エネルギー自給率100%を越える自治体が全市町村の1割に到達

「永続地帯2021年度版報告書」の公表

千葉大学大学院社会科学研究院の倉阪秀史教授とNPO法人環境エネルギー政策研究所は、日本国内の市町村別の再生可能エネルギーの供給実態などを把握する「永続地帯」研究を進めています。このたび16年目となる2021年度の報告書を公表しました( https://sustainable-zone.com/)。
  • 2021年度報告書概要

「永続地帯」研究の最新結果では、2021年3月末時点で稼働している再生可能エネルギー設備を把握し、その設備が年間にわたって稼働した場合のエネルギー供給量を推計しました(一部は実績値を採用)。
※「永続地帯(sustainable zone)」とは、その区域で得られる再生可能エネルギーと食料によって、その区域におけるエネルギー需要と食料需要のすべてを賄うことができる区域のこと
※「エネルギー永続地帯」とは、再生可能エネルギーで自給できる市町村のことで、域内の民生用+農林水産用エネルギー需要を域内で生み出された再生可能エネルギーで供給できる市町村のこと
※「電力永続地帯」とは、域内の民生用+農林水産用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市町村のこと
※「永続地帯市町村」とは、域内の民生用+農林水産用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市町村であって、カロリーベースの食料自給率が100%を超えている市町村のこと
※「永続地帯2021年度版報告書」は下記サイトに掲載中
https://sustainable-zone.com/
 
  • 今回の試算結果
今回の試算の結果、以下の事実が明らかになりました。
(1)2020年度は再生可能エネルギー電力は7.6%増加
2020年度は太陽光発電・風力発電の伸びに支えられ、再生可能エネルギー電力は7.6%増加しました。一方、固定価格買取制度の対象外である、再生可能エネルギー熱供給は3.4%減少し、3年連続の減少となりました。(表1)

 

(2)地域的エネルギー自給率は秋田県が2年連続1位    
地域的エネルギー自給率の都道府県別ランキングで秋田県が前年度に続いて1位となりました。秋田県と大分県が自給率50%を超え、17県が30%を超えました。

地域的エネルギー自給率の都道府県別ランキング
1位 秋田県 51.3%
2位 大分県 50.0%
3位 鹿児島県 48.3%
4位 宮崎県 46.1%
5位 群馬県 39.5%
6位 三重県 38.1%
7位 高知県 36.0%
8位 福島県 35.9%
9位 岡山県 35.8%
10位 栃木県 34.1%

(3)100%エネルギー永続地帯市町村と電力永続地帯は前年度比増加
域内の民生・農林水産用エネルギー需要を上回る地域的な再生可能エネルギーを生み出している市町村(エネルギー永続地帯、地域エネルギー自給率が100%を越える自治体)の数が、2020年度に174になりました。東京23区を含む市町村数1741のほぼ1割になったことになります。また、域内の民生・農林水産用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市町村(電力永続地帯)は、272に増えました。

 


(4)再生可能エネルギーの供給は需要の17.3%に
日本全体での地域的な再生可能エネルギー供給は、2011年度に民生+農林水産用エネルギー需要の3.8%でしたが、2020年度は17.3%まで増加しました。

(5)永続地帯市町村数は、10増加して90に
「永続地帯市町村」とは、域内の民生用+農林水産用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市町村であって、カロリーベースの食料自給率が100%を超えている市町村のことを言います。
2020年度はエネルギー永続地帯174市町村のうち、永続地帯市町村は10増加し、90になりました。これらの市町村は、まさに「永続地帯」であると言えます。永続地帯市町村数は、2016年度に44,2017年度に58、2018年度に70、2019年度に80、2020年度に90と年々増加しています。

