DroR、研修や制度改定が定着せず元に戻るときの自社確認の手順を公開 戻り方を4つの型で見分ける

ドロア

管理職研修や人事制度の見直しが、半年ほどで元の運用に戻ってしまう。組織開発・組織変革を伴走支援する株式会社DroR(ドロア)は、次の施策を探す前に自社で行える確認の手順を、2026年10月4日に「DroR Lab(DroR Laboratory)」で公開しました。過去の施策を7つの項目で書き出し、戻り方を4つの型で見分けます。4つの型と研修の3つの確認点は筆者が実務から整理したもので、実証済みの診断法ではありません。

施策の「戻り方」は4つの型に分けられる

株式会社DroR(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:山中真琴)は、組織の施策が元に戻ってしまうときに、外部の手を借りずに自社で進められる確認の手順をまとめ、解説記事「施策が元に戻るとき、自社で確認すること——施策の履歴の見方」として2026年10月4日に公開しました(著者:CRO/研究リーダー 中森将也)。公開ページ:https://dror.co.jp/lab/articles/review-initiative-history

手順の中心は、ひとことで「元に戻った」と言われる現象を、少なくとも4つの型に分けて見ることです。DroRの整理では、型が違えば、次に確かめるべき場所も違います。

  • 始まらなかった型

記録の手がかり:告知や研修は行われたが、その後の運用の記録がほとんどない

次に確かめること:施策を日常につなぐ場(会議・面談・書式)が、あらかじめ決まっていたか

  • 回っていたが間隔が空いた型

記録の手がかり:面談や会議の件数が、ある時期を境に減っていく

次に確かめること:減り始めた時期に何が重なっていたか(異動・繁忙期・評価の時期)

  • 形だけ残った型

記録の手がかり:件数は維持されているが、記入の中身が定型的・短文になっている

次に確かめること:その施策に時間をかけた結果、何が決まり、何が報われたか

  • 次の施策に上書きされた型

記録の手がかり:前の施策の運用が終わる前に、別の施策が始まっている

次に確かめること:施策と施策の間隔、同じ担い手に運用が集中していないか

型の見分けには、記録の件数と中身の変化を使います。件数がゼロになったのか、徐々に減ったのか、件数は保ったまま中身が薄くなったのか——この区別が、確認作業の中心になります。

この4つの型(および後述する研修の3つの確認点)は、研究文献の分類ではなく、筆者が実務の中から整理したものです。また、本手順は実証済みの診断法ではなく、次に確かめる場所の見当をつけるための自社確認の方法として示しています。

理由を議論する前に、経過を記録として並べ直す

DroRは、施策が戻ったときに最初に確かめるべきなのは「なぜ戻ったか」ではなく「これまでの施策がどう経過したか」だとしています。理由の議論から入ると、「管理職の意識が低い」「現場が忙しすぎた」といった、確かめようのない解釈の比べ合いで終わりやすいためです。

経過は、議事録、カレンダー、面談記録、評価シートなどの社内記録で確かめられます。記憶だけに頼ると、始めたときの意図ははっきり残る一方、止まっていった経緯はぼやけるという偏りが出ます。

この考え方の背景として、記事はエリック・エイブラハムソンの2000年の論文「Change Without Pain」(Harvard Business Review)を挙げています。次々に打ち出される変革が施策の過多と混乱を生み、現場の抵抗につながるという指摘で、過去の経緯を知る人を置いて同じ失敗の繰り返しを避けることを提案しています。DroRは、履歴を並べ直す作業を、組織がその記憶を自分たちで取り戻す作業でもあると位置づけています。

施策ごとに書き出す7つの項目

DroRの手順では、施策を一件ずつ、同じ項目で書き出します。項目がそろっていれば、施策どうしを横に並べたとき、共通点と違いが見えるようになります。

  1. 施策と開始時期:何をいつ始めたか、当時の目的がどう言い表されていたか(例:経営会議の議事録、社内告知)

  2. 対象と運用の担い手:誰が対象で、日々の運用を回していたのは誰か(例:受講者名簿、担当の割り当て)

  3. 運用の場と頻度:どの会議・面談・書式に組み込まれ、どのくらいの間隔で行われたか(例:カレンダー、面談記録の件数、書式の提出状況)

  4. 止まった時期・形だけになった時期:実施の間隔が空き始めた時期と、行われなくなった時期(例:記録件数の推移、記入内容の変化)

  5. 同じ時期に重なった出来事:担当者の異動、繁忙期、評価期、次の施策のスタート、経営の関心の変化(例:人事異動の記録、年間の業務カレンダー)

