1/2ルール浸透度は低いことが明らかに
~クラダシの意識調査で、食品関連事業者の7割以上が「1/2ルールへの完全移行でフードロス削減が可能」と回答~
【意識調査サマリ】
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SDGs推進に取り組むことについて、食品関連事業者の94.3%が「重要である」と回答している一方、実際に取り組みを「行っている」と回答したのは68.9%
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84.0%の食品関連事業者がフードロス削減に関する取り組みを「行っている」と回答
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フードロス削減に対する取り組みとして最も多かった回答は「『Kuradashi』などを利用して再流通させる」で72.6%
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フードロスの発生比率は「生産量全体の1~5%程度」が最も多く32.1%
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50.9%の食品事業者がフードロス削減に対する取り組みを昨年度より「強化する予定」と回答
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納品期限が1/2ルールに完全移行した場合に想定される流通過程でのフードロス発生量の変化は、「フードロスは発生するが、量は多少減ると思う(想定される変化10~29%程度)」が最も多く44.3%
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意識調査実施の背景
世界では約8億人が飢餓で苦しんでいるものの、世界で生産される食料の1/3が廃棄されていると言われています。これらの食料の廃棄による温室効果ガスの排出量は、世界の温室効果ガス排出量の約8~10%を占めており、環境への負荷のひとつとなっています。そのような理由からフードロス削減への取り組みは持続可能な社会を実現するために必要不可欠であり、SDGsの目標「12 つくる責任 つかう責任」においてもターゲットのひとつに「2030年までにフードロス半減させる」と明文化されています。
日本においても年間522万トンのフードロスが発生しており(令和2年度推計)、2019年に「食品ロス削減推進法」が施工されて以降、国や地方自治体、食品関連事業者が主体となってフードロス削減への取り組みを推進しています。2019年には農林水産省と経済産業省が主体となり、卸売業者と小売業者の業界団体に対して加工食品の納品期限(いわゆる1/3ルール)の緩和を求めるなど、食品関連事業における商慣習を見直す動きも加速しています。
さらに2022年には農林水産省、経済産業省、消費者庁が食品製造・卸・小売・外食事業者の業界団体に対して「食品ロス削減に向けた取組の加速化について」を発出し、1/3ルールから1/2ルールへの納品期限の見直しに加えて、賞味期限の年月表示や適量仕入れや売り切り等の実施、フードバンクやこども食堂への寄附等の取り組みを促進するよう求めています。
※参照:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/161227_4-26.pdf
このような動きを受け、大手小売店を中心に、賞味期限が6か月以上ある常温加工品などを対象として1/2ルールの採用を開始または表明する企業も増加しています。
クラダシは、ミッションを「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」、ビジョンを「日本で最もフードロスを削減する会社」と掲げ、持続的に社会課題の解決に取り組むビジネスを展開しています。フードロス削減を目指し、賞味期限が切迫した食品や季節商品、パッケージの汚れやキズ・自然災害による被害などが原因で、消費可能でありながら通常の流通ルートでの販売が困難な商品を買い取り、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」で販売しています。また、その売り上げの一部でさまざまな社会貢献活動を支援しています。
今回、食品事業者がSDGsやフードロス削減、商慣習の見直しについてどのように考えているのかを知り、今後のフードロス削減に向けた情報発信やサービス展開に役立てていきたいという目的から意識調査を実施し、食品関連事業者106名から回答が得られました。
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アンケート回答者の属性
【従業員数】
300名以下:72.6%/301名以上:27.4%
【本社所在地】
北海道:1.9%/東北:5.7%/関東:36.8%/中部:14.2%/近畿:21.7%/中国:4.7%
四国:3.8%/九州・沖縄:11.3%
【年間売上高】
1億円未満:12.3%/1億円以上~10億円未満:23.6%/10億円以上~50億円未満:21.7%
50億円以上~100億円未満:9.4%/100億円以上~500億円未満:13.2%/500億円以上:17.0%
非開示:2.8%
【設立からの年数】
10年以下:17.0%/11年~20年:8.5%/21年~30年:11.3%/31年以上:63.2%
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調査結果
1.貴社では、SDGs推進に取り組むことは、企業経営においてどの程度重要であると捉えていますか。(n=106/単一回答、以下SA)
「とても重要だと思う」が67.9%、「まあ重要だと思う」が26.4%で、全体の94%以上がSDGs推進への取り組みを重要事項と捉えているという結果でした。日本国内の食品関連事業者においては、SDGs推進の重要性が広く認識されていると読み取れます。
2.貴社では、SDGs目標達成に向けた取り組みを行っていますか。(n=106/SA)
