インテグリカルチャー、『勝手場』のサービス開始みんなが使える細胞農業の実現に向けた最初の一歩

-細胞性食品(培養肉)のマーケットプレイス「勝手場」へオルガノイドファームが第1号会員として参画-

 新たな食資源として期待される細胞性食品(培養肉)などを作る「細胞農業」の実現を目指すインテグリカルチャー株式会社(本店:東京都文京区、代表取締役:羽生 雄毅、以下「当社」)は、細胞農業の事業化で必要となる資材と知見・経験を提供する新たなサービス「勝手場(英語名:Ocatté Base)」を本年6月から開始しました。勝手場は、細胞農業に特化した製品のマーケットプレイスであり、当社が開発した食品グレードの培養資材に加えて、当社が主催するカルネット コンソーシアムで共同開発した製品の販売も検討してまいります。

 培養肉の生産に取り組む企業はもちろんのこと、これから検討される企業にも広く提供していきます。また、当社がこれまでに蓄積した細胞農業に関する知見や経験を共有するためのセミナーや交流会、さらに、個別ニーズに合わせたコンサルテーションなどのサービスも順次ラインナップに加えていくことを予定しております。

 勝手場の第1号会員としては、培養肉生産工場の実現に向けてスケールアップに適した細胞および培養プロセスの開発に取り組んでいる株式会社オルガノイドファーム(本社:神奈川県藤沢市、代表取締役:山木 多恵子)を予定しております。

 当社は、細胞農業に関心を持つ多くの企業がより簡便に取り組めるサービス「勝手場」の提供を通じて、次世代の産業である細胞農業の実現に貢献してまいります。

新たなサービス「勝手場」とは

 勝手場は「すべてのひとが自由気まま(勝手)に細胞農業に参加できる世界(場)」をミッションに、2024年6月から、細胞農業で必要な食品グレード資材を販売するメーカーと細胞農業に関心のある企業を繋げるメンバーシップ型のB to Bマーケットプレイスです(図1)。

 細胞農業では、食品としてのコストと環境負荷低減の可能性を兼ね備えた「細胞を効率的に培養できる」資材が必要となります。一方で、これらの細胞農業資材は、培養肉製造におけるノウハウとして秘匿されることが多く、細胞農業への参画を検討する企業にとっては、必要な資材を揃えること自体が大きなハードルになっています。

 勝手場では、会員企業に対して細胞農業資材に簡単にアクセスできる環境を提供し、細胞農業の活性化を目指します。これにより、会員企業は、これまで必要不可欠であった細胞農業資材の研究開発に要する時間とコストの節減が可能となります。

 また、勝手場では、既に技術を持っている企業を繋げるB to Bマーケットプレイスとしても活用していただけます。このように、当社は理念である「みんなで作る細胞農業」をテーマに、勝手場ではより多くの方々が細胞農業にアクセスできる環境を提供してまいります。

 当社では、勝手場の他に細胞農業技術の共同研究開発プラットフォームである「CulNet®︎(カルネット)  コンソーシアム」や国内唯一の培養肉製造の受託研究開発サービス「パイプライン事業」で実績を積み重ねてきており、細胞農業の実装に向けたサービスとして利用していただくこともできます。

細胞農業に関心をお持ちの企業が実際にどのように取り組んでいくかを判断するための検討材料としてもご利用いただけます。

図1 勝手場を中心とした企業間の連携 - 勝手場の会員企業は、製品の出展や購入が可能 -

「勝手場」の製品ラインナップ

現在、勝手場では、食品原料から成る基礎培地、細胞剥離剤、細胞接着コート剤、細胞凍結液の4つの製品を展開しています。これらの製品は、当社が整備している日本初の培養肉生産ライン(参考リンク1)で採用した資材であり、培養肉を製造するために必要な要素です。これらの製品は、本年度は研究用試料として販売していき、来年度には、食品としての上市を目指しています。

その他に、当社の独自技術である血清様成分の作出システム CulNet® System(カルネット システム)製品や、培養肉製造で使用されるプロダクトリアクターに代表される細胞農業用装置も製品のラインアップに追加する方向で検討を進めてまいります。 

また、当社が主催する「CulNet®︎(カルネット) コンソーシアム」に参画している会員企業様と共同開発している製品も勝手場のラインナップに順次加えていく方向で検討しております。

