『今、職場で起きている「静かなる分断」の要因を徹底調査』を人と組織の変革を支援するコンサルティング会社 株式会社ジェイフィールが行う
職場で本当に心を開いて話せない。関係性は悪くないのだが真の対話が出来ない。コロナ以降、対面で会う機会が増えても感じる「壁」の原因を役職間、世代間で調査・分析。
人と組織の変革を支援するコンサルティング会社株式会社ジェイフィール(社長:高橋克徳 本社所在地:東京都渋谷区 以下ジェイフィール)は2024年5月、「人・組織・コミュニティ」に関わるアンケートを実施しました。これは、『職場で「静かなる分断」が起こっているのではないか』という仮説の元、行われたアンケートです。
「静かなる分断」とは、気軽に真面目な話ができない、真の対話ができないといった、関係性は悪くはないけど、どこか距離感のある状態のことを指します。これは世代間、上司・部下間、男女間などの職場の人同士の関係性の中で起こっているものです。
なぜ、このような分断が起きてしまっているのでしょうか。
さまざまなビジネスパーソンにヒアリングをしても、明確な要因を特定することができませんでした。
そこで、私たちは、どの年代、どの階層で分断が起こっているのかを量的研究で明らかにするように今回の調査を実施しました。
さらに、静かなる分断の真の要因(=心理)は何なのか、を調べ、それが仕事、職場、会社へのエンゲージメントにどう影響するのか、働く人の感情にどれほど影響があるのかも調査いたしました。
調査結果から分かったことは、ほぼ全ての年代で「理想の職場像」が共通していたことです。しかしながら、これもほぼ全ての年代で「理想の職場と現状にギャップがある」と答えています。なぜ、みんなが理想の職場について、対話が出来ないのでしょうか?なぜ、そのことについて、みんなで協働が出来ないのでしょうか?
なんとなく感じている職場の人との「壁」の原因が明らかになる調査結果です。
<調査のサマリー>
<静かなる分断は静かに進んでいる>
•多くの人が「安心して話せるが、本音は言えない」状況にあるということが分かった。言い換えると、本音を隠しながら仕事をしているということである。
•本音を言えない状況が続くことで、お互いに真の対話ができない、思いを重ねることができないという静かなる分断が進んでいる状況にあると考えられる。
<マネジャーがイキイキと働ける環境をつくることが、分断を超えるカギとなる>
•職場の誰に心理的壁(分断)を感じるかを聞いたところ、上司、部門長、役員、人事部担当をあげる人が多い。何かしらの権限を持っていると思う相手には、分断を感じているようだ。
•特に上司との壁については、上司の部下に対する高圧的言動により、部下が価値観が合わないと判断し、それ以上踏みこまない様子が伺えた。
•マネジャー層は上司から強いプレッシャーを受けており、それが原因となって、部下に対して高圧的に接してしまい、上下で分断が起きているとも考えられる。
•マネジャー層が上司と分断するとマネジャー層の感情レベルが下がり、仕事、職場、会社へのエンゲージメントが下がる。そして、マネジャー層のエンゲージメントや感情レベルが下がると一般社員層のエンゲージメント、感情レベルも下がると推察される。
•上記考察から、マネジャー層がイキイキと働ける環境をつくることが、職場内のエンゲージメントおよび感情レベルを上げる大きな要因になると思われる。
<理想の職場はどの世代も同じようなイメージを持っている>
•最後に、理想の職場と現在の職場について触れておきたい。両方ともに高かったのが、お金を稼ぐ場という認識であった。しかし、それ以外の項目は理想とする状態に現状がついて来ておらず、GAPがあった。
•多くの人が「仲間と協力し、信頼し合い、新しい価値を創造し、自分の存在意義を実感し、夢を実現でき、社会課題を解決し、自己実現をする場」でありたいということが分かった。
•この理想の状態に世代間のGAPは見受けられなかった。この理想の状態についてお互いで対話ができずにいることが、静かなる分断を加速しているのではないかと思われる。
•また、世代間ごとの価値観の違いがあるため、コミュニケーションが取りづらいという話を耳にするが、実は因果関係が逆で、自分たちの本音や理想を話し合えていないから、価値観のGAPが埋まらないのではないかと推察する。
■心理的安全性に関する調査
Q:それぞれのあなたの気持ちに近い気持ちは何ですか?
・同期・同年代が最も本音が言える結果となったが、その数値は高くはなく、約4割の人が本音を言えないことが分かった。
・安心して話せない相手は、上司、部門長、経営者・役員、人事となった。
・何かしらの権限を持っていると思われる相手には、壁が生まれる可能性がある。
心理的安全性に関する調査/
「安心して話せるし、本音も話せる」年代別
■分断度(心理的な壁を感じる度合い)に関する調査
Q:あなたは、以下の人たちの中で、コミュニケーションを取ることが難しいなど、心理的な壁を感じている相手がいますか?
・心理的な壁を感じる度合い=分断度の高い相手は「上司」がもっとも高かった。同水準で「経営者・役員」「部門長」となっており、こちらでも何らかの権限を持っていると思われる相手には壁を感じている様子が伺えた。
・後輩や部下に対しても、約1/4の人が何らかの壁を感じている様子が見受けられた。
・多くのビジネスパーソンが、職場で静かなる分断を感じているのではないかと思われる。
■分断心理(分断を感じる理由)に関する調査
Q:あなたが、前問(上記)でお答えになった職場の人に対して、心理的な壁を感じるのは、どのような理由からですか?
