高校新卒採用についての企業動向調査23年(12月)
23卒「増やした・昨年同様・新たにはじめた」が86.9%で2年連続増加、計画通り「充足した」企業は3割にとどまる。
「夢は、18才からはじまる。」をスローガンに、高校生の就職とキャリア教育、採用育成の支援を行う株式会社ジンジブ(本社:大阪府大阪市、代表取締役:佐々木 満秀 以下「ジンジブ」)は、新卒採用担当者向けに2023年卒の採用募集人員の増減や入社後のフォローに関する実態を調査すべくアンケートを実施いたしましたのでご報告いたします。
(調査期間:2022年12月15日~12月22日、有効回答数:649人、うち高卒採用実施は356人)
(調査期間:2022年12月15日~12月22日、有効回答数:649人、うち高卒採用実施は356人)
調査結果サマリー
調査背景
厚生労働省の発表によると、2023年3月卒の高校生の求人倍率は2022年9月末時点で3.29倍(前年同期比0.63ポイントの上昇)とコロナ禍以前より大きく上昇し、昭和63年以降最高水準となりました。求人数は約42万5千人(同15.4%の増加)とコロナ禍以前の水準に回復傾向にあります。一方で、求職者数は約12万9千人(同6.7%の減少)と、新型コロナウイルスの影響に加え、進行する少子化の影響で昨年に続き減少しています。※1
またリクルートワークス研究所の調査によると、2023年卒の大学新卒採用の求人数は70万7千人(前年同期比4.5%増)※2、2022年10月時点の充足率は78.5%と過去10年間で最低の水準でした。※2大卒を始めとする若手人材の採用意欲の回復を見ても、高校新卒採用に注力する企業の需要が高まっている一因と言えます。
高校生の就職活動は学校の紹介で行われる「学校斡旋」が一般的です。高い内定率やきめ細やかな進路指導がある一方で、求人情報解禁から応募まで約2ヶ月という短い期間での応募先企業決定や、応募開始から一定期間は一人一社ずつの応募が決められています。自己分析や企業理解が不十分なまま入社し、入社後にミスマッチが生じることや、高校生活と社会の接続でのギャップが要因となった入社後の早期離職が課題視されています。
今年度の求人状況や高卒者の採用活動を踏まえて、本調査では、企業の新卒採用担当者に対して、23年3月卒の高校新卒採用の採用活動、定着率を高めるための取り組み、これからの新卒採用の変化ついてのアンケートを行い、23卒の動向振り返りとアフターコロナでの新卒採用の変化について考察いたします。
※1 厚生労働省『令和4年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(令和4年9月末現在)』
※2 リクルートワークス研究所『第39回 ワークス大卒求人倍率調査(2023年卒)』(2022年4月)※3 リクルートワークス研究所『ワークス採用見通し調査(新卒:2024年卒)』(2022年12月)
調査概要
【調査期間】 1.2022年12月15日~12月16日 2.2022年12月15日~12月22日
【調査方法】 1.インターネット調査法 2.メールによるアンケート回収
【調査対象】 企業の新卒採用ご担当者
【有効回答】 N=649人(うち高卒採用実施は356人)
<主な調査結果>
■23卒の高卒採用活動について
1.23卒の高校新卒の採用計画にて昨年と比較し求人募集人数の増減はありますか。(n=356)
2.23卒の高校新卒の採用計画にて昨年と比較し求人募集人数を増やした理由を教えてください。※複数回答可(n=113)
3.23卒の高校新卒の採用計画にて昨年と比較し求人募集人数を減らした理由を教えてください。※複数回答可(n=36)
4.23卒高校新卒採用の採用人数について計画通り充足しましたか。(n=348)
5.23卒高校新卒採用の採用計画で充足していない理由について教えてください。※複数回答可(n=228)
23卒高校新卒の採用活動で今年特に工夫した取り組みについて具体的な内容を質問したところ、最も多い回答は「高校訪問」での「先生との関係構築」に関する内容でした。「訪問する時期の早期化」や「訪問数の増加」でより多くの高校にアプローチする企業が多く、「訪問高校の選定」でミスマッチをなくすことに繋がっているようです。
