【RCIJリスクリサーチ】“良い上司の決まり文句”がハラスメントになる瞬間――管理職の54.3%は「無自覚」、部下の60.7%は「傷ついた経験あり」

管理職の使用率が高い定番フレーズも会社にとって“炎上・離職”の潜在リスクになることが明らかに

​日本で唯一のコミュニケーション戦略におけるリスク管理に特化したカリキュラムを展開する一般社団法人 日本リスクコミュニケーション協会(略称:RCIJ、代表理事:大杉春子)は、2025年10月、全国の企業・団体に勤務する10代~70代の男女289名を対象に、「職場における上司の発言・言動がもたらすハラスメントリスク」に関する意識調査を実施しました。
本調査は、危機管理心理学における「無意識バイアス*」に焦点をあてており、実際に、多くの上司が“良かれと思って”声をかけていた定番フレーズが、部下の心理的安全性を下げ、パフォーマンスを低下させ、離職・評判毀損といった“会社の経営リスク”につながり得る実態が見えてきました。

*本人の意図や悪気に関係なく、慣習・経験が判断や言い方に影響してしまう“思い込みの偏り”のこと。

調査結果サマリ―

1|認識ギャップ=見えない火種

・管理職の54.3%は「自分の悪意のない言葉で部下を傷つけた」自覚なしの結果に。
・非管理職では、60.7%が、「上司の悪意のない言葉で傷ついた経験あり」と回答。
初期兆候を見落とすリスク構造が存在する状況が明白に。

2| “使われがち×嫌がられがち”の危険フレーズ

・部署をなだめるために管理職の60.4%が使う「うちの会社はこういうものだから」は、非管理職の58.4%が「不快」と回答。

・スケジュールを懸念する部下への「なんとかなるよ、とにかくやろう!」は、20代の約半数が「いやな気持ちになる」と回答。
善意の定番フレーズが、意図せず部下の心理的安全性を下げ、生産性・定着にマイナスに作用していることが明らかに。

3| 励ましの効果がマイナスになることも

・「みんなも頑張ってるから」で部下をいやな気持ちにさせる割合は、やる気がでる割合を10ポイント以上も上回る結果に。
・上司の78%が使用する「まず指示通りにやってみて」は、部下のやる気よりもいやな気持ちを呼び起こす。

部下を鼓舞したり方向性を与えるつもりの定番フレーズが、動機づけにならないどころか反発や萎縮を誘発している可能性が明らかとなった。

調査結果

1| 認識の非対称の実態

【管理職】
「直近2年間に“悪意のない”指導が部下を傷つけたと感じたことはあるか?」

ない、または知らない:54.3%

「直近2年間に“悪意のない”指導が部下を傷つけたと感じたことはあるか?」(n=115)


【非管理職】
「直近2年間に“悪意のない”上司の指導で傷ついたことはあるか?」
 ある:60.7%。

「直近2年間に“悪意のない”上司の指導で傷ついたことはあるか?」(n=173)

→ 上司の“悪意のない”発言や言動で部下を傷つけたことはあるか?という質問に、管理職の半数以上が無自覚であったのに対し、非管理職の60%以上は「傷ついたことがある」と回答しており、悪意のない指導の受け止め方にズレがある非対称性の実態が明らかになりました。

2|“使われがち×嫌がられがち”の危険フレーズ

■部下の意見をまとめるための「うちの会社はこういうものだから仕方ないよ」

 管理職の使用60.4% × 非管理職「いやな気持ちになる」58.4%

【管理職】上記の部下への声掛けを普段どれくらい使用しますか?(n=115)

よく使う               27.8%

・たまに使う              32.2%

・ほとんど使わない           33.0%

・全く使わない(使ったことがない)   7.0%

【非管理職】上司から上記のような声掛けされたらどのように感じるか?(n=173)

・やる気が出る(納得できる)        10.4%

・特に何も感じない           31.2%

・いやな気持ちになる          58.4%

権威バイアスの影響を受ける表現であり、管理職の6割以上が使用している一方で、言われて「納得できる」と回答したのはわずか1割、全体の約6割が不快に感じているというギャップが存在していました。


■スケジュールを心配する部下に「なんとかなるよ、とにかくやってみて!」

 管理職の使用81% × 非管理職「いやな気持ちになる」35.3%

【管理職】上記の部下への声掛けを普段どれくらい使用しますか?(n=115)

よく使う               33.9%

・たまに使う              47.0%

・ほとんど使わない           15.7%

・全く使わない(使ったことがない)   3.5%

【非管理職】上司から上記のような声掛けされたらどのように感じるか?(n=173)

・やる気が出る(安心する)         33.9%

・特に何も感じない           40.0%

・いやな気持ちになる          35.3%

 

【非管理職年代別】上記のような声掛けを上司からされたらどう感じるか?(n=173)

楽観バイアスに影響を受けるこの表現で、特に20代の非管理職の48.3%以上がいやな気持ちになると回答。他年代に比べ、20代が評価基準や支援の不明確さに敏感で、曖昧・丸投げ型への不快感が強いと読み解けます。現場の指導設計と管理職のリテラシー整備が急務といえます。

