STUDIO ZERO(スタジオゼロ)が提供する伴走型行政経営DXサービス「.Gov(ドットガブ)」、藤沢市ホームページ・CX課題発見ソリューション導入事例公開のお知らせ

市民のニーズを具体的に把握・分析し、ホームページを刷新。満足度向上および「モヤっと」した課題の可視化を実現へ。

STUDIO ZERO

株式会社プレイド(東京都中央区:代表取締役CEO 倉橋健太)の社内起業組織STUDIO ZERO(スタジオゼロ)は、神奈川県藤沢市(市長 鈴木恒夫)との取り組みにおける「自治体ホームページ・CX課題発見ソリューション」の導入事例を公開いたしました。

スタジオゼロでは、伴走型行政経営DXサービス「.Gov(ドットガブ)」を提供しています。

「.Gov」は、政策や行政職員の業務活動の実態に精通した元行政官(国家公務員出身者)や民間ビジネスにおける顧客体験価値向上に向けた事業開発や業務オペレーション変革、デジタルマーケティング等の分野で数多くの実績を築き上げたプロフェッショナルの知が集結し、立ち上げられました。行政・民間ビジネスに渡る知見や経験を糧に、市民体験を基軸にした行政デジタル化に挑む自治体等の取り組みを伴走支援しています。

 

今回は、藤沢市デジタル推進室(当時、現在はデジタル戦略課へ改称)との取り組みをご紹介します。

企画政策部 デジタル推進室 主幹 増渕典勝氏(当時、現在は市民自治部 辻堂市民センター所属)

「見にくい」「探しにくい」という市民の声と、不鮮明だった課題の可視化

藤沢市にはかねてより、公式ホームページに対し「見にくい」「情報が探しにくい」といった市民からの意見が多数寄せられていました。しかし、藤沢市側としては「具体的にどの点が見にくいのか」といったウィークポイントや市民のニーズを具体的に把握できておらず、リニューアルの方向性や方針、コンセプトが不鮮明であるという課題に直面していました。

 

増渕氏「当時、ホームページのリニューアルが差し迫っており 、どのような方針、方向性とすれば良いのか?のアイデアが出てこない危機感が非常に強かった中で、スタジオゼロのソリューションを活用することにより『今までの行政では出来なかった、市民ニーズを直視することができるようになる』という確信を得ました。」 

一気通貫の分析と「民の力」への共感

藤沢市が「.Gov」の「自治体ホームページ・CX課題発見ソリューション」導入を決断した最大の決め手は、「KARTE」を活用してホームページ訪問者のニーズを数値化し、多角的に分析できる点、そしてその結果に基づき改善の方向性まで「一気通貫」で提示される点に強い魅力を感じたことでした。

 

さらに、藤沢市はスタジオゼロの「民の力を使って自治体を良くしたい、市民生活を豊かにしたい」という情熱に心を動かされたといいます。増渕氏は、自治体として多様な取り組みを行う上で「民の力」の活用が「必然」であると考えており、スタジオゼロが「自治体と同じ目線、同じ熱意で自治体サービス向上について議論し、提案できる」存在であると判断し、今回の協働に至りました。

 

増渕氏「一緒に定例ミーティングをすることで、1+1以上の価値が大きくなってきた実感があります。加えて、プレイドのグループ会社であるエモーションテックがアンケートデータ分析ノウハウを多く有していたのも良かったですね。」

市民の声から見えた具体的な課題〜子育て世代の女性の満足度とスマホ利用者のロイヤリティの低さ〜

スタジオゼロによる調査は、従来の「無作為抽出」アンケートとは異なり、市のホームページを利用した方の意見をダイレクトに聞くことで、これまで把握しきれていなかった具体的な市民ニーズと課題を明らかにしました。

 

調査による主な発見は以下の通りです。

• 全体NPS®(ネット・プロモーター・スコア®)※はマイナス52.3と低い水準でした。特に、女性のNPSはマイナス58.1と低く、30代女性ではマイナス73.8、40代女性ではマイナス62.3とさらに顕著な低さを示しました。これは「子育て世代の女性が情報を探しにきたときの満足度が低い」という仮説につながりました。

※NPSとは、顧客ロイヤリティ(商品やサービスに対する信頼・愛着)を測る指標。

※注:ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。

• ホームページ訪問者の約25%が目的のページに辿り着けていないことが判明しました。

• スマートフォンユーザーのNPS値はPCユーザーより3.8pt低く、スマートフォンユーザーのロイヤリティが相対的に低いことが示されました。

• HP来訪目的別では、「情報を調べる」目的で来訪したユーザーのNPS値が最も低い傾向にありました。

• 「暮らし」「健康・福祉・子育て」を来訪したユーザーのNPS値は平均以上であった一方で、「まちづくり・環境」のNPS値が低いことが明らかになりました。

• ジャーニーマップ分析からは、「求めている情報の探しやすさ」「デザインの見やすさ」「情報のわかりやすさ」が優先すべき改善対象であることが特定されました。

• 男性においては「藤沢市の新しい情報」に対するニーズが高く、女性においては「情報入手の手軽さ、手早さ」「子育てに役立つ情報」に対するニーズが高いという性別ごとの具体的な傾向も把握できました。