次に、「採用ツールの見直し」では、「HPの変更・作成」の他に「SNSやYouTubeを活用した情報発信」という項目が見られ、求人票では届けられない情報をより高校生に身近なツールで発信している企業が増えているようです。また、求人情報の見直しをする企業も多く見られ、「研修制度の見直し」や「働きやすい環境の整備」の他に最も多い回答が「給与・初任給の見直し」でした。2022年10月の最低賃金の引き上げが、高校新卒採用においても給与水準の引き上げの一因となっていると推察できます。
7.23卒高校新卒の採用活動で今年特に苦戦したと感じたところはどこですか。※複数回答可(n=348)
8.23卒高校新卒採用の選考での採用基準についてどのようにお考えですか。 (n=285)
■高卒人材の育成・定着について
9.入社後の高卒社員に対する社内研修は用意していますか。(大卒者や中途採用など他の人と一緒の内容も含む)(n=355)
10.高卒社員向けの社内研修ではどのような内容を準備予定ですか。(n=255)※複数回答可
11.高校新卒向け研修の期間はどの程度取っていますか。(n=255)
高校新卒向け研修の期間について質問したところ、「1週間~2週間」が31%と最も多い回答でした。「3週間~1ヶ月」が24.7%、「2ヶ月~3ヶ月」26.3%、「4ケ月~半年」が11.8%、「7か月~1年」「1年~2年」が2%、「3年以上」が1.2%でした。82%の企業が3か月以内で、93.8%の企業が半年以内で高校新卒向けの研修を実施しています。
12.新卒研修内容は大卒・高卒で分けて行いますか、同様の内容ですか。(n=218)
大卒・高卒採用ともに行っており、問9で「高卒社員に対する研修を用意している」と回答した方に、新卒研修の内容について質問したところ、「全く同じ研修内容」45.5%、「一部分けて研修」45.9%、「全く異なる研修内容」8.3%、「答えられない・分からない」が0.5%でした。半数の企業は高卒社員向けの独自研修が必要と判断し用意していることが分かります。
13.高卒の第二新卒の採用に興味はありますか。(n=649)
14.高卒の第二新卒に興味がある理由を教えてください。※複数回答可(n=492)
15.大卒2026年卒からの一括採用廃止の動きに伴い、企業は人材の獲得がより難しくなると思いますか。(n=649)
16.大卒一括採用廃止に伴い、高校新卒を強化しようと考えますか。(n=649)
<アンケート結果と23卒高卒採用動向・24卒動向予測について>
●23年卒の高卒採用動向について
本アンケート調査によると、23卒の高校新卒採用について、採用担当者の28.7%が求人数を「増やした」、55.1%が「前年と変わらない」、3.1%が「新たに始めた・再開」と、前年度と比較し積極的に採用した回答が9.6ポイント増加し、「減らした」回答は8.1%と、前年度比で7ポイント減少しました。また、採用を増やす理由においても「若手人材の採用に力を入れる」という回答が最も多いことや、大卒採用の求人数の増加を踏まえても(※2)、特に「若手人材への投資」に対して、アフターコロナを機に多くのチャネルを利用し積極的に採用した1年であったことが分かります。
充足率についての質問では、高卒採用では、「充足した」が31.9%、「1名以上内定を出し充足していないが採用活動は終える予定」17.2%と採用を終えた企業が49.1%でした。大卒の78.5%(※3)と比較すると、求人倍率の差もあり(高卒3.29倍、大卒1.58倍)高卒採用の競争が激しく苦戦を強いられた1年であったことが分かります。一方で、求人件数の増加にも関わらず、9月末時点の内定率が62.4%(※1)と平年並みだった要因として推測できることは、一つには一人一社ずつ応募する企業を決める高校生の就活の仕組みそのものは変わっていないことから、内定率はそのまま推移した点、もう一つには「6割を超える企業が自社で採用基準を定めている」と回答があったことから、企業が自社にマッチする人材を慎重に選考したと考えられます。
●高卒人材の育成・定着について
