「ハラスメント」トラブル回避のため、部下への発言を躊躇する上司が8割強【ハラスメント調査(管理職編)】
「ハラスメント」と指摘される不安から、部下の育成や能力開発、関係構築などを難しくしている現状が明らかに
ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社(本社:東京都港区、代表:山藤祐子(ざんとう ゆうこ 旧姓:倉本)、以下「当社」)は、上司と部下のコミュニケーションに「ハラスメント」のトラブル回避がどのような影響を与えているかを調査目的に、インターネットによるアンケート調査を実施。3名以上の部下とコミュニケーションをとっている管理職の会社員312名から回答を得ました。
■調査結果サマリー
近年「●●ハラスメント」と名づけられた新語が続々とメディアで話題になることも多く、「ハラスメント」への意識は確実に向上しています。しかし、何が「ハラスメント」なのかを正しく理解できていない人が多く、必要以上に「ハラスメント」トラブルを恐れ、部下との関わりに支障が出ている管理職も多く見受けられます。そこで、今回のアンケートでは、上司と部下のコミュニケーションに「ハラスメント」のトラブル回避が、どのような影響を与えているかを調査しました。その結果「ハラスメント」のトラブル回避のため、8割強の上司が部下への発言を躊躇した経験をもち、それにより、部下の育成や能力開発、関係構築などを難しくしている現状が明らかになりました。また、部下に「ハラスメントです」と指摘されるかもしれない発言をしたことがあるか聞くと、約5割の上司が経験あると回答しました。これらの結果から、多くの上司は「ハラスメント」のトラブルを回避することで、部下とのコミュニケーションが難しいものになっている様子が見受けられます。
■調査概要
調査概要:上司と部下のコミュニケーションに「ハラスメント」のトラブル回避がどのような影響を与えているかの実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2021年12月9日〜同年12月10日
有効回答:3名以上の部下とコミュニケーションをとっている30代〜50代の会社員(管理職)312名
■調査結果
- 「ハラスメント」のトラブル回避のため、部下への指導やコミュニケーションを躊躇したことのある上司は8割強。上司が部下を指導または叱る際に、発言を躊躇するケースが多い
Q. 部下への指導やコミュニケーションをとる際に、「この発言は、ハラスメントになってしまうのではないか」という不安を感じ、部下への発言を躊躇したことがありますか?(n=312)
Q.具体的にどんな場面での部下への発言について、「この発言は、ハラスメントになってしまうのではないか」という不安を感じたことがありますか?(n=259:複数回答)
- 「ハラスメント」のトラブル回避をすることで、部下への育成指導・関係構築・能力開発に影響が出ている
Q.「この発言は、ハラスメントになってしまうのではないか」という不安により発言を躊躇することで、業務遂行上どんな影響が出ていますか?(n=259:複数回答)
- 約半数の上司が「もしかしたら、部下から『ハラスメントです』と指摘されるかもしれない発言をしてしまった」と思った経験をしている
Q.これまでに「もしかしたら、部下から『ハラスメントです』と指摘されるかもしれない発言をしてしまった」と思った事はありますか?(n=312)
Q.具体的にどんな場面で「もしかしたら、部下から『ハラスメントです』と指摘されるかもしれない発言をしてしまった」と思いましたか?(n=147:複数回答)
「ハラスメント」と指摘されるかもしれない、と感じた具体的な発言について聞くと、仕事に関係ない発言や、部下の能力を否定する発言などもありましたが、特に問題ないと思われる発言も含まれていました。
Q.具体的に、どんな発言をしてしまいましたか?(n=147:自由回答)
【回答抜粋】
- 部下から「ハラスメントです」と指摘されたことのある上司は約1割
Q. 部下から、「その発言はハラスメントです」と言われたことがありますか?(n=312)
Q.「その発言はハラスメントです」と指摘された発言について、ご自身はどのように思っていますか?(n=37)
- 「ハラスメント」のトラブルを恐れて、部下と関わらないようにしようと思った経験のある上司は約4割
Q. 部下から「ハラスメントです」と言われることを恐れて、部下とはなるべく関わらないようにしよう、という気持ちになってしまった事がありますか?(n=312)
- 最も望まれているサポートは「事例/発言例」、 “アウトとセーフの線引き”を知りたいニーズが高い
Q. 「ハラスメント」に関するトラブル回避のために、どのようなサポートがあったら嬉しいですか?(n=312:自由回答)
【回答抜粋】
■まとめ
今回のアンケートでは、上司と部下のコミュニケーションに「ハラスメント」のトラブル回避が、どのような影響を与えているかを調査しました。その結果、上司の8割強が部下への発言を躊躇したことがあり、それにより、部下の育成や能力開発といったマネジメント業務の遂行が阻害されている様子もわかりました。さらに、部下と関わらない様にしようと思ったことがある上司が約4割いました。また、上司の約半数が、もしかしたら部下から「ハラスメント」を指摘される可能性がある発言をしたことがあると回答しています。一方で、実際に「ハラスメント」を指摘されたことがある上司は約1割にとどまりました。
これらの結果から、上司は「ハラスメント」のトラブル回避への意識は高く、そのトラブル回避方法として、部下とのコミュニケーション量を減らす、部下との関わりを減らす方法を選択している人が多くいることがわかりました。これは、「ハラスメント」のトラブルを回避するために、部下の育成・指導を放棄せざるを得ない状況になっているともいえます。
このような状況に対して、上司に必要なサポートを聞くと、具体的な事例や発言例についてのニーズが高くなっています。場面別に「ハラスメント」になる発言と、ならない発言の線引きを把握し、発言に躊躇することなく、部下とコミュニケーションをとりたいと考えている上司の様子が見受けられます。
■何がハラスメントになるのか?正しく理解することが大切
(ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社 代表 山藤祐子コメント)
ハラスメント対策の専門家として、年間5000人以上の方にハラスメント対策の研修をしていますが、自分が嫌だと感じたら、なんでもハラスメントにしてしまう風潮があるのも事実です。また、それを受けて、管理職の側は「厳しく指導したらパワハラだ」と誤って解釈し、部下と関わらない、何事も見え見ぬふりをしようという人も見受けられます。
このような状況を変えるには、何がハラスメントになるのか?正しく理解することが大切です。そこで、具体的にどういう言葉や言い方がハラスメントになるのか、人を不快にするのか、100のシュチュエーションをサンプルに紹介する書籍『トラブル回避のために知っておきたい「ハラスメント言いかえ事典」』の監修をしました。とくに、多くの人が判断に迷うグレーゾーンの言い回しも示すことで、アウトとセーフの線引きをより明確にした内容になっています。これにより、必要以上に神経質になっている人たちに、新たな視点を提案できればと思っています。
- 書籍のご案内
朝日新聞出版 山藤 祐子 監修 / 新村 響子 協力
ISBN:9784023340510
定価:1320円(税込)
発売日:2021年11月19日
四六判並製 240ページ
ハラスメント対策の講師が、
トラブル回避のポイントを徹底レクチャー。
職場、日常生活でありがちな100の事例で、
×アウト△グレーゾーン◎セーフがひと目でわかる!
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=23268
■会社概要
名称 :ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社
所在地 :東京都港区南青山2-2-15ウィン青山942
代表 :山藤祐子(ざんとう ゆうこ 旧姓:倉本)
事業内容:企業研修、キャリアカウンセリング、企業コンサルティング
URL :https://diamond-c.co.jp/message.html
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