  6. 社内で説明された理由:止まったことが当時どう説明されていたか(例:会議の発言メモ、振り返り資料)

  7. 残ったもの:言葉、書式、一部のチームの運用など、今も続いているもの(例:現在の会議資料、現場での聞き取り)

とくに抜け落ちやすいのが、2の「運用の担い手」と3の「運用の場」です。導入を決めた人と、実際に回していた人が別であることは珍しくありません。対象期間は、現在の経営体制になってからの主な施策、または直近数年分を目安にすると、作業が膨らみすぎないとしています。

止まった時期に何が重なっていたかを並べる理由

記事では、デヴィッド・ブキャナンらによる2005年の文献レビュー「No going back」(International Journal of Management Reviews)を引いています。変化が続くか薄れるかは、個人・管理職・組織・文化・政治・時間など、複数の水準の要因に左右されるという整理です。DroRは、ひとつの原因を探すより、止まった時期に重なっていた出来事を並べるほうが、この見方に沿うとしています。

研修は「学んだか」「職場で使ったか」「使い続けたか」に分ける

研修については、効果がどこで途切れたかを3つの段階に分けて確かめます(この3つの確認点も筆者の整理です)。

  • 学んだか:受講直後のアンケートや理解度の確認、本人の振り返り

  • 職場で使ったか:受講後の数週間に、学んだやり方を試す機会が会議・面談・日常業務の中にあったか

  • 使い続けたか:数ヶ月後もそのやり方が残っているか。残っていなければ、どの時点で、何が引き金で戻ったか

受講後のアンケートや理解度テストの結果がよくても、それが示すのは一つ目の段階だけです。記事は、ティモシー・ボールドウィンとケビン・フォードの1988年の論文「Transfer of Training」(Personnel Psychology)を挙げています。研修で得たものが職場に移るかどうかを「一般化」(仕事の場面へ広がるか)と「維持」(時間がたっても続くか)の二つに分けて捉え、研修の設計や受講者の特性だけでなく、職場環境の要因も関わると論じた論文です。

自社で確かめる点としてDroRが挙げるのは、受講者の上司自身がその内容を使っていたか、学んだやり方を試せる場が会議や面談にあったか、使ったことが評価や会話で取り上げられたか、の3つです。DroRの整理では、管理職研修の効果が半年ほどで見えなくなるとき、多くは研修の内容そのものではなく、その後の段階で途切れています。

「残ったもの」は、戻った理由を裏側から示す

施策の多くは、跡形もなく消えるわけではありません。会議で使われ続けている言葉、提出だけは続いている書式、運用が続いている一部の部署——DroRは、こうした「残ったもの」を、戻った理由を逆側から照らす材料として扱います。

確かめるには、続いている場所と戻った場所を比較します。続いている部署で、上司本人がそのやり方を実践しているのか、施策が会議で毎回扱われるようになったのか、評価をめぐる会話とつながったのか。戻った部署との違いが、定着の条件を示します。言葉だけが残り行動が戻っている場合は、施策の意図は伝わったものの、日々の判断や報われ方が変わらなかった可能性がある、としています。

複数の施策を同じ表に並べたときに見る5つの重なり

一件ずつの振り返りでは、それぞれに個別の事情が見つかり「今回は運が悪かった」で終わりがちです。DroRは、複数の施策を同じ表に並べ、次の重なりがないかを見ることを勧めています。どれか一つでも当てはまれば、次の仮説の出発点になります。

  • 止まった時期が同じ(評価の時期、繁忙期、年度替わりの異動の前後)

  • 止まった層が同じ(運用を担う管理職層、または特定の部署)

  • 止まった理由の説明が同じ(「忙しくて続かなかった」「現場に合わなかった」という説明が何度も残っている)

  • 施策どうしの間隔が短い(前の施策が根づく前に次が始まっている)

  • 経営の関与が離れた時期が同じ(始めた頃は経営会議で扱われ、ある時期から議題に上がらなくなっている)

たとえば、管理職研修のすぐ後に人事制度を見直し、両方とも半年前後で戻ったケースでは、種類の違う二つの施策が、同じ担い手(多くは管理職層)のもとで同じ時期に止まっていることがあります。DroRの整理では、種類の違う施策が同じ場所で止まるなら、次に替えるべきものは施策の種類ではない可能性が高くなります。

確認の結果を次の判断につなぐ/自社確認の限界

履歴の確認から得られるのは答えではなく、次に確かめる場所の見当です。共通の止まり方が見えたなら、その場所(たとえば管理職層の会議と面談の運用)に絞って、施策を足す前に小さく試す仮説を立てられます。同じ施策をそのままやり直すことは、止まった場所が変わっていなければ同じ時期に同じ形で止まる可能性が高いため、DroRは勧めていません。

