日本の再生可能エネルギー供給量も、地域的エネルギー自給率100%を越える自治体の数も、震災後10年間で約4倍に
「永続地帯2022年度版報告書」の公表
2022年度報告書概要
「永続地帯」研究の最新結果では、2022年3月末時点で稼働している再生可能エネルギー設備を把握し、その設備が年間にわたって稼働した場合のエネルギー供給量を推計しました(一部は実績値を採用)。
※「永続地帯(sustainable zone)」とは、その区域で得られる再生可能エネルギーと食料によって、その区域におけるエネルギー需要と食料需要のすべてを賄うことができる区域のこと
※「エネルギー永続地帯」とは、再生可能エネルギーで自給できる市町村のことで、域内の民生用+農林水産用エネルギー需要を域内で生み出された再生可能エネルギーで供給できる市町村のこと
※「電力永続地帯」とは、域内の民生用+農林水産用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市町村のこと
※「永続地帯市町村」とは、域内の民生用+農林水産用エネルギー需要を上回る量の再生可能エネルギーを生み出している市町村であって、カロリーベースの食料自給率が100%を超えている市町村のこと
※「永続地帯2022年度版報告書」は下記サイトに掲載中
https://sustainable-zone.com/
今回の試算結果
今回の試算の結果、以下の事実が明らかになりました。
(1)再生可能エネルギーの供給量は2011年度に比べて約4倍に
2021年度は太陽光発電の伸びに支えられ、再生可能エネルギー電力は8.2%増加しました。固定価格買取制度の対象外である、再生可能エネルギー熱供給は4年ぶりに増加し、0.6%増加となりました。再生可能エネルギーの供給量は2011年度に比べて2021年度は約4倍になりました。
(2)地域的エネルギー自給率は秋田県が3年連続1位
地域的エネルギー自給率の都道府県別ランクで秋田県が前年度に続いて1位となりました。秋田県が自給率50%を超え、20県が30%を超えました。
地域的エネルギー自給率の都道府県別ランキング
1位 秋田県 53.6%
2位 大分県 49.6%
3位 群馬県 49.1%
4位 鹿児島県 49.0%
5位 宮崎県 47.8%
6位 三重県 44.0%
7位 福島県 41.5%
8位 岡山県 41.4%
9位 茨城県 40.5%
10位 栃木県 38.7%
(3)100%エネルギー永続地帯と電力永続地帯の市町村数は2011年度に比べて約4倍に
域内の民生・農林水産業用エネルギー需要を上回る地域的な再生可能エネルギーを生み出している市町村(エネルギー永続地帯、地域エネルギー自給率が100%を越える自治体)の数が、2021年度に195になりました。2011年度には50だったところ、2021年度に約4倍になったことになります。また、域内の民生・農水用電力需要を上回る量の再生可能エネルギー電力を生み出している市町村(電力永続地帯)は、326に増えました。
(4)再生可能エネルギーの供給は需要の19.2%に
日本全体での地域的な再生可能エネルギー供給は、2011年度に民生+農水用エネルギー需要の3.8%でしたが、2021年度には19.2%まで増加しました。
(5)永続地帯市町村数は、15増加して105に
エネルギー永続地帯195市町村のうち、食料自給率も100%を超えた市町村(永続地帯)は15市町村増加し、2021年度に105市町村になりました。
永続地帯市町村一覧(住み続けるために必要なエネルギーと食糧を地域で生み出すことができる市町村)
※下線は今回新たに永続地帯となった市町村
【北海道:14】稚内市、紋別市、茅部郡森町、檜山郡上ノ国町、久遠郡せたな町、磯谷郡蘭越町、虻田郡ニセコ町、虻田郡豊浦町、有珠郡壮瞥町、勇払郡安平町、様似郡様似町、河西郡更別村、中川郡豊頃町、白糠郡白糠町
【青森県:7】つがる市、西津軽郡深浦町、上北郡七戸町、上北郡横浜町、上北郡六ケ所村、下北郡東通村、三戸郡新郷村
【岩手県:5】八幡平市、岩手郡雫石町、岩手郡葛巻町、九戸郡軽米町、二戸郡一戸町
【宮城県:5】刈田郡蔵王町、刈田郡七ケ宿町、柴田郡川崎町、伊具郡丸森町、黒川郡大郷町