高卒採用において、採用後の育成と定着は大きな課題です。過去の当社アンケートでは、自社への高卒人材の定着では「配属後のOJT・OFFJT」や「社会人としてのマインドセット」「入社時のミスマッチ」を課題視しており、「入社後の研修制度の拡充」の対策をしていると回答が多くありました。(※5)今回のアンケートでも、6割が高卒社員への研修を用意しており、「ビジネスマナー」、「社会人の心構え」、「会社理念・ビジョン」など社会人としての心構えを中心に、育成・定着に向けて研修の準備をしていることが分かります。高卒社員に向けた研修は大卒向けの研修と「全く同じ内容」、「一部分けて研修」の企業が多く、研修期間については「1週間~2週間」の短期研修を採用する企業が多く、82%の企業が「3か月以内」に、93.8%の企業が「半年以内」に高校新卒向けの研修を修了しています。企業も定着を目的に、採用した人財の基礎力を高める教育を重要視していることがみてとれます。
●24年卒の新卒採用の動向予測
23年卒の求人の高まりや、大卒採用の充足率の低下、大卒の一括採用廃止の動きを見て高卒採用に注力を検討する企業が3割弱いることを見ると、24年卒以降の高卒採用への需要は更に高まることが推測できます。また、高卒採用の求人倍率も3.29倍への高まっていることや充足率が大卒より低いことから、高卒第二新卒や既卒生への採用に関しても積極的に動く企業が増えることも予測されます。求人倍率が高い高卒採用ですが、求人業界の偏りが大きいこともあり高校生から需要のある業種職種は数多くあります。「高校訪問」「教員との関係構築」「職場見学」などの高卒採用活動の工夫や「求人条件」を改善することで、将来有望な人材を採用できる採用チャネルであると言えそうです。企業の魅力アピール方法の多様化やしっかりとした教育の強化、などの手法も企業には必要とされます。
※1 厚生労働省『令和4年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(令和4年9月末現在)』
※2 リクルートワークス研究所『第39回 ワークス大卒求人倍率調査(2023年卒)』(2022年4月)
※3 リクルートワークス研究所『ワークス採用見通し調査(新卒:2024年卒)』(2022年12月)
※4 ジンジブ『高校新卒採用についての企業動向調査21年(9月)』
※5 ジンジブ『高校新卒採用についての企業動向調査22年・23年(4月)』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000065.000048030.html
<回答者属性>
<会社概要>
◆株式会社ジンジブ (https://jinjib.co.jp/ )
本社所在地:大阪府大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪国際ビル14階
代表取締役:佐々木 満秀
設立:2015年3月23日(グループ創業1998年9月1日)
資本金:9,800万円
2016年「革新ビジネスアワード2016」(主催:イノベーションズアイ、フジサンケイビジネスアイ[日本工業新聞社])にて「よい仕事おこし賞」、2017年「第106回かわさき起業家オーディション ビジネス・アイデアシーズ市場」(主催:公益財団法人 川崎市産業振興財団)にて「かわさき起業家優秀賞」を受賞。
- 高卒23卒求人募集人数「増やした」「昨年同様」「新たに始めた・再開」が86.9%と求人増加(昨年比7ポイント増加)。
- 募集人数を増やした理由1位は「若手人材の採用」。しかし計画通り「充足した」企業は31.9%にとどまる。
- 約9割の企業が高卒社員向け研修を「用意する予定」。内容は「ビジネスマナー」「社会人の心構え」。
- 高卒第二新卒に「興味がある」75.8%と全体的な人材不足による新たな採用チャネルへの需要が増加。
調査背景
厚生労働省の発表によると、2023年3月卒の高校生の求人倍率は2022年9月末時点で3.29倍(前年同期比0.63ポイントの上昇)とコロナ禍以前より大きく上昇し、昭和63年以降最高水準となりました。求人数は約42万5千人(同15.4%の増加)とコロナ禍以前の水準に回復傾向にあります。一方で、求職者数は約12万9千人(同6.7%の減少)と、新型コロナウイルスの影響に加え、進行する少子化の影響で昨年に続き減少しています。※1
またリクルートワークス研究所の調査によると、2023年卒の大学新卒採用の求人数は70万7千人(前年同期比4.5%増)※2、2022年10月時点の充足率は78.5%と過去10年間で最低の水準でした。※2大卒を始めとする若手人材の採用意欲の回復を見ても、高校新卒採用に注力する企業の需要が高まっている一因と言えます。
