Morus(モルス)、シリーズAで7億円を資金調達。カイコのバイオ原料で海外展開と研究開発を加速

栄養学と世界有数の研究機関との連携で、5000年の歴史を持つ養蚕業を再定義。サステナブルな次世代素材産業を共創する

Morus

カイコ由来のバイオ原料の研究・供給を行う研究開発型メーカー、Morus株式会社(本社:東京都千代田区・代表取締役CEO:佐藤亮、以下Morus)は、シリーズAラウンドにて7億円の第三者割当増資を実施しました。

本ラウンドでは、新たにスパークス・アセット・マネジメント株式会社が運営する未来創生3号ファンド、みずほキャピタル株式会社、東大創業者の会ファンド(UT創業者の会投資事業有限責任組合)、エンジェル投資家の宮田昇始氏などが参画。さらに既存投資家である株式会社DG Daiwa Ventures、SMBCベンチャーキャピタル株式会社、信金キャピタル株式会社(しののめ信金ファンドを含む)からも追加投資を受けました。

今回の資金調達により、Morusは独自開発のカイコバイオ原料「MorSilk® Powder」の栄養学観点による臨床試験や量産体制の構築を加速。さらに、シンガポールをはじめとするASEANおよびEU市場への展開を本格化させてまいります。

あわせて、食品・医療・化粧品・機能性素材といった複数分野での共同開発、および脱炭素・サーキュラーエコノミー対応に向けたサプライチェーン構築を国内外の企業との連携して推進。カイコ原料を主軸とした原料メーカーとして、持続可能な次世代素材産業の創出に挑みます。

世界が注目する「バイオエコノミー」と「カイコ」が拓く持続可能な未来

■世界200兆円市場へ、バイオエコノミーの拡大と日本の戦略的投資

気候変動や資源枯渇といった地球規模の課題が深刻化する中、環境負荷の低い、天然由来かつ高機能なバイオ原料の重要性が高まり、バイオテクノロジーによる産業創出=「バイオエコノミー」が注目されています。OECD(経済協力開発機構)は、2030年までにバイオエコノミーの世界市場が約200兆円(約1.6兆ドル)に達すると予測(※1)。日本政府も2019年6月に「バイオ戦略」を策定し、2030年までに国内市場を約53兆円規模に拡大する方針を掲げ、様々な施策を推進しています(※2)。

■伝統×最先端の技術──カイコが拓く日本発・高機能原料素材の可能性

カイコは5000年以上前から飼育され、日本では「お蚕様」として尊ばれてきました。養蚕地帯の農家出身の渋沢栄一が蚕産業を国の基幹産業として注力した背景もあり、かつては世界一の繭生産量を誇った日本ですが、化学繊維の普及により産業は縮小しています。

しかし現在、医療・食品・機能性素材としての可能性が見直されつつあり、日本のカイコ研究は世界でも貴重な資源となっています。また古来より生薬・漢方として活用された歴史もあり、現代の栄養学・医学研究でもその機能性が科学的に解明されつつあります。
Morusはこれらの潜在的な機能性に着目し、繊維/材料工学における世界屈指の学術機関である信州大学と連携し創業、現在では信州大学含む複数の国内外の研究機関とも研究開発を推進しています

従来の産業だけでは消失しかねない国内の蚕産業も、Morusの研究技術を持って「高機能原料」として再定義することで、新たな巨大市場の創出と、日本発の産業のグローバル展開を目指します。

原料メーカーMorusが目指す世界:カイコを次世代の食と健康の産業素材へ 

■科学に裏打ちされた、新たなバイオ原料を開発するMorusの挑戦

Morusは「Crafting through tradition. Thriving with nutrition. / 伝統を紡ぎ、ニュートリションの力で健やかな未来を育む」というビジョンのもと、昆虫食や代替たんぱくの枠を超えた高機能バイオ原料の開発に取り組んでいます。医療、食品、化粧品、機能性素材など幅広い領域に応用可能な原料として、科学的根拠に基づく製品開発を国内外で進めています

