【介護士のハラスメント実態調査】87%が職場でハラスメントが行われていると回答。「上司から『何をさせても駄目』と言われ続け、通勤中に涙が出てくるようになり精神科に通っている」という声も。

〜「介護士のハラスメント実態調査」〜

株式会社SOKKIN

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調査サマリー

・87%の介護士が職場でハラスメントを経験。うち53%が「自分がハラスメントを受けた」と回答
・経験したハラスメントは「精神的攻撃」が最多
・ハラスメントの加害者は「上司」が最多
・8割以上が、ハラスメントに関して、職場で適切な措置は取られなかったと回答
・ハラスメントによって「仕事の意欲が減退した」という回答が最多。また「精神科に通うようになった」という声も
・8割以上が職場でのハラスメント対策は「行っていない」または「不十分」と回答
・8割弱の看護師が職場でハラスメントが原因の退職が存在すると回答

 
調査の背景

近年、介護士の職場におけるハラスメントが問題視されています。介護士は、利用者やその家族、同僚、上司など多様な関係者と接する中で、パワーハラスメントやセクシャルハラスメント、モラルハラスメントなど、さまざまなハラスメントを受けるリスクが高い職業です。ハラスメントが原因で、介護士が精神的なストレスを受けたり、身体的健康が損なわれたりすること、またそれに伴う離職率の増加なども懸念されています。では実際どれほどの介護士が職場でハラスメントを受けているのでしょうか。

2024年9月にインターネット調査で実施したアンケートの回答結果をもとに、介護士の「ハラスメント経験」「経験したハラスメントの内容」「ハラスメントの加害者」「職場でのハラスメント対策」「ハラスメントが原因の退職経験」などをお伝えします。

 
調査の詳細

「(介護士限定)介護士のハラスメントに関する簡単アンケート」
介護士の職場のハラスメント実態について調査する。

・調査日:2024年9月13日〜2024年9月19日
・調査方法:株式会社クラウドワークスのパネル利用によるインターネット調査
・対象者:現在介護士の方
・回収サンプル数:74票

 
調査結果

■87%の介護士が職場でハラスメントを経験。うち53%が「自分がハラスメントを受けた」と回答

「Q1. ハラスメントを経験したことはありますか? 」という問いに対して、「自分がハラスメントを受けた」という方が53%、次いで「他の人がハラスメントを受けているのを見た」という方が34%という結果になりました。
87%の介護士が職場でハラスメントを経験しているという事がわかりました。

 
■経験したハラスメントは「精神的攻撃」が最多

「Q2. 経験したハラスメントはどのような内容でしたか? 」という問いに対して「精神的攻撃」が38票と最も多く、次いで「過大な要求」が16票という結果になりました。

「Q2-2. 上記で回答したハラスメントに関して、具体的なエピソードを教えてください。(自由記述)」という問いに対しては、以下のような声が上がりました。

 

【精神的攻撃(以下一部抜粋)】
・デイサービスには人員配置基準が決まっているが、エリアマネージャー職にいる人間は人員不足を全く意に介さない。現場の負担の問題でもあるが同時に不正請求の問題にもなるため抗議したところ、「おまえなんかいつでも首にできる」と脅された。(30代女性)
・同僚が上司から度々お前は動きがトロいし要領が悪いし価値がないなと言葉でのハラスメントを行っていた。(40代男性)
・妊娠中悪阻が酷かった時に「他の人(職員)に迷惑だ」と言われた。他理不尽に日常的に怒鳴られた。(30代女性)

 

