【調査レポート】DX推進は進むが、人材育成は後手。「経営層の意識」と「現場の実態」のギャップが浮き彫りに
DX/AX時代のデジタル人材育成には、評価やROIの可視化、ロードマップ設定の強化が必須

シナジーマーケティング株式会社(所在地:大阪市北区、代表取締役社長:奥平博史、以下:当社)は、全国の経営者・役員300名を対象に「DX推進における人材育成とマーケティングスキルに関する意識調査」を実施しました。
本調査では、DX推進が経営の最重要課題として位置づけられる一方で、実行を担う人材への投資は後回しになりがちであるという、「経営層の意識」と「現場の実態」のギャップが明らかになりました。多くの企業がデジタル人材育成に取り組むものの、その費用対効果を十分に把握できていないケースも多く、戦略的な投資判断や長期的な人材育成ロードマップの欠如が課題として浮き彫りとなっています。
さらに、生成AIの急速な普及により、「人間の判断力の低下」といった人的資質の劣化リスクも懸念されます。DX/AX(AIトランスフォーメーション)時代においては、ツールやシステムを扱うテクニカルスキルに加え、課題を発見し解決へ導く思考力など、マーケティングをドライブさせるコンセプチュアルスキルも不可欠です。
こうした背景から、企業が意識と現場のギャップを埋め、持続的にDXを推進していくためには、体系的な人材育成戦略と明確なロードマップの構築が急務であると考えられます。
【調査結果のハイライト】
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経営層の約7割がデジタル人材育成を事業戦略上重要と認識する一方、実際に戦略的に注力する企業は2割弱
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デジタル人材育成の評価指標がある、または投資対効果を把握している企業は3割弱にとどまる
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経営層が考えるマーケティング担当者の不足スキルは「生成AI活用(44.0%)」「高度データ分析(44.0%)」「顧客データ統合・活用(29.7%)」
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生成AI時代において「課題発見・解決力(48.3%)」「新技術への応用力(38.3%)」「市場対応力(32.3%)」が重要視される一方、AI活用による思考力低下リスクも懸念
【調査結果】
本調査では、DXに取り組んでいると回答した企業を対象にスクリーニングを実施。回答のうち、「全社的にDXに取り組んでいる」企業は56.7%と過半数を占めました。
注力すべき取り組みとしては、「新しいツールやシステムの導入(25.3%)」「既存システムの改善・強化(20.0%)」「データ基盤の構築(11.3%)」など、物理的な施策が半数を占める一方で、「既存社員へのリスキリング・アップスキリング(13.0%)」と、人材育成への注力は低いことがうかがえました(Q1)。

DX推進における人材育成の現状では、約半数が「DX推進と並行して進めている」と回答していますが、人材育成を最重要課題として捉えている企業は17.0%にとどまっています(Q2)。

デジタル人材育成が経営・事業戦略上重要であると回答した経営層は、「最重要項目として全社的に推進(39.0%)」「事業戦略上、部門横断的に取り組む(33.7%)」と、全体で7割を超えていました(Q3)。しかしながら、前述Q1の回答では、実際に注力している割合は13%にとどまっています。

現在実施しているデジタル人材育成については、複数回答で「自社で研修を企画・実施(38.3%)」「育成プログラムを策定・実行(35.7%)」「OJTを中心に実施(30.7%)」「eラーニングなどオンライン活用(30.0%)」と、自社内での取り組みが比較的多く見られました(Q4)。

デジタル人材育成に対する数値目標を掲げ、評価などを可視化できている企業は3割弱です。「数値目標は設定しているが評価は難しい/数値での評価ができていない(29.7%)」を加えると、約7割の企業では、デジタル人材育成に対する費用対効果が可視化されていません(Q5)。

「デジタル人材に関する課題」のトップは「人材不足(49.0%)」で、官民が公開している市場調査の結果(※1)と一致しました。そのほか、「部門間で人材育成の温度感に差がある(21.0%)」「人材育成担当者の不足(20.3%)」「最新技術への対応が遅れている(18.7%)」が続きました(Q6)。
(※1) 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2023年度)」、Gartner Japan(ガートナージャパン)「日本企業のIT人材に関する調査」など、公開されている当該関連の調査結果で「デジタル人材不足」が挙げられています。

経営層が考える、マーケティング担当者に不足している専門的な知識・技術(テクニカルスキル)は、複数回答で「生成AI活用スキル(44.0%)」「高度なデータ分析・解析スキル(44.0%)」「顧客データ統合・活用スキル(29.7%)」と続きました(Q7)。

生成AIなどの最新技術を活用するうえで、マーケティング担当者に必須となる「本質的な思考力や応用力(コンセプチュアルスキル)」は、複数回答で「データ分析による課題の発見・抽出と解決力(48.3%)」「新技術を取り入れて新しい価値を創造する応用力(38.3%)」「市場の変化に対応した情報収集・学習能力(32.3%)」が挙げられました(Q8)。

マーケティング部門におけるデジタル人材育成で注力すべき育成プログラム・手法は、複数回答で「社内研修・ワークショップの充実(46.3%)」「外部の専門家や研修、セミナーの活用(37.0%)」「eラーニング・オンライン講座の導入(32.0%)」が上位となりました(Q9)。

デジタル人材育成を加速させるために「組織として強化すべき制度」は、複数回答で「全社的なリスキリング・アップスキリング戦略の策定(43.0%)」がトップで、人材育成を戦略的に策定する重要性が意識されています。また、「最新技術(生成AIなど)に対応した専門スキル評価制度の導入(39.0%)」「部署を越えたナレッジ共有・学習コミュニティの活性化(33.3%)」「人材育成の目標と個人の評価を連動させる仕組み(32.7%)」も3割以上の回答があり、スキル・ナレッジ・共有を組織的に強化する重要性が示唆されました(Q10)。

