「はたらくソーシャル・リスニング(24年度上半期)」を発表 2024年度上半期、SNSで急増した投稿トップ3 「通称使用」「スポットワーク」「カスハラ」
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都港区、代表取締役社長:萱野博行)は、生活者の生の声をリアルタイムに分析する、「はたらくソーシャル・リスニング(2024年度上半期)」を発表いたします。 「はたらく」に関する旬のトピックスについて、各種SNS・ブログ・掲示板・レビューサイトなど、日本国内10万のソーシャルメディアより取得した投稿データ(サンプルデータ)を定期的に分析・発信することで日々変化する労働市場全体の動向理解に資することを目指します。
■2024年度上半期における一般生活者の「はたらく」に関する投稿増加率上位ワード
■分析コメント
2024年度上半期に特に目立ったのは、顧客からの迷惑行為・過剰要求である「カスハラ」についての話題だ。厚労省・自治体による条例・規制強化の流れや定量的な調査の進展もあり、メディア報道が激増した。カスハラについてはパーソル総合研究所も調査を実施。広範囲な負の影響が確認されている(カスタマーハラスメントに関する定量調査)。
また、「スポットワーク」の伸長も、昨年から今年にかけての大きなトピックだ。アプリでマッチングを完結させるスキマバイトのプラットフォームは利用者・就業者ともに大きく伸びており、それに伴って言及数も爆発的に増加した。
2024年は「整理解雇」「退職代行」など、退職・離職への注目が様々な角度から集まった年でもあった。自民党総裁選では解雇規制緩和が複数の候補者からアジェンダ化され、議論が活発化した。長期雇用の安定感が失われていく中で、離職行動に対して労使ともに改めて捉え直す機運として見ることができよう。
昨年から連続して上昇ランキング上位に入ったのは、「人手不足倒産」である。コロナ禍の各種補助が終わったことからの反動や、建設・物流業界の労働時間制限が開始されたこと、その他賃上げやコストアップにより、倒産全体が増えてきている。倒産後の企業から労働移動がどう起こるのかも注目される。
■ピックアップ分析
① ハラスメント関連:「カスハラ」だけでなく「パワハラ」・「モラハラ」などハラスメント全体が増加
<主なポイント>
・ 上半期は、新たに注目された「カスタマーハラスメント」だけでなく、「パワハラ」・「モラハラ」といったハラスメント全体の言及数に増加傾向が見られた。
・ 特にカスハラについては、今年最も話題を集めたワードの一つとして、下半期にも前年同期で増加が見込まれる。
・ 東京都では条例が可決されるなど、カスハラについて進む規制強化の流れの中で、労働者の安全配慮義務の観点から対応を迫られる企業はここから多くなることが予想される。
② スポットワーク関連:インターネット経由で単発の仕事を請け負う「ギグ・ワーカー」も8位にランクイン
<主なポイント>
・ 「スポットワーク」の伸長は昨年から今年にかけての大きなトピックだ。アプリでマッチングを完結させるスキマバイトのプラットフォームは、人材サービス業のみならず他業界からも参入が活発化。報道の効果もあって利用者が大きく伸び、言及数も爆発的に増加した。
・ 新しい柔軟な働き方として関連するのは、主に業務委託のフードデリバリー職などに使われる「ギグ・ワーカー」への言及だ。こちらはアメリカやEUでギグ・ワーカーの労働者性を巡って待遇改善の動きが活発化。日本でも厚労省が2024年度中に指針を出す見込みであり、下半期も上昇が見込まれる。
③ 退職・離職関連:自民党総裁選を機に退職・離職に関するワードが急上昇
<主なポイント>
・ 2024年は、様々な角度から退職・離職への注目が集まった。
・ 「コーポレート・アルムナイ」のトレンドは、円満退社やつながり継続のためのオフボーディング=組織としての離職プロセスの設計が近年注目されており、上半期も増加傾向。
・ また、大きな話題を呼んだのが、「退職代行」サービスだ。労働者の退職手続を代行する民間の退職代行業者・利用者がともに大きく増加した。賛否が分かれる話題でもあり、今後の動向も注目される。
・ 2024年9月に行われた自民党総裁選では、「解雇規制緩和」がアジェンダ化された。整理解雇や早期退職に関する議論が一時的に極めて高まった。
■2024年度上半期(2024年4月-9月末)における「はたらく」に関する投稿増加率ワードランキングと解説
■2024年度上半期(2024年4月-9月末)における「はたらく」に関する投稿減少率ワードランキング
<投稿減少率ワードランキングの主なポイント>
・ 「通勤手当」は昨年、通勤手当不正受給のニュースが相次いだことで言及が増えたが、今年はその反動で減少。「インボイス制度」も昨年の制度開始から今年は落ち着いたトピック。
・ 「ブラックバイト」、「ストライキ」、「バイトテロ」、「偽装請負」といった特定の事案・事件の報道に引っ張られるワードは、昨年ほど話題にならず。
・ テレワークを巡る議論は落ち着き、「ハイブリッドワーク」「フレックスタイム」をめぐる議論は減少。しかし9月に入ってからはアメリカIT企業の出社増加についての報道が過熱しており今後の言及は増える可能性も。
・ 「女性活躍」や「ジェンダーギャップ指数」、「WLB(ワークライフバランス)」は、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)といったより大きな多様性を示す議論が進む中で、やや使用頻度が落ちてきていることが推察される。
●本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
●構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
■調査概要
■【株式会社パーソル総合研究所】<https://rc.persol-group.co.jp/>について
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
■【PERSOL(パーソル)】<https://www.persol-group.co.jp/>について
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、BPOや設計・開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開するほか、新領域における事業の探索・創造にも取り組み、アセスメントリクルーティングプラットフォーム「ミイダス」や、スキマバイトアプリ「シェアフル」などのサービスも提供しています。
はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。
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