株式会社DroR、臨床組織科学(COS)を国際学術誌で発表──組織変革を「行動変容」から「構造的介入」へ再定義

複雑系科学・神経科学・組織心理学・行動科学を統合したConceptual Analysis。Frontiers掲載、AAAS運営EurekAlert!でも同日英語発信。

ドロア

論文『Clinical Organizational Science: An Integrative Framework for Structural Intervention in Complex Organizations』(Yamanaka & Nakamori, 2026, Frontiers in Psychology, Vol.17)1ページ目。CC BYライセンスのもとオープンアクセスで公開。

複雑系科学と神経科学を基盤に、組織の「見えない相互作用構造」を観察し、設計する研究実践ファーム、株式会社DroR(本社:東京都渋谷区、代表取締役:山中真琴)は、代表取締役・山中真琴を筆頭著者とする論文『Clinical Organizational Science: An Integrative Framework for Structural Intervention in Complex Organizations(臨床組織科学:複雑組織における構造的介入のための統合的フレームワーク)』が、国際学術誌『Frontiers in Psychology』Organizational Psychologyセクションに2026年4月30日付でオープンアクセス公開されたことをお知らせします。


本論文は、複雑系科学・神経科学・組織心理学・行動科学を統合し、臨床組織科学(Clinical Organizational Science、以下COS)という新たな理論的フレームワークを提唱するConceptual Analysis(概念分析)論文です。

■ 臨床組織科学(COS)の固定定義

臨床組織科学(Clinical Organizational Science, COS)は、複雑系科学・神経科学・組織心理学・行動科学を統合し、組織の安定状態を能動的に再生産する相互作用構造を理論化し、その構造に介入するためのフレームワークです。COSは、組織変革を「個人の行動変容」ではなく「組織アトラクターの遷移」として捉え、中核技法として Field Gradient Theory、Loop Conversion Design、Neural Base Design を提示します。個人の習慣化と組織レベルの変化をつなぐ概念として、emergence bridge(創発の橋)を提案しています。

■ 論文の中核的主張:組織変革は「行動変容プロジェクト」ではなく「構造的介入問題」である

本論文が問い直すのは、組織変革についての支配的な前提です。多くの組織変革は、「人の意識・態度・行動が変われば、組織は変わる」という前提に基づいて設計されます。この前提は完全に誤っているわけではありません。しかし、COSはそれだけでは不十分だと考えます。


なぜなら、組織の中で日々繰り返される会議、確認応答、意思決定、問題共有、フィードバックの仕方は、単なる個人行動の集まりではなく、相互作用パターンとして再帰的に再生産されているからです。個人が一時的に変わっても、組織の相互作用構造が変わらなければ、変化は既存の安定状態へ引き戻されます。


COSは、組織の安定状態を「受動的な惰性」ではなく、能動的かつ再帰的に再生産される動的状態として捉えます。そして、持続的な組織変革を、表面的な行動の変更ではなく、組織の安定状態を生み出す構造メカニズムへの介入として再定義します。

■ 「Clinical(臨床)」という語の意味

COSの名称に含まれる「Clinical(臨床)」は、医療的処置や臨床神経科学を意味するものではありません。ここでいう臨床とは、対象となるシステムの外側から助言するのではなく、内側に継続的に関与し、観察と介入を反復しながら理解を深める姿勢を指します。


医療における臨床が、遠くからの一般論ではなく、患者の具体的な状況に寄り添いながら調整を重ねる実践であるように、COSにおける臨床もまた、組織の内側で相互作用を観察し、構造に介入し、効果を見ながら反復的に調整する姿勢を意味します。


株式会社DroRでは、この臨床的姿勢を、BPO(Business Process Outsourcing)契約を通じて組織内部に継続的に関与する実践として実装しています。単発の研修や外部診断ではなく、日々の業務、会議、フィードバック、意思決定の中に入り続けることで、組織の相互作用構造を観察し、設計します。