■食と健康分野での応用展開

Morusの研究によって、カイコ由来の原料から次の応用展開が考えられています。

食品分野

  • 機能性食品原料:血糖値制御、脂質の吸収抑制、整腸作用などを活かした健康食品

  • 栄養補助食品:たんぱく源としてのプロテイン製品

  • 食品添加物:天然由来の抹茶のような素材

ヘルスケア・健康分野

  • 予防医療:漢方・生薬としての栄養機能性素材

  • サプリメント:生活習慣病予防に特化した機能性成分

  • 美容・化粧品:シルクタンパク等を活用したスキンケア原料

■世界有数の研究拠点から生まれた、カイコ原料の応用可能性

このカイコの潜在力を引き出しているのは、国内外の研究機関との基礎から応用まで一貫した研究開発体制です。国内では世界屈指の繊維学部を有する信州大学、海外では米国イリノイ大学やシンガポール政府研究機関A*Starなどと連携。シンガポールのフードテックアクセラレーター「INNOVATE360」にも日本企業として初めて採択されています。さらに、元DNS Scientific Officer青柳氏や、米国Beyond Meat出身の藤井氏の参画により、栄養・食品分野の研究が加速しています。

Morus、元DNS Scientific Officer青柳氏が栄養学研究責任者に就任:

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000091970.html

Morus、米国の代替肉トップランナー”Beyond Meat”出身の藤井氏が参画:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000091970.html

青柳氏からのコメント
これまで、MorSilk Powderが秘める栄養学的成分や特性を浮き彫りにする基礎的な研究を進め、様々な実態を明らかにしてきました。次のフェーズでは、それらの臨床的な意義を立証する試験を、プライマリ市場であるシンガポールの国民に対してA*Starと共同で進めていくことになり、大変期待しています。

Morusの現在の取り組みと今後

■高機能、EU方針に沿った独自安全規格を確保 ーバイオ原料「MorSilk® Powder」

最高水準の研究体制から生まれたMorus独自のバイオ原料「MorSilk® Powder」は、カイコの幼虫から研究を重ね、カイコの食物源である桑の葉の栄養を融合させており、次のような特徴があります。

MorSilk Powderの特徴

(1)主要成分と機能性
・カイコ由来のセリシンやフィブロインといったシルクタンパクを豊富に含有
・桑の葉由来のDNJ(1-デオキシノジリマイシン)やポリフェノールを高濃度で含有
・血糖値コントロールなどの機能性を実現

(2)品質・安全性の確保
・100%天然の日本製原料
・EUが定めるレギュレーションに準拠した独自安全規格で生産
・生産プロセスのトレーサビリティを担保
(3)市場からの評価
・ASEAN(シンガポールなど)企業や消費者からの購買が増加
・複数企業からの受託研究・原料供給の問い合わせあり
・自然な抹茶に近い風味を実現し、海外でも高評価

■中央官公庁との連携

日本国内においては、バイオエコノミー戦略に紐づいた中央官庁からの継続的な支援を受けています。

・2022年8月:農林水産省が委託する「昆虫(カイコ)テクノロジーを活用したグリーンバイオ産業の創出プロジェクトに採択
・2022年9月:特許庁の知財アクセラレーションプログラム「IPAS2022」の支援先企業に選定
・2023年10月:NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のディープテック・スタートアップ支援事業DTSU(研究型補助金)最大30億円の支援対象企業に選出
・2023年11月:経済産業省の起業家育成・海外派遣プログラム「J-StarX」シンガポール・インドネシア/ シリコンバレー地域起業家コース採択

▲首相官邸の公式Youtubeチャンネル【カイコで世界を救う!】注目のディープテック・スタートアップ/世界的産業創出に向けた Morusの戦略 【加速するスタートアップ第4弾】

https://youtu.be/4P_S_ck87zU?si=A0Tg8vPZz8TzKTWb

■海外展開と量産体制の構築

2023年にはASEAN最大級のアグリフード展示会「AFTEA」に出展。2024年にはシンガポールで食用昆虫の輸入・販売規制が解禁されたことを受け、シンガポール法人を設立、プロダクトの試験販売を開始しました。

