子ども食堂、知っている人が8割に ~世代間交流や地域活性化、高齢者の孤立対策への広がりも~
全国1万人の意識調査
株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役社長:井上孝志)は、自主企画調査「子ども食堂・フードバンク・フードドライブの認知度等に関する調査」を実施しました。全国の16~79歳の男女1万803人を対象にしたインターネット調査で、子ども食堂・フードバンク・フードドライブに対する認知度、運営への関心などを尋ねたものです。
【調査結果のポイント】
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考察
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「子ども食堂」という言葉を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。通常、「子どもが一人で行ける無料または低額の食堂」とされています。NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの調査結果(※1)によると、2018年に2286カ所、2019年に3718カ所と急増。取り組みは全国的な広がりを見せており、近年は大手コンビニエンスストアや食品メーカーも参入するなど、新しい動きも出ています。
インテージリサーチは2018年3月、子ども食堂の認知について初めて調査しました(※2)。「名前を聞いたことがある」と答えた人は72.2%。今年3月に同様に調査したところ、前回より約10ポイント増加し、82.1%に上りました。一方、前回は「運営に関わってみたい」と回答した人が24.6%いたのに対し、今年は18.5%。「興味はあるが、具体的なイメージがわかない」「あまり興味はない」の層が増えていることがわかりました。
全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長を務める湯浅誠氏は、「課題を抱えた人が行くところ、というイメージが定着してしまっているのではないか」と指摘します。子どもの貧困対策や孤食対策の面が強調されすぎると、子どもとの関わりが少ない人や、福祉を専門としていない人は二の足を踏んでしまうでしょう。
実際、性年代別に見ると30~50歳代の男性で特に関心が低くなっています。この層は子ども食堂について見聞きする機会が比較的少ないと想定され、「何となく知っているが、自分には関係ない」ととらえがちなのかもしれません。しかし最近は、子どもの貧困・孤立対策にとどまらず、世代間交流や地域活性化の拠点、さらには高齢者の孤立対策や健康づくりの側面から、子ども食堂をとらえ直す向きもあります。
子ども食堂における取り組みは、食事の提供だけでなく、地域交流や居場所づくりなど多岐にわたるため、実際に足を運んでみると、自分にもできることが見つかる可能性は十分にあります。また食の支援という意味では、フードバンク(※3)やフードドライブ(※4)の取り組みに参加するのも一つの手でしょう。認知度はフードバンクが67.7%、フードドライブが35.4%と、いずれも子ども食堂に比べて低くなっていますが、より気軽に活動を始められるケースもあるため、今後の認知向上を図っていく必要がありそうです。
※1 https://musubie.org/news/993/
※2 https://www.intage-research.co.jp/lab/report/20190227.html
※3 まだ食べられるのに、さまざまな理由で処分されてしまう食品を、食べ物を必要とする人や施設に届ける活動
※4 家庭で余っている食べ物を学校や職場などに持ち寄り、まとめて地域の福祉団体や施設、フードバンクなどに寄付する活動
分析者:田守 綾・秦 さわみ(公共サービス事業部 ソーシャル事業推進部)
【調査に関するお問い合わせ先】
■株式会社インテージリサーチ
公共サービス事業部 広報担当:秦(はた)
TEL:03-5295-2475
サイト「お問い合わせフォーム」 https://www.intage-research.co.jp/contact/index.php/input
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調査結果の詳細
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※ 詳細については、資料編(https://www.intage-research.co.jp/lab/20191011.pdf、P.5~9)のデータもあわせてご覧ください。
「子ども食堂」の名前を聞いたことがある人は、前回より1割増の約8割
子ども食堂(※5)について「名前を聞いたことがある」割合(「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」と「名前を聞いたことはあるが、内容は知らない」の合計)は82.1%となり、2018年3月の調査結果と比べて約10ポイント増加しました。また、「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」割合については、前回41.1%に対し、今回は48.9%と7.8ポイント増加しています。子ども食堂の取り組みが全国に広がっており、メディアで見聞きする機会も多いことから、認知度が上昇していると考えられます。
ただし、性年代別に見ると、女性30歳代以上で「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」が約6割であるのに対し、男性40歳代未満は「名前も聞いたことがない」が約3割となっています。子どもや食、地域活動との関わりがあるかなど、ライフスタイルによって認知度に違いが生じていると考えられます。
※5 子ども食堂:みんなで食卓を囲み、大人が手間をかけて調理してくれたあたたかな食事を無料又は低価格で食べる場
【問】 あなたは、子ども食堂の取組を知っていますか。
認知度が高まっても、運営への参加意向の強い人は増えていない
前回調査では「運営に関わってみたい」(ボランティアスタッフ含む)と回答した人が24.6%いたのに対し、今年は18.5%にとどまりました(※6)。一方で「興味はあるが、具体的なイメージがわかない」「あまり興味はない」の層がそれぞれ増加しています。