高校生の就職活動は学校の紹介で行われる「学校斡旋」が一般的です。高い内定率やきめ細やかな進路指導がある一方で、求人情報解禁から応募まで約2ヶ月という短い期間での応募先企業決定や、応募開始から一定期間は一人一社ずつの応募が決められています。自己分析や企業理解が不十分なまま入社し、入社後にミスマッチが生じることや、高校生活と社会の接続でのギャップが要因となった入社後の早期離職が課題視されています。
今年度の求人状況や高卒者の採用活動を踏まえて、本調査では、企業の新卒採用担当者に対して、23年3月卒の高校新卒採用の採用活動、定着率を高めるための取り組み、これからの新卒採用の変化ついてのアンケートを行い、23卒の動向振り返りとアフターコロナでの新卒採用の変化について考察いたします。
※1 厚生労働省『令和4年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(令和4年9月末現在)』
※2 リクルートワークス研究所『第39回 ワークス大卒求人倍率調査(2023年卒)』(2022年4月)※3 リクルートワークス研究所『ワークス採用見通し調査(新卒:2024年卒)』(2022年12月)
調査概要
【調査期間】 1.2022年12月15日~12月16日 2.2022年12月15日~12月22日
【調査方法】 1.インターネット調査法 2.メールによるアンケート回収
【調査対象】 企業の新卒採用ご担当者
【有効回答】 N=649人(うち高卒採用実施は356人)
<主な調査結果>
■23卒の高卒採用活動について
1.23卒の高校新卒の採用計画にて昨年と比較し求人募集人数の増減はありますか。(n=356)
高卒採用を行っていると回答した方に、2023年卒の求人募集人数の増減について質問したところ、「増やした」が28.7%、「変わらない」が55.1%、「減らした」8.1%、「今年から始めた・再開した」3.1%、「今年は募集をしていない」2.2%、「未定・分からない」が2.8%でした。22卒の同アンケート(2021年9月※4)と比較すると、「増やす」「変わらない」の回答が83.8%(9.4ポイントの増加)、「減らす」の回答が8.1%(7ポイント減少)となりました。
2.23卒の高校新卒の採用計画にて昨年と比較し求人募集人数を増やした理由を教えてください。※複数回答可(n=113)
問1で「増やした」「今年から始めた・再開した」と回答した方に、求人募集人数を増やした理由について質問したところ、約7割の方が「若手人材の採用に力を入れるため」と回答しました。アフターコロナでこれまで採用を控えていた企業が採用を積極化し大学新卒や中途採用も含め、高校新卒採用の需要は高まっていると言えます。
3.23卒の高校新卒の採用計画にて昨年と比較し求人募集人数を減らした理由を教えてください。※複数回答可(n=36)
問1で「減らした」「今年は募集をしていない」と回答した方に、求人募集人数を減らした理由について質問したところ、「業績が悪化したため」「コロナの影響が続いているため」が30.6%同率で最も多い回答となりました。
4.23卒高校新卒採用の採用人数について計画通り充足しましたか。(n=348)
23卒の高校新卒採用の募集を行ったと回答した方に計画通り充足したか質問したところ、「充足した」が31.9%、「1名以上内定を出し充足していないが採用活動は終える予定」17.2%と採用を終えた企業が49.1%でした。一方で、求人倍率が3倍を超える売り手市場の中、およそ半数の企業が採用募集人数に充足せず採用活動を続けていることが分かります。
5.23卒高校新卒採用の採用計画で充足していない理由について教えてください。※複数回答可(n=228)
23卒の高校新卒採用の採用計画で充足していない理由について質問したところ、「高校生が減っていると感じる」が36%や、「他社の求人募集数が増えたため」28.1%など少子化や環境による若手人材の採用の難しさを感じている方が多いと推測できます。次いで、「他社と比較して自社の魅力を伝えきれなかったため」が33.8%、「人員不足で採用活動に時間をさけなかったため」29.4%、「高校への求人紹介が上手くいかなかったため」28.9%、と採用活動の内容や工数に関する難しさの回答が多くありました。
6.23卒高校新卒の採用活動で今年特に工夫したところを教えてください。※複数回答可(n=348)
