【調査発表】新型コロナウイルス感染症拡大前と比べて、約4割が「会社への信頼に変化があった」と回答!「テレワーク環境下における会社・上司への信頼に関する実態調査」結果を発表
約7割が「健康や安全への配慮」によって「上司への信頼が上がった」ことも明らかに
企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を⽀援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区 代表取締役社長:藤島 敬太郎 以下、当社)組織行動研究所は、2020年9月、一般社員550名に対し、「テレワーク環境下における会社・上司への信頼に関する実態調査」を実施し、このたび調査結果から見える実態について公表しました。
*詳細は12月1日に公表した当社Webサイトの調査レポート
(https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000000920/)からも参照できます。
*詳細は12月1日に公表した当社Webサイトの調査レポート
(https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000000920/)からも参照できます。
1.調査背景と結果のポイント
新型コロナウイルスの第三波への注意喚起が高まる昨今、5月の緊急事態宣言以降もテレワークを継続、あるいはテレワークから出社に切り替えるなど、感染症に対する企業の方針はさまざまでしょう。テレワーク環境下で、一般社員の会社や上司への信頼がどのように変化したかを明らかにすることで、社員の働き方や職場コミュニケーションのあり方を検討する一助となることを願い、本調査を実施しました。
■調査結果より一部抜粋 ※調査の詳細は、「3. 調査結果」を参照ください 。
2.組織行動研究所による「考察」と「テレワーク環境下で社員の信頼を上げるためのポイント」
一気に広がりを見せたテレワーク環境下で、職場の信頼はどうなっているのか。先行研究でもさまざまな定義や切り口が存在する信頼という概念に対して、簡単なかたちではありますが、意識調査を試みました。一人ひとりが置かれた事業環境や組織風土も多様であるなかで、この瞬間でしかおさえられない生の声を聞くことができたのは有意義なことでした。
今回の調査は、テレワーク環境下ということに加えて、コロナ禍という影響が非常に大きいです。有事での経営としての意思決定スピードや、その意思決定結果の伝え方、目の前の対策と中長期的な方針・見通し、経営や上司のコミュニケーションのあり方や社員の健康・安全への配慮など。これらは、コロナ禍ならではの部分もあるでしょう。しかしながら、今後も継続して不透明な現実のなか、ニューノーマルな働き方を企業が推進していく上で、社員との信頼関係を考えるヒントになれば幸いです。
調査結果から見えた、テレワーク環境下で社員の信頼を考える上でのポイントを3つ紹介します。
(1)ルールや制度を伝えるコミュニケーション上の工夫
テレワークの導入、運用方法の変更などを社員に伝える際には、単なるルールの説明にとどまらず、なぜそう決めたのか、今後社員の働き方をどう考えていくのかといった将来展望などと合わせて、メッセージを伝えることが重要です。
(2)社員の健康や安全に対する経営・上司の姿勢と行動
テレワーク環境下でも、社員や関係者の健康や安全に配慮し、またそれを行動に示すことによって、社員は会社や上司から人として大切にされていると感じることができ、社員の会社や上司への信頼につながります。
(3)社員による信頼獲得のための自らの働きかけとの相互作用
会社信頼・上司信頼が高い社員ほど、信頼獲得のための自らの働きかけの重要さを感じていました。仕事ぶりが見えにくくなるテレワーク環境下では、社員が信頼獲得の必要性を認識して、自ら働きかけていくことの重要性も増すでしょう。コミュニケーション上の配慮や工夫、主体的な支援要請、学びの還元など、社員からの積極的な働きかけを求め、相互に職場での信頼を醸成していきましょう。
3.調査結果
●会社や上司への信頼(図表1)
・会社への信頼に関する4つの項目「私はこの会社を信頼している」「社外の人から信頼されている」「事業の社会的な価値が高い」「この会社の従業員は会社を信頼している」について聞いた。おおむね約半数が肯定的な回答(「そう思う」「ややそう思う」)をした。