図1:臨床組織科学(COS)の全体構造。複雑系科学・神経科学・組織心理学・行動科学の4分野統合、3つの構造的介入技法、創発の橋メカニズム、倫理ガバナンスの関係を示す。出典:Yamanaka & Nakamori (2026), Frontiers in Psychology, CC BY

■ 4つの科学領域の統合

1. 複雑系科学(Complexity Science)

組織を、非線形性、経路依存性、創発、アトラクターを持つ複雑適応系として捉えるためのマクロ理論基盤を提供します。Kauffman、Stacey、Prigogine、Bertalanffyらの系譜が理論的基盤となります。


2. 神経科学(Neuroscience)

個人レベルでの習慣形成、信頼形成、身体的気づき、動機持続を説明するためのミクロ基盤を提供します。ただし、COSは神経測定・神経刺激・薬理学的介入を行いません。神経科学は、組織介入を神経へ還元するためではなく、行動実践の設計を理論的に支える説明層として用いられます。


3. 組織心理学(Organizational Psychology)

心理的安全性、場の理論、センスメイキング、組織ルーチンなど、個人心理と集合的組織現象をつなぐメゾレベルの概念を提供します。


4. 行動科学(Behavioral Science)

個人行動、習慣形成、フィードバック設計、組織リズムの実装原理を提供します。Foggの行動設計、Wienerのサイバネティクス、Meadowsのシステム思考などが基盤となります。

図2:臨床組織科学(COS)の3つの構造的介入技法の階層的アーキテクチャ。神経基盤設計が基盤層を構成し、その上に場の勾配理論とループ変換設計が機能する。 出典:Yamanaka & Nakamori (2026), Frontiers in Psychology, CC BY

■ 3つの構造的介入技法と階層的アーキテクチャ

本論文は、COSの中核として以下の3つの介入技法を提示します。重要なのは、これらが独立した並列ツールではなく、階層的なアーキテクチャとして構成されている点です。


1. Neural Base Design(神経基盤設計)──基盤層

習慣形成、信頼形成、心理的安全性、身体的気づき、動機持続を支える日次・週次・月次の組織リズムを設計する技法です。他の2技法が機能するための関係的・行動的な基盤を形成します。


2. Field Gradient Theory(場の勾配理論)──上層技法

2-on-1 configuration(2対1構造)などを通じて、既存の相互作用パターンに非対称性を導入し、組織アトラクターの遷移確率を高める技法です。説得や強制ではなく、場の構造を変えることで行動の確率を変えることを目指します。


3. Loop Conversion Design(ループ変換設計)──上層技法

3Good1Moreなどの構造プロトコルを通じて、批判と防衛が自己増幅するフィードバックループを、自己修正可能なフィードバック構造へ変換する技法です。


これら3技法を貫く統合概念として、本論文はemergence bridge(創発の橋)を提示します。これは、個人レベルで習慣化された行動が、相互作用レベルで反復され、組織レベルのアトラクター遷移へと接続されるメカニズムを説明する概念です。

図3:創発の橋メカニズム。個人レベルでの神経基盤設計による習慣化された行動入力が、相互作用レベルでの場の勾配理論・ループ変換設計による構造的介入を経て、組織レベルでの新たなアトラクター状態へと創発的に集約される3層構造。 出典:Yamanaka & Nakamori (2026), Frontiers in Psychology, CC BY

■ COSは「神経を操作する理論」ではない

本論文は、神経科学を組織介入に導入することの倫理的リスクを明示的に扱っています。COSは、神経活動の測定、神経刺激、薬理学的介入、隠れた影響操作、組織メンバーの自律性を迂回する介入を含みません。


COSが対象とするのは、神経状態そのものではなく、神経プロセスが展開される行動的・社会的条件です。すなわち、相互作用の構造、フィードバック・アーキテクチャ、習慣化された実践、組織リズムを設計対象とします。


倫理ガバナンスとして、本論文は Autonomy(自律性)、Transparency(透明性)、Participation(参加)、Revocability(撤回可能性) の4原則を提示しています。