23卒の高校新卒採用活動の活動で今年特に工夫したところについて質問したところ、最も多い回答が「高校訪問」42.5%、続いて、「先生との関係構築」35.9%、「職場見学」34.8%、「スケジュールの見直し」31.6%、「求人情報開示前の活動」29.3%でした。
◆具体的な取り組みについて
高校訪問
- 県外まで範囲を広げ訪問する高校数を増やした。
- 会社内の人脈などから先生との関係を構築。
- 高校との連携強化と職場見学を踏まえてギャップの無いような採用を心がけている。
- 求人募集の手紙をこれまで送っていなかった学校へも募集の手紙を送付した。
- 以前の採用活動から一新し、スケジュールを組み、求人票の書き方・見方を御社含め、様々な高卒採用支援系の会社から情報収集を行った。また、採用専用のパンフレットを作成、高校訪問時に配布し、簡単な説明を行うようにした。
- インターシップの受け入れを行い、先輩社員との交流時間を持つようにした。
- 職場案内 ミスマッチを防ぐ為、実際の現場を見てもらった。
- 職場見学(応募前)において新入社員および入社2年目の新卒社員1~2名を同行させている。
- リモート面接に対応できるようにした。
- リモートでの会社説明会・職場見学などを実施した。
- 福利厚生にも力を入れ、社用車の通勤使用の許可、お昼のお弁当を会社支給にするなどを行うようにした。
- 初任給の引き上げを行った。
- 求人条件を見直し、待遇面の改善を行った。
- SNS・YouTubeを活用した情報発信。
- ホームページの改善。
- PR動画の作成。
- 採用後の研修に関しても、On-JT主体だったものをOff-JTを組み入れる計画などを行っている。
- 確実に入社してもらえるよう面談などのフォローを行った。
- 現場学習のみならず、パソコンの基礎的技能等も習得できるような新卒社員教育スケジュールを組んだ。
23卒高校新卒の採用活動で今年特に工夫した取り組みについて具体的な内容を質問したところ、最も多い回答は「高校訪問」での「先生との関係構築」に関する内容でした。「訪問する時期の早期化」や「訪問数の増加」でより多くの高校にアプローチする企業が多く、「訪問高校の選定」でミスマッチをなくすことに繋がっているようです。
次に、「採用ツールの見直し」では、「HPの変更・作成」の他に「SNSやYouTubeを活用した情報発信」という項目が見られ、求人票では届けられない情報をより高校生に身近なツールで発信している企業が増えているようです。また、求人情報の見直しをする企業も多く見られ、「研修制度の見直し」や「働きやすい環境の整備」の他に最も多い回答が「給与・初任給の見直し」でした。2022年10月の最低賃金の引き上げが、高校新卒採用においても給与水準の引き上げの一因となっていると推察できます。
7.23卒高校新卒の採用活動で今年特に苦戦したと感じたところはどこですか。※複数回答可(n=348)
23卒の高校新卒採用活動の活動で今年特に苦戦したところについて質問したところ、最も多い回答が「高校訪問」で31.3%、「先生との関係構築」29.6%、「スケジュールの設定」23.3%と、上位3項目が問6の<今年特に工夫したこと>で挙げられた項目と一致しており、高校訪問や先生との関係構築など、高校側への認知を広げる活動が、採用成功への鍵を握っていることが分かります。
8.23卒高校新卒採用の選考での採用基準についてどのようにお考えですか。 (n=285)
問5で「1名以上応募があった」と回答した方に、23卒の高校新卒採用の選考での採用基準について質問したところ、「募集人数に収まるように選定した」が25.3%、「自社の採用基準を設けて選定した」が63.5%、「どちらともいえない」9.1%、「答えられない・分からない」が2.1%でした。6割を超える企業が自社で採用基準を定めており慎重に自社にマッチした人材を採用していることから、求人倍率は3倍を超える高水準でありながら、9月末時点の内定率(※1)は例年並みであった要因として考えられます。
■高卒人材の育成・定着について
9.入社後の高卒社員に対する社内研修は用意していますか。(大卒者や中途採用など他の人と一緒の内容も含む)(n=355)
高卒採用を行っていると回答した方に、 入社後の高卒社員に対する社内研修について質問したところ、「用意している」が71.8%、「用意する予定だがまだできていない」が16.1%と、87.9%の企業が研修を用意すると回答しました。高校生の就職活動では1年未満の超早期離職の割合が高く、育成や定着に課題を抱える企業が多い傾向から入社後のフォローに力を入れていると推測できます。
