常陽銀行(めぶきフィナンシャルグループ)、IGS「GROW」で人的資本と営業成果の関係性を可視化し、有報で開示|人的資本投資のROIを定量化、スキルデータと売上の関係性を分析・反映
人的資本の可視化が経営データに組み込まれる時代へ―営業成果との関連性を示すスキルデータ、有報記載の先行事例 ―
Institution for a Global Society 株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 COO:中里 忍、以下「IGS」)は、めぶきフィナンシャルグループ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:秋野哲也、以下「めぶきFG」)の2025年3月期有価証券報告書において、子会社の株式会社常陽銀行(本社:茨城県水戸市、取締役頭取:秋野哲也、以下「常陽銀行」)が、IGSが提供する従業員の能力(スキル・コンピテンシー)測定ツール「GROW(グロー)」により取得・分析したスキルデータを活用し、営業成果との関係性を示す情報として開示したことをお知らせいたします。

この取り組みでは、常陽銀行はGROWを活用して約1,500名の営業担当者のスキルを評価し、そのデータと営業成績との関係性を統計的に分析しました。分析の結果、営業担当者のスキルレベルが1段階上がることで、法人部門で平均12%、個人部門で平均6%の営業成績向上が見られるという傾向が確認されました。さらに、特定の研修受講や資格取得がスキルおよび営業成果の向上に関連している傾向も明らかとなっています。
めぶきFGにおいては、子会社の常陽銀行・足利銀行ともに「知識」や「実践力」を掛け合わせた従業員のスキルの可視化や、人的資本投資とスキルの関係性の分析に取り組んでいます。うち、常陽銀行は、2023年度より、IGSが運営事務局を務める「人的資本理論の実証化研究会」にも参画しています。今回の開示は、スキルデータをもとにした人的資本投資の費用対効果(ROI)を可視化する取り組みの一環であり、人的資本と企業価値の関係を開示情報として提示した先進事例のひとつです。
IGSは今後も、GROWの提供ならびに研究会の運営を通じて、企業の戦略に応じた人材要件の定義、能力の可視化、投資の効果検証を支援し、日本企業の人的資本経営の実践を推進してまいります。こうした取り組みが、企業の中長期的な価値向上や投資家からの評価につながると同時に、従業員一人ひとりの納得感ある成長やキャリアの自律、モチベーション向上にも寄与することを目指しています。
Institution for a Global Society(IGS)株式会社 会社概要
社会で活躍する際に重要な「非認知能力」を中心に、人の能力を子どもから社会人まで一貫して可視化できるツール等を提供しているEdTech/HRTech企業。「分断なき持続可能な社会を実現するための手段を提供する」を企業パーパスに掲げ、2021年12月29日に東証マザーズ市場(現・グロース市場)に上場。
・ 所在地:〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南1-11-2 4F
・ 設立:2010年5月
・ 資本金:50百万円(2025年6月末現在)
・ 事業内容:AIを活用した人材評価プラットフォームを企業や学校に提供
・ コーポレートサイト: https://www.i-globalsociety.com/
■「GROW」に関するお問い合わせ先(企業・団体等)
Institution for a Global Society株式会社 HCMソリューション部 中西
MAIL: sales@jp.grow-360.com
■ご取材に関するお問い合わせ先(メディア)
Institution for a Global Society株式会社 ブランドコミュニケーション室 広報担当 川村
MAIL: pr@i-globalsociety.com
<Appendix>人的資本の可視化が経営データに組み込まれる時代へ―営業成果との関連性を示すスキルデータ、有報記載の先行事例 ―
1. 背景:人的資本開示の「次のステージ」
2023年3月期以降、有価証券報告書において人的資本に関する情報開示が制度上義務化され、企業は「人材戦略」や「多様性」など非財務領域の取り組みを対外的に説明する責任を負うようになりました。こうした制度的な背景により、人的資本の見える化や、企業価値との関係を定量的に示す取り組みに注目が集まっています。しかし、その多くは理念や方針にとどまり、「人材の能力」と「財務成果」の関係性を実証的に示した例はまだ限られているのが実情です。
2. 有報記載の事例紹介(抜粋)
めぶきFGは2025年3月期の有価証券報告書で、常陽銀行について、従業員のスキルと営業成果との関係性に関する分析結果を開示しました。この分析は、IGSが提供する従業員の能力(スキル・コンピテンシー)測定ツール「GROW(グロー)」によって得られた能力データをもとに実施されています。
「常陽銀行の一部従業員を対象に実施した調査の分析では、スキルのレベルが1段階上がると、法人部門で平均12%、個人部門で平均6%程度、営業成績が向上すること、特定の資格取得者や研修受講者にスキルや営業成績向上の傾向が見られること…」
(めぶきFG、2025年3月期有価証券報告書からの抜粋)
このように、能力データの定量分析をベースに「人的資本の営業成績(売上)インパクト」を示した開示は、人的資本経営の深化を象徴するものといえます。
3. 分析の要点:スキルと営業成果の関連性
GROWを用いた分析では、約1,500名の営業担当者を対象にスキル測定を実施し、部署や業務の違いを考慮した階層ベイズモデルを通じて、スキルと営業成績の関係が定量的に可視化されました。
-
Jobレベルが1段階上がると、法人部門で+11.9%、個人部門で+6.0%の営業成績向上
-
研修や資格取得によるスキル向上傾向
-
年次分析を通じた人的資本投資の効果検証が可能に
これにより、人的資本への投資を“費用”ではなく“資産”としてとらえる視点が、より具体的なエビデンスで語れるようになります。
4. GROWの役割と意義
GROWは、企業ごとの人材要件に応じた能力(スキル・コンピテンシー)を可視化する従業員の能力測定ツールです。自己と他者による360度評価にAIによる「バイアス補正(特許技術)」をかけることで客観性を担保。業界他社やグローバル基準に合わせたベンチマーク評価も可能で、ISO30414や人的資本ガイドラインに準拠した開示対応だけでなく、経営判断や人材戦略の意思決定にも活用されています。能力データに基づく人事施策評価やROIの定量化を通じて、企業が持続的な成長を実現するための基盤づくりを支援します。
5. 今後の展望
IGSは、GROWを通じた人的資本データの活用支援を今後も広げていきます。今回のように、有価証券報告書への記載を通じて人的資本の経済的意義を発信する企業が増えることで、人的資本経営の実践が進み、企業が投資家からの評価を高めるとともに、従業員にとっても納得感のある成長やキャリア自律、モチベーション向上へとつながることが期待されます。
関連情報:
-
GROW公式サイト:https://www.grow-360.com/
-
常陽銀行によるGROW活用事例:https://www.grow-360.com/case-studies/joyo
-
人的資本理論の実証化研究会:https://hc-cv-research.jp/
すべての画像