今後は調達資金をもとに、ASEAN市場での販売拡大、EU市場進出に向けた体制構築、国内外でのプラント建設と生産体制強化、海外事業・サプライチェーンの専門人材の採用を進め、持続可能な新素材産業の中核を担う企業を目指していきます。

パートナー企業募集について(食品・医療・素材・美容業界の皆様へ)

Morusでは、バイオ原料「MorSilk® Powder」を活用した製品の共同開発・OEM展開を進めております。既存製品の高機能化から、新規素材の共同開発、脱炭素・サーキュラーエコノミー対応の原料調達まで、次世代の素材づくりに関心のある企業の皆様からのご連絡をお待ちしております。

▶︎お問い合わせ:https://morus.jp/jp/contact/

代表者プロフィールとコメント

佐藤 亮(さとう・りょう)
Morus株式会社 代表取締役CEO

プロフィール:東京大学教育学部卒業。在学中はアメリカンフットボール部に所属し、タンパク質・アミノ酸・スポーツ栄養学を実践的に研究。卒業後は伊藤忠商事 繊維カンパニーにてアパレル原料調達やOEM生産管理に従事した後、ベンチャーキャピタル・サムライインキュベートにて日本企業と海外のスタートアップのオープンイノベーションを推進。化学、エネルギー、総合商社領域の大手企業における新規事業開発支援も担当。2021年、カイコの第一人者である信州大学 塩見一夫教授とともにMorus株式会社を共同創業。

コメント:この度は弊社の成長を継続的に支えてくださっている既存投資家の皆様に続き、新たな素晴らしい投資家の皆様からご出資いただき、大変嬉しく思います。カイコによる産業創出に向け、更なる大きなグローバルでの挑戦を加速していけるチーム体制が整いました。
「昆虫食の会社?代替タンパクの会社?」とよく聞かれますが、私たちが目指しているのはそこではありません。Morusの目的は、日本がカイコにおいて強みを持つ研究と伝統産業の知見を、栄養学を中心とした科学の力で温故知新で進化させ、世界の健康課題解決を担っていく。その結果として、日本発のディープテックの世界進出の礎となること、そして原料を自ら生産、開発できる強みを食糧安保など世界の課題解決に資するような事業を作ることだと思っています。そのためには現在既に展開している日本含むアジア市場での成長、そして欧米地域への展開は不可欠です。今回参画してくださった株主の皆様とチーム一丸となって、Morusのバリューの一つである「Bold yet Precise/大胆にして緻密」の精神で着実に達成していきたいと考えています。

投資家コメント(敬称略、順不同)                       

スパークス・アセット・マネジメント株式会社
次世代成長投資本部 ヴァイスプレジデント 物河しおり
Morus社におけるカイコ由来機能性素材のポテンシャルを高く評価し、日本発スタートアップとしてグローバル市場に挑戦する姿勢、さらに佐藤CEOをはじめとする優秀なチームに期待して、未来創生3号ファンドとして今回の投資を決定しました。今後は同社とともに量産体制および海外展開を加速させ、健康・食糧課題の解決に貢献してまいります。

株式会社DG Daiwa Ventures

マネージングディレクター 渡辺大和

プリンシパル 増山真輝人

カイコ由来の機能性原料で世界を変えることを目指す Morus に対し、前回ラウンドに引き続き今回のラウンドでも追加出資いたしました。

前回ラウンド以降、シンガポール政府への働きかけによるシルク由来タンパク質の規制緩和、機能性成分の科学的検証、海外での販売基盤の確立など、事業および研究開発の両面で大きな前進を遂げています。DG Daiwa Venturesは、佐藤 CEO を中心とする Morus チームの卓越した実行力と熱い想いに共感し、引き続き伴走してまいります。

今後も、日本発ディープテック企業としてGo Globalを体現する
Morus のさらなる成長を、全力で支援してまいります。

SMBCベンチャーキャピタル株式会社
投資営業第一部 部長代理 杉谷謙太
前回ラウンドに引き続き、今回も出資させていただきました。

Morus社は機能性成分、食味、加工方法等全てにおいてしっかりとエビデンスを積み上げながらアプローチをしており、それを実現するためのチームの構築・様々な事業会社や研究機関との連携を

佐藤CEOの力強い推進力・巻き込み力により実現してまいりました。

カイコの可能性が確信に変わりつつある中で、昨年7月にはシンガポールにて食用カイコの輸入が解禁となっています。世界に羽ばたきましょう!

