低抵抗ダイヤモンド基板を発売
-高ボロン濃度ダイヤモンド基板の開発に成功し製品化(2023年8月10日発売)-
ダイヤモンドは優れた物性を有しており、半導体デバイスに適用できれば、省エネルギーや機器の小型化に貢献をできると期待されています。
当社は、以前よりホウ素(ボロン)ドープエピタキシャル層(単結晶層)を形成した基板を製品化しており、多くの研究者向けに販売をしてきました。これらの技術開発実績を元に、高ボロン濃度のダイヤモンド成長する技術を開発し、低抵抗基板の製品化に成功いたしました。
1.はじめに
ダイヤモンドは優れた各種の物性を有しており、半導体デバイスに適用できれば、省エネルギーや機器の小型化等に貢献できると期待されています。その応用の一つとして、大電力を制御するパワーデバイスが有力な候補とされています。
パワーデバイスの構造としては、縦型構造が大電力を扱うのに適しています。この構造の実現には、素子から出た電流を流すことができる基板が必要で、低抵抗の基板が求められています。
当社は以前よりホウ素(ボロン)ドープエピタキシャル層(単結晶層)を形成した基板を販売してきました。このエピタキシャル層は、高キャリア移動度を特徴とし、電界効果型トランジスタ(FET)等の研究用としてたくさんの研究者に出荷しています。
当社はこれ等の技術開発実績を元に、高ボロン濃度のダイヤモンドを成長する技術を開発しました。得られた高ボロン濃度ダイヤモンドは、上記の縦型構造のパワーデバイス開発に適した低い抵抗であることが判明し、このダイヤモンドで基板を製造する技術を確立しました。
今後、パワーデバイスの開発において、縦型デバイスの研究開発が活発となると見られますので、当社はこの低抵抗基板を商品化いたしました。
2.製品の内容
高ボロン濃度ダイヤモンドの製品は以下の2種類があります。(写真1)
3.商品の特徴と応用の可能性
*自立結晶は単結晶であり、この上に単結晶ダイヤモンドを成長できます。成長するダイヤモンドの特性を制御することで、目的とするデバイス構造を製作することが可能です。また、裏面にオーミック電極を形成することによって、形成したデバイスの裏側から電流を通すことが可能です。
*高ボロン濃度エピタキシャル成長基板は、当社の通常の基板を使って作製しますので、単結晶及びモザイク結晶のいずれでも、製作できます。ただし、最大の形状は、18x18mmとなっています。また、厚さは、0.03から0.2mmの広い範囲で選択することができます。
*高ボロン濃度エピタキシャル成長基板は、ボロンドープ層を成長したままの状態で出荷しますが、表面研磨を行うことも可能です。ただし、高ボロン濃度エピタキシャル層の厚さは、0.05mm以上であることが必要です。表面の面粗さは、通常研磨ではRa<5nm、精密研磨ではRa<2nmです。
*本製品は、デバイス開発における基本的な素材としてご利用いただくことを想定しております。ボロン濃度の範囲を広げることは、今後の検討課題としております。
*ダイヤモンドが広い電気化学的窓を持つことは知られており、電気化学センサー等でご利用いただくことが可能です。
写真1:低抵抗基板の製品
表1:既存の製品との比較
■株式会社イーディーピーとは
産総研で開発した大型ダイヤモンド単結晶製造技術の事業化を目的として設立。現社長の藤森が産総研ダイヤモンド研究センター長として技術開発を主導し、2009年に創業。
気相合成法で成長したダイヤモンドを親結晶から分離する技術で、天然では得られない高純度で大型のダイヤモンド単結晶を量産できる技術を実用化。
ダイヤモンドの優れた特性を生かす、光学部品、ヒートシンク、センサー、電子デバイスとしての応用開発は、世界中で進展している。研究開発用の各種基板、ウエハ、窓材、ヒートシンク素材等を研究機関や企業に供給。
10年ほど前から立ち上がった人工宝石ビジネスで、気相合成宝石の製造に不可欠な種結晶を2012年に発売し、現在の形状をデファクトスタンダード化した。ビジネスの広がりとともに、世界各国の人工宝石製造企業へ販売。
詳しくは、当社ホームページ(https://www.d-edp.jp/)をご覧ください
■この件に関するお問い合わせ先
株式会社イーディーピー 営業部
〒560-0085 大阪府豊中市上新田4-6-3
(メール)edp.info@d-edp.jp
当社ホームページ https://www.d-edp.jp/products/
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