DroRの人的資本開示調査「DOCI 2026」、TOPIX100の全体の結果 施策の記述は99%、因果まで語るのは40%

ドロア

組織開発・組織変革を伴走支援する株式会社DroR(ドロア)と臨床組織科学研究会は、TOPIX100の人的資本開示を分析した年次調査「DOCI 2026」を公開しています。有価証券報告書3期・299書類を4次元で読むと、FY2025で施策を具体的に記述する企業は99%、因果まで記述する企業は40%でした。数値はAI支援の一次コーディングによる暫定値で、人による独立検証で確定します。構造の記述であり、因果は主張しません。

人的資本開示を「語りの深さ」で読む年次調査「DOCI 2026」

株式会社DroR(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:山中真琴)と臨床組織科学研究会は、TOPIX100構成企業の人的資本開示を分析した年次調査レポート『DOCI 2026 — 人的資本開示の構造分析:施策列挙から、構造設計へ』を、2026年7月5日に自社サイトで公開しました。レポート全文(PDF・56ページ)は登録不要・無料で読めます。公開ページ:https://dror.co.jp/lab/doci

DOCI(DroR Organizational Complexity Index)は、DroRと臨床組織科学研究会が公表する、TOPIX100各社の人的資本開示を「語りの深さ」で読み解く年次調査です。開示の量ではなく、実施した施策を並べるにとどまるのか、それとも成果に至るまでの因果の構造まで説明できているのかを見ます。2026年版は、EDINETに提出された有価証券報告書3期分(FY2023〜2025)の299書類・296テキストを対象に、次の4つの次元をそれぞれ0〜3の4段階(帯)で評価しました(本文テキストの一次判定はAIが行い、企業名・年度は伏せていません)。

  • D1 施策記述:具体的な打ち手・制度・プログラムが特定されているか

  • D2 方針表明:人材への信念・哲学が自社固有の言葉で語られているか

  • D3 指標連動:語りが定量指標・目標と接続しているか

  • D4 構造・因果記述:「いかにして成果を生むか」の因果の仕組みが語られているか

本稿の「到達」は、帯2以上(明確・具体的な記述)を指します。

数値の性格:暫定値であること、因果を主張しないこと

DOCI 2026の定性評価(帯・類型)は、共通の採点基準に沿ったAI支援の一次コーディングに基づく暫定値です。今後、複数の人によるコーディングで独立に再評価し、評価者間の一致度(信頼性係数κ)を報告したうえで確定します。AIは一次案を作る役割にとどまり、最終的な判定者にはなりません。確定の際も方法と定義は変えないため、数値は更新される可能性がありますが、過去の版と比較できる形を保ちます。

また、本調査が示すのは開示の「語り方」の構造と、項目どうしの併存の傾向です。因果関係を主張するものではなく、組織の実態そのものを測ったものでもありません。分析の視点である臨床組織科学(COS)は開示を読むための一つの枠組みで、開示の優劣を判定するものではありません。

一方、女性管理職比率などの定量指標は、各社が開示した実数値を原典(XBRL・開示PDF)と突き合わせたもので、定性評価とは分けて示しています。

結果1:施策の記述は99%、因果の記述は40%

DroRの分析では、FY2025(99社)で各次元に到達した企業の割合は次のとおりでした。

  • D1 施策記述:99%

  • D2 方針表明:92%

  • D3 指標連動:85%

  • D4 構造・因果記述:40%

施策・方針・指標の記述はいずれも85%以上の企業に定着している一方、「その施策がなぜ成果につながるのか」を語る記述(D4)だけが40%にとどまり、施策記述との差は59ポイントありました。多段の因果の連鎖まで踏み込む開示(D4の帯3)は、99社中1社でした。

結果2:施策を語れても、因果まで語れるとは限らない

DroRの分析では、施策を明確に記述している企業のうち59%(58/99社)は、因果の記述が帯1以下(概念の名前だけ、または素朴な一段の因果)でした。指標と施策を明確に結びつけている企業でも、56%(47/84社)は因果の記述が帯1以下でした。

4次元の組み合わせで最も多かった型は「D1:3/D2:2/D3:2/D4:1」の18社で、施策は体系的に語られているのに、因果だけが一段浅いという型です。施策記述と因果記述の順位相関(Spearman)は0.50と中程度で、施策を語れていることは、因果を語れていることを保証しませんでした。

結果3:規模による差は見られず、開示された数値とも別に動く

DroRの分析では、因果の記述に到達した企業の割合は、Core30(大型30社)で40%(12/30社)、Large70(中大型70社)で41%(28/69社)と、規模区分による差は見られませんでした。因果の記述に到達した企業群と到達していない企業群で、従業員数の中央値(4.2千名と3.9千名)、女性管理職比率の中央値(8.9%と10.0%)にも大きな差はありませんでした(いずれも記述的な比較)。語りの深さは、規模や数値の大小とは別のレイヤーとして観察できる、というのが本レポートの読み方です。

開示された数値の現在地(FY2025・提出会社単体)

