Glico独自の乳酸菌GCL1815株が免疫細胞同士の連携を高める可能性を確認
~樹状細胞の活性化によるT細胞応答の促進を細胞レベルで確認~
江崎グリコ株式会社は、当社独自の乳酸菌Lactobacillus helveticus GCL1815(以下、GCL1815株)が、免疫反応の起点となる樹状細胞を活性化し、その後のT細胞による防御反応を促す可能性を細胞実験で確認しました。この結果は、これまでのヒト試験で確認されている免疫指標の変化や風邪様症状の軽減などの知見について、その背景となる仕組みの理解につながると考えられます。
本研究成果は、2026年7月に国際誌「Biochemistry and Biophysics Reports」に掲載されました。
■本研究のポイント
● GCL1815株は免疫反応の起点となる樹状細胞を活性化し、T細胞応答を促すために重要な因子の発現を高めました。
● GCL1815株によって活性化した樹状細胞は、感染防御において重要なT細胞の働きを高め、抗ウイルス因子の産生や細胞の増殖を促しました。
● GCL1815株の細胞壁成分が、免疫応答を促す仕組みに関与している可能性が示されました。

■論文情報
掲載誌:Biochemistry and Biophysics Reports
タイトル:Lactobacillus helveticus GCL1815 induces Th1-skewing T-cell responses via dendritic cell activation
著者:Yuma Matsumoto、Keisuke Yamane、Keigo Tsuruno、Taisuke Uesugi、Soichi Tanabe、Yasuo Saito
URL:https://doi.org/10.1016/j.bbrep.2026.102714
■研究内容
GCL1815株は、免疫機能を高める乳酸菌として当社が独自に選抜した菌株※です*1。これまでに当社は、GCL1815株を摂取することで免疫反応の起点となる樹状細胞が活性化し、風邪の自覚症状の累積発症日数が軽減することを報告しています*2,3。
一方で、GCL1815株による樹状細胞活性化が、その後の免疫応答や他の免疫細胞にどのような影響を及ぼすのかについては明らかになっていませんでした。
そこで本研究では、ヒト単球由来樹状細胞(MoDC)を用いてGCL1815株の作用を確認するとともに、異物に合わせた防御(獲得免疫)を担うT細胞の活性に与える影響を検証しました。
■研究結果
①樹状細胞の活性化
GCL1815株を加えて培養した樹状細胞では、T細胞への抗原提示に関わるHLA-DR、および共刺激分子CD86の発現が有意に増加しました。また、Th1免疫応答を誘導するサイトカインであるIL-12の産生が著しく増加しました。
②T細胞応答の増強
GCL1815株を作用させた樹状細胞をT細胞とともに培養したところ、CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞の活性化に伴う増殖が促進され、特にCD8陽性T細胞でより大きく変化しました。さらに、ウイルス感染防御に重要なIFN-γの産生量が大きく増加しました(右図)。

③作用メカニズムの解析
免疫細胞が細菌成分を認識するための受容体であるTLR2およびTLR4を阻害する実験を行った結果、TLR2を阻害した場合にIL-12産生が抑制されました。一方でTLR4阻害の影響は認められませんでした。TLR2は細菌の細胞壁を構成する成分を認識する働きをもつため、GCL1815株の免疫調節メカニズムの一部には当菌株の細胞壁成分が関与している可能性が示されました。
本研究では、GCL1815株が樹状細胞を活性化し、その後のT細胞応答による防御反応を促進する可能性が細胞レベルで示されました。これらの結果は、GCL1815株が免疫の初期反応(自然免疫)だけでなく、その後に続く防御反応(獲得免疫)にも影響を与える可能性を示すものであり、これまでに報告されているGCL1815株による免疫調節作用を理解する上で重要な知見であると考えられます。
■今後の展望
本研究成果は、これまでヒト試験で報告されてきたGCL1815株の健康価値を、免疫学的な視点から補強する新たな知見となります。当社は今後もGCL1815株の作用機序の解明と有用性の検証を進め、当社のパーパスである「すこやかな毎日、ゆたかな人生」の実現に努めてまいります。
<参考資料>
※菌株・・・細菌を最も細かく分類する、最⼩単位です。1つの細菌から分裂し増殖した、同じ遺伝⼦を持つ菌の集まりを指します。
<参考文献>
*1:Tsuruno K, et al. Screening of novel lactic acid bacteria with high induction of IgA production, dendritic cell activation, and IL-12 production. Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, Volume 89, Issue 3, March 2025, Pages 459–464.
*2:Wada H, et al. Lactobacillus helveticus induces two types of dendritic cell activation and effectively suppresses onset of the common cold: A randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Nutrients. 2025, 17(1), 101.
*3:Kikuchi K, et al. Lactobacillus helveticus GCL1815 induces salivary IgA production and alleviates common cold-like symptoms: A randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group comparative study. Journal of Functional Foods. 2025, 128.
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
