J.D. パワー 2022年米国自動車保険事故対応満足度調査℠
~修理時間の増加に伴い、保険会社は保険金請求プロセスでの期待値コントロールに苦慮〜
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である J.D. Power(本社:米国ミシガン州 トロイ)は、現地時間10月27日に、J.D. Power 2022 U.S. Auto Claims Satisfaction StudySM(J.D. パワー 2022年米国自動車保険事故対応満足度調査℠)の結果を発表した。
本調査は、年に1回、直近6ヵ月以内に自動車保険の請求手続きを完了した契約者を対象に、保険会社への保険金請求・保険金受取手続き等に対する満足度を測定している。
自動車保険業界にとって、時代は厳しい。自動車衝突事故の件数はコロナ禍前の水準に戻りつつあり、過去最高水準の修理費、修理工場での歴史的に長い待ち時間、交換部品の入手制限が相まって、事故後の自動車の修理にこれまで以上に費用と時間がかかっている。
本年調査によると、自動車保険会社の事故対応に対する不満が高まっていることが明らかになった。顧客満足度は顧客の事故対応プロセスに対する寛容度が低下し始めたことから、2021年から-7ポイント低下した(1,000ポイント満点)。
2022年調査の主なポイントは以下の通り:
歴史的に遅い修理プロセスが顧客満足度に影を落とす
自動車保険の請求プロセスに対する今年の総合満足度は、前年より-7ポイント低下し873ポイントとなった。ほぼすべてのファクターで満足度が低下し、特に「修理プロセス」に対する満足度は前年比で-9ポイント低下した。
今回初めて、自動車の修理が遅れる理由として、過半数の顧客が、注文した部品の待ち時間や修理工場での待ち時間の長さといったサプライチェーンの問題を挙げた。修理期間の平均日数は、コロナ禍前の約12日から約17日に増加した。
顧客の期待値コントロールが顧客満足度向上への鍵
修理期間が3週間を超えた顧客の総合満足度の平均スコアは837ポイントであったが、事前に修理期間を的確に提示した場合にはこのスコアは+71ポイントの908ポイントへと大幅に向上した。
特に、質問があったり、最新情報が必要であったり、次のステップを決めようとしたりするなど、顧客がより多くの労力を必要とする長期間の保険金請求に対しては、プロセス全体を通じて親身に対応することが重要となる。
保険金請求対応は一律ではない
修理費の高騰は保険会社の収益性を圧迫しており、コスト管理を強化する必要性が高まっている。このため、顧客との関係を効率的に管理するための重要なツールとして、デジタルチャネルが注目されているが、すべての顧客がそのようなチャネルの利用を望んでいるわけではない。実際、顧客の34%は、デジタルチャネルを利用するよりも対人チャネルを強く希望すると回答した。このような顧客は、対人とデジタルの両チャネルを同じように使いこなすことができる顧客と比較し満足度が-31ポイント低く、顧客体験が著しく悪くなっている。
デジタルチャネルの正しい使い方の理解は重要だが容易ではない
すべてのデジタル体験が同じように作られるわけではない。デジタルチャネルを使って事故対応の状況報告をした場合、総合満足度は+56ポイント上昇し、特にテキストメッセージを使った場合に満足度が最も高くなった。しかし、最初の損害発生通知(FNOL)の報告に、インターネットやモバイルアプリといったデジタルチャネルが用いられた場合、総合満足度は-4ポイント低下した。
担当者間の連携が重要
自動車保険の請求プロセスにおいてよく生じる不満は、様々な段階で異なる担当者に同じ情報を繰り返し提供する必要があることである。保険金請求のプロセスで3人以上の担当者とやり取りをした場合、総合満足度は最も低く(840ポイント)、前年比-13ポイント低下した。保険会社がSTP(ストレート・スルー・プロセッシング)*¹を使って自動的に保険金請求の承認手続きを行っている場合、満足度スコアは最も高く(912ポイント)、前年から横ばいで推移している。
*¹ 保険金請求の一連の過程が、人手を介しないですべて電子的なネットワークを通じて行われること。
J.D. パワー グローバル・インシュアランス・インテリジェンス部門ディレクター マーク・ギャレットのコメント
「保険会社は、収益性の逼迫に加え、様々な外的要因により保険金請求の体験全体に対して顧客がますます幻滅していることにより、窮地に立たされている。保険会社の今後の方針として最善なのは、請求プロセスを通じて顧客を導く際に、顧客の期待値を慎重にコントロールし、デジタル・エンゲージメント戦略の微調整に注力することである。
