情報通信業の新入社員、”成長意欲”が高い傾向・「専門職志向」が3割超、「管理職志向」を上回る

2024年新入社員意識調査(業界別編/情報通信業)

ALL DIFFERENT株式会社

累計13,000社400万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(旧株式会社ラーニングエージェンシー 所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞﨑大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は2024年3月28日~4月30日、2024年入社の新入社員4,761人を対象に「新入社員意識調査」を行いました。本レポートでは、情報通信業の新入社員の傾向や特徴について、調査・分析した結果を公表いたします。

背景

情報通信業は、AIの発達によるIT技術の高度化や、loT及びビッグデータ化など、第4次産業革命ともいえる技術革新の時代に対応するため、事業領域の拡大や企業競争の激しさが増しています。新しいビジネスの担い手となるIT人材は不足しており、今後もますます深刻化するとも言われています。企業では、競争力強化に資する優秀な人材を獲得するため、多様な働き方や雇用体系を取り入れ、差別化を図る動きも見られています。

このようなデジタル産業の活性化に対する課題と期待が入り混じる中、情報通信業へ入社をした、“アフターコロナ第1世代”の今年の新入社員は、どのような価値観やキャリア志向を持っているのでしょうか。

【2024年度 新入社員意識調査一覧】

2024年4月22日公開 新入社員意識調査(速報値版)https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20240422.pdf 

2024年6月27日公開 新入社員意識調査(業界別編・製造業)https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20240627.pdf

調査結果の概要

  1. 仕事で成し遂げたいこと「安定した生活」「自分の成長」が他業種より高く、6割超

  2. 「成長につながる仕事をしたい」他業種より7.7ポイント高く、5割超

  3. 成長には仕事体験だけでなく、「フィードバックが必要」と6割近くが回答

  4. 理想の上司像「間違いを指摘してくれる」58.6%、「仕事やキャリアの悩みを相談できる」46.9%

  5. 今後のキャリア「専門性を極め、プロフェッショナルになりたい」がトップで32.4%

  6. 「今の会社で働き続けたい」他業種より1割低く約50%、転職意向は他業種より高く17.0%

調査結果の詳細

1.仕事で成し遂げたいこと「安定した生活」「自分の成長」が他業種より高く、6割超

はじめに、情報通信業の新入社員に、これからの仕事で何を成し遂げたいか質問したところ、「安定した生活を送りたい」がトップで68.8%。次いで「自分を成長させたい」が61.4%、「家族に恩返しをしたい」が41.3%となりました。情報通信業を除く全業種(以下、『他業種』と記載)と比較をすると、「安定した生活を送りたい」は4.2ポイント、「自分を成長させたい」は6.7ポイント高くなりました。(図1)

2.「成長につながる仕事をしたい」他業種より7.7ポイント高く、5割超

今後どのような仕事をしていきたいかを聞くと、「楽しくてやりがいのある仕事」が67.1%、「自身の成長につながる仕事」が52.5%、「自分のペースでやり切れる仕事」が38.5%という結果となりました。

他業種と比較をすると、2位だった「自身の成長につながる仕事」は7.7ポイント高くなり、成長を重視する傾向が見られました。また、「自分のペースでやり切れる仕事」においても、回答割合が他業種より6.2ポイント高い結果となりました。(図2)

3.成長には仕事体験だけでなく、「フィードバックが必要」と6割近くが回答

次に、成長意欲の高い情報通信業の新入社員が考える、成長するために必要なものについて聞きました。結果、「仕事を通じた成功体験」が65.8%、「上司や先輩からの事後のフィードバック」が58.7%、「仕事を通じた失敗体験」が58.0%となりました。他業種と比較すると、他業種では3位だった「上司や先輩からの事後のフィードバック」が2位にランクインしており、4.2ポイント高い結果となりました。仕事の体験だけでなく、他者の意見も積極的に取り入れようとする姿勢が見受けられました。(図3)

4.理想の上司像「間違いを指摘してくれる」58.6%、「仕事やキャリアの悩みを相談できる」46.9%

仕事の体験だけでなく、上司や先輩からのフィードバックを求めている彼らは、どのような上司が成長につながる理想の上司と考えているのでしょうか。結果、「間違いを指摘して正してくれる」が58.6%となりました。次いで、「仕事やキャリアの悩みを相談できる」が46.9%、「自分のことをよく見てくれ、声をかけてくれる」が42.3%となり、他業種よりそれぞれ8.4ポイント、1.8ポイント高い結果となりました。(図4)

5.今後のキャリア「専門性を極め、プロフェッショナルになりたい」がトップで32.4%

最後に、キャリア志向や転職意向など、将来について質問しました。

まず、将来どのような役割を担いたいか質問したところ、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい<専門家>」がトップで32.4%となり、他業種よりも5.5ポイント高い結果となりました。一方、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」・「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」の2項目においては他業種よりも割合が低くなりました。(図5)

6.「今の会社で働き続けたい」他業種より1割低く約50%、転職意向は他業種より高く17.0%

入社した企業で働き続けたいか質問したところ、「できれば今の会社で働き続けたい」と回答した割合は最も高く52.4%でしたが、他業種よりは11.1ポイント低い結果となりました。「そのうち転職したい」は他業種より4.4ポイント高く17.0%、「分からない」は5.8ポイント高く21.6%という結果となりました。(図6)

