「旅と出会いで高校生に火をつける」都農町で始まった、未来をつくる学びのデザイン。 修学旅行から、“スタディツアー”に改革し、スタディツアーの先にある新しい学校と地域のかたち

私たちは、学校という場において、学力も大切に思いながら、心が動く瞬間こそが、人を変える力を持っていると信じています。だからこそ「旅」に、特別な価値を見出してきました。

学校法人新渡戸文化学園

高校の3年間を通して、生徒が複数回旅に出られるしくみを私たちは創りあげてきました。それは、ただの観光や見学ではありません。人に出会い、日本に残る大自然に圧倒され、都会とは異なる暮らしや価値観に触れることを通じて、問いを抱き、数ヶ月後に自らのアイデアでより良い未来への何かを創り出していく――そんな「スタディツアー」です。

 この旅の効果については、教育・心理の専門家の協力のもと、何度も科学的に検証を重ねてきました。
その結果、主体性・自律性・利他的マインド・複雑な課題を受け止める力など、生徒の内面における資質・能力に統計的に優位な変容の成果が確認されています。
さらに驚くべきことに、その成長は8ヶ月後、生徒が旅先を回想するだけで蘇ることも、データで明らかになってきました。

 生徒の変化を生んだ因子は、「再訪できるしくみ」「圧倒的な大自然に触れる体験」「地域の人々との会話」「旅の後に設定しているアウトプットの機会」ということも分かってきました。
この学びをより多くの地域に届けるため、私たちは全国各地に協働していただける地域を広げてきました。

 この教育モデルは、2024年グッドデザイン賞で経済産業大臣賞を受賞しました。

大切な連携地域が複数ありますが、今回ご紹介するのは、宮崎県都農町でおきたスタディツアーのストーリーです。


出会いから始まった、未来をつくるプロジェクト

 この物語の始まりは、宮崎県都農町に移住されたイツノマの中川敬文さんとのご縁でした。


中川さんたちのコーディネートによって、地域の複数の大人に、生徒一人ひとりが、「1日鞄持ち」をする企画を実施。生徒にとっては、地域に尽力する人生や、地域を支える仕事を現場で体験しながら、大人からもらえる自然な言葉の数々に、大きく心が揺さぶられる一日になっていました。

 中でも印象的だったのは、都農町スタディツアー1期生(現・大学1年生)と、「南国プリン」代表の河野当将(たいすけ)さんとの出会いです。
その出会いから、プリンを通じて都農町の魅力を発信する様々なプロジェクトが生まれました。スタディツアーで何かを受け取るだけでなく、ここから未来づくりが始まっていくきっかけになったのです。地域の企業と共同で、様々なグッズ開発を実施したり、東京で実施される宮崎に関するイベントに一緒に参加したりと、活動は継続されていきました。

 そして最新の都農町スタディツアーでは、これらの経緯を経て、後輩たちが、南国プリンでのインターンシップを希望するようになったのです。これは宮崎スタディツアーとしては4年目、回数としては6回目のツアーでの出来事でした。
さらには、卒業後も河野さんと連絡を取り合い、都農町の活動に関わり続けている大学生たちもいるのです。

こうして、想いは受け継がれ、広がっていきます。
「一度の旅」がきっかけとなり、再訪できるしくみによって、「人生に残る問い」と大切な人と人、もしくは人と地域の「つながり」になっていく。そして、そのつながりは後輩たちにも、卒業後にも続いていく。
それは、交流人口や関係人口といった言葉の先にある、新しい関係性の芽吹きなのではないかと感じています。


地域初のインターンシップ体験(生徒の声)

6回目となった都農町スタディツアーで、地域の企業にインターンシップした生徒たちをインタビューしてみました。

Q 今回のインターンシップという形式のスタディツアーで一番嬉しかったことはなんですか?

A 自分たちがお世話になるはずなのに、インターンに来てくれて、ありがとうと言われたことです。インターンに挑戦したいという気持ちを受け止めてくださったことで、自分に自信がもてるようになりました。自分の存在が認められた感じで、東京では、私がいてもいなくても、地域に変化は起きないと思えるので、なかなかこの感覚を持つことができていませんでしたが、都農町のインターンシップに挑戦して、自分は地域に必要とされている人間なんだと思えました。

南国プリンの河野さんと店長の後藤さんにアイディアを提案
実際に南国プリンの青島プリン&コーヒープリンの制作も体験

Q インターンシップに挑戦したからこそ見えたこと、考えたことは何ですか?

