酒蔵104軒のアンケートから読み解く、本格焼酎と泡盛のソーダ割り2022
もっと本格焼酎・泡盛を!エシカル、サイエンス、トレンド、イベントなど本格焼酎と泡盛の新しい魅力を発信
日本酒造組合中央会(所在地:東京都港区西新橋、会長:大倉 治彦)は、「NEWS LETTER 2022年 夏号」として本格焼酎と泡盛の新しい魅力をお届けします。ウイスキーやジンなど、世界各地にある蒸留酒は、基本的に食前や食後に飲むもの。対して日本の蒸留酒は、日本酒やワインと同じように食中酒。蒸留酒を飲みながら食事を楽しむという、世界でも稀にみる文化を育んできました。「本格焼酎はお湯割り、泡盛は水割り」というローカルな飲み方が全国に定着してきた一方で、ここ数年は原材料や造り方の開発による新たなフレーバーが続々登場。爽快感や喉ごしだけでない、本格焼酎ならではの香りや味わいが引き出されるソーダ割りに注目が集まっています。そこで、メーカーや酒蔵が新たなニーズをどう捉えているのか、北海道から沖縄まで、全国104軒にアンケート調査をしました。
- 【特集】酒蔵104軒のアンケートから読み解く、本格焼酎と泡盛のソーダ割り2022
- 酒蔵104軒のアンケート
かつては「夏はソーダ割り」、「本格焼酎のソーダ割りは邪道」と賛否両論あった時代は昔の話。ソーダ割りは、20~60代全ての年代向けで「あり」が9割超えの結果に。年代別では20代向けだと「あり」61.5%に対して、60代だと「あり」が40.4%。世代によって推奨度が違うのは、「60代以上で、ソーダ割りを飲んでいる人を見たことがない」(沖縄県)など、飲み方が地域に深く根ざしていることを表しています。一方、「銘柄によって、あり」と「なし」を合わせると、20代でも38.5%。「酒質によって相性があるから」(長崎県)、「酒質次第。一概に合うとは言えない」(鹿児島県)、「すべての銘柄に合うとは思えない」(佐賀県)というコメントが多く寄せられました。
酒蔵がソーダ割りをすすめる理由
ソーダ割りがありな理由TOP3は「軽快さが増す」「気軽に飲める」「飲み心地がよくなる」。続いて、芋焼酎だと「華やかな香りやフルーティーさが引き立つ」、麦焼酎は「ずっと飲み続けられる」、黒糖焼酎は「原料由来の香りを楽しめる」、泡盛は「アレンジできる」と、原材料の違いで理由はそれぞれ。ソーダ割りは、原材料の個性が際立つ飲み方になっていることを表しています。反対にソーダ割りがなしの理由TOP3は、製品によっては「本来の香りが引き出せない」「渋みや苦味が気になる」「飲みづらくなる」。本格焼酎をソーダで割ると、ネガティブな点が際立つ場合もあることを理解してほしいという、酒蔵からの本音も届きました。
こんな人にこそ飲んでほしい!
