ベネッセ シニア・介護研究所 「マジ神解体新書 ~専門性の高い介護職の認知症ケアのための情報収集における特徴~」と題し、第24回日本認知症ケア学会大会で発表
視線解析により見えてきた「マジ神」共通の3ステップ
介護現場では日々ご入居者様の様々なデータが蓄積されており、そのようなデータの利活用によって効果的かつ効率的に質の高い介護サービスを提供できると期待されます。そこで弊社では、専門性の高い介護職のノウハウを援用し、経験の浅い介護職であっても同様に質の高い介護サービスの提供を可能とする「マジ神AI」の開発を進めています。(注2)
今回の検証は、そのようなシステムを用いてご入居者様の情報収集をする際のマジ神の特徴を明らかにすることを目的に行いました。「マジ神」制度が創設されるきっかけとなった「元祖」マジ神と、研修を経て認定されたマジ神の計4名の視線を分析したところ、いずれも
① AI解析に基づき導出された認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)の発生件数や、日々介護職が記録したご入居者様の快もしくは不快な状態の件数等の時系列データによって、注目すべき変化があった時期を把握
② 当該時期を中心に、食事や排泄、睡眠、体温や血圧等の各種定量データの時系列変化を確認
③ 生活記録などのテキストデータに基づき具体的な様子を把握
という3ステップで情報収集を行っていました。この結果より、各種データや記録を「点」ではなく「線」や「面」で見ていつもとの違いがどこにあるのかを把握し、現状に対する見立てを行うことが、ご入居者様の不調への有効なアプローチに繋がっていることが示唆されました。
図:マジ神の情報収集時の視線の例
上記成果は、2023年6月3日~4日に国立京都国際会館にて開催された第24回日本認知症ケア学会大会において、「マジ神解体新書 ~専門性の高い介護職の認知症ケアのための情報収集における特徴~」(筆頭発表者:福田亮子)として発表いたしました。
なお、同大会では弊社ホームからも以下の8件の発表を行いました。
●迅速な医療介入と徹底的な寄りそいによって BPSD の急激な発症が改善した事例 ~コミュニティがますます広がった~(グランダ大山弐番館)
●排泄や睡眠パターンの改善により本来の生活リズムを取り戻しQOLが向上した事例(ボンセジュール荏田)
●ありたい姿を通してBPSDの軽減を目指す(メディカルホームくらら青葉台)
●自宅よりも安心な、自宅のような暮らしの実現(メディカルホームくらら中村橋)
●「入浴拒否」の深掘りから「その方らしさ」がわかり入浴に繋がった事例(メディカル・リハビリホームくらら吹田)
●世界観を捉え、ありたい姿に近づくまでの軌跡(浦和成匠邸)
●その方の人生を深く知り、医療と連携することにより「その方らしさ」に寄りそえた事例 ~「馴染みのスーパー」はその方らしさ実現のための手段だった~(鎌倉山荘)
●「その方を知ること」で変化していく職員の関わり~ご夫婦の時間をもう一度~(芦花翠風邸)
ベネッセスタイルケアは、これからも「その方らしさに、深く寄りそう。」を実現するための取り組みを推進するとともに、その効果を検証し広く発信してまいります。
注1:ベネッセスタイルケアでは、高い専門性と実践力をもつ介護の匠を「マジ神」として認定する社内資格制度を設けています。マジ神には「認知症ケア」「安全管理と再発防止」「介護技術」の3つがあり、資格を取得した社員には資格手当も支給されます。マジ神たちが培った知見を言語化し、研修を体系化することで、次のマジ神の育成を行っています。
注2:当該事業は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和3年度「ロボット介護機器開発等推進事業(開発補助)」の研究課題「AIによるBPSD要因及び”いつもと違う”予兆検知を通じ真の生産性向上を実現する介護業務支援システムの開発」として採択されたものです。
ベネッセ シニア・介護研究所
https://www.benesse-style-care.co.jp/lab/
本内容に関するお問い合わせ
株式会社ベネッセスタイルケア 社長室広報 TEL.03-6836-1111
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