・上司に対しては「前提や考え方が違う」「高圧的」という理由がトップで、先輩に関しては「価値観が合わない」「高圧的」という理由がトップであった。
・仮説として、上司、先輩が部下、後輩に対して自分の価値観を強く押し付けようとしていることが要因ではないか。
・もしくは、社会的に◯◯ハラスメントが強く取り上げられており、上司、先輩の言動に対して強く反応してしまっている可能性がある。
■エンゲージメントに関する調査
Q:今の職場で働いていて、あなたはどのように感じていますか?
・約7割の人が、同僚との関係性維持を望んでいる。また、過半数が今の業務、会社での継続勤務意向を示している。
・しかし、約6割の人が、仕事の面白さや充実感を感じていない事が分かった。
・このことから、仕事は生活のためと割り切っている人が少なくない様子が伺える。
■マネジャーにおける分断度のエンゲージメントへの影響
~上司との分断度別~
・マネジャー層は、その上司との分断度が高い人はエンゲージメント指数が低く、感情レベルも低いことが分かった。
・上司との分断度が高い人と低い人のエンゲージメント指数をみると、ほとんどの項目において、20~30%もの大きなGAPがあった。
・感情レベルでも分断度が高い人はポジティブな感情が低く、ネガティブ感情が高い。ここでも大きなGAPが見受けられた。
・上司からさまざまなプレッシャーを受けたマネジャーに大きなストレスがかかり、パフォーマンスが低下する様子が伺える。
■係長/一般社員における分断度のエンゲージメントへの影響
~上司との分断度別~
・係長/一般社員層は、上司との分断度が高いと「職場が楽しい」と感じられず、職場、仕事へのエンゲージメントが下がることが分かった。
・感情レベルでは分断度が低い層と高い層を比べると、分断度が高い層の方がネガティブな感情が極めて高くなる。
・上司の関わりが部下のパフォーマンスに大きな影響を与えている様子が伺えた。
■職場の理想と現状に関する調査
Q:あなたにとって、現在の職場は、どのような「場」ですか?
Q:あなたにとって、理想の職場は、どのような「場」ですか?
・理想の職場と現状の職場では、お金を稼ぐ「場」という回答が共にトップであった。
・しかし、それ以外の項目ではGAPが目立ち、理想と現実に大きな差があることが分かった。加えて、理想の職場に対する思いは、年代や役職で大きなGAPは見受けられなかった。
・このことから、お互いにある程度共通した理想の状態をイメージしているものの、それが職場内で共有されていない可能性がある。
■職場の理想 年代別
・理想の職場に対する認識について、年代での違いは大きくない。
・年代により価値観が変わってきている、価値観が合わないといった世代間のGAPに関する話をよく耳にするが、職場に対する期待は大きく変わらない。
・実は因果関係が逆で、理想の状態について話せていないことで価値観が違うと思い込んでいる可能性がある。
~本調査からの提言~
<提言1:マネジメントシェアリングが必要な時期になっているのではないか>
今必要なことは、マネジャーにこれ以上役割を付与し、負担を増やすことではなく、マネジメント業務を分担する「マネジメントシェアリング」を進めることで、マネジャーがイキイキさを取り戻し付加価値を高めていくことではないか。
本来マネジメントはマネジャー一人でやるものではない。それがいつの間にか、マネジャー一人でやるものになってしまっている。マネジメントは多岐に渡るが、例えば 「仕事のマネジメント」と「人のマネジメント」などの機能でシェアする、曜日を分けるといった時間でシェアする、などいくつかの類型が考えられ、組織の状況に応じて工夫していくことが肝要である。
<提言2:職場内の理想を引き出し、つなげる人が必要ではないか>
職場内で理想の状態に関する対話ができていないことで、お互いの価値観を理解出来ていない状態にあることが分かった。
ただ、多くの人が職場に対してポジティブな理想を持っており、それをシェアできる場とその思いをつなぐ人がいれば、より良い職場になっていくものと思われる。従って、そのような役割を担える人材が必要ではないだろうか。
とは言え、いきなり場を用意されても、普段から理想を話し合えていない場合、対話ができないことが容易に想像される。そこで、人の感情の機微を捉え、本音を引き出し、対話を促進して、思いをつなげる役割を担う人の育成が急務となる。
私たちは、そのような役割を担う人を「組織感情プロフェッショナル」と呼びたい。どのような人材が最適かというと、例えば、人の関係性に興味がある再雇用をしたシニア社員が想定される。なぜならば、組織の人脈も広く形成されており、問題解決力も高いためである。
【調査概要】
◆調査形式:インターネット調査
◆調査地域:全国
◆調査対象者 :(①~④and条件)
①従業員数300人以上の民間企業の従業員(上場企業もしくはそれに準ずるような企業)
②正社員
③オフィスワーク勤務者
◆サンプル数:合計315s
◆実査期間:2024年5月16日(水)~18日(金)
【対象者属性】
・職場の今の状態、感情がわかる「組織感情診断®」はコチラ
https://www.j-feel.jp/program/dn4qbpc7z
◆株式会社ジェイフィール
https://www.j-feel.jp/
個人に感情があるように組織全体に波及した感情、気分を「組織感情®」と定義し、「組織感情をマネジメント」する企業向け研修を約250社、延べ10,000人に実施。ベストセラー「不機嫌な職場」(講談社現代新書(1926))を始め、「ワクワクする職場をつくる」(実業之日本社)など、組織活性に関する書籍を多数出版。「仕事が面白い、職場が楽しい、会社が好きだ」と本気で思える人たちが増え、その人たちの知恵や想いが連鎖し、社会全体に波及していくことを目指して活動中。
「組織感情®」はジェイフィールの登録商標です。
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