第13回辻󠄀静雄食文化賞/専門技術者賞 贈賞式開催
~ よりよい「食」を目指し、新しい世界を築き上げた作品や個人を顕彰 ~ 本賞は書籍2作品、専門技術者賞はリオネル・ベカ氏が受賞
公益財団法人辻󠄀静雄食文化財団は、2022年7月24日(日)14:00より、第13回辻󠄀静雄食文化賞贈賞式を開催いたしました。
第13回辻󠄀静雄食文化賞の本賞には、中国と世界の様々な場所を大きな視点でとらえ、近現代の中国における料理の変化とその世界的広まりを一望した野心的大作で類書のない、岩間一弘氏の『中国料理の世界史―美食のナショナリズムをこえて』(慶應義塾大学出版会)と、食に見られる多様性を読者に訴えかけ、それを大切にしたいと感じさせる力を持つ、質の高い本づくりが評価された、一般社団法人日本調理科学会企画・編集『全集 伝え継ぐ 日本の家庭料理』全16巻(農山漁村文化協会)の2作品が選ばれました。そして、専門技術者賞には、文化としてのガストロノミーの現代的洗練を体現するその仕事が高く評価された、「エスキス」エグゼクティブシェフ リオネル・ベカ氏が選定され、同財団より表彰を受けました。
名 称 : 第13回辻󠄀静雄食文化賞 贈賞式
日 時 : 2022年7月24日(日) 14:00~15:00
場 所 : ①エコール 辻󠄀 大阪(辻󠄀調グループ) 1Fカレッジホール (大阪市阿倍野区松崎町3-16-3)
②オンライン中継 (Zoomウェビナー)
出席者: ■第13回辻󠄀静雄食文化賞 受賞作
『中国料理の世界史―美食のナショナリズムをこえて』著者 岩間 一弘氏
『全集 伝え継ぐ 日本の家庭料理』企画・編集 一般社団法人日本調理科学会/香西 みどり氏
■第13回辻󠄀静雄食文化賞 専門技術者賞
「エスキス」 エグゼクティブシェフ リオネル・ベカ氏
■辻󠄀静雄食文化賞 選考委員会
石毛 直道 (選考委員長)
門上 武司 (専門技術者賞小委員会委員) ※体調不良により欠席
■主催代表
辻󠄀 芳樹 (公益財団法人辻󠄀静雄食文化財団代表理事)
主 催 : 公益財団法人辻󠄀静雄食文化財団
後 援 : 学校法人辻󠄀料理学館 辻󠄀調理師専門学校
第13回辻󠄀静雄食文化賞 受賞作・受賞者コメント |
<第13回 辻󠄀静雄食文化賞>
■岩間 一弘氏/『中国料理の世界史―美食のナショナリズムをこえて』著者「この度はこのような賞をいただき、食文化の先生方、先輩方に評価していただけたことを大変嬉しく思います。研究しているとすぐに石毛先生の文献に当たり、すでに何か答えを出されていることが多いです。本日の講評のひと言ひと言を大変ありがたく聞いておりました。私は料理に関わるストーリーや料理が社会や政治と関わるところに焦点を当てながら歴史を論じるという研究をしています。私の研究と料理の共通点として、“食材探し”は“資料探し”、“食材を活かした料理”は“資料を活かした論述”、“おいしくてヘルシーに”は“面白くしかし正確に”、などと言えるのではないかと思います。私自身、大学教員としてそろそろ次世代の教育に力を注がなければいけないと自覚していますが、今回の賞については二度目の学位をいただいたような気持ちです。これを起点に、また研究を深めていきたいと決意を新たにしております。そして今回の受賞で私以上に周りの人たちがこの賞を喜んでくれたことが何より幸せでした。ありがとうございました。」
【贈賞理由】
中国と世界の様々な場所を大きな視点でとらえ、近現代の中国における料理の変化とその世界的広まりを一望した野心的大作で、類書がない。中国語、英語、韓国語の近年の文献にも幅広く目配りしており、今後のこの分野の研究の進展への期待を抱かせる。
【作品について】
近現代の政治、経済、社会のうねりが中国の料理をいかに変化させたか、また国と国や地域の関係とそれに伴う人の移動を通して、中国料理がいかに世界に広まっていったかを総合的に叙述した作品。扱う地域は、シンガポール、マレーシア、ベトナム、韓国、インド、日本などアジア各国から、アメリカ、イギリス、フランスなど欧米各国、ペルー、ブラジルなど南米、オーストラリアまで広範囲に及ぶ。
■香西 みどり氏/『全集 伝え継ぐ 日本の家庭料理』(全16巻)企画・編集(一般社団法人日本調理科学会)
「この度は栄えある賞をいただきありがとうございました。この受賞は学会にとって大変光栄であり、食文化研究に関心の高い学会員にとっても今後の励みになると思います。昭和40年前後に地域に定着していた家庭料理、地域の人が次世代以降に作ってほしいと願っている料理を対象とし、多くの方と交流を深めながら貴重な記録を残すことができました。全国に分散する学会員約360名が聞き書き調査を行い、毎号600名以上の方にご協力をいただくという一大事業に関われたことを嬉しく思います。調理文化の地域性を明らかににするために長年蓄積してきた情報を、出版物を通して全国に共有できることは食文化の地域性の共有化になると思います。本書は日本の食文化を次世代に伝え継ぐという大切な作業を社会全体でやっていく、その一助になればと心から願っています。この受賞はそういう意味でも大変意義あるものであり、重ねて感謝申し上げます。」