まとめ

本調査では、2024年に情報通信業へ入社した新入社員の価値観やキャリア志向を分析しました。今回の調査では、6割の新入社員が「自己成長」を仕事で成し遂げたいと回答し、成長意欲を他業種よりも強く持っていることがわかりました。成長のためには、実際の業務を体験するだけでなく、フィードバックしてくれる、あるいは仕事や将来のキャリアについても相談できる上司の存在を求めていることがわかりました。移り変わりが激しい情報通信業界で、成長するための強い意欲と、将来の不透明さによる不安が垣間見えました。

将来のキャリア志向は、「専門性を極めたプロフェッショナル」がトップで32.4%、「組織を率いるリーダー」が2位で24.4%となり、半数以上が今後のキャリアの方向性をすでにイメージしていることがわかりました。長期の勤続意向を持つ新入社員は約半数となり、転職を視野に入れている新入社員が他業種よりも多い傾向がみられました。自身の専門性を極め、理想のキャリアを実現したいという意思は強く持ちながらも、必ずしも入社した企業のみでキャリアを実現していきたいと考えているわけではないことを、企業は認識しておく必要があるでしょう。

【情報通信業専門】組織開発・人材育成コンサルタントの考察

本調査結果より、情報通信業の新入社員は他業界と比較して、成長意欲が高い傾向がある一方、入社した企業で長く働き続けたいと考える割合が低い傾向があることがわかりました。このような傾向を持つ情報通信業の新入社員に対して、組織として取り組むべき点を二つご紹介いたします。

 一つは、成長意欲に応えられるような、やりがいを感じることができる業務アサインをすることです。任せる業務は場当たり的に選定するのではなく、本人の成長につながるように意図的・計画的・継続的に任せることが必要です。また、任せた業務のプロセスや成果に対する上司や先輩からフィードバックも必要不可欠です。適切なフィードバックは本人の内省する力を鍛え、成長へと導きます。

もう一つは、働き続けたいと思えるような職場づくりをすることです。働きやすい場所や環境が用意されていることはもちろんですが、それ以外に見過ごせないのが、良い人間関係を構築できる風土を築き上げることです。お互いの学びや経験を共有し、良い行動を賞賛・感謝することが当たり前の風土になっているかが重要であり、そのような職場づくりが実現できれば、新入社員は他社にはない“自社ならではの魅力”を感じるようになります。

上記二つの観点で取り組みを見直すことで、新入社員に成長を感じてもらいながら、入社した企業で働き続けていきたいという想いを持ってもらえることが期待できます。ぜひ一度、新入社員育成に携わる皆様で現在の育成施策の改善点がないか、今年度の新入社員に合う内容にアップグレードできているか、話し合ってみることをお勧めします。

組織開発コンサルティング本部

情報通信業チーム チームリーダー 兼 マネジャー

柴田 拓

研修講師として年間60回程度登壇し、若手~管理職まで幅広くテーマを担う。

現在は情報通信業界チームの統括リーダーとして、組織目標達成に向けた戦略立案、部下育成に従事。

また、営業企画室長として全社の業績向上に向けた標準化、仕組み化にも取り組む。

調査概要

調査対象者

当社が提供する新入社員研修に参加した2024年入社の新入社員

調査時期

2024年3月28日~2024年4月30日

調査方法

Web・マークシート記入式、または自記式でのアンケート調査

サンプル数

4,761人

属性

(1)業種

農業、林業 10人(0.2%)

漁業 3人(0.1%)

鉱業、採石業、砂利採取業 6人(0.1%)

建設業 334人(7.0%)

製造業 817人(17.2%)

電気・ガス・熱供給・水道業 90人(1.9%)

情報通信業 1090人(22.9%)

運輸業、郵便業 249人(5.2%)

卸売業、小売業 305人(6.4%)

金融業、保険業 244人(5.1%)

不動産業、物品賃貸業 209人(4.4%)

学術研究、専門・技術サービス業 217人(4.6%)

宿泊業、飲食サービス業 31人(0.7%)

生活関連サービス業、娯楽業 79人(1.7%)

教育、学習支援業 36人(0.8%)

医療、福祉 69人(1.5%)

複合サービス業 91人(1.9%)

サービス業(ほかに分類されないもの)355人(7.5%)

公務 14人(0.3%)

その他 379人(8.0%)

分からない 127人(2.7%)

BLANK 9人(0.2%)

(2)企業規模

~50名271人(5.7%)

51名~100名 567人(11.9%)

101名~300名 1499人(31.5%)

301名~1,000名 736人(15.5%)

1,001名~5,000名 824人(17.3%)

5,001名以上 570人(12.0%)

わからない 285人(6.0%)

BLANK 14人(0.3%)

*本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「新入社員意識調査(業界別編・情報通信業)」】と明記ください

*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています

*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます

ラーニングイノベーション総合研究所

人と組織の未来創りに関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。

ALL DIFFERENT株式会社

ALL DIFFERENT株式会社

組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。

《沿革》
2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更

代表取締役社長 眞﨑 大輔
本社所在地   〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社      中部支社、関西支社
人員数     316名(2024年4月1日時点)
事業      組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス    定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」/IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」
経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL       https://www.all-different.co.jp/corporate

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会社概要

ALL DIFFERENT株式会社

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URL
https://www.all-different.co.jp/corporate
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町ITOCiA(イトシア) オフィスタワー15F〔受付〕・17F・18F
電話番号
03-5222-5111
代表者名
眞﨑 大輔
上場
未上場
資本金
-
設立
2006年02月