本年調査の中で1つだけ良い結果がある。それは、タイミングへの期待をコントロールし、顧客に迅速に対応し、かつ修理状況の更新に複数のデジタルチャネルを提供している保険会社は業界平均を上回る成果を上げており、中には前年比で改善している会社もあるということである。」
顧客満足度ランキング
第1位:Amica Mutual(アミカ)(903ポイント)
第2位:NJM Insurance Co.(NJM)(896ポイント)
第3位:Erie Insurance(エリー)(893ポイント)
年に1回、直近6ヵ月以内に自動車保険の請求手続きを完了した自動車保険契約者を対象に、契約先保険会社へ
の保険金請求・保険金受取手続き等に対する満足度を聴取し明らかにする調査。
今回の調査は15回目*² 、リニューアル後2回目の実施となる。
*² 2008年から顧客満足度ランキングを公表。2007年にランキングのない調査を実施している。
■実施期間:2021年11月~2022年9月
■調査方法:インターネット調査
■調査対象: 調査実施前の6ヵ月間に保険金受取を行った自動車保険加入者。ただし、窓ガラス/フロントガラ
スのみの損傷や盗難に遭った場合のほか、ロードサービスのみを利用した場合は対象外。
■調査回答者数:8,239人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価
を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対す
る影響度が大きい順に、「保険金支払」(26%)、「損害発生通知」(24%)、「顧客対応」(23%)、
「損害査定プロセス」(15%)、「修理プロセス」(8%)、「代車/レンタカーサービス」(5%)となって
いる。
*本報道資料は、現地時間 2022年10月27日に米国で発表されたリリースを要約したものです。
原文リリースはこちら
https://www.jdpower.com/business/press-releases/2022-us-auto-claims-satisfaction-study
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。
J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者のインサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
本調査は、年に1回、直近6ヵ月以内に自動車保険の請求手続きを完了した契約者を対象に、保険会社への保険金請求・保険金受取手続き等に対する満足度を測定している。
自動車保険業界にとって、時代は厳しい。自動車衝突事故の件数はコロナ禍前の水準に戻りつつあり、過去最高水準の修理費、修理工場での歴史的に長い待ち時間、交換部品の入手制限が相まって、事故後の自動車の修理にこれまで以上に費用と時間がかかっている。
本年調査によると、自動車保険会社の事故対応に対する不満が高まっていることが明らかになった。顧客満足度は顧客の事故対応プロセスに対する寛容度が低下し始めたことから、2021年から-7ポイント低下した(1,000ポイント満点)。
2022年調査の主なポイントは以下の通り:
歴史的に遅い修理プロセスが顧客満足度に影を落とす
自動車保険の請求プロセスに対する今年の総合満足度は、前年より-7ポイント低下し873ポイントとなった。ほぼすべてのファクターで満足度が低下し、特に「修理プロセス」に対する満足度は前年比で-9ポイント低下した。
今回初めて、自動車の修理が遅れる理由として、過半数の顧客が、注文した部品の待ち時間や修理工場での待ち時間の長さといったサプライチェーンの問題を挙げた。修理期間の平均日数は、コロナ禍前の約12日から約17日に増加した。
顧客の期待値コントロールが顧客満足度向上への鍵
修理期間が3週間を超えた顧客の総合満足度の平均スコアは837ポイントであったが、事前に修理期間を的確に提示した場合にはこのスコアは+71ポイントの908ポイントへと大幅に向上した。
特に、質問があったり、最新情報が必要であったり、次のステップを決めようとしたりするなど、顧客がより多くの労力を必要とする長期間の保険金請求に対しては、プロセス全体を通じて親身に対応することが重要となる。
保険金請求対応は一律ではない