「暑い日など爽快感を味わいたい人」「焼酎になじみがない人」「これまでにチューハイやハイボールに親しんでいた人」がTOP3。「ハイボールを飲むお客さんには親しみやすく、女性や若者にとっては焼酎へのハードルが低くなる」(大分県)、「炭酸による爽快感、香りも引き立ち、焼酎を飲みなれていない方、低アルコール志向の方にも訴求しやすい」(愛媛県)、「焼酎の苦みや芋臭さを和らげる。暑い時期は爽快感がある。飲みやすく、ぐいぐいいける」(鹿児島県)など、焼酎ビギナーのみなさんにぜひ!というのが全国の酒蔵から寄せられた声でした。
ソーダ割りにちょい足しの素材ベスト3
ソーダ割りのアレンジにおすすめのアイテムは「レモン」「ライム」「ゆず」がTOP3に。見逃せないのは、ご当地アイテム。同じ柑橘でも大分県の麦焼酎にはかぼす、熊本県の米焼酎はゆず、宮崎県の芋焼酎にへべす、沖縄の泡盛にシークワーサーと、産地ならではおすすめが多く寄せられました。
本格焼酎のソーダ割りに合わせる料理ベスト3
1位は「焼き鳥」、次いで2位は「焼肉」3位は「串揚げ」。続いて餃子に中華、天ぷら、とんかつ。こってり系の料理にソーダ割りが酒蔵のおすすめでした。「甘い缶チューハイと違い、飲み飽きしない旨さと爽快感を味わえる」(北海道)「甘すぎずヘルシー。もちろんカロリーはありますがプリン体なし!」(宮崎県)という酒蔵の声にあるように、本格焼酎と泡盛は低カロリーで、糖質は0、プリン体も0。さらに「甘くないので料理の油感を流して口中をリフレッシュできる」(鹿児島県)という声も。だから油っこいスタミナ料理こそ焼酎ソーダ割り!とはいえ、飲み過ぎない、食べ過ぎないのが一番です。
まとめ
今回の調査では、9割以上の酒蔵がソーダ割りを「あり」と回答。「原料由来の香味を残しながら、より軽くおいしく飲める」(佐賀県)「本来の味わいを、これまでにない軽快感と共に感じることができる」(鹿児島県)「華やかさの中にスッキリ感、爽快感が同時に味わえます」(福島県)といった酒蔵のみなさんの推しの声は、意欲的な造り手たちが新たな製法や個性あるフレーバーを生み出し、本格焼酎と泡盛が日々進化している結果とも言えます。一方、銘柄によっては向き、不向きがあるということも明らかに。日本酒造組合中央会理事の宇都宮仁氏は、「本格焼酎と泡盛には、伝統的な麹由来の油成分(=旨味成分)があります。お湯割りを飲むことを前提に酒質設計している商品は、冷やして炭酸を加えるとバランスが悪くなり、渋みや苦みを感じることも。そもそも人間は温度が高いほうが甘味をより感じ、低いと渋味や苦みを感じやすい傾向がありますから」と解説。つまり、おいしいソーダ割りにはおいしい理由があった!これから夏本番、本格焼酎と泡盛がもつ豊かで美しいフレーバーが楽しめるソーダ割りに注目です。
【調査概要】
・調査主体:日本酒造組合中央会
・調査方法:WEBアンケート
・調査対象:全国の本格焼酎・泡盛を扱う酒蔵(有効回答数104サンプル)
・調査期間:2022年6月16日~6月30日
- ETHICAL
サツマイモ発電循環型エネルギーで動くEVe-imo
写真提供:霧島酒造
https://www.kirishima.co.jp
資源循環の取り組みは、焼酎業界においても喫緊の課題です。これまで本格焼酎の製造過程で生じる焼酎粕や蒸留廃液は、主に飼料や肥料として再利用されてきました。新たなアプローチとして、焼酎粕をエネルギー資源として有効活用する画期的な取り組みが各地で始動しています。焼酎粕や芋くずから生成したバイオガスを電力に変換した「サツマイモ発電」に取り組んでいるのは宮崎県の霧島酒造。年間の発電量は850万kWh。約2,400世帯分の年間の消費電力量に相当します。2021年11月には、サツマイモ発電の電力を主電力とした社用EV(電気自動車)を始動。本社工場内に充電スタンドを設置し、「さつまいもEVe-imo(イーモ)」と名付けて4台導入しました。また、災害時の避難所の電力支援として、宮崎県都城市とEV・充電スタンドを貸与・開放する覚書を締結。地域でとれた農作物を余すことなく使い切り、地域に還元。新たな循環型エネルギーシステムとして注目を集めています。
