孤独感や疎外感を感じるイノベーターは約7割に|【ジーズアカデミー調べ】イノベーターを取り巻く環境に関する実態調査
約4割が会社や上司の許可、約3割が協力者の賛同を得られにくいと回答
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IT関連及びデジタルコンテンツの人材養成スクール・大学・大学院を展開するデジタルハリウッド株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長兼CEO:春名啓紀、学長:杉山知之)が運営する、起業家・エンジニア養成スクール『G's ACADEMY』(ジーズアカデミー)は、全国18~55歳のジーズアカデミー受講生・卒業生122名、イノベーター活動をされている一般の方141名を対象に、「イノベーターを取り巻く環境」に関する調査を実施いたしました。
■調査の背景
ジーズアカデミーは、「自らの力でセカイを変えようと行動する人を支援する」というミッションのもと、新たな価値を創造し、社会・企業・コミュニティなどに変革をもたらすイノベーターたちを輩出・支援してきました。
イノベーターたちは往々にして、企業文化や社会の慣習、周囲の理解不足などの壁に直面しながらも挑戦を続けています。そこで今回、イノベーターがどのような環境に置かれ、どのような課題を抱えているのかを明らかにするための調査を実施しました。本調査を通じて、挑戦を続けるイノベーターたちの存在や活動の実情を広く社会に発信し、日本のイノベーションカルチャーの波を後押しするきっかけになればと考えています。
■調査サマリー
①イノベーターの活動へのモチベーション1位は「自分がやりたいと思っていることだから」
約8割が、イノベーター活動が人生において重要度が高いと回答
イノベーターの内発的動機の強さがうかがえる結果に
②イノベーター活動について約4割が会社や上司等の許可が得られず、予算が確保しづらい
約3割が協力者(家族や知人含む)からの反対があり、進めにくいと回答
チャレンジしやすい風土づくりや、イノベーター側の想いを説得力高く発信する工夫が求められると推察
③イノベーター活動において約7割が孤独感や疎外感を感じると回答
求められるサポート1位は「同じような活動をしている人があつまるコミュニティ」
高め合える同志がいることがモチベーションに繋がると判明
一方で、孤独感や疎外感を感じないと回答した人の約半数は、たった一人でもやり遂げる強い意志を持っていると回答
※「イノベーター」の定義
今回の調査における「イノベーター」の定義は、社会や会社、身の回りのコミュニティに対して、新たな価値を創造したいと行動に移している人を指します。
■調査概要
・調査主体:G’s ACADEMY
・調査名称:イノベーターを取り巻く環境に関する調査
・調査期間:2025年1月10日(金)~2025年1月21日(火)
・調査対象者:全国18~55歳の男女
・調査方法:ウェブでアンケートを実施し、回答を分析
・調査人数:『G's ACADEMY』の受講生・卒業生122名、イノベーター活動をされている一般の方141名の計263名
※本リリースの調査結果をご利用いただく際は【「イノベーターを取り巻く環境に関する調査」G’s ACADEMY調べ 】とご明記ください。
■①イノベーター活動のモチベーションと重要度について
Q1. イノベーター活動のモチベーションはどこに根付いていますか?(n=263、単一回答)
Q2. イノベーター活動に従事することは、ご自身の人生にとってどれだけ重要ですか?(n=263、単一回答)
イノベーター活動を行っている方にモチベーションについて訊いたところ、「自分がやりたいと思っていることだから」が1位に。次いで、「収入が増えるから」、「人の役に立つことだから」が挙がりました。
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『G’s ACADEMY』の受講生・卒業生と、一般の方で比較すると、 『G’s ACADEMY』の受講生・卒業生は「自分がやりたいと思っていることだから」に半数以上の方が挙げ1位となっているのに対し、一般の方は「収入が増えるから」が37.6%、「自分がやりたいと思っていることだから」が36.9%とわずかながらランキングが変わる結果に。
イノベーター活動において、自らがやりたいという内発的動機が強いほど、学びを深める傾向がある可能性が示唆される結果となりました。
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また、イノベーター活動の重要度について、「とても重要(ないと生きていけないレベル)」「重要(ないと生活の楽しみや張り合いがなくなるレベル)」合わせて、約8割が重要と回答。
人生において重要度が高いと感じる人が多く、やりたいという気持ちが強く活動の継続を後押ししていると考えられます。