10.高卒社員向けの社内研修ではどのような内容を準備予定ですか。(n=255)※複数回答可
問9で「高卒社員に対する研修を用意している」と回答した方に研修内容について質問したところ、1位が「ビジネスマナー」で85.9%、2位が「社会人の心構え」82.4%、3位が「会社理念・ビジョン」67.5%でした。業務スキルの研修より、社会人として必要な基礎知識や会社としての価値観教育に力を入れる企業が多いことが分かります。
11.高校新卒向け研修の期間はどの程度取っていますか。(n=255)
高校新卒向け研修の期間について質問したところ、「1週間~2週間」が31%と最も多い回答でした。「3週間~1ヶ月」が24.7%、「2ヶ月~3ヶ月」26.3%、「4ケ月~半年」が11.8%、「7か月~1年」「1年~2年」が2%、「3年以上」が1.2%でした。82%の企業が3か月以内で、93.8%の企業が半年以内で高校新卒向けの研修を実施しています。
12.新卒研修内容は大卒・高卒で分けて行いますか、同様の内容ですか。(n=218)
大卒・高卒採用ともに行っており、問9で「高卒社員に対する研修を用意している」と回答した方に、新卒研修の内容について質問したところ、「全く同じ研修内容」45.5%、「一部分けて研修」45.9%、「全く異なる研修内容」8.3%、「答えられない・分からない」が0.5%でした。半数の企業は高卒社員向けの独自研修が必要と判断し用意していることが分かります。
13.高卒の第二新卒の採用に興味はありますか。(n=649)
新卒採用担当者全体に高卒第二新卒の採用に興味があるか質問したところ、「興味はある」が75.8%、「興味はない」が24.2%でした。『高卒第二新卒』とは、高校を卒業後就職し早期離職した22才くらいまでの若者を指します。
14.高卒の第二新卒に興味がある理由を教えてください。※複数回答可(n=492)
問13で「高卒第二新卒の採用に興味がある」と回答した方に、興味がある理由について質問したところ、6割を超える方が「全体的に人材不足のため」と回答しました。続いて、「多様な人材を採用活躍させたいため」33.1%、「採用した若手社員が離職してしまったため」32.7%、「高卒採用の目標の募集人数まで集まらなかったため」32.5%、「新卒採用の目標の募集人数まで集まらなかったため」27.8%、「高卒社員が魅力的だと考えるため」22.6%、「他の人材層よりは採用が優しいと感じるため」が13.8%でした。大卒・高卒ともに若手人材が不足しており高卒第二新卒採用への需要が高まっていると推察できます。
15.大卒2026年卒からの一括採用廃止の動きに伴い、企業は人材の獲得がより難しくなると思いますか。(n=649)
大卒2026年卒からの一括採用廃止の動きに伴い、企業の人材獲得の変化について質問したところ、「難しくなると思う」が54.4%、「変わらないと思う」28.2%、「採用しやすくなると思う」5.7%、「答えられない・分からない」が11.7%でした。半数以上の方が「難しくなる」と回答していることから、日程の見直しにより競争が激化すると考えている方が多いと見て取れます。
16.大卒一括採用廃止に伴い、高校新卒を強化しようと考えますか。(n=649)
大卒一括採用廃止に伴い、高校新卒の採用を強化しようと考えるか質問したところ、「高卒採用を強化しようと考えている」が31.6%、「これまでより大卒採用に注力しようと考えている」が15.6%、「これまでと変わらない」が44.4%でした。
<アンケート結果と23卒高卒採用動向・24卒動向予測について>
●23年卒の高卒採用動向について
本アンケート調査によると、23卒の高校新卒採用について、採用担当者の28.7%が求人数を「増やした」、55.1%が「前年と変わらない」、3.1%が「新たに始めた・再開」と、前年度と比較し積極的に採用した回答が9.6ポイント増加し、「減らした」回答は8.1%と、前年度比で7ポイント減少しました。また、採用を増やす理由においても「若手人材の採用に力を入れる」という回答が最も多いことや、大卒採用の求人数の増加を踏まえても(※2)、特に「若手人材への投資」に対して、アフターコロナを機に多くのチャネルを利用し積極的に採用した1年であったことが分かります。