■ 本論文の位置づけ:概念分析としての理論提唱

本論文は、Conceptual Analysis(概念分析)として発表された理論提唱論文です。COSの各技法は、現時点で効果が実証済みであると主張するものではありません。既存の分散した科学的知見を統合し、組織変革を構造的介入の問題として捉え直すための理論枠組みと、今後検証・反証されるべき命題を提示するものです。

■ 代表・山中真琴コメント

組織変革の多くが、一度は動いても元の状態へ戻ってしまう。この現象に対して、私たちは『人の意識や行動を変える』だけではなく、『組織の安定を生み出している相互作用構造そのものに介入する』という視点を提示しました。


臨床組織科学(COS)は、既存の組織開発や行動変容アプローチを否定するものではありません。それらが機能する条件を、構造的に捉え直すための理論的土台です。

今回の論文は、あくまで理論提唱の段階にあります。私たちは、ここで提示した3つの技法や創発の橋の概念が、今後、独立した研究者や実務家によって検証され、場合によっては反証されることを歓迎します。

COSは、論文として発表して終わるものではありません。DroRでは、BPOや組織開発の現場で組織の内側に入り続け、観察と実装を往復させながら、理論と実践をともに育てていきます。

■ 今後の情報公開について

株式会社DroRでは、本論文の公開およびEurekAlert!での英語ニュースリリース配信を起点として、臨床組織科学(COS)の定義、理論的背景、3つの構造的介入技法、既存理論との位置関係、日本国内の組織論との接続、検証可能命題、倫理的境界について、5月から6月にかけて計30本のリリースで段階的に公開してまいります。
本リリースを起点として、まず5月7日から5月18日までは、COSの理論的中核として、組織変革が元に戻る理由、複雑適応系としての組織、アトラクター、神経科学の位置づけ、Field Gradient Theory、Loop Conversion Design、Neural Base Design、emergence bridge、倫理ガバナンスを解説します。

■ 掲載誌『Frontiers in Psychology』について

本論文は、心理的安全性を「文化として育てるもの」から、「相互作用構造として設計・維持される条件」へと捉え直し、組織変革を「行動変容」から「構造的介入」へ再定義する理論的フレームワークを提示するものです。


心理的安全性は、ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・C・エドモンドソン教授の研究によって広く知られるようになった概念であり、チーム学習や組織学習の重要な条件として位置づけられてきました。本論文はこれを発展させ、「臨床組織科学(Clinical Organizational Science, COS)」という新しい理論枠組みとして体系化しました。COSは、複雑系科学・神経科学・組織心理学・行動科学の4分野を統合する理論的フレームワークです。

掲載誌『Frontiers in Psychology』は、スイスに拠点を置くFrontiersが刊行する、心理学分野における大規模な国際査読オープンアクセス誌です。Frontiersは222のアクティブジャーナルを展開し、累計674,000本以上のオープンアクセス論文を公開している世界有数の研究出版社の一つです。『Frontiers in Psychology』単体でも、公式情報としてImpact Factor 2.9、CiteScore 6.3、総引用数1,084,023が示されており、PubMed Central、PubMed、Scopus、Web of Science Social Science Citation Index、DOAJ、PsycINFO等に収録されています。

また、同誌には東京大学・京都大学を含む国内主要大学の研究者による発表実績もあり、日本の研究者コミュニティからも利用されている国際査読誌の一つです。本論文は、同誌Organizational PsychologyセクションにおけるConceptual Analysis論文として、国際的な査読プロセスを経て公開されました。

本論文は、組織変革に取り組む実務家と研究者の双方に対し、心理的安全性、フィードバック、組織変革を構造的に捉え直すための参照枠組みを提示することを目指します。

■ 国際向けニュースリリースについて

本論文に関する英語ニュースリリースは、AAAS(American Association for the Advancement of Science/米国科学振興協会)が運営する国際学術ニュースリリース配信プラットフォーム EurekAlert! でも、2026年5月7日午前9時(日本時間)に配信されました。


