生活者見立て通信#013「完璧よりも「ズレ」がバズる時代。ちょっとした違和感に惹きつけられる生活者」を公開。購買行動のモデルも開発。
~注目した生活者動向:100点満点の正解よりも気持ちを揺らす“ズレ”に惹きつけられている生活者。見立ての共感度はイノベーター層で80.6%~
リサーチとプランニングを手掛けるQO株式会社(代表取締役社長:恒藤優/本社:東京都中央区、以下「QO」)は、2025年9月25日に生活者見立て通信の第13回「完璧よりも「ズレ」がバズる時代。ちょっとした違和感に惹きつけられる生活者」を公開しました。

生活者見立て通信は、主にマーケティングの戦略立案に関わる方々を対象に、世の中のトレンドや生活者インサイトを、QOのプランナー独自の「見立て」で解説し、マーケティング活動のヒントを提供するレポートです。
資料は以下URLからご覧いただけます。
●生活者見立て通信#013「完璧よりも「ズレ」がバズる時代。ちょっとした違和感に惹きつけられる生活者」(PDF)
※QOの見立てを使ったマーケティングサポートに興味がある方は、ぜひ下記よりお問い合わせください。
【概要】生活者見立て通信#013「完璧よりも「ズレ」がバズる時代。ちょっとした違和感に惹きつけられる生活者」
■着目した生活者動向
①“悪目立ち”や“違和感”で感情のスイッチが入る生活者
大阪・関西万博では、現在はポジティブな声も多くあがっている一方で、開催前は巨額の費用や公式キャラクター「ミャクミャク」などへの反発がSNSで加速していました*¹。また、日常的な家の間取りを題材に、違和感まみれの設定を持たせた本「変な家」は、累計発行部数が164万部を超える異例のヒットを記録しています*²。このように、“悪目立ち”が評価の入り口として機能したり、ちょっとした“違和感”や“ズレ”が人々の関心を呼び起こしたりする現象がみられます。
②感情を検索する若者たち
「ありがとうと言われると嬉しい 理由」「夜になると不安になる なぜ」など、自分の漠然とした感情をそのまま検索する「感情検索」が若者を中心に広がっています。背景には、「分からないをなくしたい」「全てを言語化したい」という欲求があります。また、検索を通じて「自分の感情がみんなにもあるのかどうか」の答え合わせをし、安心を得ようとする心の動きも強まっています*³。
■QOプランナーの見立て:「なんだこれ?」を放置しない “考察上手な” 生活者を射止める『外し』という仕掛け
QOプランナーは、これらの生活者動向を踏まえ、裏側にあるインサイトを読み取り、下記のように見立てています。

これは、情報も選択肢も溢れているいまの時代は、完璧すぎるものではなく、予定調和から少しだけはみ出す「外し」が人を動かす新しい行動のトリガーになっているという見立てです。
サントリージン「翠」の広告では、キャッチコピーの違和感のある改行位置の意図を考察したコメントがSNSに続々と投稿されたり*⁴、日本ハムの「シャウエッセン」では、“禁じ手”を解禁した「夜味」が想定の3倍ヒットしたりと*⁵、企業側が仕掛けた「外し」が生活者の好奇心を刺激しています。
上記を踏まえ、QOプランナーは生活者の購買行動をモデル化しました。

この「BETAR(ベタール)モデル」は、「外し」がトリガーになる購買行動モデルです。「外し」との出会いを入口とし、その後の態度変容までどのようなプロセスを経ているのか、QOプランナーの仮説をもとに形にしました。
<BETARモデル>
・Bump :予想外の衝突 違和感や引っかかりなどの「外し」に不意に出会い、目と心が止まる
・Explore :探索 他者の反応とも照らし合わせながら、「外し」の意図や背景を読み解く
・Translate:翻訳 自分なりに咀嚼し意味づける(「探索」と行ったり来たり)
・Action :行動 試す・体験する・買う・使うなど
・Remix :再解釈して共有 体験を通じて自分なりの視点で再解釈し、共有する
今回の見立てについて、QOが実施した検証調査*⁶では、イノベーター理論のタイプ別に共感度の差が出ており、イノベーター層では80.6%、アーリーアダプター層では60.8%と、先進的な層を中心に比較的高い共感度を得ていることがわかりました(図1)。
また、BETARモデルでの購買実施経験は、イノベーター層では63.2%、アーリーアダプター層では44.9%となり、今後一般層への浸透・波及が期待されます(図2)。


