「CSP採用 小型・大電流 ショットキバリアダイオード」を商品化
パナソニック株式会社 デバイス社は、スマートフォンやタブレットの本体電源回路部に最適な、CSP[1]を用いた、小型で大電流、高放熱、電圧損失の小さい高効率なショットキバリアダイオード(SBD)[2]を商品化し、順次量産を開始します。
スマートフォンなどのモバイル機器では、機器の小型化・薄型化のため回路基板上に部品を高密度実装する必要があり、モバイル機器の本体電源回路部の整流などに使用するダイオードについても、放熱性の向上と小型化・薄型化が求められています。また、モバイル機器の通信速度向上や高機能化、データの大容量化に伴い、本体電源回路部にかかる電流負荷が増加するため、ダイオードの大電流化が求められています。このようなニーズに対応するため、小型、大電流、高放熱の特長をあわせ持った電流利用効率の良い、CSPのSBDを商品化し量産を開始します。なお、本SBDはサイズ・用途に応じた16品種のバリエーションを準備し、機器設計の各種要望に対応可能です。
<商品情報>
http://www.semicon.panasonic.co.jp/jp/products/discrete/diodes/shottkybarrierdiodes/
【スマートフォンの小型化・電池長寿命化に貢献するショットキバリアダイオードの特長】
1. 業界最小サイズ(※1)で順電流(IF)[3]0.5Aを実現
<製品サイズ>
実装面積:0.18mm2 従来比(※2): 86%低減(従来品(※2) 1.28mm2)
厚み:0.1mm 従来比(※2): 83%低背(従来品(※2) 0.6mm)
体積:0.018mm3 従来比(※2): 98%削減(従来品(※2) 0.77mm3)
<定格>
順電流:0.5A
2. 業界最高クラス(※3)の順電圧(VF)[4]の低減
0.39V(Typ値、0.5A時) 従来比(※2):15%低減(従来品(※2) 0.46V)
3. 業界最高クラス(※3)の高放熱特性
<放熱性>
接合温度[5] :80.9℃(電流:0.5A、外気温25℃時) 従来比(※2):33%減(従来品(※2) 121.0℃)
(※1)最大順電流0.5Aのショットキバリアダイオードとして(最大順電流1A,0.2Aのものも業界最小サイズ)。2013年3月12日現在、当社調べ。
(※2) 当社従来品はDB2S20900Lとの比較。本製品はDB2L21100Lとの比較。
(※3) 0603サイズ ショットキバリアダイオードとして。2013年3月12日現在、当社調べ。
【販売計画】
シリーズ名:DB2Gシリーズ/DB2Lシリーズ/DB2Mシリーズ
パッケージサイズ:1.0×0.6×0.1mm/0.6×0.3×0.1mm/0.4×0.2×0.1mm
量産開始:2013年6月/2013年8月/2013年10月
サンプル価格:数量により異なるため個別相談
月産数量:300万個/月~
【用途】
スマートフォン、タブレットなどのモバイル機器の電源回路
▼本件に関するお問合せ先
●報道関係お問合せ先
デバイス社 経営企画グループ 広報・調査チーム
TEL:06-6904-4732
●商品に関するお問合せ先
http://panasonic.net/id/jp/contact/
●パナソニック株式会社 デバイス社 ホームページ
http://panasonic.net/id/jp/
<商品情報>
http://www.semicon.panasonic.co.jp/jp/products/discrete/diodes/shottkybarrierdiodes/
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【特長の説明】
1.業界最小サイズ(※1)で順電流0.5Aを実現
ダイオードのチップは通常上下で電極が形成されているため、電極の片面引き出しを行うために、チップ以外にリードフレーム/ワイヤー/樹脂が必要となります。このため、チップサイズが製品サイズと同程度にはならず、リードフレームや成形樹脂厚の影響を受け、チップサイズに対して製品サイズが大きくなってしまうといった課題がありました。本SBDはCSP構造を採用することにより電極の片面引き出しを実現しているため、リードフレーム/ワイヤー/樹脂が不要となります。そのため、チップサイズを製品サイズとすることが可能となり、業界最小(※1)の0.6mm×0.3mmサイズで順電流0.5Aを達成しました。これにより、SBDの小型化・大電流化を両立し、機器の小型化・薄型化に貢献可能です。
2. 業界最高クラス(※3)の順電圧(VF)の低減
ダイオードは電圧を徐々に上げていくと、順電圧(VF)を超えたところで順電流(IF)が流れ始めます。そのため、VFまでの電圧は損失となります。VFを低くすることで電源から供給された電圧を少ない損失で機器に供給することが可能になります。本SBDは150nmプロセスルールの半導体微細加工技術[6]を用いてJBS構造[7]を形成することで、従来比15%(※2)減という業界最高クラスの低VF化を達成しました。これにより、電流の利用効率を向上し、機器の省電力化に貢献可能です。
3. 業界最高クラス(※3)の高放熱特性
小型品は放熱特性が最大の課題となります。一般的な樹脂パッケージ品は発熱源であるチップをリードフレームに接着しているため、チップ裏面からリードフレームを介した形で基板放熱をしていました。本SBDはCSP構造を採用することにより、基板に対しアノード、カソード端子を直接実装することで、両方の端子から直接基板への放熱が可能となり、放熱特性を従来比(※2)33%向上しました。これにより、SBDの高密度実装が可能になり、機器での放熱設計が簡易化されるため、機器の回路設計時間の短縮ならびに機器の小型化に貢献可能です。
【幅広いバリエーションにより様々なニーズに対応可能】
機器電源の使用回路によって、逆電圧(VR)/順電流(IF)/順電圧(VF)/逆電流(IR)/端子間容量(Ct)[8]/サイズ等、様々な要望があります。当社ではこのような様々なニーズに対応するため、1006サイズ、0603サイズ、0402サイズ品の全てにおいて、低VF品と低IR品をラインナップすることで、機器設計の各種要望に対応しています。
【用語説明】
[1] CSP(Chip Size Package)
チップと同じ大きさのパッケージです。
[2] ショットキバリアダイオード(Schottky Barrier Diodes:SBD)
ダイオードはアノード(陽極側)とカソード(陰極側)の2端子を持ち、アノードからカソードへのみ電流を流します。その中で、ショットキバリアダイオードは金属と半導体とを接合し、順方向(アノードからカソード方向)の電圧降下が低く、スイッチング速度が速いという特長を持つダイオードです。
[3] 順電流(IF)(Intensity of electric current Forward)
ダイオードのアノード(陽極側)からカソード(陰極側)方向に流れる電流のことです。
[4] 順電圧(VF)(Voltage Forward)
ダイオードのアノード(陽極側)からカソード(陰極側)方向に電流を流したときに降下する電圧を順電圧(VF)と言います。
[5] 接合温度
ショットキバリアダイオードを構成する金属と半導体との接合部の温度を指します。
[6] 150nmプロセスルールの加工技術
半導体を小型に製造するために必要な技術であり、加工線幅を150nmで製造する技術のことです。
[7] JBS構造(Junction Barrier Schottky)
金属と半導体との接合部であるショットキ接合領域に、等間隔で微細なP型半導体を形成することで、ショットキ接合部で発生する逆方向漏れ電流を抑制する構造をもつダイオードのことです。
[8] 端子間容量(Ct)(Capacitance between terminals)
ダイオードのPN接合部の容量とパッケージの浮遊容量を含めた全体の容量のことです。
<商品情報>
http://www.semicon.panasonic.co.jp/jp/products/discrete/diodes/shottkybarrierdiodes/
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