【過大な要求(以下一部抜粋)】
・一人で対応できない仕事を押しつけて容量が悪いと罵声を浴びせている姿を見た。(20代男性)
・同僚の男性ヘルパーの方が先輩から体が大きいという理由だけで肉体系の仕事ばかり押し付けられている姿を見た。(30代男性)
・自分は介護職未経験の上、入浴介助をすることになり、不慣れな上とても独りでは処理できない状況で、罵声を浴びせられることはしょっちゅうだった。しかもご利用者様の目の前で怒鳴ったりするので、利用者様が自分が怒られたと思われる方や、自分のせいで私が怒られてると気にされている方もいた。自分への叱責よりその事が申し訳ないと思っていた。(50代女性)
・上司から頻繁に非現実的な業務目標を課されていた。その目標は、通常の労働時間内では到底達成できないもので、残業や休日出勤が必要になるレベルだった。さらに、上司はそのような負担を「やりがい」や「自己成長の機会」として強調し、断ることができないプレッシャーをかけていた。この社員は、疲弊し、体調を崩すまで働き続けることになったが、最終的に上司に相談しても改善されることはなく、結果的に退職した。(20代男性)

 

【セクシャルハラスメント(以下一部抜粋)】
・利用者さんや男性スタッフさんに頻繁に「トイレ担当して欲しい。」「結婚はまだ?」などと言われた。(20代女性)
・同僚が男性利用者にお尻や肩を触られていた。(30代女性)

 

【身体的攻撃(以下一部抜粋)】
・先輩に裏に連れて行かれて首を閉められた。(20代男性)
・利用者に日常的に殴られる事は当たり前。意思の疎通は困難なので。おむつ交換時に殴られたり、何も理由がなくても叩かれる。(40代女性)

 

【個の侵害(以下一部抜粋)】
・グループLINEでの名指しの叱責(50代女性)
・理由は不明だが、ベテランのパートさん(女性)から嫌われてしまい、業務中に必要な声かけも無視をされるようになった。日常的に「あんなのクビ切れば良いじゃない」と私や利用者様のいる空間でリーダーへ話される。

 

【人間関係からの切り離し(以下一部抜粋)】
・思い込みで上司に悪い噂を伝えられた。(40代女性)
・ある職員と揉めてグループLINEを外された。(40代女性)

 
■ハラスメントの加害者は「上司」が最多

「Q3. 経験したハラスメントの加害者は誰でしたか? 」という問いに対して「上司」という回答が25票、次いで「先輩」が19票という結果になりました。また「利用者」も12票と多く見られました。

 
■8割以上が、ハラスメントに関して、職場で適切な措置は取られなかったと回答

「Q4. ハラスメントに関して、職場に報告して適切な措置を取りましたか?」という問いに対して、「報告をしなかった」という回答が53%で最多という結果になりました。次いで「報告したが、適切な措置は取られなかった」が28%で、全体として81%がハラスメントに関して適切な措置が取られなかったということがわかりました。

「Q4-2. ハラスメント報告後の職場の対応に関して、または報告をしなかった理由に関して詳細に教えてください。(自由記述)」という問いに対しては、以下のような声が上がりました。

 

【報告して適切な措置が取られた(以下一部抜粋)】
・すぐに聞き取り調査があり、直接謝罪を受けた。(40代男性)
・管理者からケアマネに報告、2人で加害利用者へ次にセクハラ行為があったら利用中止にすると警告した。(40代男性)
・利用者情報を職員で共有しているので報告し対処しています。(30代男性)

 

【報告したが、措置は取られなかった(以下一部抜粋)】
・被害に遭っていた同僚と一緒に施設長に直接ハラスメント被害に遭っている事を報告した。しかし施設長は加害者である上司を解雇させたり停職させると施設運営に悪影響が出るからと被害者である同僚に対し我慢するか辞めて転職するかして下さいという信じられない対応をしてきた。結局ハラスメント被害に遭っていた同僚は自ら辞めてしまった。(40代男性)
・報告したところで何も変わらない。(40代女性)
・言い出せずにいた本人の代わりに私が報告したが、当時はまだ男性が男性からのセクハラに対しての理解がなかったのもあって、老人のかすかな生きがいだよとして処理された。(50代男性)

 