・約半数が、上司への信頼に関する3つの項目「私は上司を信頼している」「上司は信頼に足る人物である」「職場の同僚を上司は信頼している」について、肯定的な回答をした。また約40%が、「上司が言うことはあてにならないことが多い」について、否定的な回答(「そう思わない」「あまりそう思わない」)をした。
・「会社への信頼」「上司への信頼」と、「職場の人とうまくやれている」「自分の力を十分に発揮できている」などの適応感との間には、「会社信頼」「上司信頼」が高群・中群・低群の順に、適応感が高いことが確認された。特に会社への信頼と適応感については、その傾向が顕著であった。
・「会社への信頼」「上司への信頼」ともに、高・中群はテレワーク実施頻度が「ほぼ毎日」「月の半分程度」の割合が高く、低群は「現在は行っていない」の割合が高い。
*ただし、統計的に有意な差ではなかったため、参考情報として掲示する。
・ 新型コロナウイルス感染症拡大前と比べて、23.2%は「会社への信頼が上がった」と回答。19.6%は「会社への信頼が下がった」と回答。
・ 新型コロナウイルス感染症拡大前と比べて、15.3%は「上司への信頼が上がった」と回答。16.4%は「上司への信頼が下がった」と回答。
・ 「どちらともいえない」と回答した人の内訳を見ると、会社や上司への信頼高・低群が各2割ずつで、もともと信頼が高い・低いままという人も一定数いるようだ。
→ 新型コロナウイルス感染症拡大前と比べ、良くも悪くも、42.8%が「会社への信頼に変化があった」、31.7%は「上司への信頼に変化があった」と回答した。
・「会社への信頼が上がった」群でテレワークの実施頻度が「ほぼ毎日」は他の群と比較し34.4%とやや多く、「会社への信頼が下がった」群でテレワークを「現在は行っていない」は30.6%とやや多い。
*上司への信頼とテレワークの実施頻度には、統計的に有意な差がなかった。
・「会社への信頼が上がった」群は、62.5%が「社員や関係者の健康や安全の重視度合い」を、48.4%が「雇用の安定」を会社への信頼の変化に影響していると思うこととして選択していた。
・「会社への信頼が下がった」群は、54.6%が「社員や関係者の健康や安全の重視度合い」を、52.8%が「会社・事業の業績」を会社への信頼の変化に影響していると思うこととして選択していた。
→「会社への信頼が上がった」「会社への信頼が下がった」群は、ともに過半数が「社員や関係者の健康や安全の重視度合い」が信頼の変化に影響していると回答した。これは新型コロナウイルス感染症拡大のタイミングならではの傾向といえる。
・「上司への信頼が上がった」群は、69.5%が「上司による部下や関係者の健康や安全への配慮」、48.8%が「上司による部下へのメンタル面のサポート」、46.3%が「上司による部下への業績面のサポート」、43.9%が「上司の人柄」を上司への信頼の変化に影響していると思うこととして選択していた。
・「上司への信頼が下がった」群は、45.5%が「上司による部下への業績面のサポート」、43.2%が「上司の人柄」、40.9%が「上司による部下や関係者の健康や安全への配慮」、40.9%が「上司による部下へのメンタル面のサポート」を上司への信頼の変化に影響していると思うこととして選択していた。
→「上司への信頼が上がった」と回答した群は、69.5%が「上司による部下や関係者への健康や安全への配慮」が信頼の変化に影響していると回答した。割合は下がるものの、「上司への信頼が下がった」群も、40.9%が「上司による部下や関係者への健康や安全への配慮」が信頼の変化に影響していると回答した。
・「上司への信頼が下がった」群は、42.0%が上司とのコミュニケーション頻度が「減った」と回答した。
・現在の上司信頼別では、上司コミュニケーション頻度の変化に違いが見られなかった。いずれの群にもコミュニケーション頻度が「減った」層が同程度いるということは、コミュニケーション頻度の変化が信頼の変化と関係している人と、頻度そのものは信頼の変化と関係がない人と両方いることが推察される。
・会社や上司への信頼に影響した出来事に関する自由記述結果を「能力」「誠意」の2つのカテゴリで分類した。
・会社への信頼に影響した出来事としては、方針策定・実行といった「能力」に関する側面では、ポジティブ面、ネガティブ面ともに、テレワークなど施策導入の「意思決定スピード」に関するものが多く挙げられていた。また「方針・中長期的視点」の明確さや、経営トップからの「コミュニケーション」や情報開示に関するコメントが多く見られた。
経営層の従業員に対する姿勢や企業倫理など「誠意」に関する側面では、「健康・安全への配慮」に関するコメントが非常に多かった。また、「雇用の安定、経営層の人間性など」に関するコメントが複数見られた。
