8割以上が会社全体のデジタル化が進んだと回答するも、「DXが推進されている」は3割にとどまる。前回調査に続き、管理部門のデジタル化が加速。8割の総務は勤怠など収集したデータを「活用できていない」
〜ChatGPTを業務で使用しているのは約2割。利用用途は「資料・文章の校正」「情報収集」など〜
【調査結果 概要】
自社のDXが推進されていると評価する総務は約3割
DX推進における課題 1位「従業員のリテラシーが足りない」2位「対応できる人材がいない」
8割以上がこの数年で会社全体のデジタル化が進んだと回答。うち7割が管理部門(経理・総務)のデジタル化推進を実感
これからデジタル化したい業務 1位「社内問い合わせ対応」2位「文書管理」3位「請求書・契約書」
ChatGPTを業務で使用しているのは約2割。利用用途は「資料・文章の校正」が最多
収集したデータを有意義に活用できている総務は約2割
前回調査(2022年4月)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000060066.html
【調査結果 詳細】
自社のDXが推進されていると評価する総務は約3割
自社のDX推進度をどのように評価するか尋ねたところ、推進されているとの回答は約3割にとどまりました(n=145)。
DX推進における課題 1位「従業員のリテラシーが足りない」2位「対応できる人材がいない」
DX推進における課題について尋ねたところ、「従業員のリテラシーが足りない」が60.7%で最も多く、「対応できる人材がいない」が54.5%と続き、人的課題が多いことがわかりました(n=145)。
前回調査とほぼ変化がなく、1年半が経過してもほとんど課題が解決されていないことが伺えます。
8割以上がこの数年で会社全体のデジタル化が進んだと回答。うち7割が管理部門(経理・総務)のデジタル化推進を実感
この数年で会社全体のデジタル化が進んだと思うか尋ねたところ、8割以上が進んだと回答しました(n=145)。
デジタル化が進んだと回答した企業に対し、どの部門のデジタル化が進んだか尋ねたところ、「管理部門(経理・総務)」が74.8%で最多となりました。(n=127/デジタル化が進んだと回答した企業)
デジタル化されている業務 1位「入退社・勤怠管理」
会社でデジタル化されていることについて尋ねたところ、「入退社・勤怠管理」が73.8%で最多となりました。昨年調査と比較し、ほとんどの業務で数ポイント上昇する結果となりました(n=145)。
※かっこ内は昨年調査(n=118)
入退社・勤怠管理;73.8%(60.2%)
給与・経費計算;66.2%(59.3%)
請求書・契約書;49.0%(43.2%)
受注管理;37.2%(28.0%)
営業(オンライン商談);35.2%(32.2%)
顧客管理;34.5%(33.9%)
備品管理・発注;25.5%(24.6%)
文書管理;23.4%(30.5%)
社内問い合わせ対応;20.7%(20.3%)
出張手配;19.3%(21.2%)
採用・研修;17.2%(11.0%)
電話・受付;14.5%(13.6%)
健康管理;14.5%(8.5%)
施設管理;12.4%(13.6%)
株主総会・取締役会;9.0%(11.0%)
その他;0.7%(1.7%)
デジタル化されていることはない;2.8%(5.9%)
これからデジタル化したい業務 1位「社内問い合わせ対応」2位「文書管理」3位「請求書・契約書」
これからデジタル化したいことについて尋ねたところ、「社内問い合わせ対応」が46.2%でもっとも多く、「文書管理」が44.1%、「請求書・契約書」が41.1%と続きました(n=145)。
約半数が、新しい・話題になっているツールをすぐ試そうという文化がある
新しいツールや話題になっているツールをすぐ試そうという文化があるか尋ねたところ、約半数があると回答しました(n=145)。
ChatGPTを業務で使用しているのは約2割。利用用途は「資料・文章の校正」が最多
自社の業務でChatGPTを使用しているか尋ねたところ、使用しているのは約2割にとどまりました(n=145)。
<ChatGPTを使用している業務>(n=31/ChatGPTを業務で使用している企業)
資料・文章の校正:54.8%
情報収集:51.6%
企画・アイディア出し:51.6%
データ分析:25.8%
メール等の文書の作成:22.6%
社内FAQ:12.9%
社内コミュニケーション促進:6.5%
カスタマーサポート:3.2%
採用活動:3.2%
セキュリティ対策:0.0%
申請手続き:0.0%
その他:12.9%
総務が収集しているデータは「勤怠」が約6割で最多
