胃癌治療薬の臨床試験 血液検体収集にJAXAベンチャーの”超”断熱保冷容器を活用 -NHKおはよう日本でも紹介-
再突入カプセルの開発成果が、医師主導型多施設共同研究にて初の実用
ツインカプセラとCoordinate Labは、両社の業務提携に基づき、上記実用例での実績を踏まえ、引き続き「確実かつ低コストな保冷・保温輸送を含む効率的なワンストップの検体収集サービス」の普及に向けた取組を推進して参ります。
NHKおはよう日本【おはBiz】放送映像(2024年8月19日放送): https://www3.nhk.or.jp/news/contents/ohabiz/articles/2024_0819.html
■多施設共同研究とは
一つの研究に対して、全国複数の医療機関が参加し実施される臨床研究のことをいいます。個別の共同研究に比べ、複数の医療機関から検体を収集できるため、一定期間においてより多くの症例を集めることが可能であるというメリットがあります。他方、複数の医療機関が関係するために、次に示すような検体収集における課題への対応がより重要になる側面があります。
■検体収集における課題
【課題1:確実かつ効率的な検体収集】
多施設共同研究の一環として、各医療機関の患者さんから採取した血液や組織の検体を検査センターや研究施設で解析することがありますが、その場合には全国の医療機関から検査センターや研究施設への検体輸送が発生します。血液検体は、採血から検査実施までの間の保管温度が変化すると検査結果に影響を与えることがあるため、温度を所定の範囲に維持することが非常に重要となります。他方、検体の種類により維持すべき温度帯や温度変化に対する耐性等が異なり、また、医療機関と研究機関の距離、交通インフラの状況、気温などの環境条件についても地域差があるため、検体の収集先や検体の種類に応じた適切な温度管理を行うことは容易ではなく、輸送中の検体の温度管理を如何にして確実かつ効率的に実施するかが大きな課題です。
【課題2:確実な検体収集にかかる手間とコスト】
上記のような検体収集では、1回に輸送する検体が数本以下といった少量の場合であっても、輸送中の温度逸脱を回避するために、大型の保冷ボックスと大量の保冷剤やドライアイスを使用する必要があり、その準備や輸送業者等との調整などに多くの手間と労力がかかり、大型の保冷ボックスの輸送や適切な温度管理にかかる高額な費用も課題となっています。
■スリム型”超”断熱保冷容器とは
スリム型“超”断熱保冷容器は、ツインカプセラが、上記のような課題を解決するためにタイガー魔法瓶(株)との業務提携(※2)により開発した「小型」と「超高性能」という相反する特長を合わせ持つスリムな形状の断熱保冷容器です。体積は1.3Lと従来の保冷ボックスよりも非常に小さく、主要温度帯(-75℃、-20℃、-10℃、4℃、20℃、37℃など)で3日以上という非常に高い保冷・保温性能を発揮します(※3)。
※2 参考プレスリリース: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000076369.html
※3 参考プレスリリース: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000076369.html
一般的に、保冷ボックスのサイズと保冷性能は比例する関係にあるため、小型で高い保冷性能を実現することは困難ですが、ツインカプセラの断熱保冷容器はこれを実現しています。例えば、-70℃以下の保冷では、従来は、10~20kg程度の大量のドライアイスを用い、大型保冷ボックス(宅配便100サイズ程度の大きさ)で輸送する必要があったのに対し、小型サイズ(宅配便の60サイズ以下)で、500g以下という少量のドライアイスの使用で3日以上の保冷が可能です。3日以上の保冷・保温性能があれば、宅配便等で、離島を含む全国からの検体収集が可能となり、治験や臨床研究における検体収集エリアの拡大や必要数の検体(症例)収集にかかる期間の短縮に繋がります。また、この画期的な製品をご利用頂くことにより、検体の輸送コストの削減、さらには、ドライアイスや保冷剤の準備など保冷ボックス使用時の手間の削減も可能となります。
■検体収集における”超”断熱保冷容器の実用事例 (NHKニュースにて紹介)
