アストラゼネカ、奈良市における健康寿命延伸を目指した新たなCOPD対策を推進、産官学による共同宣言に合意

~多様なステークホルダーとの連携で地域医療連携を加速~

アストラゼネカ株式会社

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下、アストラゼネカ)は、奈良市と「奈良市における健康寿命延伸を目指した新たなCOPD(慢性閉塞性肺疾患)対策」を推進していくこと、そして、産官学の関係者とCOPD医療の変革を目指した共同宣言に合意しました。本対策は、2025年5月15日に奈良市と締結した「奈良市民の健康づくりの推進等に関する連携協定」に基づく取り組みの一環であり、2026年3月頃の開始を予定しています。

COPDは日本において、推定有病患者数が約530万人(1)とされる一方で、治療を受けている総患者数は約38.2万人(2)にとどまり、未受診・未診断の人が約500万人存在すると考えられています。2023年の死亡者数は約1万6千人(3)であり、厚生労働大臣が定める国民の健康増進の推進のための基本方針に基づく健康づくり運動「健康日本21(第三次)」では、2032年までに人口10万人あたりのCOPDによる死亡を10.0まで減少させるという新たな目標が掲げられています。奈良市では、平成28年度からCOPD早期発見の啓発事業を継続し、疾患認知度の向上に一定の成果を上げてきましたが、医療機関の受診や禁煙などの具体的な行動変容に結びつけることが課題とされてきました。

左から、アストラゼネカ株式会社 代表取締役社長 堀井、奈良市医師会会長 国分、奈良市長 仲川、奈良県立医科大学 呼吸器内科学講座教授 室、奈良医療センター副院長 玉置、奈良市健康医療部理事/奈良市保健所長 鈴村(敬称略)

今回の新たなCOPD対策では、地域主導で早期受診・早期診断・早期治療につなげることを柱に、行政、奈良市医師会、検査医療機関、呼吸器専門医療機関、学術機関、企業が連携して進めてまいります。心疾患を有する方など他疾患で受療中の住民を対象としたCOPDのハイリスク層にアプローチを行い、受診勧奨を実施します。診断においては、スパイロメトリーを核とする検査導線を整備し、かかりつけ医、検査医療機関、地域の呼吸器専門施設との間で紹介・逆紹介の流れを明確化、診断後は、ガイドラインに沿った治療介入を適切に行い、循環器と呼吸器の連携を含む多科・多職種での継続的な管理につなげ、増悪の抑制と生活の質の向上を目指します。

さらに、PHR(Personal Health Record)など医療DXの活用も視野に、受診率、診断率、治療導入率、増悪・入院、医療費等の指標で効果検証を行い、PDCAでの改善を継続します。こうした取り組みにより、奈良市から持続可能で再現性のある地域モデルとして成果を可視化し、全国への横展開と国の政策形成へのエビデンス提供を視野に活動を進めます。

 

奈良市における健康寿命延伸を目指した新たなCOPD対策に向けた共同宣言

日本における慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、急速な高齢化により深刻な課題となっています。

COPDは多くは長期間の喫煙に起因する生活習慣病であり、全国では年間16,000人前後が死亡、500万人を超える潜在患者がいると見積もられています(1)。「健康日本21」(2) によれば、「COPD」の目標・対策が、「健康日本21(第二次)」(平成24年公表)(3)においては「COPDの認知度の向上」(同最終評価報告書第3章(Ⅰ~Ⅱ4)148頁)であったものが、「健康日本21(第三次)」(令和5年公表)(4)においては「・・引き続き認知度の向上を行うことに加え・・・最終的な目標として死亡率の減少を目標とする」(同説明資料(その2)90頁)とされました。こうした現状を踏まえ、奈良市民のさらなる健康増進、健康寿命延伸に向けて関係者が協力し、持続可能で革新的な解決策を見出す必要性について、以下の通り共同で宣言いたします。

  1. COPDの疫学的再定義とデータの充実化

    現時点では、COPDに関する地域での疫学データは十分に整備されておらず、疾患の全体像が正確に把握されていない。今後は、地域医療を担う関係機関の連携のもと、科学的根拠に基づく明確な疾患定義の確立と地域でのデータ基盤の整備を進め、COPDの実態を適切に明らかにする。

  2. 病診連携、多職種連携の推進

    一般診療医も活用できる簡便なCOPD診断支援ツールの導入を推進するとともに、早期診断と早期介入の実現に向けて、病院と診療所の連携体制を強化し、地域医療における取り組みの効果を高める。また、医療現場において循環器疾患のある患者に対するCOPD管理の実施が十分に進んでいないことを鑑み、多科連携の強化とあわせ、介護体制なども含めた包括的な患者ケア体制の整備を進める。