総務で収集しているデータについて尋ねたところ、「勤怠」が61.4%でもっとも多く、「社用車」が40.7%、セキュリティが38.6%と続きました(n=145)。
収集したデータを分析できている総務は3割以下
収集しているデータを分析することができているか尋ねたところ、「とてもできている」は0.7%にとどまり、7割以上ができていないと回答しました(n=145)。
収集したデータを有意義に活用できている総務は約2割
収集しているデータを有意義に活用できているか尋ねたところ、データ分析と同様に「とてもできている」の回答は0.7%にとどまり、約8割ができていないと回答しました。(n=145)。
<データ分析ができていない理由>(n=110/収集しているデータを分析できていない企業)
業務に充てる時間がない:58.2%
知識・スキルが足りない:56.4%
データ分析ができる人材がいない:50.9%
データ分析をすることが社内で必要とされていない:40.0%
その他:4.5%
総評
今回の調査では、8割以上が会社全体のデジタル化が進んだと回答するも、「DXが推進されている」は3割にとどまりました。DX推進における課題も前回調査とほぼ変化がなく、1年半が経過してもほとんど現場の課題は解決されていないことがわかりました。
リモートワークの普及などの背景からデジタルツールの導入が進んでおり、特に管理部門のデジタル化が推進されているのは総務のみなさんが日頃から率先して取り組んだ結果といえるでしょう。
ツールの導入においてポイントとなるのは、まずは総務がファーストユーザーになって使い倒し、現場への納得感を高めることです。いわゆる「HOW」の部分である使い方だけでなく、このツールを使うと何がいいのか、これを使う理由は何なのか、という「WHAT」「WHY」の部分を十分に伝えることが導入の鍵となります。
また、総務としてのデータの収集やデータ分析はほとんどできていない現状が明らかになりました。データの収集や分析のためには、まず仮説を立て、それがうまくいっているかデータを用いて検証するというステップが必要です。この仮説を立てるという部分を十分に実施できている総務もまだ少ないのではないかと予想します。
『月刊総務』11月号(10月8日発売)では「総務のデジタル化について」の最新動向や企業事例を紹介します。ぜひご覧ください。
株式会社月刊総務 代表取締役社長 豊田 健一 プロフィール
株式会社月刊総務 代表取締役社長
戦略総務研究所 所長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理、営業、総務、株式会社魚力で総務課長を経験。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長。現在は、戦略総務研究所所長、(一社)FOSCの代表理事、(一社)ワークDX推進機構理事、(一社)IT顧問化協会専務理事、日本オムニチャンネル協会フェローとして、講演・執筆活動、コンサルティングを行う。著書に『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
※「働き方」「リモートワーク・テレワーク」「総務関連全般」等についても取材可能です。
【調査概要】
調査名称:総務のDXについての調査
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2023年8月3日〜2023年8月24日
有効回答数:145件
調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
『月刊総務』について
創刊60年の日本で唯一の総務専門誌。「すべての総務パーソンの心に、火を。」をキャッチフレーズとし、総務部門で働く人を中心に、幅広くビジネスパーソンに読んで役に立つ記事を提供。上場企業、大手事業会社、中堅・中小企業と、幅広い規模の企業に定期購読していただいております。(創刊:1963年6月/印刷部数:1万2,000部/定価:1,100円)
株式会社月刊総務 会社概要
社名:株式会社月刊総務
代表:代表取締役 豊田健一
住所:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町2-2-1 KANDA SQUARE 11F
設立:2018年8月
事業内容:
・日本で唯一の総務・人事部門専門誌『月刊総務』の発行
・バックオフィス業務の「困った」を解決する「月刊総務オンライン」の運営
・「総務セミナー」「総務サロン」の主催
・働き方改革関連コンサルティング 等
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