→テレワークを導入している場合でも、そのタイミングや健康安全への配慮など付帯するメッセージによって、好意的にも否定的にも捉えられるということのようだ。施策にどのようなメッセージをこめるのか、意思決定の根拠などとあわせて伝えることの大切さを再認識した結果である。
経営者の人柄については、一般社員にとって、日ごろ距離感があるトップからのコミュニケーションが、こういうときこそ気になったり、心象に影響したりしている様子がうかがえた。
●上司への信頼に影響した出来事(図表9-②)
・上司への信頼に影響した出来事としては、テレワーク環境下で、上司が意図して「コミュニケーション」を積極的にとろうとしていることに関するコメントが多かった。また、コミュニケーション頻度というよりは、「健康・安全への配慮」などコミュニケーションの内容が信頼形成に影響しているというコメントも多く確認された。
・一方、上司への信頼にネガティブに影響した出来事としては、「業務マネジメント」の能力や、「公正・公平、上司の人間性、一貫性など」の人柄に対する不信感に関するエピソードが複数見られた。日頃からの信頼がないのに、急に態度を変えてもそれがポジティブに受け入れられない様子も垣間見られた。
→上司への信頼は会社への信頼に比べると、能力や人柄への信頼といったもともとあった信頼関係のベースが大きくは変わらないところで、特に印象に残ったコロナ禍での出来事が書かれていたという印象を受けた。
・職場の信頼関係に役に立つ仕組みや制度としては、「オンライン会議ができるツール」について、「現在導入」「役に立つと思うもの」ともに選択割合が高かった。
・「現在導入」「役に立つと思うもの」両者の間で、もっともギャップが大きかったのは「リモートワークのための金銭的補助」である。18.0%が「現在導入」に対して、59.0%が「役に立つと思うもの」として選択していた。金銭的補助がないことへの不満は、図表10でも記載が多くあった。
・次にギャップが大きかったのは「労働時間よりも、仕事の成果がきちんと評価される仕組み・制度」である。25.8%が「現在導入」に対して、47.7%が「役に立つと思うもの」として選択していた。「労働時間が、正しく管理・評価される仕組み・制度」とあわせての導入の期待が見てとれる。
・58.4%が「テレワークで、職場での信頼関係を構築するのが大変なときがある」と回答した。
・79.3%が「職場での信頼を獲得するには、自分からの働きかけが重要だと思う」と回答した。
・「会社信頼・上司信頼の高群」ほど、「自分からの働きかけが重要だ」という回答の割合が高かった。
→会社や上司への信頼が醸成されている状態というのは、会社や上司の能力や配慮に対して、信頼を受動的に感じているだけでなく、自らも信頼獲得の必要性を認識して働きかけていることの相互作用の結果であることがうかがえる。
・「能力」の側面では、「成果」のアピール、「コミュニケーション」上の工夫、「主体性」を発揮した行動について多くのコメントがあった。もともと意識していたことに加えて、テレワークならではのコミュニケーション上の配慮や工夫、主体的な援助要請、学びの還元など、仕事内容は異なっても同じような心がけをしていることが散見された。
・「誠意」の側面での「配慮」「誠実・一貫性」に関する内容は、普段から意識していることが多く挙げられている印象だった。
新型コロナウイルスの第三波への注意喚起が高まる昨今、5月の緊急事態宣言以降もテレワークを継続、あるいはテレワークから出社に切り替えるなど、感染症に対する企業の方針はさまざまでしょう。テレワーク環境下で、一般社員の会社や上司への信頼がどのように変化したかを明らかにすることで、社員の働き方や職場コミュニケーションのあり方を検討する一助となることを願い、本調査を実施しました。
■調査結果より一部抜粋 ※調査の詳細は、「3. 調査結果」を参照ください 。
- 「会社への信頼」「上司への信頼」と、「職場の人とうまくやれている」「自分の力を十分に発揮できている」などの適応感との間には、信頼が高いほど適応感が高いことが確認された。特に「会社への信頼」において、傾向が顕著であった。(図表2)
- 新型コロナウイルス感染症拡大前と比べて、良くも悪くも、42.8%が「会社への信頼に変化があった」、31.7%は「上司への信頼に変化があった」と回答した。(図表4)
- 現在のテレワーク実施頻度について、「会社への信頼が上がった」群ほど「ほぼ毎日」と回答した割合がやや多く(34.4%)、「会社への信頼が下がった」群ほど「現在は行っていない」と回答した割合がやや多かった。(30.6%)(図表5)
