化物の前に野菜サラダを摂取すると、食後の急激な血糖値上昇が抑制されることを確認し、今回は、サラダに使うことの多いドレッシング単体でも、食後の血糖値上昇を抑えられることが確認されました。この度の一連の研究成果は、「サラダは食べたいが、ドレッシングの糖質が気になる」という人にも安心して、ドレッシングでサラダを楽しんでもらう後押しになると考えています。
野菜にはビタミン、ミネラル、食物繊維など人にとって健康を維持するために重要な栄養素が多く含まれています。ドレッシングを活用してサラダで野菜をおいしく摂取していただきたいと思います。
※2 「日本食品科学工学会 令和5年度 関東支部大会」プログラム:https://drive.google.com/file/d/1bl2HP9mMUg8xnQr3GnaQ_uad_Y6ClL6q/view
血糖値上昇に関わる“糖質量”を揃えて、クロスオーバー試験を実施
試験は、ドレッシング摂取の影響のみを検証するため、野菜サラダなどは用いず、ドレッシングのみを摂取して行いました。また、食後の血糖値を上昇させる要因が糖質であることから、ブドウ糖を用いて糖質量を揃え、各試験食品(下記①~③)の糖質量が同じになるよう調整した上で試験を行いました。健常成人男性16名に対し、クロスオーバー試験※3にて、①ブドウ糖6g(対照)、②分離液状フレンチドレッシング50g+ブドウ糖2g、③乳化液状ごまドレッシング50g、を摂取させ(図1参照)、摂取前及び摂取後120分まで経時的に採血し、血糖値を測定しました。試験前日の食事は21時までに済ませ、その後は水分補給のみを可としました。試験食品は5分以内を目安に飲み切り、試験中に水500mlを好きなタイミングで飲み切ってもらいました(図2参照)。
※3 クロスオーバー試験:「交差試験」とも呼ばれ、A群・B群を設定し、それぞれ別の試験物を摂取し、その後、摂取するものを順次入れ替えていく試験デザインのこと。
乳化液状ごまドレッシングが特に顕著。対照に比べて摂取後の血糖値が有意に低く、摂取前と比べても、ほぼ血糖値を上昇させないことが判明
試験の結果、②分離液状フレンチドレッシング(+ブドウ糖)、③乳化液状ごまドレッシング、ともに、糖質量が同じ対照(①ブドウ糖)に比べて、食後の血糖値上昇が抑制されることが分かりました。②分離液状フレンチドレッシング(+ブドウ糖)は摂取15分後に、③乳化液状ごまドレッシングは摂取15分後と30分後、45分後に、対照と比較して有意に低い値を示しています(グラフ1参照)。さらに、③乳化液状ごまドレッシングは、摂取前と比較して、血糖値をほぼ上昇させないことが同グラフから見て取れます。また、血糖値のIAUC※4(面積)を見ると、③乳化液状ごまドレッシングは、対照と比較して糖質の吸収を抑え、②分離液状フレンチドレッシング(+ブドウ糖)はその傾向があることを確認できます(グラフ2参照)。さらに、血糖値のCMAX※5からも、②分離液状フレンチドレッシング(+ブドウ糖)と③乳化液状ごまドレッシングがともに、食後の急激な血糖値の上昇を抑えることが分かりました(グラフ3参照)。
※4 血糖値IAUC:IAUCはIncremental Area Under the Curveの略。血糖値増加量を面積で表したもの。血糖値の上昇を比較する指標として使用される。IAUCが低いということは、糖の吸収が抑えられたことを示している。
※5 血糖値CMAX:各被験者における血糖値の変動で、試験食品ごとに最も高い値で比較したもの。
《グラフの凡例に関する注釈》
グラフ1~3の凡例は、「対照」=「①ブドウ糖6g」、「フレンチ」=「②分離液状フレンチドレッシング50g+ブドウ糖2g」、「ごま」=「③乳化液状ごまドレッシング50g」を、それぞれ表している。
2022年8月には、炭水化物の前に野菜サラダを摂取すると、食後の急激な血糖値上昇が抑制されることを確認し、今回は、サラダに使うことの多いドレッシング単体でも、食後の血糖値上昇を抑えられることが確認されました。この度の一連の研究成果は、「サラダは食べたいが、ドレッシングの糖質が気になる」という人にも安心して、ドレッシングでサラダを楽しんでもらう後押しになると考えています。
- 共同研究者 宇都宮 一典先生からメッセージ
最近では、甘く感じるドレッシングもあり、その糖質が気になることもあると思います。しかし、ドレッシングの糖質の量はわずかであり、今回の試験結果で、その糖質は血糖値にほとんど影響を与えないことが分かりました。一方で、ドレッシングには油を使用していますので適量の利用が大切です。ドレッシングの油は、必須脂肪酸を含む、食用植物油脂を使用しており、動物性油脂に比べ、体には優しいものです。気を付けたいのは、飽和脂肪酸に富んだ、動物性油脂です。
野菜にはビタミン、ミネラル、食物繊維など人にとって健康を維持するために重要な栄養素が多く含まれています。ドレッシングを活用してサラダで野菜をおいしく摂取していただきたいと思います。
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