■QOプランナーのコメント
今回担当した岩崎氏、土師氏、三上氏、青木氏は、今回の生活者動向や裏側のインサイト、見立てについて以下のようにコメントしました。
「昨今、「変な家」やサントリージン「翠」の広告など、“違和感”を含むコンテンツが話題を呼んでいます。情報や選択肢があふれる現代では、完璧すぎるものはかえって流され、人々の関心を集めにくくなっています。一方で、企業が仕掛けた“外し”や日常の中で出会う小さな“ズレ”に触れたとき、人は無意識にその背景や意図を探りたくなるのではないでしょうか。違和感をきっかけに「自分にとってどうか」を考える行動が生まれる点は興味深い現象です。意図された“外し”は、単なる奇抜さではなく、人を惹きつけ、考えさせ、行動を促す新しいトリガーになっていると考えられます。」
生活者見立て通信の詳細は、以下URLよりご覧いただけます。
●生活者見立て通信#013「完璧よりも「ズレ」がバズる時代。ちょっとした違和感に惹きつけられる生活者」(PDF)
※QOの見立てを使ったマーケティングサポートに興味がある方は、ぜひ下記よりお問い合わせください。
*1 出典:株式会社ライブドア、livedoor News、2024年「馳浩知事、石川県「大阪万博関連予算」1000万円に「被災者軽視」やまぬ反発、維新も警戒する批判の“飛び火”」
関西テレビ放送株式会社、8カンテレ、2025年「「気持ち悪い」「怖い」当初は厳しい声も 今は大人気のミャクミャク”様”「常識ぶっ壊した」と教授」
*2 出典:株式会社KADOKAWA、ダ・ヴィンチWeb、2021年「「この家、何かがおかしい」二重扉で窓がない独房のような子供部屋。間取りから感じるただならぬ事情」
株式会社PR TIMES、PRTIMES、2025年「株式会社双葉社|ドイツ語翻訳版『変な絵』が第1位快挙!! 世界33か国出版で世界的164万部ミリオンセラーがドイツラジオ局主催「5月の最優秀犯罪小説」に選出!!!」
*3 出典:株式会社博報堂DYホールディングス、生活者データ・ドリブン・マーケティング通信、2024年「「感情検索」から見えてくるZ世代のリアル 自分、他人、社会との関係性 博報堂若者研究所×ヴァリューズ 共同研究レポート前編」
*4 出典:株式会社日経BP、日経クロストレンド、2025年「サントリージン「翠」広告コピーの改行位置で「大激論」 真相を解明」
*5 出典:株式会社日経BP、日経クロストレンド、2024年「シャウエッセンを「夜味」にした理由 “禁じ手”は話題づくりのスパイス」
*6 検証調査概要
調査対象者:全国の15-69歳 ※中学生以下は除く
回答者数 :1,236人
割付方法 :性年代別に均等回収
調査方法 :インターネットリサーチ
調査期間 :2025年9月10日(水)~11日(木)
調査企画 :QO株式会社
調査委託先:株式会社マクロミル
【ご参考】公式noteで「生活者見立て通信 編集部こぼれ話」を発信中
QO公式noteでは、生活者見立て通信の執筆にあたってのこぼれ話をご紹介しています。QOのプランナーがめぐらせた思考過程や苦労したこと、「見立て」をつくるコツなどざっくばらんにお届けしています。あわせてご覧いただけましたら幸いです。
https://note.com/qo__note/n/nc689a406fe59
【ご参考】サイト「MITATE Insight Lens」内でもご紹介中
生活者見立て通信を活用いただきやすくするために「MITATE Insight Lens」(通称:MIL(ミル))をオープンしています。これまでのテーマも含め、QOプランナー独自の「見立て」をレポート形式で解説した見立て通信のアーカイブなどを掲載しています。ぜひご覧ください。
https://mitate.insight.lens.q4one.co.jp/

【担当者】岩崎 快(Kai Iwasaki)、土師 ゆきの(Yukino Haze)、三上 大智(Taichi Mikami)、青木 祐輔(Yusuke Aoki)
QO株式会社 マーケティングプランナー
岩崎 快
企画設計~集計~分析~示唆提言まで一貫しての対応に強みを持ち、ベーシックな定量・定性調査のほか、購買データやアクセスログデータなどを突合した分析などにも対応可能。
QO株式会社 マーケティングプランナー
土師 ゆきの
マーケティング会社を経て、現職。生活者インサイトの見立てやトレンド、市場リサーチを強みに様々な業界のマーケティング活動を支援。
QO株式会社 アカウントマネージャー
三上 大智
事業会社・広告代理店を広く担当し、顧客業務理解をベースにした課題の導出および、生活者視点でのワークデザインを通した課題解決に向けて尽力中。
QO株式会社 リサーチャー
青木 祐輔
新卒で入社後、一貫してリサーチャー業務に従事。生活者としての肌感・実感を起点とした仮説立案や示唆提供を武器に、クライアントの“右腕”となるべく奔走中。
【QO株式会社 会社概要】
QO 株式会社は、人と社会のために問いを探究する、リサーチとプランニングの会社です。
博報堂のストラテジックプラニングの知見と、マクロミルのデータアセットおよびリサーチケーパビリティを掛け合わせたJV 企業として、マーケティング機会の発見、戦略策定、コンセプト開発、施策実行のPDCA まで一連のマーケティング活動に伴走します。
代表取締役社長:恒藤優
本社:東京都中央区京橋2-7-19 京橋イーストビル9F
設立:1965年6月
事業内容:リサーチソリューション事業、マーケティングプランニング事業
【本件に関するお問い合わせ先】
QO株式会社 広報室
MAIL:corporate.info@q4one.co.jp
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