ツインカプセラの”超”断熱保冷容器は、上記の児玉紘幸医師が主導する臨床試験において、始めて実用的な用途でご利用頂いています。同試験では、全国約50ヶ所の医療機関が参加し、2024年8月11日時点で、Coordinate Labの協力により26症例の検体収集が行われ、全ての症例において温度逸脱もなく高品質な保冷輸送が実現しています。一例として、2024年7月に北海道から埼玉県まで輸送した症例を示します(下図参照)。断熱保冷容器内の検体格納部の温度は、温度要求範囲(18℃~25℃)内の22~23℃に維持され、温度維持時間、温度安定性ともに極めて良好な結果が得られています。
(ツインカプセラは、断熱保冷容器の提供、運用計画・運用手順作成等に関する技術支援等、Coordinate Labは、輸送オペレーション全体の計画立案・実行取りまとめ、運用者への支援等を担当(※1))
※1 参考プレスリリース: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000076369.html
昨今、特に夏場は、猛暑のため検体輸送には厳しい条件となることが多くなっていますが、ツインカプセラの”超”断熱保冷容器は、常時35℃が継続する環境下において3日以上温度を維持できる製品であり、本事例で示されているように、臨床試験における全国からの検体収集という用途においても、十分にその性能を発揮することが確認できています。
NHKおはよう日本【おはBiz】ウェブサイト: https://www3.nhk.or.jp/news/contents/ohabiz/articles/2024_0819.html
■実現するサービス
ツインカプセラが有する、小型超高性能断熱保冷容器の開発・利用および熱制御技術に関する知見とノウハウと、Coordinate Labが有する、治験や臨床研究等における検体管理・輸送等に関する知見・ネットワークというそれぞれの強みを活かし、その相乗効果により、検体収集における上記課題に対するソリューションとして、スリム型”超”断熱保冷容器を活用した「確実かつ低コストな保冷・保温輸送を含む効率的なワンストップの検体収集サービス」を提供します。
高品質かつ低コストで効率的な検体収集を行いたい研究機関等の皆様へ
「確実かつ低コストな保冷・保温輸送を含む効率的なワンストップの検体収集サービス(仮称)」は、本業務提携を通じて実施するサービス提供基盤の整備が完了次第、早期にスタートする計画です(開始時にウェブサイト等でお知らせ致します)。是非、この前例のないサービスを治験や臨床研究等にご活用ください。ご関心を持って頂けましたら、下記の問い合わせ先までご連絡ください(断熱保冷容器について:ツインカプセラ宛、検体輸送について:Coordinate Lab宛)。なお、現時点で提供可能な“超”断熱保冷容器は、数に限りがございますので、お早めにご検討頂けますようお願い申し上げます。
■関係者のコメント
<大阪医科薬科大学病院・化学療法センター 児玉紘幸医師>
現在主導している臨床試験は、進行胃癌において免疫チェックポイント阻害剤の再投与が安全に投与でき、かつ有効であるかどうかを確かめるために進めています。全国の約50ヶ所の医療機関の協力を得ています。研究の一環として血液検体を収集していますが、信頼性の高いデータをえるためには正しい検査結果が非常に重要であり、検体の温度管理、維持には特に気を使っています。これまでの分析結果から、ツインカプセラの”超”断熱保冷容器を用いて簡便かつ確実な保冷輸送が実現しています。また、検査を担当して頂いている検査会社さんからも、輸送中の温度が非常に安定しており良好な分析ができているとの報告を受けています。この容器を用いることで、これまで難しかった患者さんのご自宅やクリニック・診療所等からの確実な検体輸送も可能になるかもしれません。疾患の早期スクリーニングや創薬関連の研究開発などで広く活用されていくことを期待しています。
<株式会社ツインカプセラ 代表取締役/CEO 宮崎和宏>
この度、児玉紘幸医師に臨床試験という用途で初めて実用的にご活用頂き、また、弊社の断熱保冷容器が順調に想定どおりの性能を発揮し微力ながらお役立ていることについて、大変嬉しく思います。弊社としても、児玉紘幸医師のご研究・臨床試験も含め、実施中の検体収集が滞りなく進展するよう、Coordinate Lab様と連携し可能な限りの支援を継続して参ります。本先行事例の状況・結果も踏まえ、ツインカプセラの”超”断熱保冷容器を広く知って頂き、バイオメディカル分野の他領域・他フェーズも含め、多くの方に有効にご活用頂けることを期待しております。本件を含め、断熱保冷容器の開発や事業化に向けた取り組みに対してご支援頂いた全ての関係者の皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。