Morus社のグローバルでのチャレンジを、SMBCグループのリソースを活用して全力で支えて参ります。

みずほキャピタル株式会社
投資第4部長 脇門勇気

Morus社は、日本の伝統産業であるカイコを原料とした製品開発等を行っています。

佐藤CEOを中心に、高度な栄養学研究のケイパビリティを応用した開発力と、

グローバルに事業推進できるエグゼキューション力を持つメンバーが揃っています。

たんぱく質クライシスという世界的課題にチャレンジしており、益々成長が期待されるディープテックスタートアップです。

今後、みずほグループ各社とともに、当社の成長を全力で支援してまいります。

信金キャピタル株式会社

担当部長 伊藤靖文

「糖尿病食市場」、「機能性食品市場」、「代替タンパク質市場」は、今後、成長が見込まれる市場です。カイコの幼虫から作られるMorus社製品はタンパク質に加え、多数の有用成分が含有されており、他の製品にはない独自性を有しています。Morus社事業のポテンシャル、そして経営陣の熱意と高い専門性を評価し、前回のPreAラウンドに続き、出資を決定いたしました。Morus社の大いなる飛躍を期待しています。

東大創業者の会ファンド(UT創業者の会投資委事業有限責任組合)
共同発起人 伊藤豊
東大創業者の会ファンドとしてMorusに投資させていただきました。地球規模の課題に対して、日本の伝統的な養蚕を起点にしたテクノロジーで解決に挑むユニークかつグローバルポテンシャルの高いスタートアップを応援できることをうれしく思います。東大のアメフト部(ウォリーアーズ)出身の起業家の活躍も増えており、佐藤代表もそのお一人です。Morusのチームのグローバルでの挑戦とこれからの進化を楽しみにしています。

宮田昇始

「カイコのプロテイン試してみたい人〜?」

Slackに流れてきた投稿がMorusさんとの最初の接点でした。翌日、オフィスに佐藤さんがいらして、事業のプレゼンを聞き、社内の筋トレ勢と一緒にプロテインやお茶の試食をさせてもらいました。代替たんぱくとしてポテンシャルだけでなく、日本の伝統産業でもありグローバルを目指せること、抹茶のようなフレーバー、「でかい、逃げない、共食いしない」というパンチラインにやられて投資を決めました。応援しています!

採用情報                 

Morusでは海外事業やプラント運営などをともに進めるメンバーを募集しています。
▶︎詳細はこちら:https://morus.jp/jp/career/

会社概要                          

社名:Morus株式会社
代表者名:代表取締役CEO 佐藤亮
本社所在地:〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2丁目3−12 12 KANDA 801
HP:https://morus.jp/jp/

事業内容:カイコ原料の研究開発・量産・ヘルスケア製品の販売

※2025年6月26日(木)に上記住所に移転いたしました。


シンガポール支社
支社名:Morus SG
代表者名:代表取締役CEO 佐藤亮
支社所在地:Twenty Anson #11-01, 20 Anson Rd, Singapore 079912

※1 OECD (2009), The Bioeconomy to 2030: Designing a Policy Agenda, OECD Publishing
※2 内閣府 (2024.6) バイオエコノミー戦略 統合イノベーション戦略推進会議 資料

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会社概要

Morus株式会社

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URL
https://morus.jp/
業種
商業(卸売業、小売業)
本社所在地
東京都品川区東五反田2-5-2 THE CASK GOTANDA 907号室
電話番号
-
代表者名
佐藤 亮
上場
未上場
資本金
-
設立
2021年04月