生成AIの活用がマーケティング活動に与える弊害・課題については、複数回答で「セキュリティおよびプライバシー侵害の懸念(40.0%)」が最多でした。「自分で考える力や判断力、決断力、想像力の欠如(34.7%)」「誤情報生成によるブランド毀損リスク(30.0%)」「倫理的問題や著作権侵害のリスク(28.3%)」が続きます。セキュリティや信頼性の問題は生成AI登場以降指摘されてきましたが、最近では「AI活用による思考力の低下」リスクも懸念されていることがうかがえます(Q11)。

【考察】DX推進は進むも、人材育成の戦略的優先度は低い
経営層の約7割がデジタル人材育成を事業戦略上重要と認識している一方で、実際に戦略的に注力する企業は2割弱にとどまります。多くの企業でDX推進は進むものの、人材育成は現場対応的に進められており、戦略的優先度は低いことが示唆されます。現場対応的な人材育成は、DX推進の成果を最大化するうえで十分でない可能性があり、戦略的なリソース配分や育成ロードマップの整備が必要だと思われます。
デジタル人材育成、評価の難しさからツール導入を優先
約8割の企業が何らかの形でデジタル人材育成に取り組む一方で、成果を可視化できる企業は約3割にとどまっています。ROI評価の難しさやリソース不足などにより、人材育成は後手に回りがちで、ツール・システム導入や既存システム改善への投資が優先される傾向が示唆されます。人材育成を戦略的に強化するには、全社的な評価指標や可視化できるゴールの設定が重要であると推測できます。
テクニカルとコンセプチュアルの両軸スキル
マーケティング担当者には、「生成AI活用スキル」「高度なデータ分析スキル」といったテクニカルスキルと、「課題発見・解決力」「新技術の応用力」といったコンセプチュアルスキルの両方が求められています。AIの利便性が日常業務に浸透する一方で、人間ならではの思考力や創造力の低下リスクが顕在化している可能性があるため、両輪のスキルを同時に育成することが重要です。
今回の調査では、DXを単なるツール導入の延長ではなく、「人と技術の掛け合わせによる競争力創出」と捉え直す必要性が示唆されました。DX推進を成功させるためには、ツール・システム導入と人材育成を並行して進める体制、ROIを可視化した育成投資設計、AI時代に求められる“考える力”を育む教育体系の人材育成が鍵となってくると思われます。
【調査概要】
調査名:DX推進における人材育成とマーケティングスキルに関する意識調査
調査期間:2025年9月29日〜30日
調査対象:全国の従業員100名以上の企業を経営する経営者
回答数:300名(有効回答者数300名)
調査方法:インターネットリサーチ
実施機関:クロス・マーケティング
当社のマーケティング人材育成サービスについて
当社の「マーケティング人材育成サービス」は、「企業のなりたい姿をともに目指し、実務に直結する人材を育てる」ことを軸に、20年以上・約5,300社(※2)の支援実績をもとに設計されたプログラムです。eラーニングやワークショップ、実践研修を組み合わせ、企業の課題や成熟度に応じて最適な育成を提供します。
本サービスは「知る」「わかる」「できる/考えられる」「成果を出す」の4ステップで構成され、企業と並走しながら戦略立案から実践・評価までを一貫支援。調査で明らかになったROIの可視化不足や育成ロードマップの欠如といった課題に対応し、現場での成果につながるスキル定着を実現します。
さらに、生成AI活用が進む中で懸念される思考力や課題解決力の低下に対応し、ツール操作だけでなく「課題発見力」「応用力」などのコンセプチュアルスキルも育成。テクニカルスキルとあわせ、AI時代に求められる“考える力”を身につけることで、持続的なDX/AX推進とマーケティング内製化に強いチームづくりをサポートします。
サービスURL:
https://dx.synergy-marketing.co.jp/lp/dx/marketing_education/
(※2)2025年10月時点のSynergy!およびSynergy!LEADの累計導入社数(ECショップ・官公庁・医療業界・ホテル業界・人材派遣業界・製薬会社・保険会社・ゲーム会社・出版社など多岐にわたる)
【会社概要】
人と企業が、惹かれ合う世の中へ。
当社は、生活者と企業のより良い関係づくりのために、一歩先のデジタルマーケティング体験を提案するパートナーです。クラウドシステムの提供・コンサルティング・運用支援・人材育成サービスなどを通して、企業の継続的な成長を支援します。また、デジタルマーケティングを「広義の課題解決」と捉え、顧客理解や戦略設計といった上流領域から、社内体制の構築や人材育成に至るまで、組織が抱える本質的な課題に包括的にアプローチ。20年以上にわたりCRM市場をリードしてきた知見を活かし、お客様の現状に寄り添いながら最適な次の一手を提案し、「成果につながるマーケティング」の実現を後押しします。
名称:シナジーマーケティング株式会社
代表:代表取締役社長 兼 CEO 奥平 博史
創業:2000年9月
大阪本社:〒530-0003 大阪府大阪市北区堂島1-6-20 堂島アバンザ21F
東京本社:〒102-0083 東京都千代田区麹町6-6-2 番町麹町ビルディング5F WeWork 麹町
事業内容:デジタルマーケティング領域における、クラウドシステム・コンサルティング・運用支援・人材育成サービスの提供、およびファンメディアの運営
企業ホームページ:https://corp.synergy-marketing.co.jp/
【お客様からのお問い合わせ】
シナジーマーケティング株式会社
デジタルマーケティング支援へのお問い合わせフォーム
https://form.synergy-marketing.co.jp/webapp/form/18784_mubb_8/index.do?p=pr
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