- テレワークを導入している場合でも、そのタイミングや健康安全への配慮など付帯するメッセージによって、好意的にも否定的にも捉えられることが明らかになった。(図表9)
- 「上司への信頼が上がった」群は、69.5%が「上司による部下や関係者への健康や安全への配慮」が信頼の変化に影響していると回答した。「上司への信頼が下がった」群も、40.9%が「上司による部下や関係者への健康や安全への配慮」が信頼の変化に影響していると回答した。(図表7)
- 「上司への信頼が下がった」群は、42.0%が「上司とのコミュニケーションが減った」と回答した。(図表8)
- 職場の信頼関係に役立つ仕組みや制度として、「現在導入」「(導入の有無にかかわらず)役に立つと思うもの」両者の比較で、「現在導入」の選択割合が低く、ギャップが大きいのが「リモートワークのための金銭的補助」と「労働時間よりも、仕事の成果がきちんと評価される仕組み・制度」だった。(図表10)
- 58.4%が「テレワークで、職場での信頼関係を構築するのが大変なときがある」と回答。また79.3%が「職場での信頼を獲得するには、自分からの働きかけが重要だと思う」と回答した。(図表11)
- 「会社や上司への信頼が高い」群ほど、「職場での信頼を獲得するには、自分からの働きかけが重要だと思う」と回答する割合が高かった。(図表12)
- 職場での信頼獲得のために意識していることは、「テレワークならではのコミュニケーション上の配慮や工夫」「主体的な援助要請」「学びの還元」などであることがわかった。(図表13)
2.組織行動研究所による「考察」と「テレワーク環境下で社員の信頼を上げるためのポイント」
一気に広がりを見せたテレワーク環境下で、職場の信頼はどうなっているのか。先行研究でもさまざまな定義や切り口が存在する信頼という概念に対して、簡単なかたちではありますが、意識調査を試みました。一人ひとりが置かれた事業環境や組織風土も多様であるなかで、この瞬間でしかおさえられない生の声を聞くことができたのは有意義なことでした。
今回の調査は、テレワーク環境下ということに加えて、コロナ禍という影響が非常に大きいです。有事での経営としての意思決定スピードや、その意思決定結果の伝え方、目の前の対策と中長期的な方針・見通し、経営や上司のコミュニケーションのあり方や社員の健康・安全への配慮など。これらは、コロナ禍ならではの部分もあるでしょう。しかしながら、今後も継続して不透明な現実のなか、ニューノーマルな働き方を企業が推進していく上で、社員との信頼関係を考えるヒントになれば幸いです。
調査結果から見えた、テレワーク環境下で社員の信頼を考える上でのポイントを3つ紹介します。
(1)ルールや制度を伝えるコミュニケーション上の工夫
テレワークの導入、運用方法の変更などを社員に伝える際には、単なるルールの説明にとどまらず、なぜそう決めたのか、今後社員の働き方をどう考えていくのかといった将来展望などと合わせて、メッセージを伝えることが重要です。
(2)社員の健康や安全に対する経営・上司の姿勢と行動
テレワーク環境下でも、社員や関係者の健康や安全に配慮し、またそれを行動に示すことによって、社員は会社や上司から人として大切にされていると感じることができ、社員の会社や上司への信頼につながります。
(3)社員による信頼獲得のための自らの働きかけとの相互作用
会社信頼・上司信頼が高い社員ほど、信頼獲得のための自らの働きかけの重要さを感じていました。仕事ぶりが見えにくくなるテレワーク環境下では、社員が信頼獲得の必要性を認識して、自ら働きかけていくことの重要性も増すでしょう。コミュニケーション上の配慮や工夫、主体的な支援要請、学びの還元など、社員からの積極的な働きかけを求め、相互に職場での信頼を醸成していきましょう。
3.調査結果
●会社や上司への信頼(図表1)
・会社への信頼に関する4つの項目「私はこの会社を信頼している」「社外の人から信頼されている」「事業の社会的な価値が高い」「この会社の従業員は会社を信頼している」について聞いた。おおむね約半数が肯定的な回答(「そう思う」「ややそう思う」)をした。
・約半数が、上司への信頼に関する3つの項目「私は上司を信頼している」「上司は信頼に足る人物である」「職場の同僚を上司は信頼している」について、肯定的な回答をした。また約40%が、「上司が言うことはあてにならないことが多い」について、否定的な回答(「そう思わない」「あまりそう思わない」)をした。