【秋田県:8】湯沢市、鹿角市、由利本荘市、潟上市、にかほ市、山本郡三種町、山本郡八峰町、雄勝郡東成瀬村
【山形県:3】西村山郡朝日町、最上郡大蔵村、飽海郡遊佐町
【福島県:4】南会津郡下郷町、河沼郡柳津町、西白河郡矢吹町、双葉郡川内村
【茨城県:4】北茨城市、稲敷市、桜川市、行方市
【栃木県:3】那須烏山市、塩谷郡塩谷町、那須郡那珂川町
【群馬県:4】吾妻郡長野原町、吾妻郡嬬恋村、吾妻郡東吾妻町、利根郡昭和村
【千葉県:1】長生郡長南町
【新潟県:1】中魚沼郡津南町
【富山県:1】下新川郡朝日町
【石川県:3】珠洲市、羽咋郡志賀町、羽咋郡宝達志水町
【長野県:5】南佐久郡小海町、南佐久郡川上村、上伊那郡飯島町、上水内郡信濃町、下水内郡栄村
【三重県:1】多気郡多気町
【鳥取県:2】西伯郡大山町、西伯郡伯耆町
【岡山県:7】真庭市、美作市、苫田郡鏡野町、勝田郡奈義町、久米郡久米南町、久米郡美咲町、加賀郡吉備中央町
【広島県:1】山県郡北広島町
【山口県:1】美祢市
【徳島県:1】阿波市
【香川県:1】仲多度郡まんのう町
【愛媛県:2】上浮穴郡久万高原町、西宇和郡伊方町
【高知県:1】幡多郡大月町
【福岡県:3】田川郡赤村、京都郡みやこ町、築上郡上毛町
【熊本県:9】菊池市、玉名郡和水町、阿蘇郡小国町、阿蘇郡産山村、阿蘇郡西原村、上益城郡甲佐町、上益城郡山都町、球磨郡錦町、球磨郡水上村
【大分県:2】豊後大野市、玖珠郡九重町
【宮崎県:2】串間市、児湯郡川南町
【鹿児島県:4】出水郡長島町、姶良郡湧水町、曽於郡大崎町、肝属郡南大隅町
報告書本体・都道府県分析表の掲載先
こちら( https://bit.ly/3r7rtG7 )よりダウンロードいただくか、
下記のwebサイトにアクセスしてください。
・永続地帯 Web サイト https://sustainable-zone.com/
・環境エネルギー政策研究所 Web サイト https://www.isep.or.jp/
本件に関するお問合わせ
contact*sustainable-zone.com (*は@に変えてください)
千葉大学大学院社会科学研究院教授 倉阪秀史
NPO法人環境エネルギー政策研究所 松原弘直
過去の永続地帯報告書に関するリリース
2015年度版:太陽光発電の発電量が固定価格買取制度導入後5.5倍に。しかし、太陽熱利用は前年度比減少。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000072.000015177.html
2016年度版:4年間で国内の再生可能エネルギー供給は倍増。順調な電力供給の一方で、熱供給は2年連続減少。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000173.000015177.html
2017年度版:エネルギー永続地帯の市町村が1年で11増えて82に増加。この5年間で国内の再生可能エネルギー供給は約2.6倍に。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000267.000015177.html
2018年度版:エネルギー永続地帯の市町村が100に到達。この6年間で国内の再生可能エネルギー供給は約3倍に。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000339.000015177.html
2019年度版:再生可能エネルギーで電力を自給できる「電力永続地帯」の市町村が全国で1割超え
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000409.000015177.html
2020年度版:固定価格買取制度の導入後はじめて風力発電・地熱発電の伸び率が太陽光発電を上回る
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000485.000015177.html
2021年度版:エネルギー自給率100%を越える自治体が全市町村の1割に到達
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