充足率についての質問では、高卒採用では、「充足した」が31.9%、「1名以上内定を出し充足していないが採用活動は終える予定」17.2%と採用を終えた企業が49.1%でした。大卒の78.5%(※3)と比較すると、求人倍率の差もあり(高卒3.29倍、大卒1.58倍)高卒採用の競争が激しく苦戦を強いられた1年であったことが分かります。一方で、求人件数の増加にも関わらず、9月末時点の内定率が62.4%(※1)と平年並みだった要因として推測できることは、一つには一人一社ずつ応募する企業を決める高校生の就活の仕組みそのものは変わっていないことから、内定率はそのまま推移した点、もう一つには「6割を超える企業が自社で採用基準を定めている」と回答があったことから、企業が自社にマッチする人材を慎重に選考したと考えられます。
●高卒人材の育成・定着について
高卒採用において、採用後の育成と定着は大きな課題です。過去の当社アンケートでは、自社への高卒人材の定着では「配属後のOJT・OFFJT」や「社会人としてのマインドセット」「入社時のミスマッチ」を課題視しており、「入社後の研修制度の拡充」の対策をしていると回答が多くありました。(※5)今回のアンケートでも、6割が高卒社員への研修を用意しており、「ビジネスマナー」、「社会人の心構え」、「会社理念・ビジョン」など社会人としての心構えを中心に、育成・定着に向けて研修の準備をしていることが分かります。高卒社員に向けた研修は大卒向けの研修と「全く同じ内容」、「一部分けて研修」の企業が多く、研修期間については「1週間~2週間」の短期研修を採用する企業が多く、82%の企業が「3か月以内」に、93.8%の企業が「半年以内」に高校新卒向けの研修を修了しています。企業も定着を目的に、採用した人財の基礎力を高める教育を重要視していることがみてとれます。
●24年卒の新卒採用の動向予測
23年卒の求人の高まりや、大卒採用の充足率の低下、大卒の一括採用廃止の動きを見て高卒採用に注力を検討する企業が3割弱いることを見ると、24年卒以降の高卒採用への需要は更に高まることが推測できます。また、高卒採用の求人倍率も3.29倍への高まっていることや充足率が大卒より低いことから、高卒第二新卒や既卒生への採用に関しても積極的に動く企業が増えることも予測されます。求人倍率が高い高卒採用ですが、求人業界の偏りが大きいこともあり高校生から需要のある業種職種は数多くあります。「高校訪問」「教員との関係構築」「職場見学」などの高卒採用活動の工夫や「求人条件」を改善することで、将来有望な人材を採用できる採用チャネルであると言えそうです。企業の魅力アピール方法の多様化やしっかりとした教育の強化、などの手法も企業には必要とされます。
※1 厚生労働省『令和4年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(令和4年9月末現在)』
※2 リクルートワークス研究所『第39回 ワークス大卒求人倍率調査(2023年卒)』(2022年4月)
※3 リクルートワークス研究所『ワークス採用見通し調査(新卒:2024年卒)』(2022年12月)
※4 ジンジブ『高校新卒採用についての企業動向調査21年(9月)』
※5 ジンジブ『高校新卒採用についての企業動向調査22年・23年(4月)』 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000065.000048030.html
<回答者属性>
<会社概要>
◆株式会社ジンジブ (https://jinjib.co.jp/ )
本社所在地:大阪府大阪市中央区安土町二丁目3番13号 大阪国際ビル14階
代表取締役:佐々木 満秀
設立:2015年3月23日(グループ創業1998年9月1日)
資本金:9,800万円
2016年「革新ビジネスアワード2016」(主催:イノベーションズアイ、フジサンケイビジネスアイ[日本工業新聞社])にて「よい仕事おこし賞」、2017年「第106回かわさき起業家オーディション ビジネス・アイデアシーズ市場」(主催:公益財団法人 川崎市産業振興財団)にて「かわさき起業家優秀賞」を受賞。
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