増渕氏「これまでは、そもそもニーズや課題を深堀りするノウハウやツールの存在を知りませんでした。一般的な『イベント参加後の満足度調査アンケートを実施する』程度しか選択肢がなかったので『ホームページに訪問をして、ある程度見たうえで、スクロールをした訪問者に対してアンケートを配信すること』がKARTEで実現できたこと自体、非常に驚きました。無作為抽出ではなく、目的を持った人を特定したうえで、その方々の声を聞くことができるという点に、特に驚かされましたね。また『市民ニーズ』のヒアリングの仕方や、解像度がグッと高まったことも今回の取り組みの成果だと思っています。そして、このプロジェクトに関わった職員たちのマインドチェンジにも繋がりました。 具体的には、これこそ『市民の声を主体的に聞きにいっている経験』だと痛感しました。」 

 

増渕氏は、これらの詳細な市民の声を効率的に分析できたことで、これまで「モヤっと」していた課題がまさに「可視化」され、組織として課題を共有し、ホームページリニューアル事業者公募にもダイレクトに活用できたことは、これまであまりない事例であり、大きなインパクトを残せたと評価しています。

「キュンとするまち。藤沢」公式マスコットキャラクター「ふじキュン♡」

リニューアル後の評価と今後の展望〜スマホファーストと継続的な市民連携〜

今回のリニューアルでは、スマートフォンファーストのデザインが導入され、AIを活用した検索精度の向上が図られました。これらの改善は、市民からも高く評価されています。

藤沢市の広報シティプロモーション課によると、「シンプルで見やすくなった」「動画が挿入されており、市の魅力が伝わる」「検索した際に示されるAIの回答による概要文がわかりやすい」といった、具体的な市民からの高い評価の声が寄せられているとのことです。

藤沢市は、リニューアル後の現在もホームページ上で「より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください」と意見送信フォームを設置しており、常に市民の声に耳を傾け、継続的にウェブサイトを改善していく姿勢を示しています。

 

増渕氏は、「今回のプロジェクトを通じて、市民の声を直接反映させる新たな仕組みの構築に向けて一石を投じることができた」と感じたとのこと。

 

増渕氏「とにかく、これまで可視化されていなかったものが可視化されたことにより、それ以降のプロジェクトの進め方が非常に早くなりました。かつての私たちのように、リニューアルはもとより、さまざまな施策のブラッシュアップに向けた方向性や骨子が決まらず暗中模索している行政職員の方にお伝えしたいのは、データや統計分析を用いて、全体的な傾向やユーザーごとのニーズなども把握できるのでご安心ください、ということです。但し、全体平均の意見をUI/UXに反映してしまうと他の自治体との差別化が難しく、市民満足度が高まりづらいので、テーマに応じてセグメントを絞っていくのが良いと思います。自治体のホームページはそもそも見たいと思って積極的に閲覧しに来る方はおらず、例えばゴミの出し方や、何かの申請方法など、自治体のルールを遵守するために見に来ている状況だということを理解しないといけません。市民ニーズをセグメント分けして、それぞれに対して情報を出しわけながら、満足度を高めていく取り組みを強化していくことが必要だと思います。」

神奈川県に位置する藤沢市は、豊かな自然と歴史、そして快適な都市機能が調和した魅力的な都市です。市民サービスの向上と住みやすい環境づくりに力を入れ、日々進化を続けています。市民生活を豊かにするため、これからも「民の力」を積極的に活用し、魅力ある街づくりを推進してまいります。

ビーチバレーとサーフィン発祥の地として知られている鵠沼海岸の日の出

株式会社プレイドの社内起業組織STUDIO ZERO(スタジオゼロ)で提供する、伴走型行政経営DXサービス「.Gov(ドットガブ)」のその他の事例は、こちらでご紹介しています。

「.Gov」では、CX基軸での課題解決のためのDXプロダクト機能内のユーザー行動データの蓄積・分析等を活用したWebサイト機能の分析改善・支援を行っています。また、最適な業務オペレーション設計・ 関連戦略等の最適化といった企画周りのコンサルティング・伴走支援や「CX思考×業務作り」が納得できる「人材育成プログラム」の提供も行っております。

KARTE導入の有無に関わらず、データ・ドリブンな業務デジタル化を推進したい「.Gov」へご興味をお持ちの自治体の皆様は、こちらより、お気軽にお問い合わせください。


すべての画像


会社概要

URL
https://plaid.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 10F
電話番号
-
代表者名
倉橋 健太
上場
東証グロース
資本金
-
設立
2011年10月