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■②イノベーターを取り巻く環境
Q4.活動を進める際にどのような点が難しいと感じますか?(n=263、複数回答)
活動を進める上での難しさを訊いたところ、「会社や上司の許可が得られず、予算が確保しづらい」が40.7%と1位、次いで「協力者(家族や知人含む)の反対があり、進めにくい」が31.2%と2位になりました。
「その他」も38.4%と多く、フリー回答を見ると、
・イノベーティブな活動について友人に話しても共感や理解が無く悲しい気持ちになる
・反対はないが協力者は得られにくい
・応援してもらえない
・一緒に事業を構想、推進できる仲間がいない
・目先の予算必達に追われてしまい、冷たい目で見られそうな空気を感じる
など、応援やサポート環境に難しさを感じているという声も挙がりました。
協力者がいる場合にも、
・お金以外のモチベーションをもったチームをつくること、そのチームへの感謝をしっかりお金で報いること
・人に気持ちよく動いてもらうための様々な根回し活動
・ビジョンやスケールを理解して一緒に動ける人(意思・スキル・マインドセット)が少ない
など、質の高い環境づくりに難しさを感じているという声も。
また、
・知識と資金が不足している
・資金調達 経営構造(ひとり創業だと安定継続できるがスピード感が出ない)
・課題解決に向けて常にうまく進まないことがある
・自分の時間・体力が有限であること
・自分の技術が足りず、理想のスピードで実装していくことが難しい
といった、一人や少人数だからこその課題も多く見受けられました。
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イノベーターに強い想いがあったとしても、周囲の理解・支援が十分ではなかったり、協力体制を整えにくい状況では、活動の継続が難しくなる可能性がうかがえます。
イノベーションを生み出すためには、予算や権限付与などの組織的な後押しはもちろん、周囲の共感やサポートを得られる環境づくりが、いっそう重要になるといえそうです。
一方で、イノベーター自身も、前項の結果で示された「自らがやりたい」という強い動機の背景や理由を積極的に発信し、周囲を巻き込んでいく力が求められると考えられます。
Q4で「会社や上司の許可が得られず、予算が確保しづらい」に回答した人に伺います。
Q5.どのような反対を受けましたか?(n=107、複数回答)
Q6.会社や上司が許可をしない理由は何だと思いますか?(n=107、複数回答)
Q4で「会社や上司の許可が得られず、予算が確保しづらい」と回答した人に、どのような反対を受けたのかを訊いたところ、「活動の内容を軽んじるような言動があった」が34.6%と1位、次いで「活動の内容に対して、議論することなく否定をされた」「過去のルールや規則を重んじて、活動を受け入れてもらえなかった」が同率で2位となりました。
また、会社や上司が許可をしない理由として、「会社にとって、新たなチャレンジを受け入れることは優先度が低い」が57.9%と1位となりました。
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新たなチャレンジに対して十分な議論や検討が行われず、否定的・保守的な態度を取られるケースが多いことが示唆された結果となりました。イノベーターが活動を継続するためには、上司や組織とのコミュニケーションが円滑に行えるだけでなく、社としての既存の目標等にプラスして、新たなチャレンジの受け入れ、後押しができるリソースを確保しやすい風土づくりが求められているのではないかと推察します。
Q4で「協力者(家族や知人含む)の反対があり、進めにくい」と回答した人に伺います。
Q7.どのような反対を受けましたか?(n=82、複数回答)
Q8.協力者(家族や知人含む)が反対する理由は何だと思いますか?(n=82、複数回答)
Q4で「協力者(家族や知人含む)の反対があり、進めにくい」と回答した人に、どのような反対を受けたか訊いたところ、「挑戦する機会(時間や場所等)を、納得する理由なく得ることができなかった)が52.4%と1位に。
また、反対する理由としては「既存の安定した慣習を崩したくない、保守的な人が多い」「金銭面や時間など、活動にかかるコストを受け入れることが不安」が51.2%と同率で1位となりました。
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こうした回答から、イノベーションに挑戦する人の活動は、周囲からは見えづらい部分が多い一方で、実際には日常的な業務や生活に加えて新たな取り組みを進めるため、本人がより忙しくなったり、周囲に追加の負担がかかる状況が生じやすいことが推察されます。そのため、結果として挑戦の機会自体が得られにくくなっているといえそうです。