  3. 医療DXの活用による地域医療システムの継続

    地域医療におけるCOPD管理の推進においては、財源や人材の確保が課題となっている。今後は医療DX{PHR(Personal Health Record)、EHR(Electronic Health Record)}を活用した一次スクリーニングなど、新たな手法を取り入れ、持続可能な医療提供体制の構築を目指す。

  4. 自治体主導のEBPMによる国施策への貢献

    自治体が保険医療体制の改善に取り組む際には、同様の取り組みを行う他の自治体と連携し、実証事業の展開を拡充するとともに、その成果を国の政策形成に活用するためのエビデンスの蓄積が求められる(EBPM : Evidenced Based Policy Making)。これらの取り組みを通じて、医療の成果指標に加え、効率性や費用対効果に関する指標の明確化を図る。

本宣言は、健康寿命の延伸による患者のQOL(生活の質)の向上と持続可能な医療システムの実現を目指し、関係者が協力し、科学的アプローチと共創を通じて医療の未来を切り拓くことを目指しています。

1 日本呼吸器学会Webサイト“木洩れ陽 COMORE-By2032”の「概要」のページ(URL: https://www.jrs.or.jp/comore-by2032/about/)より引用

2 「健康日本21」とは、「新世紀の道標となる健康施策、すなわち、21世紀において日本に住む一人ひとりの健康を実現するための、新しい考え方による国民健康づくり運動である」とされている(厚生労働省Webページ URL:https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/s0.html)。

3 「健康日本21(第二次)」(厚生労働省URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html

4 「健康日本21(第三次)」(厚生労働省URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21_00006.html

2025年11月21日

<共同宣言メンバー> ※敬称略、五十音順

国分 清和 奈良市医師会 会長

玉置 伸二 奈良医療センター 副院長 呼吸器疾患 センター長

仲川 げん 奈良市長

堀井 貴史 アストラゼネカ株式会社 代表取締役社長

室 繁郎 奈良県立医科大学 呼吸器内科学講座 教授

以上

*****

慢性閉塞性肺疾患(COPD)について

COPDは、肺の気流閉塞により息切れが起き、体力が消耗する進行性の疾患です(4)。肺機能の改善、増悪の減少、また、息切れなどの日常的な症状を管理することが、COPDの重要な治療目標です(4)。COPDが悪化すると、著しい肺機能の低下(5)、生活の質の大幅な低下(5)、平均余命の大幅な短縮、死亡リスク増加につながる可能性があります(6、7)。

2024年度からの健康日本21(第三次)においては、人口10万人当たりにおける死亡率が現状値13.3人(2021年)から目標値10.0人(2032年度)まで減少させるという新たな目標が掲げられました。

 

アストラゼネカについて

アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ医薬品企業であり、主にオンコロジー領域、希少疾患領域、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオファーマ領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社の革新的な医薬品は125カ国以上で販売されており、世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはhttps://www.astrazeneca.com/ または、ソーシャルメディア@AstraZenecaをフォローしてご覧ください。

日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫疾患およびワクチン・免疫療法を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社についてはhttps://www.astrazeneca.co.jp/をご覧ください。アストラゼネカのFacebookInstagramYouTubeもフォローしてご覧ください。

References

1. Fukuchi Y, Nishimura M, Ichinose M, et al (2004). COPD in Japan: the Nippon COPD Epidemiology study. Respirology. 9 (4): 458-65.

2. 厚生労働省e-Stat:令和5年(2023年)患者調査/ 全国編/ 年次/ 表番号158

3. 厚生労働省 令和5年(2023)  人口動態統計月報年計(概数)の概況

4. Khunti K, et al. Prim Care Diabetes. 2017; 11(2):105-106.

5. Halpin DMG, Decramer M, Celli BR, et al. Effect of a single exacerbation on decline in lung function in COPD. Respiratory Medicine 2017; 128: 85-91.

6. Ho TW, Tsai YJ, Ruan SY, et al. In-Hospital and One-Year Mortality and Their Predictors in Patients Hospitalized for First-Ever Chronic Obstructive Pulmonary Disease Exacerbations: A Nationwide Population-Based Study. PLOS ONE. 2014; 9 (12): e114866.

7. Suissa S, Dell’Aniello S, Ernst P. Long-term natural history of chronic obstructive pulmonary disease: severe exacerbations and mortality. Thorax. 2012; 67 (11): 957-63.

 

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


会社概要

アストラゼネカ株式会社

25フォロワー

RSS
URL
https://www.astrazeneca.co.jp/
業種
医療・福祉
本社所在地
大阪府大阪市北区大深町3番1号 グランフロント大阪タワーB
電話番号
06-4802-3600
代表者名
堀井 貴史
上場
未上場
資本金
-
設立
1975年04月