以降の分析では、それぞれの4項目を平均して算出した会社信頼得点、上司信頼得点(「そう思わない」1点~「そう思う」5点)を、選択肢の意味合いと得点の分布の双方から高・中・低の3群に分けたものを用いた(高群:4点以上、低群:2.75点以下)。高・中・低群の出現率は、会社信頼は28.7%、47.2%、24.1%、上司信頼は26.9%、51.2%、22.0%である。
●会社や上司への信頼と適応感との関係(図表2)
・「会社への信頼」「上司への信頼」と、「職場の人とうまくやれている」「自分の力を十分に発揮できている」などの適応感との間には、「会社信頼」「上司信頼」が高群・中群・低群の順に、適応感が高いことが確認された。特に会社への信頼と適応感については、その傾向が顕著であった。
●会社や上司への信頼とテレワーク実施頻度との関係(図表3)
・「会社への信頼」「上司への信頼」ともに、高・中群はテレワーク実施頻度が「ほぼ毎日」「月の半分程度」の割合が高く、低群は「現在は行っていない」の割合が高い。
*ただし、統計的に有意な差ではなかったため、参考情報として掲示する。
●新型コロナウイルス感染症拡大前と比べた、会社や上司への信頼の変化(図表4)
・ 新型コロナウイルス感染症拡大前と比べて、23.2%は「会社への信頼が上がった」と回答。19.6%は「会社への信頼が下がった」と回答。
・ 新型コロナウイルス感染症拡大前と比べて、15.3%は「上司への信頼が上がった」と回答。16.4%は「上司への信頼が下がった」と回答。
・ 「どちらともいえない」と回答した人の内訳を見ると、会社や上司への信頼高・低群が各2割ずつで、もともと信頼が高い・低いままという人も一定数いるようだ。
→ 新型コロナウイルス感染症拡大前と比べ、良くも悪くも、42.8%が「会社への信頼に変化があった」、31.7%は「上司への信頼に変化があった」と回答した。
●会社や上司への信頼の変化とテレワーク実施頻度との関係(図表5)
・「会社への信頼が上がった」群でテレワークの実施頻度が「ほぼ毎日」は他の群と比較し34.4%とやや多く、「会社への信頼が下がった」群でテレワークを「現在は行っていない」は30.6%とやや多い。
*上司への信頼とテレワークの実施頻度には、統計的に有意な差がなかった。
●会社への信頼の変化に影響していること(図表6)
・「会社への信頼が上がった」群は、62.5%が「社員や関係者の健康や安全の重視度合い」を、48.4%が「雇用の安定」を会社への信頼の変化に影響していると思うこととして選択していた。
・「会社への信頼が下がった」群は、54.6%が「社員や関係者の健康や安全の重視度合い」を、52.8%が「会社・事業の業績」を会社への信頼の変化に影響していると思うこととして選択していた。
→「会社への信頼が上がった」「会社への信頼が下がった」群は、ともに過半数が「社員や関係者の健康や安全の重視度合い」が信頼の変化に影響していると回答した。これは新型コロナウイルス感染症拡大のタイミングならではの傾向といえる。
●上司への信頼の変化に影響していること(図表7)
・「上司への信頼が上がった」群は、69.5%が「上司による部下や関係者の健康や安全への配慮」、48.8%が「上司による部下へのメンタル面のサポート」、46.3%が「上司による部下への業績面のサポート」、43.9%が「上司の人柄」を上司への信頼の変化に影響していると思うこととして選択していた。
・「上司への信頼が下がった」群は、45.5%が「上司による部下への業績面のサポート」、43.2%が「上司の人柄」、40.9%が「上司による部下や関係者の健康や安全への配慮」、40.9%が「上司による部下へのメンタル面のサポート」を上司への信頼の変化に影響していると思うこととして選択していた。
→「上司への信頼が上がった」と回答した群は、69.5%が「上司による部下や関係者への健康や安全への配慮」が信頼の変化に影響していると回答した。割合は下がるものの、「上司への信頼が下がった」群も、40.9%が「上司による部下や関係者への健康や安全への配慮」が信頼の変化に影響していると回答した。
●上司コミュニケーション頻度の変化(図表8)
・「上司への信頼が下がった」群は、42.0%が上司とのコミュニケーション頻度が「減った」と回答した。
・現在の上司信頼別では、上司コミュニケーション頻度の変化に違いが見られなかった。いずれの群にもコミュニケーション頻度が「減った」層が同程度いるということは、コミュニケーション頻度の変化が信頼の変化と関係している人と、頻度そのものは信頼の変化と関係がない人と両方いることが推察される。