■参考:
株式会社ツインカプセラについて
ツインカプセラは、「再突入カプセルの“超”断熱保冷技術を 地上へ 社会へ」をスローガンに掲げ、JAXAのHTV搭載小型回収カプセル(※)の断熱保冷容器技術の社会実装を目指すJAXAベンチャーです。小型・超高性能の保冷コンテナの開発・供給により、検体、ワクチン、細胞、医薬品、生体組織等の個別化保冷輸送を可能とし、臨床研究における検体収集、癌等の早期スクリーニング、分散型臨床試験(DCT)、自家細胞の国際往復輸送等、バイオメディカル分野の保冷輸送において、新たなサービスの創出を目指しています。
事業紹介動画: https://youtu.be/vIkU9uaXxV0
※HTV搭載小型回収カプセルとは
JAXAが国際宇宙ステーションから日本独自の物資回収技術を実証するために開発した再突入カプセル。2018年11月に宇宙実験で生成したタンパク質結晶を4℃に維持した状態で回収することに成功。大気圏再突入中も含めた回収までの5.6日間の断熱保冷容器内のサンプルの温度変化は0.3℃と高い断熱保冷性能が実証されており、ツインカプセラはこの技術を継承しています。
(株)Coordinate Labについて
Coordinate Labは、「検体検査コンサルタントⓇ」の文字商標を持つ、検体検査に特化したコンサル会社です。大手検査センターで売上No.1であった営業員、大手民間グループ病院の全国検査部の代表、副代表であった検査技師等が在籍しています。これまでに全国約50施設の登録衛生検査所(検査センター)の設立実績を有し、現在、治験、臨床研究を含む、検査業界全体の検体集荷、輸送の新たな仕組みの構築を目指した各種取組を実施しています。
■ 会社情報
株式会社ツインカプセラ:
会社名 株式会社ツインカプセラ(英文表記:TwinCapsula Inc.)
代表者 代表取締役 宮崎 和宏
設立 2021年3月8日
所在地 茨城県つくば市千現2-1-6
事業 断熱保冷保温容器およびその他熱制御関連機器等の企画、開発、製造、販売、コンサルティング等
その他
・JAXAベンチャー認定事業者(https://aerospacebiz.jaxa.jp/venture/twincapsula/)
・茨城県令和3年度次世代技術活用ビジネスイノベーション創出事業(ビジネスプラン実証支援事業)支援対象事業者
・令和3年度および4年度いばらきチャレンジ基金事業(新技術・新製品開発促進事業)採択事業者
・第15回(令和4年度)広沢技術振興財団ものづくり技術助成対象事業者
・「J-TECH STARTUP 2022」認定事業者
・2023年度NEDO助成事業・NEP(躍進コースC)採択事業者
・第7回めぶきビジネスアワード「茨城県知事賞」受賞
・ウェブサイト: https://twincapsula.co.jp/
・Facebook: https://www.facebook.com/twincapsula/
・Youtube: https://www.youtube.com/@TwinCapsula_Inc./
株式会社Coordinate Lab:
会社名 株式会社Coordinate Lab
代表者 代表取締役 篠原 賢一
設立 2010年11月26日
所在地 東京都品川区荏原7-6-12
事業 検体検査コンサルティング事業
・登録衛生検査所の設立、運営支援
・ 新規開発した検査の事業化支援
・ 多施設共同研究、医師主導型研究支援
(検査資材の作成、資材管理、検体整理、検体分注、検体保管、検体・資材の搬送等)
・ 医療機関の検査室運営支援
・ 輸入検査機器、ELISAキットの販売支援
その他
・検体検査コンサルタントⓇ 商標番号6389194号
・ウェブサイト https://coordinate.co.jp/
■問い合わせ先
ツインカプセラ: https://twincapsula.co.jp/contact/contact.html
Coordinate Lab: http://coordinate.co.jp/contact.html
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