電通総研、「クオリティ・オブ・ソサエティ指標2025」の調査結果を発表
- デジタル化、AI、ロボットが身近になる中での意識変化の兆し -
テクノロジーで企業と社会の進化を実現する株式会社電通総研(本社:東京都港区、代表取締役社長:岩本 浩久、以下「電通総研」)は、2025年10月15日(水)、「クオリティ・オブ・ソサエティ指標2025」(https://www.dentsusoken.com/sites/dentsusoken_default/files/2025-10/qos_survey_2025.pdf)の結果と主なファインディングスを発表します。
電通総研のシンクタンク組織の一つである、ヒューマノロジー創発本部 Quality of Societyセンター(以下「QoSセンター」)は、クオリティ・オブ・ソサエティをテーマに、「人々の意識の変化がどのような社会を形づくっていくのか」を捉えるための定量調査「クオリティ・オブ・ソサエティ指標」を2019年以来、毎年実施しています。
■ 「クオリティ・オブ・ソサエティ指標2025」調査の背景
本調査は、主に2つの項目群から構成されます。1つは「社会の質」に対する人々の現在の認識と選好される社会の方向性を探るための項目群、もう1つは「個人」「家族・コミュニティ」「社会」の視点から、人々の考える社会の現在地を捉えるための項目群です。毎年尋ねている時系列項目に加えて、今年は、AIやロボットが生活や仕事などの場面においてどのように受け止められているかを新たに尋ねています。
【「クオリティ・オブ・ソサエティ指標2025」 - 新たに尋ねた項目からの主なファインディングス -】
1.デジタル化が進んでも働き方全般の変わらない人は約半数、デジタル化でよい影響を受けている人の方が悪い影響を受けている人よりも多い
2.AIやロボットに自分の仕事を奪われる不安を感じる人は、働いている人全体で約2割、18-29歳では約3割になる
3.働いている人の3人に1人が、遠隔操作ロボットなどを利用した就労に関心がある
4.AIやロボットが日常生活で活用されることについて、受容度が高いのは入場時のセキュリティチェックや防犯カメラでの活用、荷物配達ロボットなどで、受容度が低いのは政策決定や家の中のプライバシーに関わるもの
※以下、グラフ内の各割合は全体に占める回答者の実数に基づき算出し四捨五入で表記しています。また、各割合を合算した回答者割合も、全体に占める合算部分の回答者の実数に基づき算出し四捨五入で表記しているため、各割合の単純合算数値と必ずしも一致しない場合があります。
1.働き方全般へのデジタル化の影響
デジタル化が進んでいることによって、よい影響を受けているか悪い影響を受けているかを尋ねたところ、働き方全般については「変わらない」が45.1%でもっとも多く、「よい影響を受けている(計)」が27.5%、「悪い影響を受けている(計)」が9.6%、「わからない/使ったことがない」は17.8%であった。
また、「よい影響を受けている(計)」から「悪い影響を受けている(計)」を引いた差は17.9ポイントで、よい影響を受けていると回答した人が多い。いずれの年代もよい影響を受けていると回答した人の方が多く、それらの差に年代での顕著な違いは見られなかった。


2.AIやロボットに仕事を奪われる不安
AIやロボットなどのデジタル化が進むことによって、自分の仕事を奪われる不安を感じているかについて、現在働いている人(就労者 n=5,708)を対象に尋ねた。その結果、「不安を感じている(計)」23.1%、「どちらともいえない」27.9%、「不安を感じていない(計)」38.4%、「考えたことがない」10.6%と、回答がやや分散した。
また、「不安を感じていない(計)」から「不安を感じている(計)」を引いた差は15.3ポイントであった。この差には年代による違いが顕著に見られた。18-29歳では「不安を感じていない(計)」32.9%、「不安を感じている(計)」30.9%と、ともに約3割でほとんど差がなく、30代・40代では差が10ポイント未満にとどまるものの、60代以上になると30ポイント以上の大きな差が生じている。


