JAXA衛星データ(だいち2号)を活用した事業化実証に採択 カーボンクレジット創出の加速化を目指す
-宇宙から農地を俯瞰することでクレジット創出の工数削減と世界規模の取り組みへ挑戦-
◆プロジェクトの背景
Green Carbonは2023年3月1日、J-クレジット*¹の運営委員会にて新たに承認された「水稲栽培における中干し期間の延長」の方法論*²を活用すべく、4月5日に稲作コンソーシアム*3を発足させ、本方法論によるJ-クレジットの創出プロジェクトを進めてきました。現在、約2,000ha以上の農家の加盟をいただいております。
このたび、Green Carbonが提案した衛星データの活用によるカーボンクレジット創出プロジェクトがJAXA ALOS-2事業化実証の実証テーマの1つとして選定されました。J-クレジット創出にかかる農家の工数削減と水田圃場のモニタリングに向けてJAXAの衛星データ活用を実証していきます。加えて、モニタリング等の分析をアジア各国の水田由来の温室効果ガス削減プロジェクトでも検証し社会実装を目指します。
◆事業化実証の概要/将来の展望
本事業化実証は、宮城県登米市・栗原市、フィリピンブラカン州にて、当該地域の農家、JAXAなどと協力の上、実施します。圃場の水位データと陸域観測技術衛星2号「だいち2号」 (ALOS-2)搭載の合成開口レーダー(SAR)による衛星観測データをもとに、下記の実証を行います。
①中干し実施状況の把握/エビデンスデータとしての活用
J-クレジット制度「水稲栽培における中干し期間の延長」方法論において、中干し期間の延長を証明するデータが必要とされております。稲作コンソーシアムにおいては、各農家が撮影した画像をエビデンスデータとして利用しプロジェクトの信憑性を担保しておりますが、写真の撮影が農家にとって追加的な負担となっております。
本実証では、ALOS-2の観測データを活用した圃場の水位モニタリングと現地に設置した水位センサーとの比較により、衛星モニタリングの有用性を検証します。これにより、農家の圃場の撮影工数を削減するとともに衛星モニタリングによりプロジェクトの信憑性を高め、クレジット創出過程における透明性向上を目指します。
▲陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)
©JAXA
②過去2年間の平均中干し実施日数を推定するモデル構築
本実証にて対象とするJ-クレジット制度「水稲栽培における中干し期間の延長」方法論は、過去2カ年以上の平均中干し実施日数から7日間中干し期間を延長することでクレジットの創出が認められた制度です。過去2カ年以上の実施状況のデータは必須の要件となっており、データを紛失または記録していなかった場合、プロジェクトへの参加は2年間のデータ収集を経てからとなります。
本実証では、だいち2号(ALOS-2)の衛星データを解析し、中干し期間延長の客観的エビデンスとしての活用を試みます。これにより、将来的に、だいち2号などの衛星データを活用して、J-クレジット登録の障壁の緩和や登録の信頼性の向上を目指します。
③排出量算定メカニズムの検証
衛星データを活用したメタンガス排出量算定メカニズムを活用し、フィリピンブラカン州にて検証を実施します。既存のメタンガス排出量算出システム*4は、週に一度、現場での実測が必要でしたが、衛星データを活用した算出方法では現場での実測による工数を削減できるほか、より客観的なデータを得ることができます。本メカニズムを活用し、海外での効率的で客観性の高いカーボンクレジットの創出を目指します。
◆JAXA ALOS-2事業化実証紹介
JAXA ALOS-2事業化実証*5は陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)のアーカイブデータを用いた事業の成立性を実証するもので、2021年度より開始しており、将来展望として、民間主導による衛星データの一般利用での事業化を掲げています。
▲ALOS-2の合成開口レーダ(SAR)の観測イメージ
©JAXA
※1:省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「J-クレジット」として国が認証する制度です。本制度は、国内クレジット制度とオフセット・クレジット(J-VER)制度が発展的に統合した制度で、国により運営されています。本制度により創出されたJ-クレジットは、経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成やカーボン・オフセットなど、様々な用途に活用できます。
※2:中干し期間延長によるメタンガス削減とJ-クレジット創出の新たな方法論がJ-クレジットにおいて承認されました。水田の中干し(落水)は、土壌と空気が触れ、嫌気性菌の活動が抑制されることで、メタンガスの排出量を削減する効果があります。
※3:稲作コンソーシアムは、Jクレジット制度「水稲栽培における中干し期間の延長」による稲作農家様の創出活動の支援を目的として、発足しました。
※4:CDM(クリーン開発メカニズム)、VCS(Verified Carbon Standard)、Gold Standardなどの認証機関でも使用されているAMS-Ⅲ.AU「 Methane emission reduction by adjusted water management practice in rice cultivation 」(水稲栽培における水管理調整によるメタンガスの排出削減)の算定メカニズム
※5:ALOS-2の搭載の合成開口レーダ(SARデータ)による2014年の打ち上げから9年間にわたる観測データ(アーカイブデータ)を利用し、定常的な利用=事業化の可能性を実証するプロジェクト
◆Green Carbon事業紹介
Green Carbonは、「生命の力で、地球を救う」をビジョンとして掲げ、高炭素固定種苗の研究開発をメインに事業を展開しています。研究開発を基に、カーボンクレジット創出(J-クレジット/ボランタリークレジット)、登録、販売までを一気通貫してサポートする事業を展開しています。その他にも、農業関連事業、環境関連事業、ESGコンサルティング事業なども展開しております。
また、国内だけでなく、海外にも展開しておりフィリピン、オーストラリア、メキシコなどを中心に東南アジアから中南米まで、幅広い地域で事業を取り組んでおります。フィリピンでは現地の大学と連携し、水田のメタンガス削減プロジェクトの実証を進めております。オーストラリアでは、30haの炭鉱/農地でACCUs登録に向けたプロジェクトを開始予定です。JICA(国際協力機構)と共に、中南米・カリブ地域における農地貯留の実証を開始しております。
◆関連リリース
・フィリピン大学と連携し、水稲栽培で発生するメタンガス削減PJの実証を推進
ボランタリークレジット取得に向け、フィリピン大学の圃場にてメタンガスの計測を実施
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000117956.html
・世界のカーボンニュートラル(CN)への挑戦を支援するGreen Carbon株式会社
フィリピンに続き、ベトナム国家農業大学と水田メタンガス削減に関する共同研究を開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000117956.html
●Green Carbon 株式会社
商号 :グリーンカーボン
代表者 :代表取締役 大北 潤
所在地 :東京都港区南青山3-1-3スプライン青山東急ビル6F
設立 :2019年12月
事業内容:主に炭素固定種苗販売事業
CO2削減事業、CO2削減植物研究開発事業、カーボンクレジット取引及び取引所事業、
農業関連事業、環境関連事業、その他、関連する事業、及び、コンサルティング
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