・参考リンク1

当社プレスリリース:農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業に採択!、2024年1月16日

勝手場での製品の出展に関するお問い合わせ

細胞農業の市場規模は、2040年には6,300億USドルまでなるとの予想が公表されています(図2:コンサルティング企業であるA.T. カーニー社による調査レポート)。当社では、細胞農業に関心を持たれた企業様がより簡便に参画できるように、勝手場への製品の出展を希望される企業様を募っております。

勝手場は、当社が築いた独自の細胞農業ネットワークを活用し、出展を希望する企業様に細胞農業における販路を提供します。

 また、勝手場での製品販売を念頭に、当社との共同研究を希望される場合は、コンソーシアム(※)での共同研究の形で承っております。

勝手場への製品の出展やその他の共同研究を希望される企業様におかれましては、下記の「問い合わせ」にご連絡ください。

(※)コンソーシアムは、当社が主催するオープンイノベーション型のプラットフォームで、高い技術力を持つ多くの企業と細胞農業の実現に必要となる種々の研究開発を進めております。

図2 2040年までに予想される細胞農業の市場規模 A.T. カーニー社の「When consumers go vegan, how much meat will be lefton the table for agribusiness?」より引用

細胞農業ネットワークを活かした「勝手場」の広がり

勝手場では、当社がこれまで築き上げた細胞農業企業のネットワークを基盤として、日本国内だけでなく、シンガポールを始めとする各国の細胞農業企業や細胞農業に関心を持つ企業にサービスを提供していきます。

当社は、細胞農業の黎明期である2015年の創業であり、細胞農業が産まれた当時から世界中の細胞農業企業と関係を深め、国際的な共同研究(参考リンク2)や情報交換(参考リンク3)に留まらず、アジア太平洋地域における細胞農業業界団体であるAPAC-SCA(参考リンク4)における日本では唯一のメンバーとしても貢献してきました。このように、当社は社名の一部であるCulture(文化)を核に、世界中の様々な方々と協力し、細胞農業の発展に貢献してまいりました。

勝手場は、当社が体現してきた共創的考え方、加えて、これまで築き上げてきた細胞農業の繋がりを新たな段階へ昇華させ、細胞農業に関心を持つすべての方々が共に発展できる「場」として創りあげてまいります。

・参考リンク2

当社プレスリリース:シンガポールのShiok Meats社と「エビ細胞培養肉」の研究開発を開始、2020年7月20日

・参考リンク3

当社プレスリリース:タイ・アネーク高等教育・科学・研究・イノベーション大臣やタイCPグループ幹部らがインテグリカルチャーを視察、2022年8月1日

・参考リンク4

APAC-SCA(Asia-Pacifi Society for Cellular Agriculture)ホームページのメンバー企業の紹介ページ

インテグリカルチャー株式会社 代表取締役:羽生 雄毅  からのメッセージ

細胞農業が目指す環境負荷が小さい製品群を実現していくためには、安全で低コストな培地を始めとする様々なスペックの資材を揃え、かつ、消費者の皆さまに安心して購入していただける透明性の高いサプライチェーンを構築していくことが大きな課題になります。「勝手場」では、各分野で高い技術力を有する会員企業様がオープンイノベーションで生み出してきた成果を結集し、その実現を目指します。

「勝手場」では、既に得られた成果も活用しながら、小規模な取組みから始められます。細胞農業に興味を持たれる企業様が実際にプレイヤーとしてトライアルできる場としてこの「勝手場」を利用していただければ幸甚です。

株式会社オルガノイドファーム 代表取締役:山木 多恵子 からのメッセージ

細胞農業の社会実装を目指す一員として、羽生代表の使命感と「勝手場」の理念に共感し、この度参画させていただくこととなりました。細胞農業を社会実装するには、業界を横断する様々な技術を結集してサプライチェーンを構築することが重要です。「勝手場」が企業同士の連携を促進し、業界を活性化させる場として機能することを期待しています。

この世界的にも前例のない取り組みによって、細胞農業における日本のプレゼンスを高めるために、一緒に盛り上げていけるように精進します。

 

■ インテグリカルチャー株式会社

< https://integriculture.com >

 当社は、2015年創業の日本で最初に誕生した細胞農業企業です。細胞農業は、近い将来においてタンパク質の需要が供給を上回ってしまう「タンパク質クライシス」に対する一つの解決策として期待される新たな産業である一方で、細胞培養自体が高価な生産方式であることや食品としての安全性が確認されていないといった課題があります。

