陸海空の港の封鎖が続くイエメン - 食糧や医薬品の入国許可を緊急要請【共同プレスリリース】

ユニセフ等国連機関代表共同声明

公益財団法人日本ユニセフ協会

人道支援を待つ子どもたち。© UNICEF YEMEN_2017_Moohialdin Fuad人道支援を待つ子どもたち。© UNICEF YEMEN_2017_Moohialdin Fuad

【2017年11月16日 ニューヨーク/ジュネーブ 発】

 紛争が続くイエメンで、陸海空の港が封鎖され人道支援が届けられない人道危機的状況を受け、ユニセフ(国連児童基金)事務局長アンソニー・レーク、世界保健機関(WHO)事務局長Tedros Adhanom Ghebreyesusならびに世界食糧計画(国連WFP)事務局長David Beasleyは、封鎖解除を求める以下の共同声明を発表しました。

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 サウジアラビア主導の連合軍はイエメンの封鎖を部分的に解除したものの、国内の多くの陸海空の港の閉鎖は、イエメンのすでに悲惨な状況をさらに悪化させています。私たちが人道支援を届けるために必要な場所とアクセスは締め付けられ、何百万人もの弱い立場にある子どもたちと家族の命を脅かしています。

 私たちは共同で連合軍に対して、今一度、現在世界最悪な人道危機に見舞われているイエメンに対して、命を守るための人道支援物資の入国を許可するよう緊急要請します。支援物資に含まれる医薬品、予防接種ワクチン、および食糧は、病気や飢餓を食い止めるために必要不可欠です。支援物資が無ければ、多くの子どもたちを含む、何千人もの語られることのない罪なき被害者たちが命を落とすことになります。

 子ども1,100万人以上を含む、2,000万人以上の人々が、緊急人道支援を必要としています。少なくとも1,480万人が、基本的な保健ケアを受けられず、コレラの流行により疑われる症例が90万件を超えています。

 約1,700万人の人々は、次の食事を得るあてもなく、700万人は完全に食糧支援に依存しています。重度の急性栄養不良は、40万人近い子どもたちの命を脅かしています。物資が不足する中、食糧の価格が急騰し、さらに何千人もが危機に晒されています。

 封鎖が部分的に解除されたとしても、さらに320万人の人々が飢餓の状況に追い込まれると国連WFPは推定しています。15万人の栄養不良の子どもたちは、治療を受けられなければ数カ月で命を落としかねません。これだけ多くの人々から生きるために必要な手段を奪うことは、不当な行為であり人道の原則と法の侵害にあたります。
 

浄水処理をしていない水で、手を洗う子ども。(2017年10月24日撮影) © UNICEF_UN0143426_Alsamai浄水処理をしていない水で、手を洗う子ども。(2017年10月24日撮影) © UNICEF_UN0143426_Alsamai

 封鎖で入国が止められている燃料、医薬品、および食糧は、人々が生き延びるために絶対的に必要です。燃料が無くなれば、ワクチンのコールドチェーン(保冷システム)、給水システム、そして水処理工場は機能を停止します。そして、食糧と安全な水が無ければ、飢餓の脅威は日々高まっていきます。

 私たちはすでに、封鎖が及ぼす人道的影響を目にしています。ジフテリアが急速に流行し、この数週間で、疑われる症例が120件、死者が14名となり、その多くを子どもが占めます。私たちがイエメンに輸送したワクチンと医薬品は、入国を拒否されています。少なくとも100万人の子どもたちが、病気にかかるリスクを抱えています。

 世界最大のコレラの流行は収まりつつあり、疑われる症例が90万人以上に達した時期に比べ、新たな症例数は8週間連続して減少しています。しかし、封鎖が解除されなければ、コレラは再燃します。

 反対勢力が支配する地域も含めて、国内のすべての港は、直ちに再開されなければなりません。それが、国連がチャーターした船に載せた、人々が生きるために必要な支援物資を届ける唯一の方法です。国連人道支援航空サービス(UNHAS)によるイエメンへの航空機の発着再開も直ちに許可されるべきです。イエメンに駐在している国連職員は、緊急に医療が必要な場合でも、移動ができません。

 医薬品、食糧などの人道支援物資の備蓄は、すでに少なくなっており、時間の猶予はありません。この封鎖が及ぼす影響は、失われた命の数で測ることになるのです。

 もし、私たちが日常の生活の中で、生命の危機にある子どもを目撃したなら、その子を助けようとしませんか?イエメンでは、何十万人かそれ以上の子どもたちがそのような状態にあります。私たちには、命を守るための食糧、医薬品などの支援物資があります。しかし、それらを届けることを拒否されています。

 私たちは命の危機にあるすべての人々に代わり、イエメンへの人道的アクセスを直ちに許可するよう重ねて求めます。

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■ユニセフについて
 ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
 公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)

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会社概要

URL
http://www.unicef.or.jp
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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