3|定番の励ましフレーズの効果がマイナスになることも

■部下を鼓舞するため「みんな頑張ってるから君も頑張って!」

・管理職の使用68% × 非管理職「いやな気持ちになる」35.3%

・やる気が出る:24.3% < いやな気持ちになる:35.3%(▲11ポイント)

【管理職】上記の部下への声掛けを普段どれくらい使用しますか?(n=115)

・よく使う               28.7%

・たまに使う              39.1%

・ほとんど使わない           24.3%

  ・全く使わない(使ったことがない)   7.8%

【非管理職】上司から上記のような声掛けされたらどのように感じるか?(n=173)

・やる気が出る               24.3%

・特に何も感じない           40.5%

・いやな気持ちになる          35.3%(▲11ポイント)

協調性バイアスの影響を受けるこの表現は、結果的に部下のやる気よりもいやな気持ちを起こさせる割合が10ポイント以上も高いことが明らかとなりました。

■「まず指示通りにやってみて」

 ・管理職の使用78% × 非管理職「いやな気持ちになる」31.3%

 ・やる気が出る:17.3% < いやな気持ちになる:30.6%(▲13.3pt)

【管理職】上記の部下への声掛けを普段どれくらい使用しますか?(n=115)

・よく使う               27.8%

・たまに使う              50.4%

・ほとんど使わない           20.0%

・全く使わない(使ったことがない)     1.7%

【非管理職】上司から上記のような声掛けされたらどのように感じるか?(n=173)

・やる気が出る(安心する)        17.3%

・特に何も感じない           52.0%

・いやな気持ちになる          30.6%(▲13.3ポイント)

→部下への方向付けで使用されるこの声がけは確証バイアスの影響を受けやすいフレーズです。
管理職の78%が使用する定番の声掛けながら、部下にとってはやる気が出る(納得できる)よりもいやな気持ちになる割合が高いことがわかりました。

【調査概要】

調査名:「無意識バイアスの指導についての意識調査」

実施時期:2025年10月

実施主体:一般社団法人 日本リスクコミュニケーション協会(RCIJ)

調査方法:インターネット調査

有効回答数:289名(全国の20〜60代 男女)

調査まとめ(RCIJ見解)

本調査は、上司の“善意の定番フレーズ”が無意識バイアスを介して不快や萎縮を招き、組織の生産性・定着・評判にまで波及し得ることを示しました。

管理職の無自覚54.3%と部下の被影響60.7%という認識ギャップ、使用頻度の高いフレーズほど不快反応が強いという傾向、そしてとりわけ20代で顕著な「丸投げ楽観」への反発は、個人の資質だけではなく企業全体で取り組む仕組み作りが必要であると考えられます。

調査を受けた取り組み

RCJIは、これらの問題の根源には、本人すら気づいていない「無意識の思い込み(認知バイアス)」が深く関わっていると考えています。良かれと思っての言動が相手を傷つけ、良質な人間関係を損ない、ひいてはメンタルヘルス不調、離職率の悪化、企業のレピュテーション(評判)毀損といった深刻なリスクに発展するケースは少なくありません。本セミナーでは、この「認知バイアス」という心理的メカニズムに光を当て、本質的な組織風土改善とリスク予防のヒントを提供します。

●タイトル:『あなたの会社の「良い上司」がハラスメント加害者になる前に

      〜職場の“無意識バイアス”を乗り越えるコミュニケーション〜』
●開催日:2025年10月22日(水)16:00〜17:00
●形式:オンライン開催(Zoom)

●参加費:無料
●対象:企画経営・人事・総務・労務の方
●詳細はこちら(PRTIMES):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000061037.html

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セミナー参加には事前の登録が必要です。
※満席となり次第、予告なく締め切ります、あらかじめご了承ください。

https://us06web.zoom.us/webinar/register/WN_lMv7WEP_SVeYtgwm4N-t6A

日本リスクコミュニケーション協会(RCIJ)について

RCIJは日本において唯一、コミュニケーション戦略(戦略広報)におけるリスク管理に特化したカリキュラムを展開している専門機関です。各業界の第一線で活躍する専門家が結集し、リスク管理から危機管理広報まで包括的に網羅したプログラムを提供しています。

設立:2020年7月6日

事業内容:リスクコミュニケーション技能認定講座の提供、セミナー開催等

代表理事:大杉春子

▶協会公式HP:https://www.rcij.org/about

▶資格講座URL:https://www.rcij.org/qualify

▶協会Xアカウント:https://x.com/rcijofficial

▶世間で話題になった炎上案件をプロの目線でわかりやすく解説!週1回10分でRCを学ぶ音声番組

「RCIJPODCAST『炎上の正解』」:spotify / Amazonpodcast / Youtubeにて配信中

■本件に関するお問い合わせ

一般社団法人日本リスクコミュニケーション協会 事務局

E-mail:contact@rcij.org

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会社概要

URL
https://rcij.org/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都港区赤坂4-15-1 赤坂ガーデンシティ14F
電話番号
03-6825-3020
代表者名
大杉春子
上場
未上場
資本金
-
設立
2020年07月