性年代別に見ると、参加意向が高いのは男女10歳代、女性70歳代となりました。10歳代は対象となる子どもと年齢が近いことから、また70歳代女性は食事づくりや子育ての経験があり、かつ時間の余裕がある人も多いと考えられることから、自分が運営に参加した場合の、具体的な役割がイメージできるのでしょう。
一方で30~50歳代男性で参加意向が低くなっています。子ども食堂についての話を聞く機会が増える一方で、子どもの貧困対策・孤立対策としての側面が過度にクローズアップされると、普段子どもに接する機会が少ない人や、福祉を専門としない人の興味を喚起しにくいのかもしれません。
※6 今回調査では「運営に関わっている」という選択肢を新たに設けているが、図表3では「運営に関わってみたい」に合算している。
【問】 あなたは、子ども食堂の運営に関わってみたいと思いますか。
質問対象:前問で、「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」または「名前を聞いたことはあるが、内容は知らない」と回答した人
「フードバンク」「フードドライブ」の認知度には向上の余地あり
子ども食堂と同様に、食の支援の一つであるフードバンク(※7)の認知度は67.7%、子ども食堂などを支えるフードドライブ(※8)の認知度は35.4%と、子ども食堂よりも低い水準にとどまりました。こうした活動には、子ども食堂に比べて気軽に参加できるケースもあるため、今後の普及啓発が必要ではないかと考えられます。
※7 フードバンク:まだ食べられるのに、さまざまな理由で処分されてしまう食品を、食べ物に困っている人や施設に届ける活動
※8 フードドライブ:家庭で余っている食べ物を学校や職場などに持ち寄り、まとめて地域の福祉団体や施設、フードバンクなどに寄付する活動
【問】 あなたは、フードバンク、フードドライブの取組を知っていますか。
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【調査概要】
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調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象者:マイティモニター 全国16歳以上79歳までの男女個人
サンプル構成:平成27年国勢調査ベース(性別×年代別×居住エリア×未既婚)母集団準拠
設計数:10,803サンプル
調査期間:2019年3月25日(月)~3月27日(水)
調査内容:子ども食堂・フードバンク・フードドライブに対する認知度、運営への関心
調査実施機関:株式会社インテージリサーチ
【株式会社インテージリサーチ】 http://www.intage-research.co.jp/
株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役社長:井上孝志)は、インテージグループの一員として、社会・公共領域をテーマとした調査研究、公的統計調査の受託や民間の市場調査のデータ収集を行っています。
【調査結果のポイント】
- 認知度は子ども食堂が82.1%、フードバンクが67.7%、フードドライブが35.4%となりました
- 子ども食堂の認知度は、2018年の調査と比べて約1割上昇したものの、「運営に関わってみたい」と回答した人の割合は前回以下にとどまりました
- 男性30~50歳代では、子ども食堂の運営に「あまり興味がない」が目立つ結果となりました
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考察
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「子ども食堂」という言葉を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。通常、「子どもが一人で行ける無料または低額の食堂」とされています。NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの調査結果(※1)によると、2018年に2286カ所、2019年に3718カ所と急増。取り組みは全国的な広がりを見せており、近年は大手コンビニエンスストアや食品メーカーも参入するなど、新しい動きも出ています。
インテージリサーチは2018年3月、子ども食堂の認知について初めて調査しました(※2)。「名前を聞いたことがある」と答えた人は72.2%。今年3月に同様に調査したところ、前回より約10ポイント増加し、82.1%に上りました。一方、前回は「運営に関わってみたい」と回答した人が24.6%いたのに対し、今年は18.5%。「興味はあるが、具体的なイメージがわかない」「あまり興味はない」の層が増えていることがわかりました。
全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長を務める湯浅誠氏は、「課題を抱えた人が行くところ、というイメージが定着してしまっているのではないか」と指摘します。子どもの貧困対策や孤食対策の面が強調されすぎると、子どもとの関わりが少ない人や、福祉を専門としていない人は二の足を踏んでしまうでしょう。
実際、性年代別に見ると30~50歳代の男性で特に関心が低くなっています。この層は子ども食堂について見聞きする機会が比較的少ないと想定され、「何となく知っているが、自分には関係ない」ととらえがちなのかもしれません。しかし最近は、子どもの貧困・孤立対策にとどまらず、世代間交流や地域活性化の拠点、さらには高齢者の孤立対策や健康づくりの側面から、子ども食堂をとらえ直す向きもあります。
子ども食堂における取り組みは、食事の提供だけでなく、地域交流や居場所づくりなど多岐にわたるため、実際に足を運んでみると、自分にもできることが見つかる可能性は十分にあります。また食の支援という意味では、フードバンク(※3)やフードドライブ(※4)の取り組みに参加するのも一つの手でしょう。認知度はフードバンクが67.7%、フードドライブが35.4%と、いずれも子ども食堂に比べて低くなっていますが、より気軽に活動を始められるケースもあるため、今後の認知向上を図っていく必要がありそうです。