A 宮崎県の口蹄疫問題は社会の授業で勉強していました。しかし、プリンの材料の1つである「牛乳の生産者」を取材するということで、酪農家を訪問し、当事者の直接の話を伺った時、言語化は難しいのですが、そこにあった人々の感情にふれ、絶望感や悔しさが伝わってきた時、その感情が自分の中に転移してきました。心の底から、自分もどうにかしたい、貢献したいと思うようになりました。知ることの重要性に加え、大事なことは、現地で心を動かして、感情を震わすことこそが、とっても重要なのではないかと考えるようになりました。

また、中途半端な気持ちで参加してはいけないと心の底から思いました。それは、大人が本気で向き合ってくださるからです。ちょっとやってみたいな、ではインターンにいく必要はない。解決したい課題や、挑戦してみたい強い想い、さらには、何かが大好きな気持ちが強くないと、企業さんとのギャップが生じると思います。企業のみなさんに追いつくことは難しいけれど、本気度が近いことが重要だと思います。ここの差が大きいと、ズレてしまうと思います。高校生はちょっとでも大変だと、辞めたいとか、早く帰りたいと思うかもしれません。一方、強い想いがあれば、とても重要な経験になると思います。

南国プリンの原材を提供する新富町の浦松牧場を訪問

Q 一番、勉強になったことは何ですか?


A 地域の口蹄疫問題から脱却した経緯を想像できるようになったことです。大人の本気の想いを聞かせていただき、熱い気持ちになりました。大きなピンチがチャンスになったエピソードには感動も覚えました。自分にできることで、この熱い想いを一人でも多くの方々に伝えたいと思いました。都農町のみなさんは口蹄疫がなければよかったとは思っていなかったんです。あれがあったから都農は変われたんだというエピソードが心に残りました。半端ではない団結力や、どん底から、考え方を変え、協力すれば、素晴らしい未来をつくっていける。大変な思い出が未来の素晴らしさの良いきっかけになる、ということです。同級生や、後輩たちに伝えていきたいと思っています。都農町の人たちのように、若者は、自分の想いを高めていくことが重要だと思っています。

4日間のスタディツアーを終えて

学校の新しい価値は、未来をともに考える時間を延長させていくことではないか。

 学校とは、知識を詰め込む場所ではなく、地域の大人と次世代の子どもたちをつなぐ場所になる。
そして、誰かの想いを自分ごととして受け止め、自分にしかできないあり方や、生き方と向き合い、より良い未来を世代を超えて考えるための「考える時間を延長する場所」になる。これは、社会課題の解決を目指しているのとは少し異なる感覚です。人の想いと想いを繋いで、とても自然体で、未来づくりを始めていく感覚。

私たちは、そう信じています。こんな想いと想いから未来が生まれる空間となる学校を、これからも創り続けていきます。

都農町でのスタディツアーは、その新しい学校の姿を体現したひとつのカタチだと思います。


 これからも、私たちは「旅」と「出会い」を通じて、教育や学校の可能性をひらいていきます。



次回の都農町スタディツアーのご案内:2025年11月12日(水)~15日(土)の3泊4日

取材等がご希望の方は以下よりご連絡ください。

学校法人 新渡戸文化学園 (広報室: 鈴木・中ノ瀬) 

所在地:〒164-8638 東京都中野区本町6-38-1

  ●mail:a_kouhou@nitobebunka.ac.jp

  ●TEL:03‐3381-0196  

  ● HP:http://nitobebunka.ac.jp


学校法人 新渡戸文化学園(がっこうほうじんにとべぶんかがくえん)

東京都中野区にある東高円寺キャンパス正門

1927年創立、2027年に100周年を迎える

初代校長は新渡戸 稲造 博士

女性が社会で活躍することを目指した「女子経済専門学校」として開校。

現在は子ども園、小学校、中学校・高等学校、短期大学、アフタースクールからなる総合学園。

学園共通の願いは『Happiness Creator~しあわせをつくる人~』として、「探究」を軸に「未来の学校」を描き出すことを目指している。

近年受賞アワード

グッドデザイン賞:金賞

ウェルビーイングアワード:ゴールド賞

コカ・コーラ環境教育賞:最優秀賞

WORK DESIGN AWARD:グランプリ

キッズデザイン賞:内閣総理大臣賞

FSCアワード:金賞等

     他、学園・生徒ともに多数受賞。

お問合せや取材に関して

学校法人 新渡戸文化学園 (広報室: 鈴木・中ノ瀬) 

所在地:〒164-8638 東京都中野区本町6-38-1

  ●mail:a_kouhou@nitobebunka.ac.jp

  ●TEL:03‐3381-0196  

  ● HP:http://nitobebunka.ac.jp

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


会社概要

URL
https://nitobebunka.ac.jp/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
中野区本町 6-38-1
電話番号
03-3381-0196
代表者名
平岩国泰
上場
-
資本金
-
設立
-