永続地帯市町村一覧(住み続けるために必要なエネルギーと食糧を地域で生み出すことができる市町村)
下線は今回新たに永続地帯となった市町村
【北海道:15】稚内市、紋別市、茅部郡森町、檜山郡上ノ国町、久遠郡せたな町、島牧郡島牧村、磯谷郡蘭越町、虻田郡ニセコ町、苫前郡苫前町、天塩郡幌延町、有珠郡壮瞥町、勇払郡安平町、様似郡様似町、河西郡更別村、白糠郡白糠町
【青森県:7】つがる市、西津軽郡深浦町、上北郡七戸町、上北郡横浜町、上北郡六ケ所村、下北郡東通村、三戸郡新郷村
【岩手県:5】八幡平市、岩手郡雫石町、岩手郡葛巻町、九戸郡軽米町、二戸郡一戸町
【宮城県:5】刈田郡蔵王町、刈田郡七ケ宿町、柴田郡川崎町伊具郡丸森町、黒川郡大郷町
【秋田県:7】湯沢市、鹿角市、潟上市、にかほ市、山本郡三種町、山本郡八峰町、雄勝郡東成瀬村
【山形県:3】西村山郡朝日町、最上郡大蔵村、飽海郡遊佐町
【福島県:4】南会津郡下郷町、河沼郡柳津町、石川郡石川町、双葉郡川内村
【茨城県:2】北茨城市行方市
【栃木県:3】那須烏山市、塩谷郡塩谷町、那須郡那珂川町
【群馬県:3】吾妻郡長野原町、吾妻郡嬬恋村、利根郡昭和村
【千葉県:1】長生郡長南町
【新潟県:1】中魚沼郡津南町
【富山県:1】下新川郡朝日町
【石川県:3】珠洲市、羽咋郡志賀町、羽咋郡宝達志水町
【長野県:4】南佐久郡小海町、上伊那郡飯島町、上水内郡信濃町、下水内郡栄村
【愛知県:1】田原市
【鳥取県:2】西伯郡大山町、西伯郡伯耆町
【岡山県:4】苫田郡鏡野町、勝田郡奈義町、久米郡久米南町、久米郡美咲町
【広島県:1】山県郡北広島町
【徳島県:1】阿波市
【高知県:1】幡多郡大月町
【福岡県:2】田川郡赤村、築上郡上毛町
【熊本県:6】玉名郡和水町阿蘇郡産山村、阿蘇郡西原村、上益城郡山都町、球磨郡錦町、球磨郡水上村
【大分県:2】豊後大野市、玖珠郡九重町
【宮崎県:2】串間市、児湯郡川南町
【鹿児島県:4】出水郡長島町、姶良郡湧水町、曽於郡大崎町、肝属郡南大隅町
 
  • 報告書本体・都道府県分析表の掲載先
こちら( https://bit.ly/38QMe04 )よりダウンロードいただくか、
下記のwebサイトにアクセスしてください。
・永続地帯 Web サイト https://sustainable-zone.com/
・環境エネルギー政策研究所 Web サイト https://www.isep.or.jp/
 
  • 本件に関するお問合わせ
contact*sustainable-zone.com (*は@に変えてください)
千葉大学大学院社会科学研究院教授 倉阪秀史
NPO法人環境エネルギー政策研究所 松原弘直
 
  • 過去の永続地帯報告書に関するリリース
2015年度版:太陽光発電の発電量が固定価格買取制度導入後5.5倍に。しかし、太陽熱利用は前年度比減少。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000072.000015177.html

2016年度版:4年間で国内の再生可能エネルギー供給は倍増。順調な電力供給の一方で、熱供給は2年連続減少。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000173.000015177.html

2017年度版:エネルギー永続地帯の市町村が1年で11増えて82に増加。この5年間で国内の再生可能エネルギー供給は約2.6倍に。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000267.000015177.html

2018年度版:エネルギー永続地帯の市町村が100に到達。この6年間で国内の再生可能エネルギー供給は約3倍に。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000339.000015177.html

2019年度版:再生可能エネルギーで電力を自給できる「電力永続地帯」の市町村が全国で1割超え
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000409.000015177.html

2020年度版:固定価格買取制度の導入後はじめて風力発電・地熱発電の伸び率が太陽光発電を上回る
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000485.000015177.html
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