このような環境の中で、周囲に協力者を増やしていくためには、自身の活動や想い、その成果や意義について、分かりやすく示す工夫や説得力ある情報発信が重要と考えられます。単に「やりたい」という意思だけでなく、その活動を通してどのように未来が良くなっていくのか等を丁寧に伝えることで、保守的な姿勢や不安感を和らげ、協力を得やすくすることが期待されます。
■③イノベーターの孤独感や疎外感
Q9.活動を続ける中で、孤独感や疎外感を感じたことはありますか?(n=263、単一回答)
Q10.Q9で「よくある」「たまにある」と回答した方に伺います。
どのようなサポートがあれば、孤独感や疎外感を軽減できると思いますか?(n=175、複数回答)
Q11.Q9で「あまり感じない」「感じたことはない」と回答した方に伺います。
孤独感や疎外感を感じなかった理由としてどのようなことが当てはまりますか?(n=88、複数回答)
イノベーター活動を行う中で孤独感や疎外感を感じることがあるか訊いたところ、「よくある」「たまにある」合わせて66.5%の方があると回答。
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どのようなサポートがあれば、孤独感や疎外感を軽減できると思うかについては、「同じような活動をしている人があつまるコミュニティ」が61.1%と1位に挙げられ、高め合える同志がいることがモチベーションにも繋がると分かりました。
また、孤独感や疎外感を「あまり感じない」「感じたことはない」と回答した方に理由を訊いたところ、「たった一人でもやり遂げようという強い意志を持っている」が46.6%と1位となりました。
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前項の結果のように、まだまだ周囲からの支援が得られにくいイノベーターにとって、同じように挑戦する同志との出会いや切磋琢磨できる環境が、イノベーターにとっての大きな支えになりやすいことが推察されます。一方で、強い意志や目指すビジョンを持っている人は、孤立を恐れず突き進む姿勢が顕著に見られ、自己信念が孤独を乗り越える要因となっていると考えられます。
■まとめ
本調査を通じ、イノベーターは「自分がやりたいから活動をする」という意志を持ちながらも、環境の制約や精神的な孤独感に悩まされていることが明らかになりました。
日本においてイノベーターを増やし、イノベーションカルチャーを定着させていくためには、社会全体がイノベーター活動に対する理解を深め、挑戦を支える風土を醸成することが不可欠であると考えます。
さらに、イノベーター自身においても、自身の活動への想いや、その活動の先にある未来を明確に示し、周囲を巻き込む力を高めることが重要であるといえるでしょう。
(インフォグラフィックスデザイン:榎重治)
■調査を終えて ~セカイを変えるGEEKになろう~
ジーズアカデミーは、これまでに数多くのイノベーターを輩出してきました。ジーズアカデミーを卒業し、セカイを変えるようなチャレンジを続けている人に共通して言えるのは、「なぜ自分がそれをやりたいのか(Why me?)」という問いに真剣に取り組んでいること。
今回の調査を通じて、多くのイノベーターが「自分がやりたいから」という想いを基盤として活動をしていることが分かりました。その想いにある「Why」をさらに深く掘り下げ、自ら形にし、発信していくことこそ、イノベーターが孤独と戦い、そして周囲を変えていく力となるのだと考えています。
ジーズアカデミーは、今後も「セカイを変える」イノベーターを養成する学校として、日本のイノベーションカルチャーを醸成する支援を続けてまいります。
■G’s ACADEMY(ジーズアカデミー)について
「G’s ACADEMY」は「セカイを変えるGEEKを養成する」をテーマに、2015年4月にデジタルハリウッドが設立したエンジニア・起業家養成スクールです。このコンセプトが共感を呼び、入学者の約80%が起業志望者またはベンチャー企業への就職希望者となっています。
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入学時は全くのプログラミング初心者だった方々が、卒業時にはサービスを次々と立ち上げ、卒業間もなくVCからの資金調達に成功するなど奇跡的なストーリーを生み出し、現在は約2,200名の起業家×エンジニアコミュニティに成長しています。
また、多くの起業志望者に対応すべく、最大500万円までの投資が可能なインキュベート機関「D ROCKETS」を設立。起業家とエンジニアの化学反応を引き起こし「セカイを変えるようなサービスを日本から生み出すこと」に貢献しています。
なお、運営母体であるデジタルハリウッド大学では、大学発ベンチャーの設立数が全国13位(令和5年度大学発ベンチャー調査」(経済産業省))となっており、多数の起業家を輩出しています。
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