【熊本高専】「第16回 半導体材料・デバイスフォーラム」及び「第1回 先端技術協奏セミナー」を開催しました

基調講演の様子

 熊本高等専門学校(熊本県八代市・合志市、校長:髙松 洋、以下「熊本高専」)と株式会社rita(福岡県福岡市、代表取締役:新潟真也)は、「第16回 半導体材料・デバイスフォーラム」及び「第1回 先端技術協奏セミナー」を、令和7年10月18日(土)・19日(日)の2日間にわたり、九州大学筑紫キャンパスおよび福岡国際センターにて開催いたしました。

 今年度で16回目を迎える本フォーラムは、次世代の半導体分野を担う人材の育成を目的としており、全国から高専生・大学生・研究者・企業技術者など360名が参加。研究発表や最先端技術に関する講演を通じて、教育・研究・産業の連携を深める場となりました。

【第16回半導体材料デバイスフォーラム】

〇基調講演/招待講演

 フォーラムの冒頭では、広島大学半導体産業技術研究所 所長 寺本章伸教授による基調講演「せとうち半導体コンソーシアムにおける人材育成と研究開発」が行われました。2023年に発足した同コンソーシアムは、産官学が連携し、CMOSアドバンストコースや国際ワークショップなどを通じて、分野横断的な知識と実践力を備えた人材の育成を進めています。講演では、材料・装置・環境・医薬品など多様な技術領域の企業が参画することで、共創による新たな価値創出が進められている点が強調されました。

 続いて、株式会社日立製作所の福岡誠之氏より「日立が考える材料開発の今後」についてご講演いただきました。日立製作所および日立ハイテクによる取り組みとして、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)におけるAI活用による材料開発の最前線が紹介され、DXによる研究開発の変革と、企業内外の連携による共創の可能性が語られました。

 さらに、OLIENT TECH株式会社の藤本鼓太郎氏からは、高専生向けオンライン学習支援「高専テクノゼミ」の取り組みが紹介されました。高専生が主体的に学び、企業とつながる実践的な教育の場としての可能性が示され、学生たちにも大きな刺激となりました。

 講演後には、高専生たちが次々と挙手し、登壇者に対して積極的に質問を投げかける姿が会場を活気づけました。専門的な内容にも臆することなく踏み込み、技術の背景や実務への応用について深く掘り下げる質問が相次ぎました。学生たちの探究心と前向きな姿勢は、登壇者にも強い印象を与え、会場全体が知的好奇心に満ちた空気に包まれました。

       基調講演の様子(1)
         基調講演の様子(2)

〇学生研究発表

 フォーラムでは、学生による研究発表も行われ、若い世代の知的挑戦が会場をさらに盛り上げました。発表件数は47件にのぼり、口頭発表12件(大学7件・高専5件)、ポスター発表35件(大学13件・高専22件)が実施されました。

 口頭発表は2セッションに分かれて開催され、各研究室から1名ずつが登壇し、10分間の講演を通じて自身の研究成果を発表しました。高専生も堂々としたプレゼンテーションを行い、大学生や企業技術者と肩を並べる姿が印象的でした。ポスター発表では、高専生が多数参加し、大学院生や企業技術者との活発な交流が見られました。

 専門分野を越えた対話が生まれ、まさに共創の場としての可能性が広がる時間となりました。こうした交流を通じて、新たな連携の芽が育まれることが期待されます。

       ポスター発表の様子
         口頭発表の様子

〇企業・大学セミナー

 午後から「キャリアセミナー」を開催し、企業や大学がブースを設置し、高専生が進路相談や技術交流を行う場が提供されました。参加企業は35社、大学は12校にのぼり、半導体関連に加え、精密機器、電子部品、環境プラント、鋼材、IT、海洋・造船など、幅広い業界が集結し、分野を越えた融合型の人材育成を推進する場として機能しました。

 高専生は各ブースを積極的に訪問し、企業技術者や大学教員との対話を通じて、自身の専門性や将来のキャリアについて深く考える機会を得ていました。単なる進路相談にとどまらず、技術的な質問や研究テーマに関する意見交換も行われ、まさに「共創」の精神が息づく交流の場となりました。

 さらに、九州大学工学部による「九州沖縄9高専連携教育プログラム」の説明や、最先端の研究設備の見学も実施され、学生にとっては大学の研究環境に直接触れる貴重な体験となりました。こうした取り組みは、高専生の視野を広げ、産業界・大学とのつながりを深めるきっかけとなっています。

        大学セミナーの様子
         企業セミナーの様子

【第1回先端技術協奏セミナー】

 2日目には、株式会社ritaとの連携により「先端技術協奏セミナー」が初開催されました。ritaは「教育と社会の間に、学びと成長の仕組みをつくる」をミッションに、理系人材の育成と社会課題の解決に取り組む、教育×産業の共創ファシリテーターです。同社は、高専・大学・企業・自治体を結ぶ技術教育プラットフォーマーとして、プログラム設計から実装(PBL・実証・インターン・共同研究)までを一気通貫で推進し、技術教育の企画・運営/学習支援プラットフォーム/地域連携/DX教育/キャリア教育ラボなどの事業領域において、「理系の多様性で利他の社会(ritaverse)を創る」ことを目指しています。