【報告をしなかった(以下一部抜粋)】
・その場所にいた人数も少なく特定されるのが怖かったから。(30代男性)
ハラスメントの受け入れ口である所属長からのハラスメントのため報告できる相手がいない。(50代女性)
・報告をしたらそれがみんなに回って、余計めんどくさいことになるから報告しなかった。(50代女性)

 
■ハラスメントによって「仕事の意欲が減退した」という回答が最多。また「精神科に通うようになった」という声も。

「Q5. ハラスメントを受けてあなたの心身になにか影響はありましたか?」という問いに対して、「仕事の意欲が減退した」と回答した方が最も多く27票、次いで「怒りや不安を感じた」という回答が26票という結果になりました。
また、「精神科に通うようになった」という回答もいくつか見られ、ハラスメントが日常生活に支障をきたしている方が一定数いるということがわかりました。

「Q5-2. ハラスメントによる心身への影響に関して詳しく教えてください。(自由記述)」という問いに対しては、以下のような声が上がりました。

 

【仕事の意欲が減退した(以下一部抜粋)】
・生理不順になったり、仕事場に近づくにつれて胃が痛くなったり頭痛が酷くなった。仕事に対してやる気が出ない。(20代女性)
・仕事に行きたくない日ばかりだった。仕事への意欲、希望がもてなかった。(30代女性)
介護の仕事が嫌いになった。(40代女性)
・食欲の低下や夜寝れなくなったり職場に行くのが怖くて何度か仮病は使い休んだことがある。毎日地獄に行くような気持ちで今も鬱のような症状が出たりして死にたいなとか変なところ気にして相手を困らせたりしている。

 

【怒りや不安を感じた(以下一部抜粋)】
・何も考えたくないと思うのだが仕事のことばかりを考えてしまい頭がおかしくなった。(20代男性)

 

【睡眠不足(以下一部抜粋)】
・転職を考えなければならないかなとか、今後の生活のことを考えると夜もあまり眠れなくなった。(30代女性)
・夜眠れなくなり、誰も信じることができないマインドになった。(30代男性)

 

【コミュニケーションが減った(以下一部抜粋)】
・一度受けてしまうと、いくら謝罪されてもトラウマとして残る。(50代男性)

 

【精神科に通うようになった(以下一部抜粋)】
・理不尽に注意されたり怒られることが多く、自己肯定感が下がるばかりだった。何に対してもその人がいるだけで気にしてしまい、動けなくなることが多くなった。(40代女性)
うつ病を発症した。(40代男性)
・通勤中、涙が出てくるようになった。(20代女性)

 

【その他(以下一部抜粋)】
・急性胃腸炎になり原因不明の為、数回病院に通ったことがある。(30代女性)

 
■8割以上が職場でのハラスメント対策は「行っていない」または「不十分」と回答

「Q6. 職場でハラスメント予防に関する取り組みを行っていますか?」という問いに対して、「行っているが不十分」が最多の44%、次いで「行っていない」という回答が38%という結果になりました。
全体の82%の方が職場でのハラスメント対策が不十分と考えているということがわかりました。

 
■8割弱の看護師が職場でハラスメントが原因の退職が存在すると回答

「Q7. ハラスメントが原因で退職したことがありますか?」という問いに対して、「そのような人を見た事がある」という回答が44%で最多という結果になりました。次いで「ある」という回答が17%でした。
回答した看護師の77%の職場でハラスメントが原因の退職が存在しているということがわかりました。

 
■今回の調査を通じて

今回の調査で、回答した介護士の87%が職場でハラスメントを経験または目の当たりにしており、内容としては「精神的攻撃」が最多ということがわかりました。またハラスメントに対して8割以上が職場で適切な措置は取られなかったと回答しており、8割以上が職場のハラスメント対策は不十分と考えているということが明らかになりました。
株式会社SOKKINは、今後も介護士の皆さんがより良い職場環境で働けることを願いながら、現場の声にしっかりと耳を傾け、更なるサービス向上に努めてまいります。

 
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上場
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設立
2021年04月