派遣社員のリスキリングに関する定量調査を発表 派遣社員は学習意欲はあるも、学びの時間は短く、キャリア不安の高さが課題
キャリア形成につながるスキル蓄積の支援が必要に
■主なトピックス
1. 学びへの全般的な意欲は、派遣社員と無期雇用社員で大きな差は見られないが、学びへの課題については、派遣社員は「学ぶためのお金の余裕」への課題感が高い。
2. 学習行動については、派遣社員の78.0%が「特に何も行っていない」。学習時間も無期雇用社員のほうが約2倍多い。
3. 無期雇用社員と比べ、業務上で得たスキルを次の職場で活かせておらず、スキルの蓄積がされにくい傾向がある。
4. 派遣社員は無期雇用社員と比べ、キャリアへの不安が全般的に高く、年齢を重ねるごとに不安感が微増する傾向。
5. 学び意欲向上のためには、自分のキャリアについて、いかに「過去」「未来」の時間軸で考えているかを表す「キャリアの時間感覚(意識)」と自己と仕事に関する「セルフ・アウェアネス(自己認識)」が重要。これらはスキルの転用・蓄積にもプラスの効果。
6. 派遣先の職場での支援とキャリアの時間軸、セルフ・アウェアネスとの関係を見ると、上司・同僚の内省支援が、キャリアの時間軸、セルフ・アウェアネスにプラスの影響が見られた。ネットワーク支援も一部を除いて同様の傾向がみられる。
7. 派遣先の職場での上司・同僚からのサポート・支援の実態をみると、派遣社員の職場支援は、「業務支援(仕事にかかわる支援)」に偏っており、「精神支援(プライベート含む悩み相談)」も、「内省支援(振り返りの支援)」も低い。
8. 派遣元担当者のフォローによるキャリアへの相談、学びへの助言はともにキャリアの時間軸、セルフ・アウェアネスにプラスの影響が見られた。事務連絡や情報提供だけでは、それらにプラスの影響は確認できない。
9. 派遣元によるキャリア相談、学びへの助言はともにあまり実施されておらず、年齢を重ねるとより実施されなくなっていく傾向が見られた。
■調査概要(主なトピックス)
1. 学びへの全般的な意欲は、派遣社員と無期雇用社員で大きな差は見られないが、学びへの課題については、派遣社員は「学ぶためのお金の余裕」への課題感が高い。
2. 学習行動については、派遣社員の78.0%が「特に何も行っていない」。無期雇用社員も69.8%と高いが、学習時間で見ると無期雇用社員のほうが約2倍。
3. 無期雇用社員と比べ、業務上で得たスキルを次の職場で活かせておらず、 スキルの蓄積がされにくい傾向がある。
4. 派遣社員は無期雇用社員と比べ、キャリアへの不安が全般的に高い。「キャリア不安」と「契約更新への不安感」は年齢を重ねるごとに不安感が微増する傾向。
5. 学習意欲向上のためには、自分のキャリアについて、いかに「過去」「未来」の時間軸で考えているかを表す「キャリアの時間感覚(意識)」と自己と仕事に関する「セルフ・アウェアネス(自己認識)」が重要。これらはスキルの転用・蓄積にもプラスの効果。 ※自分のキャリアに対する、「過去」「未来」の時間軸での意識、そして自己と仕事に関するセルフ・アウェアネス(自己認識)の測定については報告書のP42を参照。
6. 派遣先の職場での支援とキャリアの時間軸、セルフ・アウェアネスとの関係を見ると、上司・同僚の内省支援が、キャリアの時間軸、セルフ・アウェアネスにプラスの影響が見られた。ネットワーク支援も一部を除いて同様の傾向がみられる。
7. 職場での上司・同僚からのサポート・支援の実態をみると、派遣社員の職場支援は、「業務支援(仕事にかかわる支援)」に偏っており、「精神支援(プライベート含む悩み相談)」も、「内省支援(振り返りの支援)」も低い。中でも、ネットワーク支援は最も手薄になっている。 ※各支援の尺度については報告書のP48を参照
8. 派遣元担当者のフォローとキャリアの時間軸、セルフ・アウェアネスとの関係を分析すると、キャリアへの相談、学びへの助言はともにキャリアの時間軸、セルフ・アウェアネスにプラスの影響が見られた。事務連絡や情報提供だけでは、それらにプラスの影響は確認できない。
9. 派遣元で、キャリアの時間軸、セルフ・アウェアネスに影響していたキャリア相談、学びへの助言はともにあまり実施されていない。特に、キャリア相談・傾聴・学びの助言は、年齢を重ねるとより実施されなくなっていく傾向が見られた。
■調査結果からの提言
昨今、従業員のリスキリングの重要性が広く認識されるようになったが、派遣社員は外部人材リソースとして企業の人材育成の対象外に置かれがちで、リスキリングの議論からも取り残されている。
派遣社員の学び意欲は潜在的には低くなく、過去には無期雇用社員で働いた経験がある者も多い。にもかかわらず、キャリアの時間意識の短さと自己認識(セルフ・アウェアネス)が低く、キャリア不安が強い状態にある。そうしたキャリア意識を背景に、得たスキルが次の職場で活かされておらず、「飛び石」のような非連続的なキャリアを歩んでいる。
学習機会や情報を提供するだけでは、こうしたキャリアの在り方を変化させることは難しい。必要なのは、キャリアの時間意識、自己認識を高めるための支援であるが、現在は効果的な振り返りの支援やネットワーク支援ほど不足している。派遣先・派遣元企業・行政が連携し、キャリアサポートをより手厚くしていくことが求められる。労働力不足の深刻化とともに、外部人材リソースを戦略的に活用することの重要性は増している。賃上げなどで人への投資が拡大する流れの一方で、派遣社員がコストの調整弁として使われるようなことは避けられるべきである。派遣社員の蓄積的なスキル向上を実現し、魅力的なキャリアの幅を広げるために本調査が参考になれば幸いである。
● 本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
● 調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/haken-reskilling.html
● 報告書内の構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
■調査概要
■【株式会社パーソル総合研究所】<https://rc.persol-group.co.jp/>について
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、タレントマネジメントシステム提供、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
■【PERSOL(パーソル)】<https://www.persol-group.co.jp/>について
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