68.9%の食品事業者がSDGs目標達成に向けた取り組みを「行っている」と回答しました。問1「貴社では、SDGs推進に取り組むことは、企業経営においてどの程度重要であると捉えていますか。」では全体の94%以上が「重要だと思う」と回答していましたが、実際に取り組みを行っているのは68.9%と、約25%の乖離が見られます。
3.貴社が行っているSDGs目標達成に向けた取り組みは、以下のSDGs目標のどの項目に当てはまりますか。(n=470/複数回答、以下MA)
「12.つくる責任 つかう責任」が最も多く59.4%、次いで「3.すべての人に健康と福祉を」が43.4%という結果となりました。食品関連事業者にとって「12.つくる責任 つかう責任」は、フードロス削減や商品パッケージのリサイクル等、関連する内容が多いことから、最も取り組まれていると推察されます。
4.貴社では、「フードロス削減」に関する取り組みを行っていますか。(n=106/SA)
84.0%の食品関連事業者がフードロス削減に関する取り組みを「行っている」と回答しました。問2「貴社では、SDGs目標達成に向けた取り組みを行っていますか。」に対する回答と比較すると、「行っている」と回答した割合が15%以上多いという結果になりました。このことから「フードロス削減に対する取り組みは行っているが、それが『SDGs目標達成に向けたもの』ではない」もしくは「フードロス削減がSDGsと関連していると認識していない」という食品関連事業者の状況が推察されます。
5.貴社では、フードロス削減のためにどのような取り組みを行っていますか。(n=324/MA)
フードロス削減のための取り組みとして最も多かったのは「『Kuradashi』などを利用して再流通させる」で72.6%、次いで「値引きして販売する」で63.2%でした。
なお、「その他」と回答した方に具体的な取り組みを尋ねたところ、「賞味期限が近付いた商品をお味見としてお客様にプレゼントしている」「フードバンク等へ寄付をする」「肥料として農家さんに譲渡している」などの回答がありました。
6.貴社におけるフードロスの発生比率は、生産量全体の何%程度ですか。(n=106/SA)
「1~5%程度」という回答が最も多く32.1%、次いで「1%未満」という回答が多く26.4%でした。食品関連事業者にとって、フードロスの発生が一定、生産性・経済性に影響を与えていることが読み取れ、製造や流通過程におけるフードロス削減に今後も継続的に取り組む必要があると言えます。
7.貴社の本年度のフードロス削減に対する取り組みは、昨年度より強化される予定ですか。(n=106/SA)
50.9%がフードロス削減に対する取り組みを「強化する予定」と回答しました。「変わらない」という回答が36.8%でしたが、問4「貴社では、『フードロス削減』に関する取り組みを行っていますか。」で84.0%の食品関連事業者が「行っている」と回答していることから、食品関連事業者におけるフードロス削減の取り組みは「継続的に行われる」あるいは「強化される」傾向にあると言えます。
8.貴社が取引されている小売店舗において、すでに1/2ルールでの納品が開始したところはありますか。(n=106/SA)
「ない」「分からない」「1/2ルールの対象となる商品を製造・販売していない」と回答した方が62.3%であることから、「まだ1/2ルールでの納品は広く実施されているとは言えない」という状況が読み取れます。
9.問8で「ある」と回答した方へ質問します。すでに1/2ルールを導入している納品先は、どの程度の割合ですか。(n=52/SA)
すでに1/2ルールを導入している納品先の割合は「それ以下(20%未満)」という回答が最も多く28.8%でした。1/2ルールを導入している納品先はあるものの、その割合はまだ全体としては多くないと推察されます。
10.貴社において、納品期限が1/3ルールから1/2ルールに完全に移行したとしても、流通過程でのフードロスは一定発生してしまうものだと思いますか。(n=106/SA)
「フードロスは発生するが、量は多少減ると思う(想定される変化10~29%程度)」と回答した方が最も多く44.3%でした。また、「フードロス発生量はほとんど変わらないと思う(想定される変化10%未満)」という回答が11.3%だったことから、半数以上にあたる約55%の方がフードロス発生量の想定される変化は29%以下に留まるのではないかと回答しています。
11.問10で「フードロスは発生すると思う」と回答した方へ質問します。そのように考える理由として当てはまるものをすべてお選びください。(n=199/MA)
最も多かった回答は「商品リニューアル等の理由から終売品が発生するため」で45.3%でした。次いで「一定数、販売期限切れなどによる小売店からの返品があるため」、「賞味期限逆転禁止や欠品禁止等、納品期限以外の商慣習が残っているため」がそれぞれ38.7%という結果となりました。
食品関連事業者側の考えとして、フードロス削減への対策として納品期限の変更だけでは不十分であり、終売品・返品商品の取り扱いやその他の商慣習への対応が必要だと考えていることが読み取れます。
12.商慣習のひとつである、小売からメーカー等に対する「欠品ペナルティ(欠品粗利補償金)」は、近年緩和されていると感じますか。(n=106/SA)
欠品ペナルティ(欠品粗利補償金)は、メーカーが小売店から発注を受けた数量分納品できなくなったりした場合に、小売店に対して支払う補償金を指します。メーカーは欠品ペナルティを受けることを避けるために商品を多めに製造し、それによって余剰在庫が増え、それがフードロスの原因のひとつになっていると言われています。
欠品ペナルティについては20.8%が「緩和されていると感じる」と回答した一方で、41.5%が「変わらない」と回答しています。
13.貴社において、「Kuradashi」のようなサービスは、フードロスになってしまいそうな商品を流通させるためのセーフティネットのひとつになり得ると思いますか。(n=106/SA)
「そう思う」と回答した方が95.3%で、食品関連事業者において「Kuradashi」のようなフードロスになってしまいそうな商品を再流通させるサービスの有用性が広く認知されていると言えます。
14.貴社はこれまでに「Kuradashi」に出品したことはありますか。(n=106/SA)