〇基調講演

 開会式の後、株式会社SUMCO AI推進本部 酒井浩行氏をお迎えし、基調講演が行われました。

 講演ではまず、世界的に高まる半導体需要と、それに伴うシリコンウェーハ市場の動向について、業界の最前線からの視点で詳しく解説されました。続いて、SUMCO社が取り組むAI・DX技術の活用事例が紹介され、製造現場におけるデータ活用や業務効率化の実際が語られました。

 AIやDXに強い関心を持つ学生が多い中、酒井氏の講演はまさにその興味関心に応える内容となり、技術の現場で何が起きているのかをリアルに感じ取る貴重な機会となりました。

 また、ITエンジニアとしての豊富な経験をもとに、学生たちに向けてキャリア形成や技術者としての心構えについても熱いメッセージが送られ、教育と産業が共に奏でる「協奏」の理念を体現する講演となりました。

〇学生×複数企業 ワークショップ

 半導体関連企業18社の技術者と学生がワークショップ形式で対話を重ね、技術とキャリア、そして社会とのつながりについて深く掘り下げました。テーマは「先端技術の未来」「技術職として働くことのリアル」「技術とビジネスの両立」「キャリア選択の決め手」「学生時代の理想と現実」「社会で求められる力」など多岐にわたり、学生たちは企業の生の声に触れながら、自らの将来像を描く貴重な機会となりました。

 「この技術は社会を変えるかもしれない」と感じる瞬間を共有し、技術者としての視点と学生の視点が交差することで、互いの理解が深まり共鳴の場が生まれました。教育と産業が共に奏でるこの新たな取り組みは、次世代の人材育成に向けた実りある第一歩となりました。

         基調講演の様子
       ワークショップの様子

〇技術を学ぶ企業研究会

 午後に開催された企業説明会には半導体関連企業18社が参加しました。各社は自社の技術領域や事業内容、求める人材像を紹介し、学生たちはAI・DX、材料開発、装置技術など多岐にわたる分野に触れながら、産業の最前線を体感しました。企業担当者との対話を通じて、技術者としてのキャリアパスや社会との関わり方について理解を深める有意義な時間となりました。

 本研究会は、教育と産業が連携し、次世代の理系人材育成に向けた新たな一歩を踏み出す試みとして開催されました。今回が第1回の開催となりましたが、学生と企業が直接対話し、技術とキャリアを深く考える場として大きな成果を残しました。今後も継続的な取り組みを通じて、地域と産業界をつなぐ実践的な学びの場として発展していくことが期待されます。

企業セミナーの様子(1)
企業セミナーの様子(2)

半導体材料・デバイスフォーラムについて

 半導体材料・デバイスフォーラムは、高専学生の教育/研究力向上を目指し、平成22年より熊本高専主催で開催しています。フォーラムでは半導体材料および半導体関連デバイス研究分野に重点を置き、研究発表や討論を通じて、高専生と大学(院)生との学生間交流を図っています。平成28年以降は学生のキャリア教育支援にも展開し、大学・企業セミナーも開催しています。高専・大学・企業が連携し、半導体分野の教育・研究・キャリア形成を目的に開催される年次イベントです。学生による研究発表や企業・大学による技術紹介を通じて、先端技術への理解を深めるとともに、産業界との接点を築く場として機能しています。

第16回 半導体材料・デバイスフォーラム/第1回 先端技術協奏セミナー HP 

https://smdf.kyu-kosen-ac.jp/

株式会社ritaについて

 株式会社ritaは、「教育×産業×地域」をつなぐ教育支援会社です。全国の高等専門学校(高専)と連携し、学生のキャリア形成支援や企業とのマッチング、学習環境の充実を推進しています。主な事業には、全国規模のキャリア教育イベント「SPP技術教育フォーラム」の企画運営、200社以上の企業との高専生向け採用支援、学生・教員・企業をつなぐ「KOSEN community」の運営、IT基礎力講座やAI教材開発などの教育DX、学習支援プラットフォームの構築、地域連携による地元定着支援などがあります。高専生の可能性を広げるため、教育現場・産業界・地域社会と協働し、理工系人材の未来を創造しています。

株式会社ritaについて

熊本高等専門学校について

 熊本高等専門学校は、昭和18年設立の熊本無線電信講習所を前身とする熊本電波工業高等専門学校と、昭和49年設立の八代工業高等専門学校が再編されて、平成21年10月に設立されました。2つのキャンパスに6学科・2専攻を有し、ICT技術を共通基盤とし、電子情報系と融合・複合工学系分野を特徴とする高等教育機関であり、国際的に通用する実践的・創造的技術者の育成と科学技術による地域社会への貢献を使命としています。

      熊本高専 熊本キャンパス
      熊本高専 八代キャンパス

【学校概要】

会社名:独立行政法人国立高等専門学校機構 熊本高等専門学校

所在地:熊本県八代市平山新町2627

校長名:髙松 洋

設立:2009年10月

URL:https://kumamoto-nct.ac.jp/

事業内容:高等専門学校・高等教育機関

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ビジネスカテゴリ
学校・大学
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会社概要

URL
https://www.kosen-k.go.jp/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都八王子市東浅川町 701-2
電話番号
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代表者名
谷口 功
上場
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資本金
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設立
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