「地方創生」認知は高まっても、4割が「人口減少」を実感
強まる「東京一極集中」に、地方は「若者の減少」「空き家の増加」を懸念 ~全国1万人の意識調査~
株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役社長:井上孝志)は、自主企画調査「地方創生と人口減少に関する意識調査」を実施しました。全国の16~79歳の男女1万702人を対象にしたインターネット調査で、地方創生と人口減少への意識を聞いたものです。
【調査結果のポイント】
- 全体で4割の人が人口減少を実感している、という結果になりました。人口規模が小さい地域の方がその傾向が強く、人口5万人以下の都市では約3人に2人が人口減少を実感しています。
- 人口減少によって懸念することは、「高齢化による医療・介護ニーズの増加と支え手の不足」が約6割。次いで、「空き家・空き地の増加」が5割弱となりました。人口減少が進む東北・四国地方においては、「若者が減少して活気がなくなる」が高く、人口減少が比較的緩やかな関東地方では、「治安の悪化」が高くなっています。
- 人口減少に伴い、懸念が現実化した場合は、約半数が「今の地域にとどまると思う」と回答。一方、10~20歳代では、「引っ越す」と回答した人が3割を超えています。
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【考察と背景(※1)】
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「まち・ひと・しごと創生法」が施行されて4年半が経過し、各地域での取り組みは独自性や深まりを見せています。しかし、「出生率の低下」や「東京一極集中」などの傾向は一向に改善されず、合計特殊出生率は1.43(※2)となり、出生数も二年連続で100万人を割っています。近年では大阪・名古屋圏から東京圏への流出も超過していることから、「東京一人勝ち」の様相を呈しています。
これらの現状を踏まえ、東京圏と地方圏の住民に人口減少に対するどのような意識の違いが見られるのか、また実際にどのようなことを懸念しているのかを明らかにするため、本調査を実施しました。
国が取り組む「地方創生」に対する認知度が上がっている一方、地方を取り巻く環境と住民の意識は依然として厳しいことが分かる結果となっています。
地方創生の認知度や、人口減少の各問題に対する危機感は男性が女性を上回っており、性別での違いが見られました。人口減少の実感は人口が5万人以下の都市で顕著に。将来的にも減少するとの予測が高く出ており、100万人以上の都市との意識の差が浮彫りとなっています。人口減少や「東京一極集中」といった課題に対する危機感は、東北地方で高くなっており、人口減少を「自分ごと」として捉えていることがうかがえます。
人口減少に関して懸念することとして、人口が多い都市では「治安の悪化」が挙がったのに対し、人口が少ない都市では「若者の減少」が挙がるなど、都市規模による意識の違いが見られます。懸念が現実化した場合の行動として、10~20歳代は引っ越す傾向が強く、高齢者は地域にとどまる傾向が高くなっていることが特徴的です。また、北海道では「道内の他地域に引っ越す」という意見があるなど、地域性の違いもうかがえる結果となりました。
※1 【考察と背景】内で触れている調査結果については、
資料編(https://www.intage-research.co.jp/lab/20190422.pdf)のデータを含んでおりますので、あわせてご覧ください。
※2 厚生労働省「2017年人口動態統計」
分析者:櫻木 祐輔 (公共サービス事業部 ソーシャル事業推進部)
【報道関係のお問い合わせ先】
■株式会社インテージリサーチ
経営企画部 担当:宇和野/萩森
TEL:042-476-5300 FAX:042-476-5303
【調査に関するお問い合わせ先】
■株式会社インテージリサーチ
公共サービス事業部 広報担当:秦(はた)
TEL:03-5295-2475
サイト「お問い合わせフォーム」 https://www.intage-research.co.jp/contact/index.php/input
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主な調査結果の詳細
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1.5万人未満の都市の3人に2人が「人口減少」を実感
人口の増減の実感は全体で見ると、「減少 計」(「とても減少している」と「やや減少している」の合計、以下同じ)が41.2%、「増加 計」(「とても増加している」と「やや増加している」の合計、以下同じ)が20.5%となっています。都市規模別に見ると、100万人未満の都市では全て「減少 計」が「増加 計」を上回っています。「増加している」は100万人以上の都市で24.6%とやや高くなっており、「とても減少している」は5万人未満の都市で34.7%と高くなっています。
また、地域ブロック別に見ると、「減少 計」は東北地方と四国地方で高くなっており、「増加 計」は関東地方で29.2%とやや高くなっています。
【問】あなたは自分が住んでいる地域の人口の増減について、どのように感じていますか。
2.東北・四国地方の半数が、「若者が減少して活気がなくなる」ことを懸念
「人口減少に伴う地域への影響として懸念されること」は、全体で「高齢化による医療・介護ニーズの増加と支え手の不足」が59.3%で最も高くなっています。次いで「空き家・空き地の増加」が48.5%、さらに「若者が減少して活気がなくなる」が47.3%と続いています。都市の規模別に見ると、100万人以上の都市ではTOTALと比較し懸念が全体的に低い傾向となっていますが、「治安の悪化」が27.4%とやや高くなっています。一方、人口5万人未満の都市ではTOTALと比較し懸念の各項目が全体的に高い傾向にあり、特に「若者が減少して活気がなくなる」が60.9%と高くなっています。
地域ブロック別に見ると、東北地方と中国地方の懸念はTOTALと比較し全体的に高い傾向にあり、「若者が減少して活気がなくなる」は双方において、TOTALより10%ポイント高くなっています。
【問】(人口減少を実感している または わからないと回答した方のみ)
あなたがお住まいの地域についておうかがいします。あなたの地域の人口減少が進むことで、懸念されることについてお答えください。(複数回答)
3.懸念が現実化しても地域にとどまるのは半数。若い世代ほど引っ越す傾向
人口減少に伴い、懸念が現実化した場合の引っ越しの意向については、「今の地域にとどまると思う」が51.6%となっています。一方、「今の地域の中で別の地区に引っ越すと思う」が7.5%、「今の地域を出て別の地域に引っ越すと思う」は10.0%となっています。性年代別に見ると、男性、女性いずれも10~20歳代で「引っ越す」という回答が3割を超えており、50歳代以上で「今の地域にとどまると思う」が高くなっています。
【問】(人口減少による懸念事項があると回答した方のみ)
あなたの地域の人口減少が進み、ご懸念のことが出てきた場合、あなたはどうすると思いますか。
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調査概要
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調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象者:インテージ・ネットモニター 全国16歳以上79歳までの男女個人
サンプル構成:平成27年国勢調査ベース(性別×年代別×居住エリア×未既婚)母集団準拠
設計数:10,000サンプル
調査期間:2019年3月25日(月)~3月27日(水)
調査内容:「地方創生」の語の認知、居住する地域の将来的な人口推移の認識、日本の人口減少及び人口の東京一極集中への意識、居住する地域での人口減少による懸念、懸念事項が現実化した場合の移住意向
調査実施機関:株式会社インテージリサーチ
【株式会社インテージリサーチ】 http://www.intage-research.co.jp/
株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役社長:井上孝志)は、インテージグループの一員として、社会・公共領域をテーマとした調査研究、公的統計調査の受託や民間の市場調査のデータ収集を行っています。
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