※1 https://musubie.org/news/993/
※2 https://www.intage-research.co.jp/lab/report/20190227.html
※3 まだ食べられるのに、さまざまな理由で処分されてしまう食品を、食べ物を必要とする人や施設に届ける活動
※4 家庭で余っている食べ物を学校や職場などに持ち寄り、まとめて地域の福祉団体や施設、フードバンクなどに寄付する活動
分析者:田守 綾・秦 さわみ(公共サービス事業部 ソーシャル事業推進部)
【調査に関するお問い合わせ先】
■株式会社インテージリサーチ
公共サービス事業部 広報担当:秦(はた)
TEL:03-5295-2475
サイト「お問い合わせフォーム」 https://www.intage-research.co.jp/contact/index.php/input
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調査結果の詳細
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※ 詳細については、資料編(https://www.intage-research.co.jp/lab/20191011.pdf、P.5~9)のデータもあわせてご覧ください。
「子ども食堂」の名前を聞いたことがある人は、前回より1割増の約8割
子ども食堂(※5)について「名前を聞いたことがある」割合(「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」と「名前を聞いたことはあるが、内容は知らない」の合計)は82.1%となり、2018年3月の調査結果と比べて約10ポイント増加しました。また、「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」割合については、前回41.1%に対し、今回は48.9%と7.8ポイント増加しています。子ども食堂の取り組みが全国に広がっており、メディアで見聞きする機会も多いことから、認知度が上昇していると考えられます。
ただし、性年代別に見ると、女性30歳代以上で「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」が約6割であるのに対し、男性40歳代未満は「名前も聞いたことがない」が約3割となっています。子どもや食、地域活動との関わりがあるかなど、ライフスタイルによって認知度に違いが生じていると考えられます。
※5 子ども食堂:みんなで食卓を囲み、大人が手間をかけて調理してくれたあたたかな食事を無料又は低価格で食べる場
【問】 あなたは、子ども食堂の取組を知っていますか。
認知度が高まっても、運営への参加意向の強い人は増えていない
前回調査では「運営に関わってみたい」(ボランティアスタッフ含む)と回答した人が24.6%いたのに対し、今年は18.5%にとどまりました(※6)。一方で「興味はあるが、具体的なイメージがわかない」「あまり興味はない」の層がそれぞれ増加しています。
性年代別に見ると、参加意向が高いのは男女10歳代、女性70歳代となりました。10歳代は対象となる子どもと年齢が近いことから、また70歳代女性は食事づくりや子育ての経験があり、かつ時間の余裕がある人も多いと考えられることから、自分が運営に参加した場合の、具体的な役割がイメージできるのでしょう。
一方で30~50歳代男性で参加意向が低くなっています。子ども食堂についての話を聞く機会が増える一方で、子どもの貧困対策・孤立対策としての側面が過度にクローズアップされると、普段子どもに接する機会が少ない人や、福祉を専門としない人の興味を喚起しにくいのかもしれません。
※6 今回調査では「運営に関わっている」という選択肢を新たに設けているが、図表3では「運営に関わってみたい」に合算している。
【問】 あなたは、子ども食堂の運営に関わってみたいと思いますか。
質問対象:前問で、「名前を聞いたことがあり、内容も知っている」または「名前を聞いたことはあるが、内容は知らない」と回答した人
「フードバンク」「フードドライブ」の認知度には向上の余地あり
子ども食堂と同様に、食の支援の一つであるフードバンク(※7)の認知度は67.7%、子ども食堂などを支えるフードドライブ(※8)の認知度は35.4%と、子ども食堂よりも低い水準にとどまりました。こうした活動には、子ども食堂に比べて気軽に参加できるケースもあるため、今後の普及啓発が必要ではないかと考えられます。
※7 フードバンク:まだ食べられるのに、さまざまな理由で処分されてしまう食品を、食べ物に困っている人や施設に届ける活動
※8 フードドライブ:家庭で余っている食べ物を学校や職場などに持ち寄り、まとめて地域の福祉団体や施設、フードバンクなどに寄付する活動
【問】 あなたは、フードバンク、フードドライブの取組を知っていますか。
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【調査概要】
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調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象者:マイティモニター 全国16歳以上79歳までの男女個人
サンプル構成:平成27年国勢調査ベース(性別×年代別×居住エリア×未既婚)母集団準拠
設計数:10,803サンプル
調査期間:2019年3月25日(月)~3月27日(水)
調査内容:子ども食堂・フードバンク・フードドライブに対する認知度、運営への関心
調査実施機関:株式会社インテージリサーチ
【株式会社インテージリサーチ】 http://www.intage-research.co.jp/
株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役社長:井上孝志)は、インテージグループの一員として、社会・公共領域をテーマとした調査研究、公的統計調査の受託や民間の市場調査のデータ収集を行っています。
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