J.D. パワー 2023年米国個人資産運用<フルサービス型>顧客満足度調査℠
~市場パフォーマンスの悪化に伴い、投資家の満足度は低下〜
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である J.D. Power(本社:米国ミシガン州 トロイ)は、現地時間4月4日に、J.D. Power 2023 U.S. Full-Service Investor Satisfaction Study℠(J.D. パワー 2023年米国個人資産運用<フルサービス型*¹>顧客満足度調査℠)の結果を発表した。本調査は、米国フルサービス投資家向けの資産運用サービスについて聴取したもので、証券会社に対する満足度を測定している。
*¹ 専任のファイナンシャル・アドバイザーやチームでの対応・アドバイスを受けることが可能な個人向け資産運用サービス。
包括的なアドバイスやカスタマイズされたファイナンシャル・プランニングの欠如により、投資家の満足度は市況頼み
2022年はウォール街にとって2008年以来の最悪の年となり、S&P 500は20%近く下落した。本調査によると、この不況を反映して、総合満足度は前年比でー17ポイント(1,000ポイント満点)となった。個人資産運用顧客の満足度が市況頼みとなってしまう関係性は資産運用業界の課題を浮き彫りにしている。
2023年調査の主なポイントは以下の通り:
フルサービス投資家の満足度は急降下
総合満足度は727ポイントとなり、前年比でー17ポイント低下した。この結果は、投資家の満足度が株式市場のパフォーマンスと連動するという長期的なトレンドと一致している。このトレンドは、サービスの中核となる価値提供が出来ていないアドバイザーが多いことを示唆している。デジタル変革や投資家の行動パターンの変化という重荷の下で既に苦境に立たされている業界の将来にとって、良い兆候とはならないだろう。
包括的なアドバイスを提供しているアドバイザーはごく一部
J.D. パワーでは、あらゆる金融や資産管理のニーズに対応したパーソナライズされた提案を「包括的なアドバイス」と定義している。包括的なアドバイスを提供するためには、アドバイザーが顧客のライフスタイルと目標を深く理解し、顧客の利益を第一に考え、ファイナンシャル・プランを提案し、支払い手数料について顧客が理解しているかを確認し、そして顧客の人生に不可欠な存在となることが必要である。
現在、このようなレベルのアドバイスを提供しているアドバイザーは、わずか11%に過ぎない。それ以外のアドバイザーが提供するのは、トランザクショナル・アドバイス*²(42%)もしくは、ゴールベース・アドバイス*³(47%)である。
*² トランザクショナル・アドバイス:個人向けにカスタマイズされたアドバイスではなく、個別の取引(トランズアクション)をベースに行うアドバイスを指す。
*³ ゴールベース・アドバイス:投資家個人の目標(ゴール)に基づき行うアドバイスを指す。
半数以上の顧客がファイナンシャル・プランを持つ
顧客の57%がファイナンシャル・プランを持っていると回答したが、そのうち、包括的なアドバイスを受けていると答えた顧客は56%にとどまった。さらに、ファイナンシャル・プランを持つ顧客のうち、32%はアドバイザーが自身の利益になるようなアドバイスを提供していないと感じており、29%はアドバイザーが自身の資産運用の目標やニーズを理解していないと感じていると回答した。
若年層の顧客は、不満を行動に移す準備ができている
全世代中、ミレニアル世代*⁴ とZ世代*⁴ の顧客は、今後1年以内に資産運用会社を変更する可能性が最も高く、すでに2社目の資産運用会社と取引している可能性も最も高い。これらの若年層の顧客の3割弱(27%)が、投資会社を「必ず」または「おそらく」変更すると回答し、49%が2社目の資産運用会社と取引していると回答した。
*⁴ J.D. パワーでは、1946年より前に生まれた人をプレブーマー世代、1946-1964年に生まれた人をブーマー世代、1965-1976年に生まれた人をX世代、1977-1994年に生まれた人をY世代、1995-2004年に生まれた人をZ世代と定義している。Y世代の中で、特に1982-1994年に生まれた人をミレニアル世代と定義している。
J.D. パワー ウェルスソリューション部門 部門長 トム・リーマンのコメント
「アドバイザーに対する満足度は市場全体のパフォーマンスと連動し続けており、このことは、アドバイザーの根源的な価値が投資パフォーマンスに依存したものになっているという、この業界の体系的な問題を示している。アドバイザーは市場の浮き沈みをコントロールすることは出来ないが、優れたアドバイザーは、顧客にとって最善の将来設計を支援し、どのような市場環境でも輝くような包括的なアドバイスという形で価値提供をするはずである。」
顧客満足度ランキング
第1位:Charles Schwab(チャールズ・シュワブ)(752ポイント)
第2位:UBS(741ポイント)
第3位:Fidelity (フィデリティ)(740ポイント)
《J.D. パワー 2023年米国個人資産運用<フルサービス型*¹>顧客満足度調査℠概要》
年に1回、米国のフルサービス投資家を対象に、証券会社に対する満足度を聴取し明らかにする調査。
今回で21回目の実施となる。
■実施期間:2022年10月~2023年1月
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:投資決定の一部または全部をファイナンシャル・アドバイザーと行う投資家
■調査回答者数:6,168人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「信頼性」(19%)、「顧客対応(対人チャネル)」(18%)、「商品・サービス」(15%)、「手数料」(14%)、「資産管理 の利便性(方法・時間)」(14%)、「問題解決」(12%)、
「顧客対応(デジタルチャネル)」(9%)の7ファクターとなっている。
*本報道資料は、現地時間 2023年4月4日に米国で発表されたリリースを要約したものです。
原文リリースはこちら
https://www.jdpower.com/business/press-releases/2023-us-full-service-investor-satisfaction-study
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。
J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。
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