【贈賞理由】
このまま誰も記録しなければ失われてしまうものを残そうという、強い使命感に支えられた、大変貴重な仕事である。地方まで画一化が進む今日、食に見られる多様性を読者に訴えかけ、それを大切にしたいと感じさせる力を持つ、質の高い本づくりも評価したい。
【作品について】
「100年先もふるさとの味が残ってほしい」という思いから、2012年以降、日本調理科学会は家庭料理の全国的聞き書き調査を実施してきた。その研究の成果の中から、1960~70年代までに地域に定着していた家庭料理で、次世代にも作ってほしいと思う約1400品を選んだ。それらを「すし」「野菜のおかず」「行事食」など16のテーマに分け、実際に再現可能なレシピの形で収録したのが、カラービジュアル版の本シリーズである。
<第13回 辻󠄀静雄食文化賞 専門技術者賞>
■リオネル・ベカ氏 (Lionel Beccat)/「エスキス」エグゼクティブシェフ
「この度の受賞を大変光栄に思います。とりわけ辻󠄀静雄氏の名前を冠したこの賞をいただいたことに、私自身感動しています。辻󠄀静雄という名前は私の国フランスの料理界でもよく知られ、彼の偉業は今でも称賛され続けているからです。日本とフランス、2つの国の文化交流と、私たちの共通の宝である料理文化という遺産の保存、その2つのプリズムを通して私がこの賞をいただいたことは大きな誇りであり、私の心に強く響いています。私は責任のある料理、良識のある料理、歴史とテロワール、手仕事を大切にする料理を目指しています。そして何より、自分の仕事を愛し、美しいもの、心を動かすものを味に変換することを大切にしています。エスキス開店当初から私とともに歩んでくれたスタッフ全員と、全国の生産者、器の職人の皆さまに感謝申し上げます。そしてフランス料理を作っているシェフの皆さんとともに、この時代に料理を作れることを幸せに思います。本日はありがとうございました。」
【贈賞理由】
異なる文化の中に身を置いて、様々な食材や技法、人々と出会い、学び続けることを通して触発された思索と、高度な技術が生んだその優しい料理は、食べる人の心に響く。文化としてのガストロノミーの現代的洗練を体現するその仕事を、高く評価したい。
エスキス
https://www.esquissetokyo.com/
〒104-0061 東京都中央区銀座5-4-6 ロイヤルクリスタル銀座9F
辻󠄀静雄食文化賞とは・・・ |
日本の食文化の幅広い領域に注目し、よりよい「食」を目指した目覚しい活動を通じ、新しい世界を築き上げた作品、もしくは個人・団体の活動を対象に選考し、これに賞を贈るもの。また特別部門として専門技術者賞を設け、調理や 製菓等の現場で活躍する技術者を顕彰する。辻󠄀調グループ創設者・辻󠄀静雄の食文化普及の活動を記念し、またその志を受け継ぎ、食文化の多様で豊かな発展に寄与することを目的として、2010年に辻󠄀調グループ創立50周年記念事業として創設された。以後、毎年実施。
(公式サイト) https://tsujishizuo.or.jp/award/第13回辻󠄀静雄食文化賞 選考委員会 (敬称略)
委員長: 石毛直道(国立民族学博物館名誉教授、文化人類学者)
委員 : 鹿島茂(フランス文学者)
湯山玲子(著述家、プロデューサー)
福岡伸一(青山学院大学教授、分子生物学者)
辻󠄀芳樹(辻󠄀調グループ代表、辻󠄀調理師専門学校校長)
八木尚子(辻󠄀静雄料理教育研究所副所長)
第13回辻󠄀静雄食文化賞 小委員会 (敬称略)
委員 : 犬養裕美子(レストランジャーナリスト)
門上武司(「あまから手帖」編集顧問
君島佐和子(フードジャーナリスト)
柴田泉(フードジャーナリスト)
戸田顕司(日経ナショナル ジオグラフィック 社長補佐)
長沢美津子(朝日新聞編集委員)
林由香(株式会社KADOKAWA 海外事業局 海外事業統括部 編集)
山田健(サントリーホールディングス株式会社 サスティナビリティ経営推進本部チーフスペシャリスト)
淀野晃一(「月刊専門料理」編集長)
山内秀文(元辻󠄀静雄料理教育研究所研究顧問)
八木尚子(辻󠄀静雄料理教育研究所副所長)
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