【岡山大学】砂糖だけじゃない!? へミアミナールの環鎖互変異性

岡山大学と就実大学の共同研究成果プレスリリースです。
2025(令和7)年 4月 27日
国立大学法人岡山大学
<発表のポイント>
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メチレンブルーは従来、酸化還元指示薬としてグルコースなどの検出に用いられてきました。
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筆者らはインドリンヘミアミナールが環鎖互変異性を有することを確認しており、鎖状互変異性体由来の生成物に関して研究を進めてきました。
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今回、温度と反応時に用いる気体を変更することのみでインドリンヘミアミナールから2-アミノベンジル誘導体および2-アミノベンゾイル誘導体の作り分けに成功しました。
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検討の過程においてメチレンブルーを用いた呈色試験により、インドリンヘミアミナールが還元性を持つことを明らかにしました。
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今後、メチレンブルーを用いたヘミアミナールの検出方法の確立、およびヘミアミナールの還元性を利用した反応開発が期待されます。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)大学院医歯薬学総合研究科(薬)合成医薬品開発学分野の徳重慶祐(博士後期課程3年、OU-SPRING生※)、合成薬品開発学分野小堀由翔(博士前期課程1年)、同学術研究院医歯薬学域(薬)精密有機合成化学分野の阿部匠講師および就実大学薬学部薬学科基礎薬学部門薬品化学研究室の浅井彰太講師は、インドリンへミアミナールを用いた2-アミノベンジル誘導体および2-アミノベンゾイル誘導体の作り分けに成功しました。
本手法は塩基性条件下において、温度と反応時に用いる気体を変更することのみで達成されました。さらにこれら発見の過程においてインドリンヘミアミナールが還元性を有することをメチレンブルーによる呈色試験によって明らかにしました。
本研究成果はアメリカの化学誌、「Journal of Organic Chemistry」およびイギリスの化学誌、「Organic & Biomolecular Chemistry」に掲載されました。
今後、メチレンブルーを用いたヘミアミナールの検出方法の確立、およびヘミアミナールの還元性を利用した反応開発が期待されます。
本件は、2025年4月22日の岡山大学定例記者会見において公開されました。
※OU-SPRING生
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)「次世代研究者挑戦的研究プログラム」を用いて、大学院の博士後期課程又は博士課程に進学する優秀な人材の確保を図るとともに、岡山大学の「最重点研究分野」の研究を推進する若手研究者の養成、ひいては、我が国の科学技術・イノベーション創出を担う研究者の養成等を目的に運用している制度です。選抜されたOU-SPRING生には、研究奨励費(生活費相当)と研究費を支給し、より研究に専念できる環境を提供しています。
https://www.ou-spring.orsd.okayama-u.ac.jp/

◆徳重慶祐大学院生からのひとこと
原料が消えたにもかかわらず、後処理後、元に戻ってしまった時、「そんなことある訳ない」と何度も確認した記憶があります。これが環鎖互変異性の可視化であったことを理解してからは砂糖で見られる性質と一括りにしてしまっていた現状を猛省しました。このような性質を有する化合物はまだまだ隠れているかもしれません。ひょっとしたらあなたのすぐそばにも?

◆論文情報
論文名:Formal One Carbon Deletion of Indoline Hemiaminals under Tautomeric Control to Access 2-Aminobenzyl Compounds
掲載誌:Journal of Organic Chemistry (2024), 89(14)
著者:Keisuke Tokushige, Takumi Abe
DOI:https://doi.org/10.1021/acs.joc.4c00884
論文名:Indoline hemiaminals: a platform for accessing anthranilic acid derivatives through oxidative deformylation
掲載誌:Organic & Biomolecular Chemistry (2024) , 22
著者:Keisuke Tokushige, Yuito Kobori, Shota Asai, Takumi Abe
DOI:https://doi.org/10.1039/d4ob01218f
◆研究資金
本研究は科学研究費補助金(22K06503)および岡山大学次世代研究者挑戦的研究プログラム (OU-SPRING, JPMJSP2126) の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
砂糖だけじゃない!?へミアミナールの環鎖互変異性
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r7/press20250422-6.pdf
◆参 考
・岡山大学薬学部・大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)
https://www.pharm.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(薬)精密有機合成化学分野
・岡山大学次世代研究者挑戦的研究プログラム(OU-SPRING)
https://www.ou-spring.orsd.okayama-u.ac.jp/
・就実大学 薬学部
https://www.shujitsu.ac.jp/department/yakugaku/yakugaku/
◆参考情報
・【岡山大学】アジド基を利用した深海細菌産生インドールアルカロイド骨格の一挙構築
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001299.000072793.html
・【岡山大学】世界初!極性転換スイッチを利用し、鎖状インドール5量体の合成に成功!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001310.000072793.html
・【岡山大学】天然物の超難問 幻のインドールアルカロイドの正体を解き明かせ!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001540.000072793.html
・【岡山大学】40年未達成であった(±)-rivularin Aの全合成に世界で初めて成功!~Rivularin Aの毒性を生かした新規医薬品の開発に期待~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001895.000072793.html
・【岡山大学】反応溶液の濃度や温度の変化のみで異なる2つの生成物を選択的に得ることに成功!~医薬品の骨格となる生成物を低環境負荷で合成可能に~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002253.000072793.html




◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 医歯薬域(薬)講師 阿部 匠
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1丁目1番1号 岡山大学津島キャンパス
https://www.pharm.okayama-u.ac.jp/research/list/2_1/
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1374.html
<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
岡山大学病院 新医療研究開発センター
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/
<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8745、086-251-8746
FAX:086-251-8748
E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学統合報告書2024:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002801.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2025年4月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003002.000072793.html


国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
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