当社では、独自技術である「CulNet® system (カルネット システム)」による細胞培養の大きなコストダウンの可能性を開くとともに、既に食経験のある原材料だけを用いた細胞培養資材の開発に成功しました。今後はこれらの技術を最大限活用しながら、培養細胞を原料とした食品の上市に取り組むとともに、さらなる研究開発を進め、新たな食としての可能性を実感していただける細胞農業の実現と普及を目指してまいります。

 

■ 株式会社オルガノイドファーム

< https://organoid.farm/ >

国内EPC事業会社である日揮が、培養肉の社会実装を目指した技術開発を行う新会社として設立。当社は、培養肉の原料となる動物細胞の大量生産システムを確立するために、スケールアップに適した細胞および培養プロセスの開発に取り組む。当社グループが医薬品分野を通じて培ってきた細胞培養関連技術や大規模生産を可能とする工程の自動化などのエンジニアリング技術を掛け合わせることで、培養肉生産工場の早期実現を目指す。

 

■ CulNet® system (カルネット システム)

カルネット システムは、動物体内の臓器間相互作用を模したシステムです。当社は、ラボスケールの実証実験において、カルネット システムによる血清様成分の作出に成功しました。これにより、細胞培養で必須であるとされていたFBSや成長因子を添加しない細胞培養を実現しました。

なお、FBSは、コストとアニマルウェルフェアの両面で課題があると考えられており、その代替が求められてきました。カルネット システムは、FBSや成長因子を必要としない「低コストな細胞培養」を実現する細胞農業のプラットフォーム技術として期待されています。

 

■CulNet®️(カルネット) コンソーシアム                                                           

2050年には世界人口が100億に達すると見込まれ、エネルギー、飼料、土地、水などの枯渇により、これまでの方法ではタンパク質の供給が追いつかなくなることが危惧されております。食肉に代わるタンパク質源として、植物由来原料などが商品化されるとともに、より食肉に近い代替タンパク質として動物細胞由来の培養肉が注目されています。

しかしながら、生産コスト、安全性、大規模化などの点で課題が山積しているため、様々な領域で高い技術力を有する企業様に参画していただき、培地、足場、培養装置などの課題解決に取組み、培養肉のサプライチェーンを実現することを目的として、2021年4月1日、カルネット コンソーシアムが設立されました。

現在、カルネット コンソーシアムは設立3年目を迎え、参画企業は14社(※)になっております。なお、カルネット コンソーシアムの詳細は、https://integriculture.com/product/ をご覧ください。

(※)カルネット コンソーシアムへの参画企業(14社、50音順、2024年6月25日現在)
インテグリカルチャー株式会社、A Laboratories合同会社、旭化成株式会社、株式会社荏原製作所、

三栄源エフ・エフ・アイ株式会社、住友理工株式会社、東ソー株式会社、大和製罐株式会社、ナカライテスク株式会社、日本たばこ産業株式会社、株式会社浜野製作所に加えて2社

■勝手場
(英語名:”Open Cellular Agriculture Technology Transfer Ecosystem” Base:Ocatté Base)

勝手場は、細胞農業における食品原料資材や細胞農業における情報の提供を目的とした細胞農業者向けマーケットプレイスです。元来、勝手場とは、台所(キッチン)のことで、日本の食文化の基礎を築いた場所でもあります。本サービスは、世界中の誰でも台所で料理をするのと同じように培養肉を調理できる未来の実現、さらに、その先にある新たな食文化の開花を期待して「勝手場」と名付けました。

食品原料由来の培地を始めとする培養関係資材に加えて、培養肉の研究開発を進める中で蓄積された知見と経験は、本分野における検討・事業化を進めるためのキーエレメントになります。本サービスでは、これらの必須要件をいち早く開放・提供することによって、細胞農業に参画を目指す企業様が、よりスムーズに検討・事業を開始できるような環境の構築をサポートします。

【本件に関するお問い合わせ先】
インテグリカルチャー株式会社 お問い合わせ窓口
<info@integriculture.com>

受付担当 

事業開発部 支援事業チーム 鞆(とも)

事業開発部 共創事業チーム 波多野

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ビジネスカテゴリ
農林・水産食品・お菓子
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会社概要

URL
https://integriculture.jp/
業種
水産・農林業
本社所在地
東京都文京区本郷4-1-3 明和本郷ビル 7F
電話番号
-
代表者名
羽生 雄毅
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2015年10月