クラス人数は少ない方がいい?~地方・学年によって違う意識

全国1万人の意識調査

株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役:小田切俊夫)は、自主企画「少人数学級に関する意識調査」を実施しました。全国の16~79歳の男女1万802人を対象にしたインターネット調査で、適正と考えるクラス人数を尋ねたものです。

【調査結果のポイント】
  1. 小学校では「21人以上30人以下」、中学校・高等学校では「31人以上40人以下」を適正なクラス人数と考える人が多い
  2. 小学生と同居している人ほど、小学校は「21人以上30人以下」が適正なクラス人数と考える割合が高い
  3. 適正と考えるクラス人数には地域差があり、現状より多い人数を望む声もある


--------------------------------------------------------------
考察
--------------------------------------------------------------
学校を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響などを受け、様変わりしています。特に、少人数学級を巡っては、政府において議論が活発になっています。文部科学省は「少人数学級のきめ細やかな指導」によるメリットを挙げていますが、財務省からは「学級規模の学力への影響は限定的」との意見も出されており、議論がなされているところです。現状の学級編成の標準は、小学1年は35人、小学2年~中学3年は40人となっています。

そこで、本調査において、小学校・中学校・高等学校それぞれの適正と考えるクラス人数を聴取。小学校には「21人以上30人以下」を求める意見が多く、特に小学生と同居している人にその傾向が強く見られました。このことから、小学校には「少人数学級のきめ細やかな指導」を求める保護者が多いと考えられます。

また、適正と考えるクラス人数について、その学年の児童・生徒と同居している人の傾向を地域別に分析し、文部科学省の「令和元年度学校基本調査」(2019年12月25日公表)の結果と比較。小学校に対しては、東北地方で「21人以上30人以下」の回答が73.2%と特に多くなりました。さらに、東北地方と同じく、現状(学校基本調査の結果)で「20人以下」のクラス人数の割合が多い北海道・九州地方でも、「21人以上30人以下」が望まれていることが分かりました。中学校に対しては、地域に関わらず「21人以上30人以下」の回答が多く、現状と同程度、あるいは少ない学級規模が望まれています。

今回の調査結果から、現状と同程度「21人以上30人以下」のクラス人数を適正と考える人が多いものの、現状より多い人数を望む声も一定数あることが分かりました。クラス人数が少ないことで、児童・生徒一人ひとりの存在感が大きくなり、活躍の機会も増えることが想定されます。しかし、体育や音楽の授業での学習が難しい、運動会をはじめとする学校行事が活発になりにくい、保護者のPTA活動での負担が増えるなどのデメリットもあると考えられます。

コロナ禍において「密」を避けるためにも今後、少人数学級が推進されていくものと思われます。しかし、少人数学級によるメリットだけではなく、デメリットも考慮することで、児童・生徒がより学校生活を送りやすくなるのではないでしょうか。

分析者:田守 綾(ソーシャル事業推進部)


【調査に関するお問い合わせ先】
■株式会社インテージリサーチ
広報担当:田守、和泉、錫木(すずき)
TEL:03-5295-2432
サイト「お問い合わせフォーム」 https://www.intage-research.co.jp/contact/index.php/input


--------------------------------------------------------------
調査結果の詳細
--------------------------------------------------------------

小学校の適正なクラス人数は「21人以上30人以下」が半数以上

適正と考えるクラス人数を学校区分別で聞いたところ、小学校に対しては半数以上が「21人以上30人以下」と回答しています。一方で、中学校、高等学校と生徒の年齢が上がるにつれて、より多い「31人以上40人以下」を適正と考える人の割合が高くなっていることも分かりました。

【問】日本の学校で、適正なクラスの人数はどのくらいだと思いますか。小学校、中学校、高等学校それぞれについてお答えください。



小学生と同居している人ほど「少人数学級」を望む傾向に

続いて、小学生との同居の有無によって、適正と考えるクラス人数が異なると仮定し、分析しました。

その結果、小学生と同居している人では、「21人以上30人以下」を適正なクラス人数と考える割合が62.1%。同居していない人に比べて8.6ポイント高くなっていました。

【問】日本の小学校で、適正なクラスの人数はどのくらいだと思いますか。



北海道・東北・九州地方で、現状より多い「21人以上」を望む声

次に、小学生と同居している人が考える「小学校の適正なクラス人数」を、地域別で分析しました。

すると、北海道では「31人以上40人以下」を適正と考える人が38.2%、東北地方では「21人以上30人以下」が73.2%と、それぞれほかの地域よりも高くなっていました。

さらに、文部科学省の「令和元年度学校基本調査」を踏まえて比較。同調査によると、現状ではクラス人数が「31人以上40人以下」の割合が多くなっています。しかし、いずれの地域でも「21人以上30人以下」を適正と考える割合が高くなっていることが分かりました。また、地域別に見ると、現状では「20人以下」が多い北海道・東北・九州地方で、「21人以上」が望まれていることが分かりました。

【問】日本の小学校で、適正なクラスの人数はどのくらいだと思いますか。

 



中学校の適正なクラス人数は、現状か「いまより少なく」

さらに、中学生と同居している人が考える「中学校の適正なクラス人数」を、地域別に分析しました。

その結果、北海道や近畿地方、関東地方では、「31人以上40人以下」を適正と考える割合が約半数に。一方、東北・中部地方などでは、それより少ない「21人以上30人以下」の割合が高くなっていました。

小学校と同様に「令和元年度学校基本調査」の結果と比較すると、どの地域でも現状どおり、あるいはやや少ない人数が望まれていることが分かりました。

このことから、現状の学級規模のメリットやデメリットを踏まえて、適正なクラス人数を考える人が多いと推察されます。

【問】日本の中学校で、適正なクラスの人数はどのくらいだと思いますか。



--------------------------------------------------------------
調査概要
--------------------------------------------------------------
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象者:マイティモニター 全国16歳以上79歳までの男女個人
サンプル構成:平成27年国勢調査ベース(性別×年代別×居住エリア×未既婚)母集団準拠
設計数:10,802サンプル
調査期間:2020年7月31日(金)~8月3日(月)
調査内容:適正と考えるクラス人数
調査実施機関:株式会社インテージリサーチ


【株式会社インテージリサーチ】 http://www.intage-research.co.jp/
株式会社インテージリサーチ(本社:東京都東久留米市、代表取締役:小田切俊夫)は、インテージグループの一員として、社会・公共領域をテーマとした調査研究、公的統計調査の受託や民間の市場調査のデータ収集を行っています。

すべての画像


会社概要

URL
http://www.intageholdings.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都 千代田区神田練塀町3番地 インテージ秋葉原ビル
電話番号
03-5294-7411
代表者名
仁司 与志矢
上場
東証1部
資本金
16億8140万円
設立
1960年03月