EurekAlert!は、大学、学術出版社、研究機関、医療機関、政府機関、企業などが、査読済み論文や研究関連ニュースを国際的に発信するために利用するニュースリリース配信プラットフォームです。今回の英語ニュースリリースでは、COSを「組織変革を行動だけでなく構造の問題として捉え直す、東京発の査読済み概念分析論文」として紹介しています。


なお、EurekAlert!での配信は、Frontiers in Psychologyに掲載された査読済み論文に関する国際向けニュースリリース配信であり、研究内容の査読・評価は掲載誌における査読プロセスによるものです。

■ 論文情報

  • タイトル: Clinical Organizational Science: An Integrative Framework for Structural Intervention in Complex Organizations

  • 和題: 臨床組織科学:複雑組織における構造的介入のための統合的フレームワーク

  • 著者: Makoto Yamanaka, Masaya Nakamori (両名とも株式会社DroR所属)

  • 掲載誌: Frontiers in Psychology, Section: Organizational Psychology, Volume 17 (2026)

  • 論文種別: Conceptual Analysis(概念分析)

  • DOI: 10.3389/fpsyg.2026.1827324

  • 公開日: 2026年4月30日

  • 査読: 編集者および査読者による国際的な査読プロセスを経て採択

  • ライセンス: Creative Commons Attribution License (CC BY) ※オープンアクセス

  • 掲載URL: https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1827324

■ 株式会社DroRについて

株式会社DroRは、複雑系科学と神経科学を基盤に、組織の「見えない相互作用構造」を観察し、設計する研究実践ファームです。臨床組織科学(COS)を理論的支柱とし、高度専門BPO(財務・HR・PM)、組織開発、ウェルビーイング、DX支援を統合的に提供しています。BPO契約を通じて組織内部に継続的に関与する「臨床的」スタンスにより、研究と実践を分離せず、現場から理論を生み、理論を現場へ返す循環を重視しています。
DroRでは、代表取締役・山中真琴を中心に、組織実践・社会実装・対外発信と、論文執筆・理論構築・研究開発を往復させることで、研究と実践を分離しない体制を構築しています。

  • 会社名: 株式会社DroR(ドロア)

  • 所在地: 〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-4-8 ウィンド恵比寿ビル8F

  • 代表: 代表取締役 山中真琴

  • 設立: 2023年8月

  • 資本金: 10,000,000円

  • 事業内容:
    - 組織ディープテック:複雑系科学×神経科学を基盤とした組織OSの設計・実装
    - 高度専門BPO:財務・HR・PMなど企業の核となる業務の伴走・代替
    - 組織開発/ウェルビーイング:MVV・文化醸成・1on1設計・コーチング
    - DX支援/補助金・認証支援:IT導入補助金、レジリエンス認証 他

  • 認証: 国土強靱化貢献団体認証(レジリエンス認証)、経済産業省 IT導入支援事業者

  • パートナー: 株式会社マネーフォワード

  • コーポレートサイト: https://dror.co.jp

■ 公式情報ページについて

株式会社DroRでは、臨床組織科学(COS)の定義、論文情報、用語集、FAQ、研究倫理、検証可能命題を整理した公式情報ページを順次公開予定です。公開後、本リリースおよび関連リリースの関連リンク欄に追記し、PR TIMES上の解説シリーズとDroR公式サイト上の正典ページを接続していきます。
本シリーズは、単発の論文掲載告知ではなく、COSの中核概念、既存理論との位置関係、国内組織論との接続、境界条件、独立検証への招待を段階的に公開する解説シリーズとして設計されています。

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株式会社DroR 広報担当
Email: press@dror.co.jp

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会社概要

URL
https://dror.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都渋谷区恵比寿西2丁目4番8号 ウィンド恵比寿ビル8F
電話番号
-
代表者名
山中真琴
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
2023年08月