一方、記録が乏しく経過をたどり直せない場合や、並べた結果の読み方で経営チームの意見が割れる場合は、社内の確認だけでは先に進みにくくなります。反対に、止まった場所が見えていて打つ手も決まっているなら、外部を入れずに進めるほうが速く費用も抑えられる、としています。

なお、確認の目的は「誰が止めたか」ではなく「何と重なって止まったか」に置き、個人の意欲や力量の評価を含めないことを最初に関係者へ伝えておくことも、手順の一部として示しています。

DroRの組織開発・組織変革の伴走支援(施策が定着せず元に戻る企業へ)

DroRは、売上や人数の拡大で意思決定・役割・情報の流れが複雑になり始めた成長企業に対し、施策の定着を妨げている組織の構造に手を入れる組織開発・組織変革を、研究に基づいて伴走支援しています。施策を替えても同じ問題が繰り返される組織に向いており、まず数週間〜2ヶ月の観察フェーズから始めることもできます(本格的な伴走は6ヶ月以上が目安)。短期の研修だけで即時の成果を求める場合や、意思決定者が関与できない場合には、別の支援形態をご提案しています。初回相談は無料です。匿名の支援事例3件を https://dror.co.jp/case で公開しています。

公開の概要

  • 題名:施策が元に戻るとき、自社で確認すること——施策の履歴の見方

  • 著者:中森将也(株式会社DroR CRO/研究リーダー)

  • 公開日:2026年10月4日

  • 掲載先:DroR Lab(https://dror.co.jp/lab/articles/review-initiative-history)

  • 内容:施策の履歴に書き出す7項目、戻り方の4つの型、研修の3つの確認点、残ったものの読み方、複数の施策を並べたときの5つの重なり、よくある質問6問

  • 主な参考文献(記事の表記どおり):

Abrahamson, E. (2000)「Change Without Pain」Harvard Business Review, 78(4), 2000年7–8月号.

Buchanan, D., Fitzgerald, L., Ketley, D., Gollop, R., Jones, J. L., Lamont, S. S., Neath, A., & Whitby, E. (2005)「No going back: A review of the literature on sustaining organizational change」International Journal of Management Reviews, 7(3), 189–205.

Baldwin, T. T., & Ford, J. K. (1988)「Transfer of Training: A Review and Directions for Future Research」Personnel Psychology, 41(1), 63–105.

Yamanaka, M., & Nakamori, M. (2026)「Clinical Organizational Science: An Integrative Framework for Structural Intervention in Complex Organizations」Frontiers in Psychology, 17.

  • 見方の背景:臨床組織科学(COS)は、組織が安定しているのを惰性とは見ず、毎日のやり取りの中で繰り返し作り直されている状態と捉える枠組みです。この立場では、施策の履歴は、その安定を支えているものが何かを映す記録になります。ただし、COSの論文は理論を提唱する概念論文(Conceptual Analysis)であり、この読み方も実証された診断法ではなく、今後の検証を前提にした見方の一つです。

株式会社DroRについて

株式会社DroR(ドロア)は、臨床組織科学(Clinical Organizational Science, COS)に基づいて、成長企業の組織開発・組織変革を伴走支援する研究実践ファームです(東京・恵比寿)。会議・役割・意思決定・情報の流れなど、日々の行動を生み出している組織の構造を現場で観察し、手を入れる場所を絞って、変化が日常に残るまで伴走します(組織ディープテック)。財務経理・補助金などの実務を担う高度専門BPOも提供しています。COS の理論は査読論文(Frontiers in Psychology, 2026)として公表しています。

会社名:株式会社DroR(ドロア)/DroR Corporation

所在地:〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-4-8 ウィンド恵比寿ビル8F

代表:代表取締役 山中真琴

設立:2023年8月

資本金:10,000,000円

URL:https://dror.co.jp

事業内容:

  • 組織ディープテック:臨床組織科学(COS)に基づく組織開発・組織変革の伴走支援

  • 高度専門BPO:財務経理・補助金、SNS運用、マーケティングPM

  • M&A・PMI支援

研究・公開:臨床組織科学研究会(事務局)、人的資本開示の年次調査 DOCI、働く人の心理学・組織研究ナビ(research.dror.co.jp)

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会社概要

URL
https://dror.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都渋谷区恵比寿西2丁目4番8号 ウィンド恵比寿ビル8F
電話番号
-
代表者名
山中真琴
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
2023年08月