DOCI 2026は、開示された実数値も原典と突き合わせて集計しています。

  • 開示した企業:女性管理職比率 86/99社、男性育児休業取得率 83/99社、男女間賃金差異(全労働者)89/99社

  • 女性管理職比率の中央値:9.6%(最小1.1%〜最大47.6%)

  • 男性育児休業取得率の中央値:86.2%

  • 男女間賃金差異(全労働者、男性=100)の中央値:71.4%(前年72.3%)

持株会社では、単体の従業員が少ないため、単体の開示が実態を映しにくいという構造上の課題も残っています(女性管理職比率で連結のみ開示が12社)。

自社の人的資本開示を読み直す4つの問い

レポートでは、自社の開示を「構造」の軸で読み直すための問いを示しています。DOCIが見たのは大手100社の開示ですが、問いは企業の規模を問いません。

  • 施策の列挙で終わっていないか

  • 方針は自社固有の言葉で語られているか

  • 指標は施策・方針と接続しているか

  • 因果の連鎖――「なぜ効くのか」を一文で書けるか

株式会社DroR 代表取締役CEOで、COS理論の共同提唱者である山中真琴は、次のように述べています。

「開示の"量"の競争は終わりつつあります。次に問われるのは、自社の組織で何が何を生んでいるのか、その構造を語れるかどうかです。語れない部分は、まだ設計されていない部分かもしれません。この調査が、各社が自社の開示と組織を読み直すきっかけになれば幸いです」

人的資本経営の実装と組織開発の伴走支援

DroRは、人的資本経営を開示の文章で終わらせず、意思決定・役割・情報の流れといった組織の構造に実装する組織開発・組織変革を、研究に基づいて伴走支援しています(主な対象は、事業の拡大で組織が複雑になり始めた成長企業です)。施策を替えても同じ問題が繰り返される組織に向いており、まず数週間〜2ヶ月の観察フェーズから始めることもできます(本格的な伴走は6ヶ月以上が目安)。短期の研修だけで即時の成果を求める場合や、意思決定者が関与できない場合には、別の支援形態をご提案しています。初回相談は無料です。匿名の支援事例3件を https://dror.co.jp/case で公開しています。

調査概要

  • 調査名:『DOCI 2026 — 人的資本開示の構造分析:施策列挙から、構造設計へ』

  • 発行:株式会社DroR/臨床組織科学研究会

  • 公開日:2026年7月5日(PDF・56ページ・無料・登録不要)

  • 調査対象:TOPIX100構成企業(FY2025は有価証券報告書を提出した99社。残る1社は当該年度の未提出を確認)

  • 分析データ:EDINETに提出された有価証券報告書3期分(FY2023〜2025)。910営業日の提出情報を全数走査して299/300件を特定(299書類・296テキスト)。数値は原典(XBRL・開示PDF)と突合し、業種は公的コードリストで100社を照合

  • 分析方法:4次元コーディング(施策記述・方針表明・指標連動・構造/因果記述、各0〜3の帯)。本文テキストの一次判定はAI(企業名・年度は伏せていない)。人による独立評定は、企業名などの表記を伏せたテキストで行う予定。定性評価はAI支援の一次コーディングに基づく暫定値で、複数の人による独立検証と信頼性係数(κ)の報告をもって確定

  • 分析の枠組み:臨床組織科学(COS)。Yamanaka, M., & Nakamori, M. (2026). Clinical Organizational Science: An Integrative Framework for Structural Intervention in Complex Organizations. Frontiers in Psychology, 17.

  • 引用時の表記例:株式会社DroR/臨床組織科学研究会(2026)『DOCI 2026 — 人的資本開示の構造分析:施策列挙から、構造設計へ』https://dror.co.jp/lab/doci

株式会社DroRについて

株式会社DroR(ドロア)は、臨床組織科学(Clinical Organizational Science, COS)に基づいて、成長企業の組織開発・組織変革を伴走支援する研究実践ファームです(東京・恵比寿)。会議・役割・意思決定・情報の流れなど、日々の行動を生み出している組織の構造を現場で観察し、手を入れる場所を絞って、変化が日常に残るまで伴走します(組織ディープテック)。財務経理・補助金などの実務を担う高度専門BPOも提供しています。COS の理論は査読論文(Frontiers in Psychology, 2026)として公表しています。

会社名:株式会社DroR(ドロア)/DroR Corporation

所在地:〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-4-8 ウィンド恵比寿ビル8F

代表:代表取締役 山中真琴

設立:2023年8月

資本金:10,000,000円

URL:https://dror.co.jp

事業内容:

  • 組織ディープテック:臨床組織科学(COS)に基づく組織開発・組織変革の伴走支援

  • 高度専門BPO:財務経理・補助金、SNS運用、マーケティングPM

  • M&A・PMI支援

研究・公開:臨床組織科学研究会(事務局)、人的資本開示の年次調査 DOCI、働く人の心理学・組織研究ナビ(research.dror.co.jp)

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シンクタンク
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会社概要

URL
https://dror.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都渋谷区恵比寿西2丁目4番8号 ウィンド恵比寿ビル8F
電話番号
-
代表者名
山中真琴
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
2023年08月