【市場調査会社ミンテル】2026年: 世界のビューティ&パーソナルケアトレンド予測を発表-医療・美容領域の接近とメンタルヘルスをサポートする美容品、「不完全」で人間らしい美への回帰
世界の美容・化粧品業界の来年の動向をアナリストが提示
ロンドンに本社を置く、グローバルな市場調査会社であるミンテルは「2026年:グローバル ビューティ&パーソナルケアトレンド予測」を本日発表し、2026年とそれ以降に世界の美容・パーソナルケア (BPC) 業界に影響を及ぼす3つの重要なトレンド予測を明らかにしました。

本レポートの無料版は、こちらからダウンロードが可能:
https://www.mintel.com/jp/2026-Global-BPC-trends-predictions
2030年ごろには、「美しさ」は見た目だけでなく、体の内側からの健康とも深く結びつくようになるとミンテルは予測します。消費者は、美容液やサプリメントに「肌をきれいにする」だけでなく、健康状態をチェックできるような機能まで求めるようになると考えられます。
同時に、美容は「効果を得るための行為」から、気持ちを整え、感情を豊かにする体験へと変化していくでしょう。そして、これまで不完全と認知されてきたものも、新たな価値観で新しい美しさ(完璧さ)として受け入れられる時代になっていくでしょう。
ミンテルによる2026年に美容・化粧品業界でトレンドとなる消費者動向の予測は、以下のとおりです。
「代謝から見る美容」:
美容は、健康、テクノロジー、パーソナライゼーションが融合する新しい段階に入っています。
「五感の相乗効果」:
情緒的健康(メンタルヘルス)に対するニーズの高まりを受けて、2026年は美の感覚的進化に最適な時期と言えます。
「アルゴリズムを超えて:人間らしさの革命」:
消費者は、人間的で、表現力豊かで、感情的にリアルで、欠点さえも感じられる美しさを求めるようになるでしょう。