- SCIENCE
100年古酒をつくる秘伝の手法が解き明かされる
琉球王朝の時代からそれぞれの家庭で受け継がれてきた、泡盛の古酒育成方法「仕次ぎ」。戦後いったん途絶えた秘伝の手法を科学的アプローチして、その価値を見直そうと、沖縄国税事務所では、平成30年から「泡盛仕次古酒・秘蔵酒コンクール」を実施し、3年間で延べ232名から271点集めた官能検査のデータを分析。年月が経てば経つほどにおいしくなるという泡盛の古酒は、伝統的な甕熟成の「仕次ぎ」により甘い香りが増強されていくということが、分析結果で明らかになりました。これらの分析結果は、6月14日から5日間にわたり開催されたオンラインの「泡盛サイエンスセミナー」で発表。主任鑑定官の相澤常滋氏による解説を、全国から延べ300人の参加者が視聴。活発な質疑応答が繰り広げられました。9月に開催される令和4年の泡盛鑑評会は記念すべき第50回。一般の愛好家の仕次ぎ古酒部門が設けられ、プロアマ混合で競い合うという日本の鑑評会史上初の試みです。仕次ぎの特性が初めて解き明かされたことで、泡盛の古酒が見直されることが期待されます。
甕で仕次ぎをした古酒と、甕のまま熟成した古酒を比べたところ、仕次ぎをしたほうがバニラ、カラメル様などの古酒香が強い特徴が解明。さらに仕次ぎの頻度が多いほうがバニラ香がわずかに強い傾向がわかった。
瓶貯蔵に比べると、甕貯蔵の方が「刺激感」が低く、カラメル様が強い傾向が見られ、甕貯蔵と瓶貯蔵では異なる酒質特性に熟成しているということが明らかに。
資料提供:沖縄国税事務所「泡盛仕次ぎの効用」より
泡盛の仕次ぎについてはこちらへ
沖縄国税事務所/tel:098-867-3601(代表)
- TREND
芋焼酎から発見された香気成分〝MTA〟に注目!
本格焼酎と泡盛のフレーバー。これをサイエンスと捉えて解き明かし、分子レベルで発想。焼酎カクテルにも新たな時代が到来しています。「本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション」*第3回に優勝したホテルメトロポリタンの佐藤大介さんは、芋焼酎の新しいフレーバー〝MTA(モノテルペンアルコール)〟に注目。「おうちでカクテル部門」で披露したカクテルを教えてもらいました。
*「本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション」は、日本酒造組合中央会が主催。国内で活躍するバーテンダーの國酒である本格焼酎・泡盛への認識を高めること、また外国人への認知度拡大を目的としています。今年で4回目、年々参加者の熱気も高まり、延べ16人の受賞者を輩出しています。
鹿児島の「蔵の師魂Theorange」(小正醸造)のまるでライチやマスカットのような華やかな果実感。今までの芋焼酎にはない香気成分〝MTA〟は、黄金千貫をあえて完熟させて黒麹で醸し、常圧蒸留によって引き出したフレーバーです。佐藤さんがこれに組み合わせたのは、高級台湾烏龍茶の「東方美人」。その優美な甘い香りも芋焼酎と同じ〝MTA〟。害虫であるウンカが汁を吸ったときに茶葉がストレスを感じて発する香気成分と言われています。名付けて、「MellowTeaAroma」。いうならば焼酎の烏龍茶割り、ウーロンハイ。ただし、華やかで高貴な香りは別格の味わいです。「香りが柔らかいので食事にも寄り添います。甘やかな飲み心地は中国料理、とりわけ四川料理に合いますよ」。
《Mellow Tea Aroma作り方》
①東方美人は、熱湯150㎖に対してティースプーン1杯の茶葉で2分。
②グラスに氷を浮かべ、「蔵の師魂Theorange」30㎖を注ぐ。
