マイナビ看護師 「看護師白書2024年度版」を発表
看護師の処遇改善、約7割の事業者が実施 ~前年比21.9ポイント増~ 看護師の64.6%がハラスメントを「受けたことがある」

株式会社マイナビ(本社:東京都千代田区、代表取締役 社長執行役員:土屋芳明)が運営する看護人材紹介サービス『マイナビ看護師』は、登録会員(看護師2,564名)および人材紹介サービスの利用実績のある事業者(492件)を対象とした、「看護師白書2024年度版」の結果を発表しました。
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【TOPICS】
◆約7割の事業者が看護師の処遇改善を実施しており、前年比21.9pt増【図1】
◆9割を超える事業者が看護師の労働環境改善・定着のための取り組みを必要としているが、その約3分の1が取り組み実施の予定・計画に至っていない【図2】
◆看護師の4割超が「患者に十分な看護が提供できていない」と感じる【図3、4】
◆約8割の看護師がこれまでの職場でハラスメントを「受けたことがある」または「見たことがある」。「上司」からのハラスメントが最多で69.7%【図5、6、7】
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【調査概要】
<事業者対象調査>
約7割の事業者が看護師の処遇改善を実施しており、前年比21.9pt増
事業者に対し、看護師の処遇改善を実施しているか聞くと、「実施している」が69.5%に達し、前年の47.6%から21.9ptの大幅増加となった。令和6年度の診療報酬改定※1では、賃上げ目標として2024年度2.5%、2025年度に2.0%のベースアップが掲げられている。看護職員の賃上げを目的とした「ベースアップ評価料」が新設されるなど、看護師の賃上げを中心とした処遇の改善が進められていることが、処遇改善実施率の増加に影響したと考えられる。【図1】
※1:厚生労働省 令和6年度診療報酬改定の概要【賃上げ・基本料等の引き上げ】
【図1】

9割を超える事業者が看護師の労働環境改善・定着のための取り組みを必要としているが、その約3分の1が取り組み実施の予定・計画に至っていない
看護師の労働環境改善・定着のために何らかの取り組み(人員の確保・勤務シフト・業務効率化・待遇改善など)を実施しているか聞くと、「実施している」が48.2%で最多だった。「取り組む必要がないので実施していない(すでに働きやすい環境である)(7.3%)」を除く、全体の92.7%が看護師の労働環境改善・定着のために何らかの取り組みが必要と考えている。一方で「取り組む必要があるが、余裕がなく実施できていない(24.0%)」や「取り組む必要があるが、大きな問題となっていないので実施していない(5.5%)」という事業者もあり、約3分の1は実施の予定・計画まで至っていないことがわかった。【図2】
【図2】

<看護師対象調査>
看護師の4割超が「患者に十分な看護が提供できていない」と感じる
看護師に現在の職場で、患者に十分な看護が提供できていると感じるか聞くと、「どちらかといえばできている」が48.9%で最多だった。一方、「どちらかと言えばできていない(33.0%)」、「できていない(11.8%)」を合わせると4割超が十分な看護の提供ができていないと感じていることがわかった。
十分な看護が提供できていないと感じる理由について「看護師が足りない」が71.6%と最多で、「看護以外の業務が多い(49.8%)」、「介護・看護補助などの職員数が足りない(44.0%)」が続いた。患者に十分な看護を提供するためには、看護師、介護・看護補助などの職員の補充に加えて、看護以外の業務効率化などが必要と考えられる。【図3、4】
【図3】

【図4】

約8割の看護師がこれまでの職場でハラスメントを「受けたことがある」または「見たことがある」。「上司」からのハラスメントが最多で69.7%
厚生労働省の調査※2では、職種を問わず直近3年間の職場でハラスメントを受けた経験は「パワハラ(19.3%)」が最多で、「セクハラ」が6.3%、「顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ)」が10.8%だった。
看護師に職場でのハラスメントの状況について聞くと、「受けたことがある」が64.6%、「他の職員が受けているのを見たことがある」が14.7%となり、全体で79.3%の看護師が職場でのハラスメントを認識している結果となった。ハラスメントを行っているのは「上司(69.7%)」が最多で、次いで「先輩(38.6%)」だった。
ハラスメントの内容を自由回答で聞くと「業務終わりに予定に無い長時間面談を個室で受けた。」や、「看護師が向いていないなどの威圧的な発言。新人への挨拶の無視の常態化」など、職場での立場を利用したパワハラや、「妊娠中のスタッフに対し“これだから妊婦は”というような発言があった。」など、女性の妊娠・出産・育児に対する「マタハラ」が多くあがった。
また、「患者・入居者・利用者」からのハラスメントも31.8%と上位にあがっており、「患者からは、殴る、蹴るなどの暴力を受けたり、ののしられる。」や、「患者から体を触られる。患者家族から過剰な要求をされる」といった、患者からのセクハラ・ペイハラ(ペイシェント・ハラスメント)に悩む看護師も一定数いることが分かった。【図5、6、7】
※2:厚生労働省 「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」
【図5】

【図6】

【図7】

【総評】

調査では、看護師の処遇改善が前年より進展していることが明らかになりました。診療報酬改定にともなうベースアップ評価料の新設や、既存制度の要件緩和など、制度面での改善が現場に届き始めている様子がうかがえます。
一方で、調査では全体の92.7%が看護師の労働環境改善の必要性を認識しているにもかかわらず、約3分の1の事業者が実施の予定・計画に至っていないという課題も浮き彫りになりました。この背景には、現場の業務逼迫によるリソース不足や、制度や支援策に関する情報・ノウハウの不足、長期的な改善が後回しになりがちな運営体制などがあると考えられます。
また、職場でのハラスメントの実態は依然として深刻ですが、「ハラスメントを許さない」という風潮は、医療の現場においても確実に高まりつつあり、少しずつ職場環境改善への取り組み促進にもつながっていると感じています。
看護師が安心して働ける環境を整えることは、患者、医療機関、そして社会全体に大きな価値があります。マイナビはこれからも現場の声に寄り添いながら、看護師が活き活きと働ける未来づくりを、皆さまとともに進めてまいります。
『マイナビ看護師』 統括部長 大西 陽介
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【調査概要】マイナビ看護師 「看護師白書2024年度版」
<看護師>
○調査期間/2025年2月4日(火)~2025年4月7日(月)
○調査方法/マイナビ看護師の登録会員に調査票の入力フォームをメールにて送信し、オンラインにて入力された回答を回収
○調査対象/看護人材紹介サービス『マイナビ看護師』登録会員
○調査機関/自社調査
○有効回答数/2,564名
<事業者>
○調査期間/2025年2月10日(月)~2025年3月4日(火)
○調査方法/調査票の入力フォームをメールにて送信し、オンラインにて入力された 回答を回収
○調査対象/マイナビ人材紹介サービスの利用実績のある事業者
○調査機関/自社調査
○有効回答数/492件
※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が100%にならない場合があります。
※調査結果の詳細はこちら
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