歯間清掃具の使用年数が長いほど、歯の喪失リスクが低下 歯間清掃具が歯の喪失予防につながる可能性を示唆

~BMC Oral Health誌で発表~

サンスターグループ

サンスターグループ(以下、サンスター)は、自治医科大学と共同研究を行い、サンスター従業員の5年分の歯科健康診断データをもとに、歯間清掃具の使用年数と歯の喪失の関連性を分析しました。

その結果、歯周ポケットのない健康な集団において、デンタルフロスを4~5年使用している者の歯の喪失リスクが、0~1年使用者に比べて低くなりました。また、歯周ポケットを有する歯周炎の集団では、歯間ブラシを4~5年使用している者の歯の喪失リスクが、0~1年使用者に比べて低くなることが分かりました。本研究結果をまとめた論文は、2024年12月21日に『BMC Oral Health』誌にオンライン公開されました 。

これらの結果から、歯間清掃具を継続して使用することで歯の喪失を抑制できること、さらにその効果は歯周病の状態によって異なることが分かりました。このことから、個々のお口の状態に応じた歯間清掃具を長期間使用することが、お口の健康維持において重要であると考えられます。

<研究概要>

◆研究の背景・目的

歯の喪失は、全身疾患のリスク増加や生活の質の低下につながる可能性があります。歯を失わないためには、定期的に歯科医院を受診することに加えて、日常の歯みがきや歯間清掃具の使用を通じて、お口を清潔に保つことが重要です。これまで、歯間清掃具の使用が歯周病やむし歯の予防に有効であることは、数か月程度の臨床試験で示されていましたが、長期的な使用に関する研究は行われていませんでした。そこで、本研究では、サンスター従業員を対象に歯間清掃具の長期的な使用と歯の喪失の関連を検証しました。

◆研究対象者と方法

本研究の対象者は、2012年から2017年の歯科健康診断を受診したサンスター従業員845人(平均年齢47.8歳)です。5年分の歯科健康診断データから、歯間清掃具の種類(デンタルフロス・歯間ブラシ)・使用年数(0~1年/2~3年/4~5年)、歯の喪失の有無を抽出しました。さらに、2012年の歯科健康診断におけるCPI(Community Periodontal Index:地域歯周疾患歯数)の最大値を基に、対象者を健常群(CPI<3; 4mm以上の歯周ポケットなし)と歯周炎群(CPI≥3; 4mm以上の歯周ポケットあり)に分類しました。歯間清掃具の種類・使用年数と歯の喪失との関連については、群別に年齢、性別、むし歯経験指数(DMFT※1)、喫煙、歯科受診年数、歯みがき回数で調整して、回帰分析を行いました。

※1 むし歯経験指数(DMFT):これまでに経験したむし歯(未処置の歯、抜歯した歯、むし歯を処置した歯)の合計本数を示す指標。指数が高いほどむし歯になりやすい傾向を示す。

◆研究結果

1.対象者の特徴

歯周病の状態により対象者を分類した結果、歯周炎群(200人)は、健常群(645人)に比べ、女性の割合が少なく、年齢が高く、むし歯経験指数や歯科受診年数が多い傾向が見られました。また、両群で歯間清掃具の使用状況をみると、歯周炎群では歯間ブラシを4~5年使用する者の割合が高く、健常群ではデンタルフロスを4~5年使用する者の割合が高いことが分かりました。

2.歯の喪失と歯間清掃具使用の関連について

 健常群においては、デンタルフロスを0~1年使用する者に比べて、4~5年使用者は歯の喪失に対するオッズ比が0.42倍、歯周炎群では、歯間ブラシの使用期間が0~1年の者に比べて、4~5年使用している者の歯の喪失に対するオッズ比が0.38倍と、歯間清掃具を長期使用する群では歯を失うリスクが低くなることが分かりました(図)。

図)歯の喪失と歯間清掃具の使用年数の関連についてロジスティック回帰分析(性、年齢、むし歯、喫煙、歯科受診、歯みがき回数で調整)

◆結論

本研究では、歯間清掃具の使用年数が長い人ほど歯の喪失リスクが低いことが明らかになり、歯の健康維持には、継続的な歯間清掃が重要であることが示されました。また、健常群ではデンタルフロス、歯周炎群では歯間ブラシを継続的に使用する人の方が歯の喪失リスクが低かったことから、歯周病の進行状況に応じて適切な歯間清掃具を選択することが重要であることが分かりました。本研究は、歯間清掃具の長期的な使用が歯の喪失リスクに与える影響を明確に示した、数少ない調査の一つです。これまでの短期的な研究結果を補完し、歯間清掃の継続的な実践が歯の健康維持に寄与することを実証しました。本研究結果をもとに、今後は大規模なデータを活用し、個々のお口の状態に応じた最適な歯間清掃習慣の確立や、定期検診との連携も含めたより効果的なオーラルケア指導の開発が期待されます。

<研究結果に関するコメント>

自治医科大学 地域医療学センター地域医療学部門

東京大学 未来ビジョン研究センター

中尾 杏子(なかお きょうこ)先生

歯周病や歯の喪失は、糖尿病など生活習慣病の悪化や高齢者における認知機能低下、QOL低下等のリスクにつながることが知られています。このような歯科疾患の予防においては、若いうちから日常的な口腔ケアを継続することが重要です。今回は職域の集団における歯間清掃具の利用状況に着目して分析を行いました。口腔内の健康を維持し出来るだけ多くの健康な歯を残していくために、今回の結果が日々の歯間清掃の重要性を再認識する一助となれば幸いです。

<論文タイトルと著者>

・タイトル:The importance of using interdental cleaning devices on prevention of tooth loss in an employee population: a cross-sectional study

・著者:Kyoko Nakao, Miki Ishikawa, Takako Yasuda, Yuji Furui, Kazuhiko Kotani

・掲載誌:BMC Oral Health 

・DOI: https://doi.org/10.1186/s12903-024-05308-0

【サンスターグループについて】

サンスターグループは、持株会社サンスターSA(スイス・エトワ)を中心に、オーラルケア、健康食品、化粧品など消費者向けの製品・サービスをグローバルに統括するサンスター・スイスSA(スイス)と、自動車や建築向けの接着剤・シーリング材、オートバイや自動車向け金属加工部品などの産業向け製品・サービスをグローバルに統括するサンスター・シンガポールPte.Ltd.(シンガポール)を中核会社とする企業グループです。

100年mouth 100年health

人生100年時代、サンスターが目指すのは、お口の健康を起点とした、全身の健康と豊かな人生。毎日習慣として行う歯みがきなどの口腔ケアは、お口の健康を守り、そして全身の健康を守ることにもつながっています。100年食べ、100年しゃべり、笑う。一人ひとり、自分らしく輝いた人生、豊かな人生を送るためにも、お口のケアを大切にしていただきたいと考えています。今後もお口の健康を起点としながら全身の健康に寄与する情報・サービス・製品をお届けすることで、人々の健康寿命の延伸に寄与することを目指していきます。

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会社概要

サンスター株式会社

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URL
https://jp.sunstar.com/
業種
製造業
本社所在地
大阪府高槻市朝日町3-1
電話番号
072-682-5541
代表者名
金田 善博
上場
未上場
資本金
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設立
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