修理費の高騰は保険会社の収益性を圧迫しており、コスト管理を強化する必要性が高まっている。このため、顧客との関係を効率的に管理するための重要なツールとして、デジタルチャネルが注目されているが、すべての顧客がそのようなチャネルの利用を望んでいるわけではない。実際、顧客の34%は、デジタルチャネルを利用するよりも対人チャネルを強く希望すると回答した。このような顧客は、対人とデジタルの両チャネルを同じように使いこなすことができる顧客と比較し満足度が-31ポイント低く、顧客体験が著しく悪くなっている。
デジタルチャネルの正しい使い方の理解は重要だが容易ではない
すべてのデジタル体験が同じように作られるわけではない。デジタルチャネルを使って事故対応の状況報告をした場合、総合満足度は+56ポイント上昇し、特にテキストメッセージを使った場合に満足度が最も高くなった。しかし、最初の損害発生通知(FNOL)の報告に、インターネットやモバイルアプリといったデジタルチャネルが用いられた場合、総合満足度は-4ポイント低下した。
担当者間の連携が重要
自動車保険の請求プロセスにおいてよく生じる不満は、様々な段階で異なる担当者に同じ情報を繰り返し提供する必要があることである。保険金請求のプロセスで3人以上の担当者とやり取りをした場合、総合満足度は最も低く(840ポイント)、前年比-13ポイント低下した。保険会社がSTP(ストレート・スルー・プロセッシング)*¹を使って自動的に保険金請求の承認手続きを行っている場合、満足度スコアは最も高く(912ポイント)、前年から横ばいで推移している。
*¹ 保険金請求の一連の過程が、人手を介しないですべて電子的なネットワークを通じて行われること。
J.D. パワー グローバル・インシュアランス・インテリジェンス部門ディレクター マーク・ギャレットのコメント
「保険会社は、収益性の逼迫に加え、様々な外的要因により保険金請求の体験全体に対して顧客がますます幻滅していることにより、窮地に立たされている。保険会社の今後の方針として最善なのは、請求プロセスを通じて顧客を導く際に、顧客の期待値を慎重にコントロールし、デジタル・エンゲージメント戦略の微調整に注力することである。
本年調査の中で1つだけ良い結果がある。それは、タイミングへの期待をコントロールし、顧客に迅速に対応し、かつ修理状況の更新に複数のデジタルチャネルを提供している保険会社は業界平均を上回る成果を上げており、中には前年比で改善している会社もあるということである。」
顧客満足度ランキング
第1位:Amica Mutual(アミカ)(903ポイント)
第2位:NJM Insurance Co.(NJM)(896ポイント)
第3位:Erie Insurance(エリー)(893ポイント)
《J.D. パワー 2022年米国自動車保険事故対応満足度調査℠概要》
年に1回、直近6ヵ月以内に自動車保険の請求手続きを完了した自動車保険契約者を対象に、契約先保険会社へ
の保険金請求・保険金受取手続き等に対する満足度を聴取し明らかにする調査。
今回の調査は15回目*² 、リニューアル後2回目の実施となる。
*² 2008年から顧客満足度ランキングを公表。2007年にランキングのない調査を実施している。
■実施期間:2021年11月~2022年9月
■調査方法:インターネット調査
■調査対象: 調査実施前の6ヵ月間に保険金受取を行った自動車保険加入者。ただし、窓ガラス/フロントガラ
スのみの損傷や盗難に遭った場合のほか、ロードサービスのみを利用した場合は対象外。
■調査回答者数:8,239人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価
を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対す
る影響度が大きい順に、「保険金支払」(26%)、「損害発生通知」(24%)、「顧客対応」(23%)、
「損害査定プロセス」(15%)、「修理プロセス」(8%)、「代車/レンタカーサービス」(5%)となって
いる。
*本報道資料は、現地時間 2022年10月27日に米国で発表されたリリースを要約したものです。
原文リリースはこちら
https://www.jdpower.com/business/press-releases/2022-us-auto-claims-satisfaction-study
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。
J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者のインサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
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