エクレクト、国際ポジティブ心理学会で広島県立の叡啓大学との研究成果を発表
- DX時代のウェルビーイング向上支援プログラムにおける自己変容プロセスモデルの構築と評価 -
CXソリューションカンパニーである株式会社エクレクト(東京都世田谷区、代表取締役:辻本 真大、以下エクレクト)は、広島県公立大学法人叡啓大学(所在地:広島市中区、学長:有信 睦弘、以下叡啓大学)保井研究室との共同研究により、従業員のウェルビーイングをライフスタイルとワークスタイルの両面から高める、企業に向けた統合的なプログラムと、そのプロセスにおける人々の変容モデルの開発・評価に取り組みました。
本研究の成果は、2025年7月2日〜5日にオーストラリア・ブリスベンで開催された、国際ポジティブ心理学会(International Positive Psychology Association: IPPA)が主催する世界大会 「IPPA 2025 World Congress on Positive Psychology」にて発表され、国内外の研究者と実務家から注目を集めました。

DXの進展に伴い、企業では技術導入や業務改革が加速しています。しかし、組織変革の本質は「人」にあり、従業員の行動習慣や働き方の変容が追いつかない場合、変革の効果は限定的となります。他方で、そうした変革をリードする従業員は、ライフスタイルとワークスタイルの持続的な改善に取り組み続けています。
また、私たちは、Solution as a Service を事業モデルとして掲げ、テクノロジーによるCXの変革はもちろんのこと、それを実現するためのEXの変革をもサポートします。そのため、それに係る「人」の知見を、研究という知の最前線で探究することは必要不可欠と考えています。
本研究の目的は、二つあります。一つ目が、生活と仕事の改善を統合的に支援するプログラムを通した、人々の自律的で自己主導的な変容プロセスを明らかにすることです。二つ目が、その変容プロセスモデルの有用性を、自己の可能性の持続的な拡張を意味する中長期的なウェルビーイングの観点から検証することです。
本研究の主な成果は次の通りです。
・ライフスタイルとワークスタイルのアップデートは、「主体的な自己調整」、「協働的な問題解決」、「ポジティブな感情や経験」の3つのプロセスが基盤になっていることが分かった。
・さらに、上記3つのプロセスは、「認知的な柔軟性」「自己効力感」「課題についての価値認識」を前提として成り立つことが分かった。
・そうしたプロセスに加えて、振り返りなどを通じて、直近の未来に(自分自身の)焦点を合わせること、そして、自分なりの気づきや学びを得ることが、最終的に中長期的なウェルビーイングの高まりに繋がった。
・加えて、開発したオンラインプログラムは、プログラム参加者の、主観的なウェルビーイング、中長期的なウェルビーイングの一部(「他者との良好な関係」)、自己効力感を有意に向上させた。
以下、研究内容の詳細について記載いたします。
研究内容
本研究は混合研究法(Mixed Methods Research)を採用し、探索的な質的研究(Phase 1)と実証的な量的研究(Phase 2)を段階的に実施しました。
■フェーズ 1:現地型プログラムによる探索的な質的研究(n = 12)
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瀬戸内海に位置する広島県の大崎上島にて3週間の合宿型プログラムを実施
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協働的で構造化された生活、生活習慣に係る科学的な知見の学習、変容の数値化・可視化、経験学習プロセスの支援と促進、を軸とするプログラムをデザイン
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修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)によって、人々の変容プロセスをモデル化
■フェーズ 2:オンライン型プログラムによる実証的な量的研究(n = 77)
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フェーズ 1 の成果を踏まえた 5日間のオンラインプログラムをデザイン・実施
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4時点にわたり、心理的ウェルビーイング、主観的ウェルビーイング、自己効力感、認知的柔軟性、課題価値、ストレス、ポジティブ感情、自己調整学習、経験学習、時間的展望、などを測定
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t検定およびパス解析により、プログラム前後の有意な変化および変容プロセスモデルの有用性を検証
主な成果と知見
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フェーズ 1では、自己調整学習、協働的な問題解決、ポジティブ感情の相互作用を基盤とする変容プロセスモデルを構築(図1)
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フェーズ 2では、上記の基盤的な相互作用に加えて、自己効力感、課題価値、認知的柔軟性を前提とし、かつ、時間的展望や経験学習に媒介された、ユーダイモニックなWell-being を含む変容プロセスモデルの有効性を量的に実証
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さらに、最終モデルとして、プログラムの前後でその向上を実証した自己効力感を機軸とする、循環的で持続的な変容プロセスモデルを特定(図2)
中でも、最終モデルにおいては、認知的柔軟性が複数のフェーズにまたがって人々の変容を支える「ハブ」の役割を果たしており、DX時代の人材育成や組織開発における中核指標として着目する必要性が示唆されました。


※発表時のポスターをこちらから閲覧・ダウンロードしていただけます。
今後の展望
今後は、実証した変容プロセスモデルを基盤とする人材育成プログラムの拡張的な開発、及び、認知的柔軟性に焦点を合わせたプログラムの開発と評価に取り組んでいきます。また、多様な組織文化や業種への応用可能性を探るため、企業研修プログラムとしての展開も進めていく予定です。
関係者コメント
共同研究者:叡啓大学ソーシャルシステムデザイン学部 教授 保井 俊之
(Well-being、社会システムデザイン、社会イノベーション)

本研究は、仕事とウェルビーイングの関係に焦点を当てた国際的にも注目される分野において、IT企業に勤める人々の実践に基づくウェルビーイングデザインの知見を科学として蓄積した点に大きな意義があり、共同研究者として世界最大のウェルビーイング関係の国際学会の研究大会で研究成果を発表できたことをうれしく思います。このプログラムは、生活と仕事の統合的なアップデートを通じて、自己効力感や認知的柔軟性を育むウェルビーイングデザインの具体的な道筋を示すもので、その有効性を示したことは、産業界とりわけIT業界における今後のウェルビーイングデザインのプログラムの実装に向けた重要な一歩となると期待されます。
株式会社エクレクト 代表取締役 辻本 真大

今回の研究成果は、私たちが目指す『ウェルビーイングを経営の根幹に据えた事業運営』の科学的根拠の一部を示すものです。DX時代において、テクノロジーの導入だけでなく、そこで働く人々の内発的な成長とウェルビーイングの向上が真のイノベーションを生み出すと確信しています。今後も大学や研究機関との連携を深め、お客様の組織変革と従業員のウェルビーイング向上を両立するソリューションの開発に取り組んでまいります。
※ 本研究は「広島県内投資促進助成金 研究開発機能拠点化事業」の指定を受けて実施しています。
<株式会社エクレクトについて>
エクレクトは、CX(顧客体験)領域における総合的なソリューションを提供する企業です。750社を超える豊富な支援実績を背景に、顧客満足度向上だけでなく、従業員体験(EX)まで含めたトータル支援を実現。Zendeskの販売代理・導入支援においてはAPAC No.1として「Partner of the Year」を5年連続受賞。各種AIエンジンやAWSとの連携開発など、高度な統合支援も手掛けています。

広島西日本本社:広島県広島市南区段原南1-3-53 広島イーストビル18F
東京本社:東京都世田谷区北沢2-36-9 ベル下北沢3F
代表取締役社長:辻本 真大
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