氷となじませたら、東方美人90㎖を静かに注ぐ。
・焼酎1:烏龍茶3の前割りを冷蔵すれば、グラスに注ぐだけでOK
日本の酒情報館では7月25日より「MellowTeaAroma」を数量限定で提供いたします。
佐藤大介氏(ホテルメトロポリタン/東京)
「第3回本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション」優勝
ホテルメトロポリタンバー「オリエントエクスプレス」
お問い合わせ03-3980-5533(レストラン予約)
- EVENT
「本格焼酎・泡盛とうまいもん祭~世界に誇るSHOCHUフェスタ~」
PayPayドームで7月23~24日開催、80蔵超が出展
本格焼酎・泡盛とうまいもん祭~世界に誇るSHOCHUフェスタ~
日本酒造組合中央会と福岡ソフトバンクホークス株式会社が主催の本イベントでは、九州に拠点を置く蔵元をはじめ、新潟や京都、沖縄など全国から80社以上が集結し、自慢の本格焼酎や泡盛を販売します。また、「本格焼酎・泡盛とうまいもん祭」を盛り上げるため、ステージイベントを実施します。
<イベント概要>
開催場所:福岡PayPayドーム
開催日程:7月23日(土)11:00~21:00、7月24日(日)10:00~17:00
入場料金(*税込価格となります):前売り券700円、当日券800円
20歳未満の方は20歳以上の方1名に対し3名様まで無料
https://www.shochufes.jp/
- 「本格焼酎・泡盛」関連情報取材受付のご案内
当会では全国各地の蔵元と協力し、本格焼酎・泡盛の魅力を消費者に発信すべく日々活動を行っております。
■ご取材可能な人物
日本酒造組合中央会 理事 宇都宮 仁(うつのみや ひとし)
京都府立大学大学院農学研究科修了後、国税庁入庁。各地の国税局や独立行政法人酒類総合研究所に勤務。酒類の官能評価分析の評価方法の研究などを行う。2019年より日本酒造組合中央会理事に就任し、酒類の需要振興及び海外PR・販路開拓施策を担当。
日本酒造組合中央会 日本の酒情報館 館長 今田 周三(いまだ しゅうそう)
一橋大学法学部を卒業後、新日本製鐵㈱を経て1989年から酒類流通のキャリアをスタート。2012年に㈱山水舎を設立し、マーケティングコンサルタントとして数々の酒蔵をサポート。2016年5月より現職の日本酒造組合中央会日本の酒情報館館長に就任し、国内外に向けた日本酒・本格焼酎の普及活動を行う。海外向け英語ポッドキャスト番組「SakeOnAir」を創設した他、学術研究会への参画、セミナー講師等の活動を行う。
■ご取材可能な場所
日本の酒情報館
東京都港区西新橋1丁目6-15(当会ビルの1階)
ロケ・取材撮影・場所貸しも受け付けております。(応相談)
日本の酒情報館は、歴史と文化を含む日本酒・本格焼酎・泡盛の魅力のすべてを「見て・触れて・体験する」ことを通じて世界中の人に知っていただくための施設です。大吟醸酒・純米吟醸酒・純米酒・古酒・スパークリング清酒・貴醸酒など、全国各地の様々なタイプの日本酒、芋・麦・米・黒糖などの本格焼酎や泡盛、そして酒蔵の造る様々な果実のリキュールを常時50アイテム程度、1杯100円からお試しいただけます。選ぶのが難しい方のために、バラエティー豊かで少しお得な3種セットもご用意しています。銘柄は入れ替わりますので、いつでも違うお酒を味わっていただくことができます。
■日本酒造組合中央会 概要
名称:日本酒造組合中央会
代表:会長 大倉治彦
住所:〒105 0003 東京都港区西新橋1丁目6番15号 日本酒造虎ノ門ビル
設立年月:1953年12月 設立
会員数:47都道府県単位の酒造組合(40)及び酒造組合連合会(7)
地区:全国一円
組合員数:1,657(清酒1,374、単式蒸留焼酎270、みりん二種13)
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