3.遠隔操作ロボットを利用した就労への関心
デジタル化と働き方の多様化によって、ロボットの可能性が広がっている。ロボットを遠隔操作して働くことへの関心について、現在働いている人(就労者 n=5,708)を対象に尋ねた。「遠隔操作ロボットを使って自分の仕事をしてみたい」(34.8%)、「別の誰かが遠隔操作するロボットに、自分の仕事を手伝ってもらいたい」(34.3%)、「遠隔操作ロボットを使う新しい仕事をしてみたい」(37.2%)となり、働いている人の3人に1人が遠隔操作ロボットを利用する就労に関心をもっている。

4.AIやロボットが日常生活で活用されることへの受容度
私たちの日常生活では既にAIやロボットが活用される場面が多く見られ、今後さらにこうした場面が増えていくと仮定してそれらの受容度を尋ねた。「受け入れられる(計)」が高かったものは、入場時のセキュリティチェックや防犯カメラでのデータ活用による犯罪者の捜索、荷物配達ロボットなどであった。また、人の手が必要な部分を残して設計されたロボットへの受容度も高かった。
逆に「受け入れられない(計)」が高かったものは、政策決定をAIに委ねることや、プライバシーに関わるものが挙げられている。「AIやロボットに、センシティブな内容(お金、人間関係、性に関する悩みなど)を相談すること」を46.2%が「受け入れられない(計)」と回答しているが、年代別に見ると18-29歳では「受け入れられない(計)」は35.4%にとどまる一方、50.9%が「受け入れられる(計)」と回答するといった特徴が見られた。


■考察:デジタル化、AI、ロボットが身近になる中での意識変化の兆し
本調査を通じ、人々の生活や仕事の場面にデジタル化の影響が出てきていることが明らかとなりました。デジタル化の影響が既に大きい「働き方」において、それがよい影響であると認識している人が多かったことは幸いです。
その一方、若い世代ほどAIやロボットに仕事を奪われる不安を感じていることは注視すべき点です。急速に発展するAIやロボットなどの技術の恩恵を受けながらも、同時にAIやロボットにはできない、人間ならではの仕事をしなければならないという危機意識が感じられます。しかし遠隔操作ロボットを活用する働き方も選択肢の1つであり、およそ3割以上の人が関心をもっています。今後、ロボットを介して多様な働き方が生み出されていくことが期待されます。
AIやロボットならではの正確さや効率性が発揮される役割を担う場面は、日常のさまざまな場面に確実に増えていくでしょう。そのような環境変化の中、人間とAIやロボットとの関係性について私たちの意識はどのように変化していくのか、注目することが重要であると考えます。
■「クオリティ・オブ・ソサエティ指標2025」概要
・調査時期 : 2025年6月23日~6月30日 ・調査方法 : インターネット調査
・サンプル数 : 12,000人(人口構成比に合わせて回収) ・対象者 : 18-79歳の男女 ※学生を含む
・対象地域 : 全国
・調査機関 : 電通マクロミルインサイト
・調査データURL:以下より、時系列データを含む、本調査のレポートをご覧いただけます。
https://www.dentsusoken.com/sites/dentsusoken_default/files/2025-10/qos_survey_2025.pdf
※本調査(12,000サンプル)の標本サイズの誤差幅は、信頼区間95%とし、誤差値が最大となる50%の回答スコアで計算すると±1.3%となります。
<ご参考資料>
・電通総研 QoSセンター
https://www.dentsusoken.com/thinktank
2024年10月17日
電通総研、「クオリティ・オブ・ソサエティ指標2024」の調査結果を発表
https://www.dentsusoken.com/news/release/2024/1017.html
■電通総研について https://www.dentsusoken.com
電通総研は、「HUMANOLOGY for the future~人とテクノロジーで、その先をつくる。~」という企業ビジョンの下、「システムインテグレーション」「コンサルティング」「シンクタンク」という3つの機能の連携により、企業・官庁・自治体や生活者を含めた「社会」全体と真摯に向き合い、課題の提言からテクノロジーによる解決までの循環を生み出し、より良い社会への進化を支援・実装することを目指しています。
テクノロジーや業界、企業、地域の枠を超えた「X Innovation(クロスイノベーション)」を推進し、これからも人とテクノロジーの力で未来を切り拓き、新しい価値を創出し続けます。
* 電通国際情報サービス(ISID)は、電通総研へ社名を変更しました。
* 本リリースに記載された会社名・商品名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。
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