代謝から見る美容
美容業界はこれまでも、「美しさ」と「健康」が交わる領域で発展してきました。しかし、最近まではその関係が科学的な根拠ではなく、マーケティング上のストーリーとして語られることが多かったと言えます。
しかし昨今では、「ウェルネス(心身の健康)」や「予防」という考え方がより進化し、細胞レベルの健康に焦点を当て、最先端のテクノロジーを取り入れる動きが広がっています。2026年は、こうした流れの中で、美と健康の融合が本格的に進む転換点となるでしょう。
バイオマーカー(体の状態を示す生体指標)の検査や代謝のモニタリング、バイオインテリジェンス技術の発展によって、家庭でも自分の体の状態を把握し、エネルギー補給・水分バランス・細胞修復を最適化する個別ケアが可能になりつつあります。こうしたイノベーションと消費者のニーズの高まりが重なり、2026年は「ウェルネス重視の美容」にとって非常に重要な年になると考えられます。
2030年には、肌や髪が“健康状態を映し出すバイオマーカー”として注目されるようになるでしょう。美容ブランドは、単に見た目を整える存在ではなく、予防ケアの信頼できるパートナーとして、医療やウェルネス業界とも競い合うようになります。
消費者は、保湿クリームや美容液、サプリメントに「美しくする効果」だけでなく、内面の健康を測るツールとしての機能も求めるようになるでしょう。この変化により、美容は「贅沢品」から「予防医療の一部」へと進化し、科学的根拠に基づいた、個人に合わせた、健康を守るための美容という新しい価値へと再構築されていくでしょう。
【根拠となるミンテルのデータ】
インドの消費者の86%が、美しさを高める上で、健康的な食生活は美容製品と同じくらい重要な役割を果たしていると考えている
調査対象:18歳以上のインターネットユーザー1,000人 出典:Mintel、2025年3月
五感の相乗効果
美しさはもともと、香り・質感・色のきらめきなど五感に訴える体験と深く関わってきました。ローションの香り、クリームのなめらかさ、コスメの輝き――それらはこれまで副次的なの要素として扱われてきましたが、今では美容品から「どのような体験を得られるか」こそが重視される時代になっています。つまり、感覚を刺激すること自体が、商品を購入する大きな理由になっているのです。
心の健康(メンタルウェルビーイング)への関心が高まる今、2026年は「美容の感覚的進化」に本格的に乗り出す絶好の年になるでしょう。香りで気分を整える機能性フレグランスや、神経科学の応用、VRなどの没入型テクノロジーといった新しい発想が、日々の美容習慣をより豊かで五感に響く体験へと変えていくと考えられます。
そして、セルフケア(自分を大切にする時間)への意識が高まる中、こうしたイノベーションは人々の共感をより強く呼ぶようになるでしょう。2030年には、「美しさ」は見た目の結果だけでなく、感情を整え、心に残る体験を生み出す力によって評価されるようになると予想されます。感覚を重視したデザインは、美容だけでなく旅行・ホテル・インテリアといった分野にも広がり、製品は「日々の気分をコントロールするツール」としての役割を持つようになるでしょう。
成功するブランドは、単に効果を証明するだけでなく、感覚的でストーリー性のある体験を通じて人々の心を動かす方向へと進化していくでしょう。
【根拠となるミンテルのデータ】
中国ではBPC製品ユーザーの76%が、製品のテクスチャーに関して、肌への感触・感覚はユーザー体験に影響すると回答しており、75%がテクスチャーと有効性とを結びつけて考えている
調査対象:過去12か月にビューティ・パーソナルケア製品を使用した18-59歳のインターネットユーザー2,941人 出典:Mintel、2025年3月
アルゴリズムを超えて:人間らしさの革命
この10年間、私たちはフィルターやAIが作り出す完璧な映像、そして緻密に計算されたマーケティングに囲まれてきました。しかし今、そうした“アルゴリズムによる完璧さ”の時代は終わりに近づいています。消費者は徐々にそういった環境に疲れを感じ始め、人間らしさ、感情、そして少しの不完全さが感じられる「リアルな美しさ」へと関心を向けています。
とはいえ、これは「テクノロジーを否定する動き」ではありません。むしろ、テクノロジーと人間の感性のバランスを取り戻す再調整の時代と言えます。人の手による創造性や個性を最高の贅沢として尊重し、テクノロジーはそれを隠すのではなく、一層引き立てる手段として活用されていくでしょう。
これからの成功するブランドは、製品の背景や製造のプロセス、そして人の関わりの中に「本物らしさ(真正性)」を織り込んでいくと予想されます。作り手の想い、丁寧な工程、そして小さな“欠点”までもが、そのブランドの誠実さや魅力を伝える証となります。
2030年には、最も価値のある美容体験とは、人間らしく、感情に響き、創造的で、真似できない唯一の体験であると感じられるものになるでしょう。
【根拠となるミンテルのデータ】
イギリスのSNSユーザーの67%が、SNSの投稿にフィルター/画像レタッチを使用する行為は、見た目へのコンプレックスを助長すると考えている
調査対象:SNSを使用する16歳以上のインターネットユーザー1,825人 出典:Mintel、2024年8月

■市場調査会社ミンテルの強み
ミンテルに在籍する各分野の専門家であるアナリストは、GNPDに蓄積されたデータや独自の消費者調査、外部データなどを組み合わせて、消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測を行い、レポートを執筆しています。ミンテルは常に「消費者」に焦点を当て各サービスを展開しています。
■株式会社Mintel Japan(ミンテルジャパン)
ミンテルジャパンは、ロンドンに本社を置く大手市場調査会社「Mintel Group」の日本法人です。専門分野のアナリストと新商品の調査員を世界各国に配置し、独自の消費者調査や新商品情報の収集を行っております。その独自のデータを基にした消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測に強みがあります。日本では主に「美容・化粧品」「食品・飲料」「ライフスタイル」の3分野に注力し、サービスを展開しています。
■会社概要

企業名 :株式会社ミンテルジャパン
本社所在地 :東京都千代田区丸の内二丁目4番1号
丸の内ビルディング18階
代表 :リチャード・カー
設立日 :2008年03月
事業概要 :トレンドレポートの販売、市場調査、市場分析等
WEBサイト:https://japan.mintel.com/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像