●会社への信頼に影響した出来事(図表9-①)
・会社や上司への信頼に影響した出来事に関する自由記述結果を「能力」「誠意」の2つのカテゴリで分類した。
・会社への信頼に影響した出来事としては、方針策定・実行といった「能力」に関する側面では、ポジティブ面、ネガティブ面ともに、テレワークなど施策導入の「意思決定スピード」に関するものが多く挙げられていた。また「方針・中長期的視点」の明確さや、経営トップからの「コミュニケーション」や情報開示に関するコメントが多く見られた。
経営層の従業員に対する姿勢や企業倫理など「誠意」に関する側面では、「健康・安全への配慮」に関するコメントが非常に多かった。また、「雇用の安定、経営層の人間性など」に関するコメントが複数見られた。
→テレワークを導入している場合でも、そのタイミングや健康安全への配慮など付帯するメッセージによって、好意的にも否定的にも捉えられるということのようだ。施策にどのようなメッセージをこめるのか、意思決定の根拠などとあわせて伝えることの大切さを再認識した結果である。
経営者の人柄については、一般社員にとって、日ごろ距離感があるトップからのコミュニケーションが、こういうときこそ気になったり、心象に影響したりしている様子がうかがえた。
●上司への信頼に影響した出来事(図表9-②)
・上司への信頼に影響した出来事としては、テレワーク環境下で、上司が意図して「コミュニケーション」を積極的にとろうとしていることに関するコメントが多かった。また、コミュニケーション頻度というよりは、「健康・安全への配慮」などコミュニケーションの内容が信頼形成に影響しているというコメントも多く確認された。
・一方、上司への信頼にネガティブに影響した出来事としては、「業務マネジメント」の能力や、「公正・公平、上司の人間性、一貫性など」の人柄に対する不信感に関するエピソードが複数見られた。日頃からの信頼がないのに、急に態度を変えてもそれがポジティブに受け入れられない様子も垣間見られた。
→上司への信頼は会社への信頼に比べると、能力や人柄への信頼といったもともとあった信頼関係のベースが大きくは変わらないところで、特に印象に残ったコロナ禍での出来事が書かれていたという印象を受けた。
●職場の信頼構築に役に立つ仕組みや制度(図表10)
・職場の信頼関係に役に立つ仕組みや制度としては、「オンライン会議ができるツール」について、「現在導入」「役に立つと思うもの」ともに選択割合が高かった。
・「現在導入」「役に立つと思うもの」両者の間で、もっともギャップが大きかったのは「リモートワークのための金銭的補助」である。18.0%が「現在導入」に対して、59.0%が「役に立つと思うもの」として選択していた。金銭的補助がないことへの不満は、図表10でも記載が多くあった。
・次にギャップが大きかったのは「労働時間よりも、仕事の成果がきちんと評価される仕組み・制度」である。25.8%が「現在導入」に対して、47.7%が「役に立つと思うもの」として選択していた。「労働時間が、正しく管理・評価される仕組み・制度」とあわせての導入の期待が見てとれる。
●職場での信頼関係構築に関する働きかけ(図表11)
・58.4%が「テレワークで、職場での信頼関係を構築するのが大変なときがある」と回答した。
・79.3%が「職場での信頼を獲得するには、自分からの働きかけが重要だと思う」と回答した。
●会社や上司への信頼別 職場での信頼関係構築に関する働きかけ(図表12)
・「会社信頼・上司信頼の高群」ほど、「自分からの働きかけが重要だ」という回答の割合が高かった。
→会社や上司への信頼が醸成されている状態というのは、会社や上司の能力や配慮に対して、信頼を受動的に感じているだけでなく、自らも信頼獲得の必要性を認識して働きかけていることの相互作用の結果であることがうかがえる。
●職場での信頼獲得のために意識していること(図表13)
・「能力」の側面では、「成果」のアピール、「コミュニケーション」上の工夫、「主体性」を発揮した行動について多くのコメントがあった。もともと意識していたことに加えて、テレワークならではのコミュニケーション上の配慮や工夫、主体的な援助要請、学びの還元など、仕事内容は異なっても同じような心がけをしていることが散見された。
・「誠意」の側面での「配慮」「誠実・一貫性」に関する内容は、普段から意識していることが多く挙げられている印象だった。
4. 調査概要
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