ドライバーの孤独感解消へ つながりAIとココネットが「同僚AI」実証実験を開始
AI技術でドライバーの孤独感と人手不足という物流業界の課題解決に挑戦します

つながりAI株式会社(東京都新宿区、代表:駒崎弘樹)とココネット株式会社(東京都中央区、代表:堀井拓次)は、2025年5月9日より、配送ドライバーの“同僚”として相談や雑談に応じる対話型AI「同僚AI」の実証実験を共同で開始します。本取り組みにより、ドライバーのエンゲージメント向上や離職防止、現場の声を活かした経営改善への示唆創出を目指します。
実証実験の概要と目的
本実証実験は5月9日から開始され、つながりAI株式会社とココネット株式会社が約3ヶ月間、協力して行います。つながりAIが対話型AIシステム「同僚AI」の開発・提供を担い、ココネットが自社のラストワンマイル配送現場でドライバー向けにそのAIを導入・検証します。両社は、本実験を通じてドライバーの働く環境を改善し、業界の課題解決につなげることを目的としています。
背景:ドライバーの孤独感と業界の人手不足
物流・配送業界では、ドライバー不足と定着率の低さが深刻な課題となっています。公益社団法人の予測によれば、2028年には約27.8万人ものドライバーが不足する見通しで、厚生労働省の調査でもドライバー職の3年以内離職率は高卒32.8%、大卒25.0%と全産業平均(26.4%)を上回っています。また、配送ドライバーは長時間を一人で過ごす業務形態上、孤独感が大きなストレス要因になるとも指摘されています。こうした人手不足と働き続けにくい環境を改善するには、ドライバーの心身のケアや職場への愛着を高める新たなアプローチが求められています。
「同僚AI」とは~ココネット社キャラクター「ココちゃん」を活用

「同僚AI」は、ココネット社の社内キャラクターである「ココちゃん」をインターフェースとして採用した対話型AIです。ドライバーがスマートフォン上のLINEを通じて利用でき、まるで職場の同僚と話すような感覚でコミュニケーションをとることができます。本AIには生成AI(大規模言語モデル)技術が用いられており、ドライバーのメッセージ内容を理解して自然な応答を返します。
「同僚AI」が提供する主な機能は以下のとおりです。
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業務や悩みの相談対応:配達先での困りごとや業務上の悩みを聞き、解決策の提案やアドバイスを行います。経験豊富な先輩ドライバーに相談するような安心感を提供します。
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何気ない雑談相手:休み時間等に世間話や趣味の話など雑談に応じます。これにより長時間一人になりがちな業務中のリラックスや気分転換を促します。
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励まし・声かけ:疲労がたまっていそうな時や落ち込んでいる時に、励ましやねぎらいの言葉をかけてモチベーション維持をサポートします。健康状態や安全運転への気遣いのメッセージも届けます。
このように「同僚AI」はドライバーに寄り添い、業務上のサポートだけでなくメンタル面のケアも担う“仮想の同僚”として機能します。ココネットの現場で親しまれている「ココちゃん」をAI化することで、ドライバーに受け入れられやすく親しみやすい存在となることを狙っています。
期待される効果
本実証実験を通じて、両社は「同僚AI」による以下の効果を期待しています。
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エンゲージメントの向上:ドライバー同士の対話機会が少ない中でも、AIとの対話により孤独感を緩和し、仕事への満足度や会社への愛着心(エンゲージメント)の向上につなげます。
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離職防止(定着率向上):悩みの早期相談やストレス軽減により、ドライバーのメンタルヘルスを支援し離職を未然に防ぎます。働きやすい環境づくりによって人材の定着率向上が期待できます。
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経営改善のインサイト取得:ドライバーとAIの会話ログを分析することで、現場の生の声や課題を可視化し、業務プロセス改善や労務管理の見直しなど経営改善につながる示唆を得られます。ドライバーから直接集めにくい意見をAI経由で把握できるメリットがあります。
両社は、これらの効果検証を定量・定性の両面から行い、本格導入に向けた課題抽出と改善を進めていく計画です。
今後の展望
今回の実証実験の結果次第では、「同僚AI」モデルを他業界へ横展開していく展望も示されています。例えば、長距離トラック運転手やタクシードライバーなど長時間の単独作業が発生する職種、高い離職率に悩む業種、さらにはリモートワークでの孤独感対策など、幅広い分野で本取り組みを応用できる可能性があります。つながりAI株式会社とココネット株式会社は、まず本実験でドライバー支援AIの有効性を検証した上で、将来的に他の企業や自治体との連携も視野に入れ、社会課題解決に資するAIソリューションとして展開を図っていく考えです。
つながりAI株式会社 について
つながりAI株式会社は、AI技術で社会課題を解決するスタートアップ企業です。従来は人手に頼っていた「相談業務」に生成AIを活用することで、自治体や企業での相談支援サービスを提供しています。孤独・孤立の悩みを傾聴するチャットサービスの開発など、誰もが気軽に相談できる仕組みを通じて人々のつながりを支援する事業を展開しています。
会社名:つながりAI株式会社
所在地:東京都新宿区新小川町5-6-209
代表者:駒崎弘樹

ココネット株式会社について
ココネット株式会社は、ラストワンマイル配送を中心に地域密着型のサービスを提供する企業です。セイノーホールディングスのグループ会社として2011年に創業し、食品・日用品のネットスーパー宅配や高齢者向けの買い物代行サービス、処方薬の配送などを手がけています。各地域で多数の配送ドライバー(ハーティスト)を雇用し、単なる配達に留まらずお客様の見守りや地域コミュニティのサポートも担っています。人と人とをつなぐラストワンマイルの担い手として、地域社会と物流業界の課題解決に取り組んでいます。
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