「Kuradashi」への出品経験について、「出品したことがある」と回答した方が86.8%でした。問13「貴社において、『Kuradashi』のようなサービスは、フードロスになってしまいそうな商品を流通させるためのセーフティネットのひとつになり得ると思いますか。」で95.3%が「そう思う」と回答していましたが、実際に出品経験があるのは86.8%と、約10%程度の乖離が見られます。
15.問14で「出品したことがある」と回答した方へ質問します。 貴社が「Kuradashi」を利用する理由として当てはまるものをすべてお選びください。(n=296/MA)
「Kuradashi」へ出品する理由として最も多かった回答は「フードロス削減に貢献できるから」で73.6%、次いで「商品の廃棄コストが削減できるから」で61.3%でした。
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調査概要(有効回答:106名)
調査名:SDGs・フードロスに関するアンケート
調査目的:食品関連事業者の皆さまの「SDGs」や「フードロス」についての意識や取り組みを知り、
「Kuradashi」からの情報発信やサービス改善に役立てる。
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年4月24日(月)~2023年5月10日(水)
調査項目:
1.貴社では、SDGs推進に取り組むことは、企業経営においてどの程度重要であると捉えていますか。(単一回答、以下SA)
2.貴社では、SDGs目標達成に向けた取り組みを行っていますか。(SA)
3.貴社が行っているSDGs目標達成に向けた取り組みは、以下のSDGs目標のどの項目に当てはまりますか。(複数回答、以下MA)
4.貴社では、「フードロス削減」に関する取り組みを行っていますか。(SA)
5.貴社では、フードロス削減のためにどのような取り組みを行っていますか。(MA)
6.貴社におけるフードロスの発生比率は、生産量全体の何%程度ですか。(SA)
7.貴社の本年度のフードロス削減に対する取り組みは、昨年度より強化される予定ですか。(SA)
8.貴社が取引されている小売店舗において、すでに1/2ルールでの納品が開始したところはありますか。(SA)
9.問8で「ある」と回答した方へ質問します。すでに1/2ルールを導入している納品先は、どの程度の割合ですか。(SA)
10.貴社において、納品期限が1/3ルールから1/2ルールに完全に移行したとしても、流通過程でのフードロスは一定発生してしまうものだと思いますか。(SA)
11.問10で「フードロスは発生すると思う」と回答した方へ質問します。そのように考える理由として当てはまるものをすべてお選びください。(MA)
12.商慣習のひとつである、小売からメーカー等に対する「欠品ペナルティ(欠品粗利補償金)」は、近年緩和されていると感じますか。(SA)
13.貴社において、「Kuradashi」のようなサービスは、フードロスになってしまいそうな商品を流通させるためのセーフティネットのひとつになり得ると思いますか。(SA)
14.貴社はこれまでに「Kuradashi」に出品したことはありますか。(SA)
15.問14で「出品したことがある」と回答した方へ質問します。 貴社が「Kuradashi」を利用する理由として当てはまるものをすべてお選びください。(MA)
※百分率(%)は小数第二位で四捨五入し、小数点第一位までを算出しています。
※百分率の合計値が100%とならない場合があります。
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ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」とは
Kuradashiは、楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケットです。
フードロス削減を目指し、まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう可能性のある商品などを、おトクに販売しています。
さらに、売り上げの一部を環境保護・災害支援などに取り組むさまざまな社会貢献団体への寄付やクラダシ基金として活用し、SDGs17の目標を横断して支援しています。
楽しくておトクなお買い物が、社会に良いことにつながる。そんな、全く新しいソーシャルグッドマーケットを創出しています。
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株式会社クラダシについて
代表者氏名:関藤竜也
設立:2014年7月
本社所在地:〒141-0021 東京都品川区上大崎3丁目2-1 目黒センタービル 5F
URL:https://corp.kuradashi.jp/
【サービス紹介】
・ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」:https://www.kuradashi.jp/
・クラダシが自社で運営する「クラダシ基金」:https://www.kuradashi.jp/fund
・クラダシが運営する店舗:https://kuradashi.jp/pages/stores
【クラダシのサステナビリティ】
・サステナビリティサイト:https://corp.kuradashi.jp/sustainability/
・サステナビリティレポート:https://speakerdeck.com/kuradashi/sustainability-report
【2023年3月末時点の主な累計実績】
・フードロス削減量:16,077トン ・経済効果:78億3,654万円
・CO2削減量 :42,620t-CO2 ・寄付総額:106,000,752円
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「Kuradashi」、「ソーシャルグッドマーケット」、「1.5次流通」、「もったいないを価値へ」は株式会社クラダシの登録商標です。
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